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タイの医療事情はいいの?タイ移住する前に知っておきたい保険についても解説

中田 祐樹 タイ実業家

執筆者

タイ実業家

中田 祐樹

タイ・バンコク在住。日本大手不動産会社での就職後、タイ・マレーシア等の東南アジアにおけるコンドミニアムの企画・開発・販売の責任者として従事。退職後、タイを拠点に不動産仲介業、飲食業をはじめ、タイへの進出支援、マーケティング支援なども展開。現地タイの生の情報を分かりやすくお届けします。

年を重ねるに連れて病院に行く機会も増えるもの。定年退職後にタイ移住を考えている方にとって、タイの医療事情は気になる点の一つではないでしょうか。

今回はタイの医療事情と、もしもの時の為に備えておくべき保険についてお話ししていきます。

1.気になるタイの医療レベル

タイのバンコクは大都会ですが、そうは言っても東南アジアの国の一つ。日本に比べて医療レベルが劣るのではないかと心配な方も多いでしょう。

結論から言うと、タイの医療レベルはアジアトップクラスの高水準と言われています

タイの有名私立病院で診察をしてくれる多くの医師は、アメリカなどの医療先進国へ留学していた経験のある方も多く、先進技術に関するノウハウも豊富です。

また、タイはJCIに認定されている病院の数が世界で5番目に多く、東アジアと東南アジアに限定した場合は中国に次いで2番目です。

その数は日本の約2.5倍にのぼりますので、JCI認定病院に関して言えば日本よりも多いと言えるでしょう。

2.バンコクの病院・医療施設事情をご紹介

タイ・バンコクの病院は大きく分けると2種類に分かれます。

一つは社会保険が適応されて安い治療費で診察を受けられる公立病院と、もう一つは高水準の医療レベルだけでなく、ハイクオリティなサービスやファシリティを完備する私立病院とに分けられます。

私立病院の入院施設はまるでホテルのようです。付き添いの方用のベッドも完備されており、室内にシャワーやキッチンまで用意されているところもあります。特に日本人や外国人の来院・入院を想定している病院では、日本でもおなじみのスターバックスや大戸屋まで入っている病院もあります。

サービスの良さといえば、ちょっと自転車やバイクで転んだだけでも、車いすまで用意してくれたりするため、恐縮してしまうぐらいのサービスの良さと言えるでしょう。

日本人をはじめとして、外国人が私立病院を利用する理由として挙げられるのは主に以下の3点です。

  • 高水準の医療レベル
  • 通訳常駐で言葉の心配が少ない
  • 手厚いサービスが整っており、安心して受診できる

安くて社会保険が適応される公立病院も医療レベルで言うと悪いものではないのですが、日本語はもちろんの事、英語も通じない病院スタッフが多い為不安が付いて回ります。

タイ語をしっかり理解できる方にとっては問題無いかもしれませんが、タイ語が初級から中級レベルの方であれば、日本語で通訳をしてもらえる病院へ行ったほうが、安心度が高いと言えるでしょう

もちろん日本人をはじめとする外国人が多く利用する私立病院は公立病院に比べて医療費が高く、日本人専用病棟があるサミティベート病院に関してはタイで最も医療費が高い病院とも言われています。

ちなみに自転車で転んで、念のため腕のレントゲン、擦り傷の消毒をしたときには、何と!8000バーツ、約3万円のお会計でした。

しかし、事前に医療保険に加入していれば手厚い診断やサービスもキャッシュレスで受ける事が可能ですので、次章では移住の際に加入しておきたい医療保険についてご紹介します。

バンコクにある日本語でも受診が可能な総合病院には以下のようなところがあります。

サミティベート病院 

バンコクにお住まいの方が一番通われているのがこちらの病院かもしれません。スクンビットエリアの中心部に位置し、アクセスも抜群、日本語の通訳者も常駐し安心して受診することが可能です。

バムルンラード病院 

5つ星ホテルのロビーと見間違うような豪華な造りの病院です。最寄り駅がナナ駅と日本人がよく住むスクンビットエリアからは少し離れますが、サミティベート病院にも負けない私立病院の代表的な存在です。

バンコク病院 

タイで一番よくみる総合私立病院のバンコク病院。タイ全国18都市に展開をしているタイ最大手といわれる総合私立病院です。

3.バンコクの病院 健康診断サービス

事故や病気のときだけでなく、定期的に行っておきたい健康診断。バンコクの病院でも健康診断を受けることができます。

日本の病院での健康診断サービスと大きな違いはありません。基本的な検査項目が入ったパッケージに、ご自身で気になる病気や箇所があれば、その検査項目をオプションとして加えることができます。検査項目によっては前日夜から食事ができないといった制限も日本と同じとなります。

気になる料金ですが、サミティベート病院では、基本的なパッケージで5,000バーツ(約2万円)程度、日本での健康保険組合から推奨される検査項目まで含めると10,000バーツ(約4万円)ぐらいとなります。

少し割高に見えるかもしれませんが、午前中に食事をとる前に行うべき検査を終えると、病院内のレストランで利用することができるランチ券がついていたりもします。 

4.移住前に必ず入っておきたい医療保険

タイの病院で活用できる医療保険に加入しておけば、もしもの時に病院へ行っても高額な治療費の事を気にすることなく診察を受けられます。

では、タイで活用できる医療保険にはどのようなものがあるのでしょうか。

タイで活用できる医療保険

タイで活用できる医療保険は主に3種類。

  • 日本の国民健康保険
  • 長期の海外旅行保険
  • タイの民間医療保険

それぞれがどのようなものなのか簡単にご説明しますね。

日本の国民健康保険

日本の社会保険では、タイの病院で一度支払いを済ませる必要があります。診断書や領収書を保管しておき、日本へ一時帰国した際に、申請をすれば、治療費の一部が返ってきます。また、病気のことが気にかかる場合には、一時帰国中に、かかりつけの病院へ受診するのも良いでしょう。

もちろん日本の社会保険で適応される治療内容であれば、返金額も日本の負担額と同じ3割負担にはなります。持病があって定期的に病院に行かなければならない方などにとっては活用したほうが良いでしょう。

デメリットを挙げるとすれば、申請時に、日本語訳の診断書の提出や専用書類への記入等少々面倒な手続きがある事でしょうか。

長期の海外旅行保険

タイに赴任してきた駐在員の多くが加入している長期の海外旅行保険。こちらは多くの保険会社が最長2年間のプランを用意しています。

保険料は日本の社会保険料に比べても高くなります。また、プランによりますが、病院へ行ったときだけでなく現地での盗難や、飛行機の遅延やロストバゲージなど、海外旅行に関するあらゆるトラブルに対応してもらえるのがメリットのひとつです。

24時間サポートデスクなど、トラブル発生時に対応してくれるサービスを設けている保険会社もありますので、初めての海外生活の場合は渡航前に申し込んでおくと色々と安心でしょう。

タイの民間医療保険

タイの民間医療保険も、海外旅行保険と同じように病院での診察をキャッシュレスで受けられたり、先進医療やICUの利用などにも適応している保険が豊富です。

タイに進出している日系の保険会社も数社ありますので、言葉の面で不安な方は日本人スタッフが常駐している保険会社もありますので、加入時も安心です。

海外旅行保険よりも価格が安く、保険のプランも豊富なので、社会保険と併用して加入されている方も多いです。

おわりに

今回はタイの医療事情について詳しくご紹介し、タイ移住の際に検討しておきたい保険についてお話ししました。

日本ではあまり病院に行く機会も無く、健康そのものだったとしても環境が変われば体調も変わるものです。

また、老後となると持病が出てきたり病気が治りにくくなったりと、若い頃とは違った悩みも色々と出てくるでしょう。

日本人でも安心して利用できる病院はどんなところがあるのか、また、医療費はどれくらいかかるのか事前に知っておくことで、何かあった時の助けになればと思います。

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