公開日:2022.07.20 最終更新日:2022.07.29

女性も魅了される「健康マージャン」の世界、コミュニティが生まれる理由とは

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かつてマージャンといえば、主に男性が楽しむ遊びというイメージがありました。しかし、近年はその印象を大きく覆すマージャンが登場しています。

それが、酒もタバコもなし、賭け事はもちろんご法度ということをはっきり打ち出し、純粋にゲーム性を楽しむ「健康マージャン」。今までマージャンに触れてこなかった女性も含めて、新たな層が魅了されているのだそうです。

これまでのマージャンとの違いや、「健康マージャン」ならではの魅力について、NPO法人健康麻将(マージャン)全国会・代表理事の金澤喜重さんに伺いました。

kanazawaさんプロフィール

金澤喜重(かなざわ・よししげ)さん

NPO法人健康麻将全国会代表理事。2004年、脳のトレーニングや介護予防の観点から「健康麻将全国会」を設立。「あそぶ・きそう・まなぶ」コンセプトに、「頭脳スポーツ」としてのマージャンを広げる活動を続けている。初心者向け健康マージャン教室の運営をはじめ、健康マージャン大会の主催や、健康マージャン指導員の養成なども行う。

1.公共施設でも体験できる。健康マージャンってどんなもの?

公共施設でも体験できる。健康マージャンってどんなもの?

——健康マージャンはどのように生まれたのでしょうか。

かつてマージャンは、会社の同僚や上司、取引先などの知り合い同士でのコミュニケーションとして定着していた遊びでした。

そうやって遊んできた年代が高齢者になり、退職したり施設に入ったりするようになると、マージャンをする機会が失われてしまいました。そこで、ある麻雀組合がマージャン愛好家の高齢者のために、純粋にゲームだけを楽しむ健康マージャン大会を開催したところ、多くの人が集まったのです。

また、健康マージャンは賭けないので、知らない人とでも安心してマージャンができることに気付き、健康マージャンの集まり=「例会」が開催されるように。この例会は、すでにマージャンの知識がある人たちが遊ぶ場として広がりました。

――「賭けない」マージャンの楽しさが知られるようになったのですね。

はい。「例会」とは別に、「教室」が広まったのは、東京都小金井市で新たにマージャンをやってみたい層に向けて、健康マージャンを学べる生涯学習教室を企画したのがきっかけでした。最初は24人の参加者を募集したのですが、なんと200人もの応募があったのです。

ここから「学ぶための教室」という場と、そこで健康マージャンを楽しむ人たちが広がっていきます。こうして健康マージャンは「例会」と「教室」、そして競技としてマージャンを行う「プロ」の3つで成り立つようになったのです。

の楽しさが知られるようになったのですね。

——マージャンは男性がするもの、というイメージが強いのですが、健康マージャンはいかがでしょう?

今の高齢者が若い頃はまだ、男性は外に出て働き、女性は家庭に入るという時代。そのため、会社の先輩や上司と行うマージャンは、圧倒的に男性が多い世界でした。実際、健康マージャンが浸透する前までは、女性の中でマージャンをするという人は2〜3%ほどしかいなかったのです。

しかし、先のマージャン教室への応募者は女性が多かったのです。その時初めて、実はマージャンをやってみたい女性がたくさんいるのだ、と知りました。現在では、女性限定のマージャン講座も増えています。

2.人気の秘密は「友だちができた」! 卓を囲んだ、女性ならではのコミュニケーション

——健康マージャンは、現在、どのような男女比となっているのでしょうか。

我々のデータでは、マージャン教室の男女比は2:8。圧倒的に女性が多くなっています。新しく参加する方も女性が多く、その割合は右肩上がりに伸びていますね。年代で見ると60代以上がメインの層です。

——健康マージャンが女性に注目された理由は何だと思いますか?

健康マージャンの黎明期に講座へ来てくれた女性の根底にあったのは、「夫が楽しそうにやっているマージャンを体験してみたい」という好奇心だったのでは、と思います。

あとは講座自体の面白さもあるのではないでしょうか。また、マージャン教室は雀荘ではなく公共施設で行っているため、安全に参加できそうだと感じてもらえていることも大きいでしょう。

実際にリピート率も高いですし、体験した方が「面白い」と周囲へ口コミを広げてくださることで、さらに輪が広がっているようです。

また、講座の前後に行うアンケートでは、受講前のアンケートでは「認知症予防」を参加動機に挙げる方が多いのですが、受講終了時には、参加して良かった点として38%もの方が「友だちができたこと」と答えていたんです。マージャンを通してできるコミュニティや新たな人間関係の広がりに、魅力を感じていることが分かりました。

健康マージャンが女性に注目された理由は何だと思いますか?
(画像提供:NPO法人 健康麻将全国会)

——人とのつながりができることに魅力があるんですね。

そうですね。ほかにも、運が大きく勝ち負けを左右する点も魅力です。このゲームは「強い人が必ず勝つ」だけのものではありません。毎回、自分に与えられる配牌(トランプでいう手札のようなもの)や、その場で引く牌によっても展開が変わります。その時々の運によって、弱い人でも経験者に勝てることがあるんです。その高揚感は、ひとつの魅力でしょう。

いまの高齢者が子どもの頃、男の子の遊びは勝ち負けがあるゲームが主でした。しかし、話を伺うと、当時の女の子はあまり勝ち負けのある遊びに接してこなかったようなのです。だからこそ、マージャンの勝ちでこれまでにない楽しさを感じられるようです。

意外なことに、自分のミスによって相手が勝ってしまっても、女性たちは「おめでとう」と相手に拍手をしているんですよね。確実に「悔しい」となるシーンのはずなので、その光景にびっくりしたことがあります。

勝利を互いに喜べる、ゲーム展開を話の種にマージャン卓を囲んでコミュニケーションを広げられるのは、女性参加者の特徴かもしれません。

3.初心者でも楽しく遊べるルールの導入で、人気がさらに拡大

初心者でも楽しく遊べるルールの導入で、人気がさらに拡大
(画像提供:NPO法人 健康麻将全国会)

——マージャンはルールが難しそうなイメージがあります。歳を重ねてから始めても、楽しめるのでしょうか。

はい、大丈夫です。例えば、我々が開催している入門講座は全8回で、健康マージャンの全体像がつかめるようになっています。

この講座に通っているのは、ほとんどが60代以上の方。70~80代の方も多いですし、90歳を超えても足を運んでくださる方がいる。この現状からも、年齢制限なく楽しんでもらえるゲームだと思います。

もちろん60代と80代では、覚えるスピードが異なります。そこで、教える内容も工夫をしているんです。

例えば、マージャンには「裏ドラ」「一本場」「ノーテン罰符」などの独特の用語を使ったルールがあり、これらが初心者の混乱を招く一因になっています。まずは、できるだけそれらの複雑さをそぎ落とした簡単なルールで、基本を集中して覚えてもらっています。

——興味がある人は、まずどのように始めたら良いのでしょうか。

健康マージャンの団体は日本各地にありますよ。おすすめは、行政が告知している健康マージャン教室です。行政と一緒に開催しているので、安心して通えるはずです。

初心者向けの教室は全国で開催されています。お近くの教室に行くことで新たなお友達ができる可能性も高いですし、丁寧に教えてもらえれば、挫折することなくマージャンを楽しめるようになると思います。

我々NPO法人健康麻将全国会では、日本中で健康マージャンの指導員を育成しています。オンライン講座で同じ内容をインプットし、知識にばらつきがないように気を遣っています。1日に教える量を絞り、「ついていけない」という心配がないようにしているんです。

めたら良いのでしょうか。
複雑な点数計算も、わかりやすいチャートを作成し、初心者にもわかりやすい工夫をしている

逆におすすめしないのが、マージャン好きの知り合いに教えてもらう方法です。雀荘で使われているルールを初心者がその場で教えられても、習得が難しく、挫折するケースが多い。

もしお住まいの自治体で健康マージャン教室が開催されていなければ、行政にアプローチしてみてはいかがでしょうか。そういった声がきっかけで開催されたケースもありますよ。

——いろいろな人がいる場ということですが、どうしても気が合わない人と出会ったりしないのでしょうか。

お互い人間ですから、そういったこともあります。とはいえ、苦手な人とずっと同じ卓を囲み続けるのは辛いものです。

例えば、我々の教室では、1回の講座で6卓分(4人×6つの卓)の24人の参加者を集めるようにしています。それだけいれば、何度も同じ人と卓を囲む可能性は低いですし、毎回違う人と卓を囲めば、いろんな人と出会えますから。

——毎回席が替わることで、同じ教室に通っている仲間と、広く会話できるのも魅力的です。

教室内でのコミュニケーションで問題が起きないよう気をつけているのです。なぜなら、教室に来ている方の中には、なんらかの形で介護に携わっている方が多くいらっしゃいます。ご自身が、さらに高齢の親御さんを世話されているといったケースも珍しくありません。ご多忙な毎日を送っている方が多いからこそ、教室でのストレスがないようにしています。

忙しい毎日の中での息抜きとして通われている方も多いので、日々の気分転換としても健康マージャンをぜひ活用してみてください。

(取材・執筆協力=ミノシマタカコ 撮影=新谷敏司 編集=ノオト)

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セゾンのくらし大研究 編集部

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