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お墓参りがめんどくさい…負担を軽減する方法はある?

お墓参りがめんどくさい…負担を軽減する方法はある?
セゾンのくらし大研究 編集部

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墓前で故人を偲び、感謝の気持ちを伝えるお墓参り。節目には欠かさず出向く方もいらっしゃるでしょう。一方でお墓が遠方にあるなどの理由から「お墓参りに行けない」「お墓参りがめんどくさい」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このコラムでは、お墓参りの日取りやお参りの流れについて解説するとともに、お墓参りを面倒だと捉えている方の負担を少しでも軽くできる方法をご紹介していきます。墓守について不安や悩みがある方も参考にしてください。

お墓参りとは

1.お墓参りとは

家族などがお墓参りをする姿を見て、物心のついたときからお墓参りを身近に感じていた方は多いのではないでしょうか。以下ではお墓参りの日取りや、お墓参りの流れ、お墓参りの意義について、改めて整理できるよう解説していきます。

お墓参りに多くの方が行く時期

1-1.お墓参りに多くの方が行く時期

「お墓参りをすると良い日」と聞くと、いつを思い浮かべるでしょうか。お墓参りは、一年のうち祥月命日(しょうつきめいにち)の1回、その他の月命日の11回、春秋のお彼岸の2回、お正月、お盆で計16回が推奨されています。

祥月命日とは、故人が亡くなった日のことをいいます。一般的には法要を行ったり、お墓参りをしたりして、故人の供養をします。

毎月亡くなった日に故人を偲ぶため、月命日にお墓参りを行う方もいらっしゃるでしょう。月命日は命日がある月以外となるので、年に11回になります。

春と秋にはお彼岸もあります。そもそも、彼岸とは亡くなった方がいるとされるあの世のことです。現世の向こう側にある岸、すなわち「彼の岸」を指し、彼岸と呼ぶようになりました。お彼岸の時期は、この世である此岸(しがん)と彼岸との距離が近くなると伝えられています。

この時期に先祖や故人を偲ぶことで、やがて自身も極楽浄土へ行けるという考えがあることも、お墓参りが推奨されてきた理由です。お彼岸は春分の日、秋分の日を中日として、春秋ともに7日間あり、2023年においては、春のお彼岸が3月18日~3月24日、秋の彼岸は9月20日~9月26日までとなっています。

その他、お盆もお墓参りをする方が多いでしょう。お盆のお墓参りに関しては、地域や宗派によって日程に差があります。東京などでは7月15日前後をお盆としますが、全国的には8月13日~16日をお盆の時期とする流れが定着しています。また、沖縄や奄美地方では、現在も旧暦にお盆行事を行うため、毎年日程が変わり、2023年は、8月28日~8月30日がお盆にあたります。

お正月にお墓参りをする方や地域もあるでしょう。年末年始のまとまった休みを利用して帰省し、お墓参りがしやすいというメリットもあります。ただし、なかにはお正月のお墓参りは避けるべきという考えの方もいらっしゃるので、親戚の方針や地域のしきたりに従うと良いでしょう。

そもそも、お墓参りをしてはいけない日というのはありませんが、地域による風習もあるかもしれません。周りの方々に確認してみると安心でしょう。

お墓参りではどのようなことをする?

お墓参りに行った際にやっておくべきことは、何でしょうか。宗派や地域、各家によって違いもありますが、お墓参りでの一般的な流れについて、改めて確認してみましょう。

お墓の掃除

お墓の掃除

先祖や故人を敬い、偲ぶためにもお墓の掃除は念入りにしたいところでしょう。掃除の煩わしさが墓参りを面倒くさく感じる一因となっている場合もありますが、掃除の仕方のコツを掴めば、きれいにすることができます。

基本は、上から下へと掃除を行いましょう。まずは、墓石の周辺の草や枯れ葉、ゴミなどを拾います。次に、墓石の洗浄へと進みましょう。墓石は水洗いが基本です。墓石の上から水をかけ、柔らかいスポンジやタオルなどで磨きます。金タワシなど硬い素材のもので磨くと墓石を傷付けるため、注意しましょう。文字彫りの部分は、歯ブラシなど細かいブラシで磨くときれいになります。

花立てや香炉の掃除も欠かさずに行いましょう。古い花やゴミなどを取り出し、よく水洗いします。墓石にも通じますが、コケが生えるのを防ぐため、乾いた布で優しく水分を拭き取ることも大切です。

お花やお供え物を置く

お花やお供え物を置く

お墓に供える花には厳密な決まりはなく、故人が好きだった花や供える方の好みで選びましょう。菊やカーネーション、リンドウやユリなどが一般的です。バラなどのトゲがある花、毒のある花、香りがきつ過ぎる花は避けるのが無難です。

お供え物は、昨今ではカラスなどが食い荒らすのを防ぐため、供えたらすぐに持ち帰るのがマナーです。生前、故人が好んだ食べ物やお酒、たばこなどを供えても構いません。ただし、肉や魚は殺生を連想させるため、お供えするのはタブーです。においや辛さのある食べ物も避けましょう。

線香をあげる

線香をあげる

お墓参りであげる線香は、途中で消さず燃え終わるまで待ちましょう。墓前にたむける線香の本数や置き方は、宗派によってさまざまです。分からない場合は、地域の方や親戚など分かる方に確認すると良いでしょう。

線香に火をつける場合、ろうそくに火を灯し、ろうそくから火を移すのが正式な方法です。風が強く、ろうそくに火が上手く灯らない場合は、線香専用の着火器具を使う方法もあります。

お墓参りで大切なこととは

お墓参りの掃除方法やお供え物に関するマナーに触れましたが、最も大切なことは故人の冥福を祈り、先祖への感謝の気持ちを持つことです。故人を偲ぶことで、ご自身が生きる意味など改めて噛みしめる機会にもなるでしょう。

お墓参りがめんどくさいと感じている方は実は多い?!

先祖や故人を偲ぶため、またご自身の日々の生きざまを振り返るためにも、お墓参りは意味があるものでしょう。しかし、お墓参りに行かない選択をする方もいます。なかには、お墓参りがめんどくさいと感じる方も一定数いらっしゃるようです。お墓参りが面倒、負担と感じる理由について、掘り下げていきましょう。

お墓参りに行かない方は3割以上

「全国石製品協同組合」が全国のお墓を保持している方に対し、過去1年間のお墓参りの回数を調査した結果、2022年には3割以上の方が1年に1度もお墓参りをしていないという結果が明らかになりました。

2016年と2022年の結果を比較してみましょう。

年1回以上行った行っていない
2016年89.3%10.7%
2022年64.5%35.5%

日本では、2020年初めからコロナ禍となったため、遠方への移動を避ける傾向があります。コロナ禍であることも、お墓参りへ出向く方が減った要因といえるでしょう。しかし、年に一度もお墓参りに行かない方のなかには、コロナ禍以外の理由がある方もいらっしゃいます。お墓参りには行くけれど、行く頻度が減っているという傾向も含め、詳しく見ていきましょう。

参照元:コロナ禍における「お墓参り」の現状についてアンケート調査

お墓参りを負担に感じる理由

2-2.お墓参りを負担に感じる理由

お墓参りに行かない方や、行く頻度が減っている方には、どのような理由があるのでしょうか。

遠方に住んでいて出向くのが負担

遠方に住んでいて出向くのが負担

遠方に住んでいると「わざわざお墓参りのために出向くことがめんどくさい」と感じる方もいるようです。お墓は必ずしも家がある場所に建てられているとは限らず、なかには、家からさらに離れた場所にある方もいるでしょう。その場合、帰省のついでに墓参りをすることもできず、日数も旅費もかかります。お墓が遠方にある方には負担が大きいといえるでしょう。

忙しい

忙しい

仕事や日常生活が忙しく、充分な時間をお墓参りに充てるのは困難だという方もいらっしゃるでしょう。遠方であれば、なおさらお墓参りに時間を費やす余裕を持ちにくいのではないでしょうか。

体力的につらい

体力的につらい

お墓参りを面倒とは思っていないけれど、年齢や体力的に難しいと感じる方や、病気を患っていて行けない方もいらっしゃいます。整備された墓苑では、高齢の方もお参りしやすいようなバリアフリー構造になっている場合もあるでしょう。しかし、古くからある墓地では、足元の悪い道や急な斜面を登らなければたどり着かない場合もあります。このような場所にある墓地へのお墓参りは、特に高齢の方や病気を患っている方などには困難です。

必要性を感じない

お墓参りに「行けない」のではなく、お墓参りの必要性を感じず「行かない」選択をする方もいらっしゃいます。核家族化が進み、親戚付き合いも希薄になっているケースが増えている現代では、お墓に入っている故人を敬う気持ちも薄れ、お墓参りに重きを置かない方もいるでしょう。

また、家族と仲違いがあったり、疎遠になっていたりする場合にも同様にお墓参りに意義を見出せず、面倒だと感じるかもしれません。

「お墓参りがめんどくさい…」行かないとどうなるの?

さまざまな理由から、お墓参りを面倒と思い行かない選択をした場合、どのような事態が想定されるのでしょうか。

放置するとお墓が荒れる

3-1.放置するとお墓が荒れる

お墓参りに行かない年月が続くと、墓石の劣化が起こる可能性もあります。墓石の汚れはもちろん、目地割れや外柵の破損なども想定されます。これらを放置していると、やがて墓石の倒壊が起こり、他家の墓石を破損させてしまうなどのトラブルも起こるかもしれません。

また、墓石に限らず、お墓参りが面倒だからと草刈りなどの管理をしていないと、雑草はあっという間に生い茂り、墓石が見えないほどになってしまいます。それを見れば「放置されているお墓」という良くない感情を抱いてしまうでしょう。

無縁仏のお墓になってしまう

お墓の管理には、墓石のメンテナンスや墓石周りの清掃だけではなく、管理費用の支払いも重要な事項です。「お墓参りがめんどくさい」という気持ちの問題に留まらず、管理費用の支払いまでも怠ってしまうと、無縁仏として扱われてしまう恐れもあるのです。

管理費の督促や告知も無視し、無縁仏になってしまった墓石は、墓地管理者により撤去されてしまいます。安易に「お墓参りはめんどくさい…」と、放置していると取り返しのつかない事態になることも覚えておきましょう。

バチが当たるといった言い伝えも

「お墓参りに行かないとバチが当たる」と、年長者から言われた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。お墓参りに行かないことが理由でバチが当たるかどうかは、科学的に立証されている事象ではありません。しかし、何か良くないことが起きると「お盆にお墓参りに行かなかったからだ」と考える方もいるかもしれません。

家系や宗派によっては、先祖を無碍に扱うと良くないことが起きるという考えもあるため、気になる方は、ご自身のためにもお墓参りに真摯に向き合う方が良いかもしれません。

お墓参りの負担を軽減する方法4つ

4.お墓参りの負担を軽減する方法4つ

お墓参りを面倒だと感じている方も、前述したような放置されたお墓に起きるトラブルについて知ると不安に思うのではないでしょうか。とはいえ、体力面や時間、距離などの物理的な問題でお墓参りが難しい方もいらっしゃいます。「お墓参りがめんどくさい」「お墓参りが困難になった」という方のために、負担を軽減する方法をお伝えしていきます。

代理でお墓参りを依頼する

お墓参りが困難な方は、お墓参りの代行サービスを利用することもできます。お墓参りの代行サービスを展開する企業は、ニーズの高まりも相まって日本全国に広がっています。サービスの内容はさまざまですが、主には墓石や香炉、花立てなどの清掃や、お墓周りの雑草や枯れ葉などの除去などが挙げられます。清掃やメンテナンスだけではなく、きちんとお線香をあげ、お花やお供え物を供えてくれるサービスもあります。

くらしのセゾンが提供するお墓参り・お墓掃除代行サービス「墓もりくん」は、お墓参りを代行するサービスです。全国各地のお墓へ出向き、真心をこめて墓石・香炉・花立などの水洗い、草取り、落ち葉などの清掃をします。作業後に写真付き報告書をお送りするため、お墓の様子と仕上がりの確認ができ安心です。

詳しくは「コロナ時代に『お墓参り』にどう向き合う?利用が広まる『お墓参り代行サービス』とは」をどうぞ。

お墓参り・お墓掃除代行「墓もりくん」の詳細はこちら

お墓を引き継ぐ

4-2.お墓を引き継ぐ

お墓参りや管理が面倒、体力的に難しいという方は、子や孫をはじめとする身内に墓守を引き継ぐ方法も考えてみましょう。お墓を引き継ぐ方法としては、家族や親族間で話し合って決める方法、家庭裁判所を通して指定される方法があります。

祭祀財産であるお墓は、法的には特定のひとりに対して承継されます。お墓の管理が困難になった際、法的にはご自身が継いでいるからとはいえ、大切な先祖が眠るお墓を、自己判断のみでお墓の行く末について決めることは避けましょう。

また、生前に引き継ぐ場合、贈与税が発生する可能性があります。その他お墓を引き継ぐことで、寺院や墓苑への管理費用、名義変更における手数料なども発生します。そもそも、生前のお墓の承継を行っていない墓苑もあるので、よく確認しておきましょう。

永代供養墓へ移す

4-3.永代供養墓へ移す

身内へのお墓の引き継ぎも難しく、継ぐ方がいない場合は、永代供養墓への移動という方法もあります。永代供養墓とは、遺族に代わり寺院や墓苑が遺骨を管理し、清掃やメンテナンスを含めた供養をしてくれるお墓のことです。

永代供養墓は大きく分けて2種類あります。合葬は他の方と同空間に遺骨を埋葬する方法です。価格は比較的安いですが、一度埋葬すると遺骨を取り出せないというデメリットもあります。一方、個別納骨は、個々に分けて遺骨を埋葬するため、基本的には通常のお墓と同じような感覚です。合葬のタイプと比べると、費用が高くなる場合が多いでしょう。

その他、樹木葬や納骨堂に納める方法もあります。樹木葬は大きく3タイプに分けられます。庭園風になっている仕様や、公園のような敷地を区画に分けているもの、広大な里山に1本ずつ植えた桜の木などの下に埋葬するタイプです。納骨堂は、これまでのお墓の概念とは異なり、先祖代々が入るというものではありません。遺骨は個人や夫婦という単位で納めることもでき、なかにはペットとともに入れる納骨堂もあります。

墓じまいをする

4-4.墓じまいをする

「お墓の管理がめんどくさい、困難だ」という方、あるいはお墓の管理を委ねる方がいないという場合には墓じまいをするという選択肢もあります。先祖代々続く墓をしまうとなると、マイナスなイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。しかし、きちんとした段階を踏んで決断するのであれば、放置されて無縁仏になってしまうよりは、先祖や故人への説明もつくのではないでしょうか。

墓じまいをする際には、まずは親族の同意を得ることから始まります。後々のトラブルを避けるためにも、お墓に関係する親族がいる場合は、話し合いを怠らないようにしましょう。

墓じまいの話が親族間でまとまったら、寺院や墓苑の管理者に墓じまいの意思を伝えます。特に、長年にわたり付き合いの深かった寺院とは、墓じまいに関してトラブルになる恐れもあるため、墓じまいを決めた経緯を丁寧に話しましょう。その後は、納骨堂などへの遺骨の移動先を決め、自治体への各種手続きなどを進めていくようになります。

おわりに 

お墓参りは先祖や故人の供養だけではなく、改めて感謝の気持ちを伝える意味もあります。お墓参りをすることで、亡くなった方へ想いを馳せ、心なしか故人とつながっているような感覚になる方もいるのではないでしょうか。

しかし、距離や時間など物理的な問題や、体力的な問題から、お墓参りを面倒くさいと感じる、あるいはお墓参りが困難な方もいらっしゃるのが現状です。最も避けなければならないのは、お墓を放置して無縁仏にしてしまうことでしょう。今回ご紹介したお墓参りの負担を軽減する方法を参考にしていただき、然るべき方法で先祖や故人を供養していきましょう。

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