お彼岸の時期が近付くと「そろそろお墓参りやお供物の準備をしよう」と思う方もいるでしょう。しかし、お彼岸という言葉は聞いたことがあっても、基本的に「何をするのか」「正しい時期がいつなのか」正確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。このコラムでは、お彼岸にやってはいけないことに加え、お供物やタブーについてもご紹介していきます。お彼岸の知識を深めるために、このコラムを読んでぜひ参考にしてみてください。
このコラムのまとめ
お彼岸は「ご先祖様がいる世界」と「私たちが生きる世界」が近付くといわれる春分の日と秋分の日を中日とし、前後3日間を合わせた7日間で行われる行事です。ご先祖様を敬い感謝の気持ちを持って、お墓参りやお墓掃除、お寺の法要などに参加する期間です。
お彼岸にやってはいけないことの中には、お見舞いに行かない、彼岸花を持ち帰らないなど控えるべき行為があるため注意しましょう。他にも、お彼岸にまつわる迷信やお彼岸が慌ただしくなる時期ということから、控えた方が良いこともあります。何よりお彼岸はご先祖様や故人のことを考える時期のため、正しい知識を身に付けて気持ち良くお彼岸を迎える準備をしましょう。
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お彼岸の基礎知識
お彼岸にやってはいけないことを解説する前に、まずはお彼岸とは何かについてご紹介します。
お彼岸とは
お彼岸とは、定められた期間にご先祖様や故人を偲ぶため、感謝を込めてお墓参りやお寺の法事などに参加したり、ご自身の日頃からの行いを見直したり反省したりする古くからのしきたりです。一般的には期間内に執り行われる法要やお墓参りのことを指す場合が多いでしょう。
お彼岸の時期
お彼岸は1年に春と秋の2回あり、春分の日・秋分の日を中日とした前後3日間を合わせた7日間を指しています。地域ごとの習慣によって多少の差はありますが、一般的に彼岸の初日を「彼岸入り」とし、最終日が「彼岸明け」です。
「彼岸」という言葉には、私たちが生きる「この世」に対し三途の川の「あちら側」、要するに死後の世界や仏様の世界という意味があります。この時期にお彼岸が行われる理由は、昼と夜「生と死」の時間の長さが逆転する時期であることから、この世とあの世が最も近付くとされているためです。
2023年のお彼岸はいつ?
2023年の春と秋それぞれのお彼岸の時期はいつになるのでしょうか。
2023年の春のお彼岸は、3月21日が春分の日となるため、3月18日(彼岸入り)~24日(彼岸開け)が、春のお彼岸の期間です。秋のお彼岸は、9月23日が秋分の日となるため、9月20日(彼岸入り)~26日(彼岸明け)が、秋のお彼岸の時期です。
春分の日と秋分の日はどちらも国民の祝日であり、毎年2月に開催される閣議により次の年の日程が決められています。
お彼岸にやってはいけないこと
ここからは、お彼岸の期間中にやってはいけないことについてご紹介します。
お見舞い
お彼岸の期間中に、お見舞いをするのは避けた方が良いと考えられています。お彼岸は「死」を思い起こさせる行事のため、お彼岸の時期にお見舞いに行くと「縁起が悪い」「失礼」「不謹慎だ」と感じる方もいるためです。
入院中の相手のことを思っての行動だとしても、お彼岸中のお見舞いの場合、誤解されてしまうことがあるので注意が必要です。
結婚式
お彼岸は「喪」の期間ではないので、決して縁起の悪い時期ではありません。そのため、仏教のことを考えても結婚式などの慶事を行うのは問題ないとされていますが、お彼岸はお墓参りなどの行事があり、家庭によってはとても忙しい期間となります。
お彼岸時期に結婚式へ招待されることを負担に感じる方もいるので、そういった方たちへの配慮が必要です。この時期に結婚式を考えている場合は、招待する方への説明をしっかり行うなど気遣う姿勢を忘れてはいけません。
また、結婚式の招待状を出す場合、できることならお彼岸の時期ではなく、お彼岸明けに届くように出す方が無難です。
納車
お彼岸が「ご先祖様の霊を供養する期間」といったイメージから、購入した車の納車日をお彼岸時期とずらすケースもあります。
また、納車の時に神社でお祓いを受ける場合も多く、お彼岸の期間中に納車をするのは適していないと考える方もいますが、お彼岸は「喪」の期間ではなく仏教的にも「忌日」という考え方はないため、納車など何か新しく始めることを避ける必要は基本的にありません。
引っ越し
お彼岸は引っ越しや新築祝いをするのに適さない時期、とされている場合があります。しかし、仏教ではお彼岸時期に引っ越しや新築祝いをしてはいけないといった教えはありません。
また、お彼岸時期の春と秋は企業の人事異動なども多く、特に春は年度末のタイミングでもあるので、この期間をずらして引っ越しを行うというのは現実的ではないでしょう。ただし、忙しさを理由にお墓参りができないとなると快く思わない方もいるため、できる限りお彼岸の供養をするなど何かしらの配慮を行うことをおすすめします。
お宮参り
地域によっては、神事であるお宮参りと仏事のお彼岸を一緒に行ってはならないと考えているところもあるようです。しかし結婚式同様、お彼岸は「喪」の期間ではないため、必ずしも神事がいけないというわけではありません。
ですが、地域によって差はあるものの、お彼岸がご先祖様や故人を偲ぶための期間であることを考えると、わざわざ他の行事を入れて慌ただしくするのは避ける方が良いでしょう。
彼岸花を持ち帰ること
毎年秋のお彼岸時期になると咲く彼岸花には「持ち帰ると火事になる」といった迷信がありますが、この迷信には火事とは違うものの、持ち帰らない方が良いとされる根拠があります。
彼岸花は不吉とされている花でもありますが、その理由は彼岸花の持つ強い毒性です。何も知らない子どもなどが間違えてそれを口に入れてしまうと、最悪の場合死に至る恐れがあります。彼岸花の毒を利用し、作物を掘り返す動物対策として田畑などに植えることもあるほどです。
このようなことから、真っ赤な彼岸花を火事に喩えて「持ち帰ると火事になる」と戒めているのです。
お供物としてふさわしくないものを供えること
基本的にお彼岸のお供物としてふさわしくないものは、五辛と呼ばれる食べ物と魚や肉とされています。
五辛にはニラ・ニンニク・ネギ・ラッキョウ・ハジカミ(生姜や山椒)があり、仏教では古くから辛味や匂いの強い野菜を食べることを禁止していました。そのため、お彼岸のお供え物としてふさわしくないといわれています。
また、殺生をイメージさせる魚や肉もお供物としてふさわしくありません。日持ちがしない生ものであるということから不向きと考えられているのです。
水辺で遊ぶこと
お彼岸に関する迷信の中で「お墓や仏壇がなく供養されずにさまよっている霊魂が水に人を引きずり込む」といったものがあります。
このような迷信から、お彼岸時期には「水辺に行ってはいけない」といわれていますが、秋のお彼岸は台風が重なる時期でもあります。そのため、水の事故が起きやすく注意が必要なことから、この迷信もあながち間違いではないでしょう。
お彼岸で大切にすべきこと
ここまで、迷信を含めた「お彼岸にやってはいけないこと」についてご紹介しました。お彼岸は喪に服す時期や縁起の悪い時期ではないため、基本的にやってはいけないとされている行事はありません。しかし、お彼岸に他の行事が入ることで慌ただしくなり、もともとの目的であるご先祖様の供養が疎かにならないように避けられてきたのでしょう。
その他のやってはいけないことも、安全に配慮することや相手や故人を思う気持ちが何より大切かもしれません。
お彼岸でやるべきこと
ここからは、お彼岸時期にやるべきことについてご紹介しましょう。
お墓参り・お墓掃除
お彼岸の時期にはご先祖様の供養として、お墓参りとお墓掃除をします。墓地に着いたら最初にご先祖様や故人に挨拶をして、墓石やお墓周りの掃除を始めましょう。お墓掃除の後は、お花を飾る、お供物の準備をする、お線香を立てる、合掌礼拝、の順に進めていきます。
お彼岸にお墓参りは必要な行事ですが、なかにはお墓が遠方にあったり、高齢でお墓掃除が困難だったりする場合があるでしょう。ご自身でお墓参りやお墓掃除を行うのが難しい方には、代行サービスの利用がおすすめです。
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仏壇の掃除
お彼岸には、お墓参りだけでなく仏壇の掃除も行いましょう。お彼岸時期になると、親戚や遠方に住む家族がお参りに来る場合もあります。そのようなときに、埃をかぶった状態の仏壇ではお参りを気持ち良く行えません。仏壇と仏具を丁寧に掃除し、きれいな状態にしておきましょう。
お供物を準備する
お彼岸で準備するお供物についてご紹介します。
ぼたもち・おはぎ
お彼岸のお供物の定番といえば、春彼岸は「ぼたもち」、秋彼岸は「おはぎ」です。ぼたもちとおはぎは同じ食べ物を指しますが、由来が違います。それぞれ春の花の牡丹(ぼたん)、秋の花の萩(はぎ)が由来です。
彼岸団子
地域によって「彼岸団子」というお団子をお彼岸にお供えするところもあります。彼岸入りにお供えする団子を「入り団子」、彼岸明けにお供えする団子を「明け団子」と呼び、地域によって積み方や形が異なるのが特徴です。
花
花は普段からお供えしますが、お彼岸にはいつもより盛大にお供えすることが一般的です。花の選び方は、トゲや毒のあるものや香りの強いものは避けて、季節の花や故人が生前好きだった花を選ぶようにしましょう。
果物
季節の果物もお彼岸のお供物の定番といえるでしょう。「盛器(もりき)」や「高杯(たかつき)」と呼ばれるお供え用の器を使って果物をお供えします。長い時間お供えすることも考え、リンゴやオレンジなどのなるべく日持ちする果物を選んでお供えするのが良いでしょう。
精進料理
「精進料理」は仏教の教えから生まれた料理で、お彼岸といった特別な場にお供えするもののひとつです。魚介類や肉を使用せず、味を控えめに作った精進料理を、御料具膳(おりょうぐぜん)と呼ばれるお膳に盛り付けてお供えします。
故人が好んでいた食べ物
故人が生前好んでいた食べ物や飲み物をお供えすることも多いです。仏教の教えにより、お彼岸のお供えとして本来控えた方が良いとされているのが生のものやお酒ですが、最近ではお寿司などの食べ物やお酒をかたどったロウソクが登場するようになり、代わりにお供えできるようになっています。
彼岸会に参加する
お彼岸時期には、ご先祖様の供養のための彼岸会(ひがんえ)に行く場合もあるでしょう。ここでは、彼岸会のお布施や服装のマナーについてご紹介します。
お布施のマナー
彼岸会に参加する際は、お布施を用意しましょう。お布施の金額は3,000~10,000円程度が一般的とされています。お寺や霊園によっては金額が決められている場合があるので、事前に確認をしておきましょう。お布施を持ち運ぶ時は、贈り物をくるむための袱紗(ふくさ)と呼ばれる布に包みます。
服装のマナー
基本的に礼服を着る必要はありませんが、黒や紺といった落ち着いた清楚感のある服装を選ぶのが良いでしょう。厳粛な場所である墓地では肌の露出が多い服、派手な服、殺生を連想させる毛皮やアニマル柄などの服装は避けた方が無難です。
先祖や家族について考える
家族が遠方に住んでいて、なかなか会えない場合もあります。だからこそ、お彼岸に集まった際は、先祖や家族について考えるといった特別な時間を過ごせると良いでしょう。頻繁に会っている家族であっても、終活などの話をしたくてもできずにいる方がいるかもしれません。家族が集まるお彼岸という機会を利用して、普段できないような話をするのも良いでしょう。
お彼岸に関するQ&A
最後に、お彼岸に関する疑問にお答えします。
お彼岸とお盆との違いは?
お彼岸は、「ご先祖様がいる三途の川のあちら側」と「私たちが生きるこの世」が近付くといわれている、春分の日と秋分の日を中日とした前後3日間を合わせた7日間に行われる行事で、お盆は新暦である8月15日を中心に、「ご先祖様の霊を迎え入れる」行事です。
どちらも「ご先祖様と過ごして感謝する」という点では同じです。しかし、お彼岸は春秋、お盆は夏といった時期の違いがあります。さらに、お彼岸はこちら側からご先祖様の近くまで行ってお招きするのに対し、お盆は家に帰ってくるご先祖様の霊をお迎えするという違いもあるのです。
初めてのお彼岸には何をしたら良いの?
お彼岸が初めてでも何か特別な行事などはありません。通常のお彼岸と同様に、お墓や仏壇をきれいに掃除し、おはぎやお花といったお供物の準備をしましょう。お寺では、ご先祖様を供養するための彼岸会が行われる場合があるため、参加するのもおすすめです。
おわりに
お彼岸はご先祖様や故人を偲ぶための期間で、感謝を込めてお墓参りやお寺の法要などに参加します。お彼岸の期間中には、迷信も含めやってはいけないことや配慮すべきことなどがあります。一番大切なのは、ご先祖様のことを考えて行動する気持ちです。今回ご紹介したお彼岸にやってはいけないことを参考に、ご先祖様や家族のことを考えてお彼岸を少しでも有意義な期間としましょう。