お墓参りは、日本の風習のひとつとして小さな頃から大人に連れられて行ったことがある方も多いでしょう。お盆やお彼岸など、一般的にお墓参りをする時期もありますが、お墓参りに行けないと罰当たりになるのでしょうか。
今回は、そもそもなぜお墓参りをするのか、お墓参りに行けないことで起こりうる問題や、行けない場合の対処法について紹介します。さまざまな理由で、なかなかお墓参りに行けないとお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
ご自身でお墓参りに行けない方に代わり、全国各地どこのお墓でも、お参りと清掃を代行する「墓もりくん」についてもご紹介します。お墓参りに行けず悩んでいる方は、ぜひご活用ください。
お墓参りに行く意味とは
お墓は、先祖や故人がお祀りされている場であり、お墓参りは、先祖や故人を弔い冥福を祈るために行われます。お墓へ定期的に足を運び、掃除したり水や花をお供えしたりする行為が、故人や先祖に感謝を伝えることにつながり、家族と語らえる時間を過ごせる場にもなるのです。
また、お墓は故人に語り掛けながら思い出を偲ぶことができる場所でもあります。お墓参りは、大事な人を亡くした喪失感を癒すため、悲しみと向き合える行為でもあるのです。
お墓参りはいつ行くもの?
お墓参りには決まった頻度や時期はありませんが、一般的に多くの人が行く時期があります。いくつか例を挙げて解説しましょう。
祥月命日(しょうつきめいにち)
祥月命日とは、一般的にいわれる命日のことで、年に1回の故人が亡くなった月日のことをいいます。「祥月」とは、故人が亡くなった月のことで、中国では喪は凶に通じており、喪が開ける=幸せなこと(祥)と考えられていたため、忌明けの月を祥月と呼んだのです。
例えば、6月1日に亡くなった場合、毎年6月1日が祥月命日です。故人の祥月命日には必ずお墓参りをするという方も多いでしょう。また、一周忌や三回忌などといった法要も、祥月命日の頃に行われます。
月命日(つきめいにち)
月命日は、毎月やってくる故人が亡くなった日のことです。たとえば、8月5日に亡くなった場合は、毎月5日が月命日になります。31日がなく30日までの月は30日を月命日に、28日までの月は28日を月命日とするのが通例です。
何か特別な行事がない日ならば、お墓は人もおらず静かな空間でしょう。落ち着いた気持ちで、ゆっくりと故人を偲ぶ時間を作れるかもしれません。
お盆
地域によって、7月盆や8月盆、旧暦盆などお盆の時期は異なりますが、一般的な期間は迎え盆の8月13日から送り盆の8月16日の4日間です。お盆は故人や先祖が家に帰ってくると考えられています。12日までにはお墓の掃除をして、キレイな状態で迎えられるようにしましょう。
迎え盆の13日は、お迎えの意味を込めて、送り盆の16日は先祖をお見送りするためにお墓参りをします。また、一部の地域では、中日の14、15日にお墓参りをし、先祖がお墓を留守にする間お墓を守ってくれる仏様に感謝する「留守参り」という風習もあるようです。
お彼岸
生と死の境を越え、苦しみから解放された世界のことを「彼岸」と呼びます。反対に、迷いや苦しみに溢れる現世を「此岸」と呼び、この2つは仏教の考えからきた言葉です。お彼岸は春と秋の年2回とされ、春は春分の日を、秋は秋分の日を中心に前後3日間の1週間といわれています。
春分は「自然を尊び、生物を慈しむ」、秋分は「先祖を敬い、故人を偲ぶ」という意味合いが込められている日です。春分の日、秋分の日は太陽が真西に沈み、彼岸と此岸が1番近くなる日=死者の世界と現世が近くなる日と考えられるため、お墓参りをすることで故人を偲ぶようになったといわれています。
ちなみに、秋分の日は「お墓参りの日」として日本記念日協会に制定されました。
年末年始
年末年始にお墓参りをする方も多いのではないでしょうか。年末は家の大掃除をするのと同じように、お墓もキレイに掃除しましょう。1年の感謝を伝えながら掃除を行い、来年も良い年になりますようにと祈りを込め、キレイになったお墓に手を合わせお参りします。
年始は、先祖に挨拶をするためお墓参りをしましょう。お正月に実家に帰省し、祖父母や両親に顔を見せるようにお墓にも足を運べば、先祖もきっと喜んでくれます。
報告したいことがある時
お墓は先祖が祀られている場所であり、先祖は私たちの起源であります。結婚や出産などおめでたいことがあった時や、進学・就職など人生の節目にお参りをし、先祖に報告するのも良いでしょう。
また、故人との思い出の日にお墓に足を運ぶのも、お墓参りをする理由になります。静かな場所で自分自身を見つめ直したい時も、お墓参りがうってつけです。
お墓参りに行けないのは罰当たり?
お墓参りに行かないと先祖に祟られる、不幸になるなどという話を聞いたことがある方もいるでしょう。結論からいうと、すべて迷信です。人間の心理的に、悪いことが起きた時は何か原因や理由を付けたくなるため、たまたまお墓参りをサボっていることを原因に「お墓参りに行かない罰が当たったのだ」と考えてしまいがちです。
信仰心が強い方こそ「不幸=お墓参りに行かなかった祟り」だと捉えてしまうでしょう。先祖はどんな状況でも私たちを見守ってくれているので、お墓参りに行かなかったからといって罰が当たることはないのです。
だからといって、お墓参りに行かなくても大丈夫ということではありません。どのような時でも見守ってくれる先祖に感謝の気持ちを持って生活することが大切であり、その気持ちを行動に表せるのがお墓参りなのです。
お墓参りに行けない場合に問題となること
しばらくお墓参りに行けない時期が続くと、お墓にはどのような問題が起こるのでしょうか。考えられる3つの問題について解説します。
お墓がキレイに保てない
お墓に行けない時期が長いと、砂埃や落ち葉が溜まったり、雑草が生えたりといった自然現象によりお墓や、お墓の周りが荒れてしまいます。鳥など動物のフンや枯れ葉が墓石に貼り付いたまま放置してしまうと、シミになることもあります。なるべくお墓に足を運ぶ機会を作り、先祖が落ち着いて眠れるように定期的に掃除を行い、キレイなお墓を保ちましょう。
お墓の不具合に気付けない
お墓参りに行けないと、墓石の倒壊など問題が起こっていても気付くことができません。硬い石で作られた墓石でも、劣化や自然災害の影響でヒビが入る可能性もあります。最初は小さな破損でも、そのままにしておくと大きな破損へとつながることも考えられるのです。
墓石の倒壊は修復の費用もかかり、周囲のお墓にも損害を与える恐れがあります。不具合が起きていないか確認する意味でも、定期的なお墓参りが大切です。
先祖への感謝や故人を偲ぶ機会を失う
お墓参りをする理由のひとつとして、お墓にいらっしゃる先祖や故人を偲ぶためという名目があるため、お墓参りに行けないと、先祖や故人を偲ぶ機会を失ってしまいます。
お墓に行き、先祖や故人を想う時間を作ることで心の平静や安心感を得られ、命の尊さについて感じることができるのです。お墓参りに行き、静かな時を過ごすことは、忙しない現代を生きる私たちにとって大切な時間になるでしょう。お墓参りをすると、先祖や故人を敬うだけでなく、自分自身も救われるかもしれません。
お墓参りに行けない時の対処法
急な用事や、忙しくて時間がなかなか取れないなどといった理由で、お盆やお彼岸など一般的にお墓参りに行く時期にお墓参りに行けない場合もあります。お墓参りに行けない時の対処法を5つご紹介しましょう。
親戚や友人にお願いする
お墓のある場所の近くに親戚が住んでいるのであれば、ご自身の分もお参りしてもらえるようにお願いするのも良いでしょう。または、少し頼みづらいかもしれませんが、近くに住む友人に頼むのもひとつの手です。
「自分が行かなければ意味がない」と責任感に囚われ過ぎずに、他の方に頼むという案も頭に入れておきましょう。他の方に頼む時は、先祖や故人に何を伝えたいかを言付け、ご自身の代わりにお墓へと語り掛けてもらいます。そして必ず、代行してくれる方にも感謝を伝えることを忘れずにしましょう。
自宅で手を合わせる
体調不良や自宅からお墓が遠いなど、どうしてもお墓参りに行くのが難しい時は無理をしてお墓参りをせずとも、自宅で手を合わせ先祖や故人を想うだけでも大丈夫です。
自宅に仏壇がある場合は、お供えものをしてご仏壇に向かって手を合わせます。ご仏壇がない場合は、お墓がある方向に向かい手を合わせましょう。先祖や故人を想う気持ちは、どこにいてもきっと伝わります。
行ける時に行く
お盆やお彼岸など、一般的な時期にお墓参りをしたくてもできない場合もあるでしょう。その場合は、無理にタイミングを合わせる必要はありません。お墓参りはいつ行っても良いものなので、ご自身の都合に合わせて何でもない時期にお参りしても大丈夫です。
お墓が遠くて行けないという理由であれば帰省した時に、お盆やお彼岸に用事が入ってしまったら、時間のある別日にお墓参りをしましょう。
改葬(かいそう)する
「改葬」とは、お墓の引っ越しや移転のことで、納骨されている遺骨を取り出して、新しい供養先に再度納骨することをいいます。お墓が自宅から遠くなかなかお参りに行けない、先祖のお墓が複数あるためお盆などの時期に一度にすべてのお墓を回るのが困難という場合、改葬するのもひとつの方法です。
遠くにあるお墓を自宅近くの墓地に移転させる、もしくは複数のお墓に納骨されている遺骨を、すべてひとつのお墓に納骨するという内容になります。時間や費用が掛かる対処法にはなりますが、お墓参りに行けない・行きづらいという根本的な理由を解決する方法として検討する価値はあるでしょう。
代行サービスを活用する
お墓の近くに住んでいる親戚や友人がおらず、代行してもらう方が見つからない場合は「墓参り代行サービス」を活用する方法もあります。サービス内容は、お墓やお墓周りの清掃、水・お線香・仏花のお供えなどです。まったくの他人にお金を払ってお墓参りをしてもらうなど不謹慎だ、と考える方もいるかもしれません。
しかし、お墓参りに行けない理由によっては代行サービスが適している場合もあります。お墓参りをすること自体を断念するよりは、他人に代行を依頼してまでお参りしたいという気持ちを、先祖や故人は汲んでくれるでしょう。また、掃除や点検の意味で活用することもできます。
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お墓参りで避けた方が良いタイミングは?
時間のある時、行きたい時にいつでもお墓参りをしても良いのでしょうか。お墓参りで避けた方が良い3つのタイミングを紹介します。
夕方や雨の日
陰陽道の考えを参考にすると、「湿り」「暗い」という環境は「陰」にあたるため、あまり良い条件といえません。夕方や雨の日は「陰」の環境に当てはまり、良い気が感じられないため、お墓参りはもちろん外出自体も推奨されないそうです。
特に、死後の世界とつながっているとされるお墓は、環境や場所によって悪い気に満ちているとされるため、夕方や雨の日のお墓参りは避けた方が良いでしょう。
夜間
午後6時頃の時刻を「逢魔が時(おうまがどき)」と呼び、足元が見えにくくなり、妖怪や魔物に遭遇しやすくなると言い伝えられているため、お墓参りは避けたほうが良いとされています。また、暗くなると足元が見えづらくなり、転倒して怪我をする可能性や、暗闇を利用した事件に巻き込まれるなど、防犯面でのリスクも否定できません。
その他に、夜間にお墓の清掃をするのは暗くて汚れも見えづらいというデメリットもあります。夜間のお墓参りは避け、一般的なマナーとして午前中に行くようにしましょう。
他の用事のついで
他の用事のついでとしてお墓参りをすることを「ついで参り」と呼び、縁起が悪いと否定的な意見を持つ方も多いでしょう。先祖や故人を偲び敬うのがお墓参りであるため、他の用事のついでにお参りをするという行為は、誠意的でないとされるためです。
仕事が忙しい方や遠方に住んでいる方は、どうしても用事のついでにお墓参りをする場合もあるかもしれません。しかし、先祖や故人への敬意を示すためにも、ついで参りはなるべく避けると良いでしょう。
おわりに
お墓参りに行けないからといって罰が当たったり祟られたりすることはありませんが、先祖や故人を想う気持ちは無くしてはいけません。先祖は、私たちをいつでもどんな時でも見守ってくれているそうです。
お墓参りに行けず、先祖や故人に申し訳ない気持ちをお持ちの方は、今回紹介した親戚に頼んだり、代行サービスを利用したりするなどの対処法を考えてみてはいかがでしょうか。また、感謝の気持ちを伝えたり偲ぶ時間を作ったりすることで、ご自身を見つめ直し、心穏やかなひとときを過ごすことができるでしょう。