物価が上昇している昨今、エアコンの電気代が気になる方も多いでしょう。特に近年では温暖化の影響で猛暑日が増えているため、夏場のエアコンはライフラインといっても過言ではありません。今回は健康的で快適に生活するために、なくてはならないエアコンの電気代について解説します。節約につながる使い方だけではなく、エアコンを使う環境についても触れているので、電気代を少しでもさげたい方は参考にしてみてください。
この記事を読んでわかること
エアコンは家電の中でももっとも消費電力がかかるとされています。特に、エアコンをつけ始めてから設定温度に達するまでが一番電力を必要とするため、気温と設定温度の差が大きい冬に電気代が高くなる傾向にあります。しかし、健康に生活していくためにはエアコンは必需品であるため、節電を意識しながら上手に活用していくことが重要です。
自動運転を活用しつつ、設定温度を1度見直すだけでも電気代に大きな差が生まれます。さらに、扇風機などを併用したり、すだれやカーテンを使って窓からの熱をさえぎったりすることによって、より効率的に室内の温度を調整することができ、節電につながります。
エアコンの電気代や消費電力は?
まずは気になるエアコンの電気代や消費電力について見ていきましょう。
エアコンは家電の中でも消費電力が多い
環境省による家電機器の電力消費量の推計によると、家庭で使用している家電のうち、年間電力消費量がもっとも多いものが全体の14.7%を占めるエアコンであるとされています。次いで冷蔵庫が14.3%、照明が13.5%、テレビが9.4%という順番です。電力消費量が多いとはいえ、近年気温が上昇し続けている真夏日や猛暑日にエアコンを使うのを我慢してしまうと、熱中症のリスクが高まり、命の危険さえありえます。そのため、エアコンをまったく使わないのではなく、節電しつつ上手に活用していく必要があるのです。
参照元:環境省|令和3年度 家庭部門の CO2排出実態統計調査事業委託業務(P36~48)
電気代は契約プランや電力会社によっても異なる
実際、エアコンの電気代はどのぐらいになるのでしょうか。1時間当たりの電気代は電力料金単価と消費電力によって算定されます。計算方法は以下のとおりです。
1時間当たりの電気代=電力料金単価×消費電力(kW)
エアコンの電気代は、普段設定している温度や使用している住宅の性能などによって異なります。また、契約しているアンペアや電力会社によっても電気料金が異なるため、正確な数字を出すことはできません。
夏に1日中エアコンをつけっぱなしにした際の電気代は?
エアコンのカタログなどに記載されている電気代は、全国家庭電気製品公正取引協議会によって定められた電気代の目安単価で算出されています。この目安単価をもとに、夏に1日中エアコンをつけたままにしたときの電気代を見ていきましょう。
空調機器を扱うダイキンが、1日中エアコンをつけたままにしたときの消費電力量の検証を行っています。最高気温が36.9度になった8月の朝9時から就寝前の23時までの間、エアコンを冷房26度設定で自動運転していた場合、消費電力量は5.7kWhとなりました。
電力料金単価を目安単価の31円で計算した場合、1日当たりのエアコンの電気代は176.7円となります。そのため、夏場に毎日エアコンをつけていた場合、1ヵ月で5,300円ほどエアコンに電気代が割かれる計算になるのです。
参照元:ダイキン|mission5-1「つけっぱなしがお得”という説は本当なのかを検証せよ!」
エアコンのモード別にみる電気代
ここからは、エアコンのモード別で電気代にどのような変化があるか見ていきましょう。
暖房のほうが電気代はかかる?
エアコンの冷房運転と暖房運転ではどちらの電気代が高くなるのでしょうか。消費電力自体は冷房でも暖房でも大きく違いはありませんが、夏と冬で比較すると冬の電気代のほうが高くなる傾向があります。その1番の理由は設定温度と気温の差です。エアコンは設定温度に達するまでにもっとも電力を消費します。
経済産業省が推奨しているエアコンの設定温度を例に、夏と冬の比較をしてみましょう。夏場、冷房の推奨設定温度が28度であるのに対して、2022年東京でもっとも暑かった8月の平均気温は27.5度でした。その差は0.5度です。
一方、冬場は暖房の推奨設定気温が20度であるのに対して、一番寒かった1月の平均気温は4.9度でした。その差はおよそ15度にもなります。そのため、冬場のほうが設定気温に達するまでに電力を多く使う必要があるのです。
参照元:経済産業省|家庭向け省エネ関連情報 無理のない省エネ節約
冷房と除湿では電気代が異なる?
それでは、冷房と除湿で電気代はどう違うのでしょうか。まず確認しておきたいのは、除湿運転には2種類の方法があるということです。一般的に、エアコンの除湿モードはあたたかく湿った空気を取り込んで冷やすことによって、空気中の水蒸気を水に変化させて取り出します。
この方法は弱冷房除湿といい、湿気を取り除くためにゆるやかに温度をさげていきます。一方で、除湿することで室温をさげないように、取り込んだ空気を除湿後に温めてから吹き出す方法が再熱除湿です。再熱除湿は冷えた空気を再び温めることになるので、消費電力が大きくなります。
そのうえで、冷房と除湿モードの消費電力の差を比べると、再熱除湿>冷房>弱冷房除湿の順で電気代は安くなります。空気を冷やすという原理は同じですが、暑いときには充分に温度をさげてくれる冷房、雨の日に不快な湿度を取り除きたいときには除湿と、目的に応じて使い分けることが一番の節約方法です。
お使いのエアコンの除湿モードが弱冷房除湿か、再熱除湿かによっても電気代が異なるので、確認してみると良いでしょう。
エアコンの使い方でできる電気代の節約術
ここからは、エアコンの使い方を工夫することでできる電気代の節約方法について、具体的に解説していきます。試したことのない方法があればぜひお試しください。
自動運転を活用して風量を見直す
エアコンの風量が強いと電気代がかさむのではと弱風で稼働させてはいませんか。エアコンはつけ始めから設定温度に到達するまでに1番電力を必要とするため、風向きや風量を自分で調整してしまうと、かえって設定温度になるまでに時間がかかり、ムダな電力を使うことになるのです。
エアコンは自動運転モードにしておくことによって効率的に設定温度に近づけることができます。特に、近年のエアコンは性能が上がっているので、自動運転にしたほうがベターです。
設定温度を見直す
エアコンの設定温度も見直しが必要です。経済産業省による家庭向け省エネ関連情報によると、冷房の設定温度を27度から28度に変えることによって年間約940円の節約に、暖房の設定温度を21度から20度に変えることによって、年間約1,650円もの節約になります。
たった1度の差ですが、電気代は10%前後変わるとされているので、意識してみてください。
温暖化が進み猛暑の日が増えているため、推奨されている28度でも暑いと感じることがあるかもしれません。その場合は、設定温度をさげる前に、風向きや風量を調整してみましょう。風が当たることによって体感温度をさげることができます。
風量を強くすると消費電力はたしかに増えますが、温度をさげるときに使う電力と比べるとごくわずかです。
参照元:経済産業省|家庭向け省エネ関連情報 無理のない省エネ節約
風向きをチェックしよう
空気の性質を利用して風向きを調整することも大切です。あたたかい空気は上へ、冷たい空気は下へ行く性質があるため、それを考慮してエアコンの風向きを変えると、まんべんなく室内温度のムラをなくすことができます。
さらに効率的に室温を調整するためには、扇風機やサーキュレーターの併用もおすすめです。エアコンから出た冷たい空気やあたたかい空気を部屋の奥まで届けるように、エアコンに背を向けて扇風機を置きましょう。より遠くまでエアコンの風を送り、空気を循環させることで効率的に室温を調整できます。
短時間の外出はつけっぱなしがベター
外出する時間帯や長さによっては、エアコンをこまめに切るよりもつけっぱなしにしたほうが電気代を安くできる場合があります。
ダイキンが行った検証によると、9時から18時の30分程度の外出、もしくは18時から23時の15分程度の外出であれば、エアコンをつけっぱなしにしたほうが、こまめに切るよりも消費電力が少ないという結果になりました。
エアコンの消費電力が高くなるのは、つけ始めから設定温度になるまでの間なので、あまり頻繁につけたり消したりしていると消費電力が高くなってしまうため注意が必要です。
参照元:ダイキン|mission5-1「つけっぱなしがお得”という説は本当なのかを検証せよ!」
エアコンを使う環境にも注意してみよう
エアコンを使う環境を見直すことでさらに節電効果が期待できます。ここからはエアコンの使い方以外でできる節約術について確認しましょう。
窓やカーテンも断熱を意識
部屋の中でも窓は室内と室外の熱の出入りが大きい場所です。冬のあたたかい空気はおよそ6割が窓から逃げてしまいます。夏には外から影響を受ける熱の7割が窓から入るとされています。そのため、窓の断熱対策が重要です。
寒い時期には厚手のカーテンやブラインドで窓をさえぎることで、あたたかい空気を外に逃がさず、外からの冷気も防ぐことができます。夏には、すだれや遮熱シートによって日差しを防ぐのが効果的です。
参照元:国土交通省|快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅
古いエアコンは買い替えを検討
そもそもお使いのエアコンが古い場合は、買い替えることで電気代を大幅に節約できる可能性もあります。近年のエアコンは省エネ化が進んでいるため、新しいものほど電力消費が少なくなることがほとんどです。環境省の試算によると、2020年製と2010年製のエアコンを比較したところ、期間消費電力は12%も削減されていたという結果が出ました。
2023年現在の電気代の目安単価で換算すると、約3,000円以上の節約になります。導入コストはかかりますが、エアコンの省エネ性能は電気代への影響も大きいため、長期的にみると効率的な節約術といえるでしょう。
参照元:環境省|2020年 VS 2010年 最新家電と10年前の家電どのくらいおトク?
電力会社やプランの見直し
エアコンの使い方を見直してもなかなか電気料金がさがらないという場合には、電力会社やプランを見直してみても良いでしょう。2016年4月から電力自由化によって、ライフプランに合わせて柔軟に電力会社やプランを選べるようになりました。例えば、日中は家を空けていることが多いのであれば、夜の電気代が割安になるプランのある電力会社へ変更することによって節約が期待できます。そもそもの電気の使用単価を安くすることで、他の家電も含めた家計としての電気代節約につながります。
フィルターや室外機の掃除
エアコンを効率的に稼働させるためには、室外機のファンや室内機のフィルターを定期的にお手入れすることが大切です。経済産業省の家庭向け省エネ関連情報によると、フィルター掃除を月に1、2回することによって、年間約990円の節約になるとしています。
とはいえ、エアコンのクリーニングは素人では対応しきれない部分もあるので、室外機のメンテナンスなどは定期的にプロに頼むと良いでしょう。くらしのセゾンのエアコンクリーニングなら見えない内部の汚れまで分解して徹底的に洗浄できるのでおすすめです。ハウスクリーニング創業20年の技術力の高い専門スタッフが対応してくれます。もしもの時には保証やアフターフォローもあるので安心です。
おわりに
家電の中でもっとも電力消費量の多いエアコンですが、いまや生活になくてはならない必需品となっているため、上手な使い方で電気代を節約していきたいものです。自動運転を活用して、窓からの熱をさえぎるなど、今回ご紹介した節約術を活用して、少しでも電気代節約につなげてみてください。