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賃貸の退去前と入居前の清掃は何をすれば良いの?清掃場所やポイントも解説

賃貸の退去前と入居前の清掃は何をすれば良いの?清掃場所やポイントも解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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賃貸物件にお住まいの方の中には、退去前や入居前の清掃をどこまでする必要があるのかわからない、といった方もいらっしゃるでしょう。退去時には、清掃だけでなく原状回復も関連してくるため、どこまでが借主の責任の範囲になるのか確認しておくことが大切です。今回の記事では、賃貸物件の清掃場所やポイントについて詳しく解説しています。引っ越しの予定がある方は念入りに確認しておきしましょう。

この記事を読んでわかること

  • 賃貸物件の退去前に清掃をすることで、ハウスクリーニング費用を抑えられることがある
  • 賃貸物件は退去の際に原状回復の義務があるが、経年劣化は対象外のため内容をよく理解しておく必要がある
  • 賃貸物件に入居する前に行う清掃で、部屋がきれいになるだけでなくキズや不具合を確認できる
  • 賃貸物件への入居前は家財道具が入っていないため害虫対策などがしやすく、入居後に快適に暮らせる

退去前の清掃は必要?

退去前の清掃は必要?

賃貸のアパートやマンションを引き払う場合、退去後は専門会社によるハウスクリーニング[3] が入るため、基本的に念入りな清掃は必要ありません。しかし、マナーとしてある程度はきれいな状態にして引き渡せるよう、掃除をしておくと良いでしょう。

もしきれいに掃除をしないまま退去した場合、原状回復のためのハウスクリーニング費用を高く請求[4] される可能性があります。少しでも費用を抑えたいなら、退去前に清掃をしておくことをおすすめします。

原状回復と経年劣化のボーダーライン

原状回復と経年劣化のボーダーライン

賃貸物件を退去する際は 、借主に原状回復の義務が課されています。そのため、入居者の過失などで傷めた場所があれば修繕し、入居時のような状態に戻さなければなりません。

しかし、壁や畳の日焼けなど普通に生活していても発生する、いわゆる経年劣化の部分については、修繕費用を負担する必要はありません。

つまり、退去時に確認されたシミやキズなどが、経年劣化として認められるのか、入居者の過失によるものとみなされるのかによって、負担する修繕費用が異なるというわけです。どこまでを借主が負担するのかは物件によって基準が異なるため、管理会社や不動産会社に確認する必要があります。

原状回復の範囲は国土交通省のガイドラインで定められているので、参考にすると良いでしょう。ただし、入居時の契約書に「修繕費として、一律20,000円を入居者が負担」など特約事項がある場合は、ガイドラインよりも特約事項が優先されます。

関連記事:賃貸退去時の費用相場はどのくらい?トラブルを回避する方法も解説

退去前に清掃すべき場所&清掃方法

退去前に清掃すべき場所&清掃方法

ここからは、退去時に清掃すべき場所と、その清掃方法を詳しく解説します。

床・畳

フローリングの床は、まず溝に沿って掃除機をかけてゴミを吸い取ります。その後、固く絞った雑巾で拭き、仕上げに乾いた雑巾で拭きしましょう。

畳の場合もフローリング同様、畳の目に沿って掃除機をかけましょう。その後固く絞った雑巾で拭き掃除をしますが、お湯を使って拭き掃除をすると付着している油分が溶け、きれいな仕上がりになります。

畳にカビが発生している場合は、消毒用のアルコールで湿らせた歯ブラシを使って、丁寧にカビを落として雑巾で乾拭きしておくと良いでしょう。

壁・天井

壁や天井は範囲が広いため、細かい汚れを見落としがちな場所です。隅々まで、しっかりチェックしておきましょう。特に家具や家電を置いていた場所は、カビの発生やスス汚れがある可能性も。カビは塩素系漂白剤に浸した歯ブラシを使って落とし、その後雑巾でしっかりと拭き取ります。

よく触れる電気のスイッチも、皮脂汚れが付いていることがあるため注意が必要です。ぬるま湯に浸した雑巾に洗剤をなじませて拭き取りましょう。最後に乾いた別の雑巾で、洗剤をしっかり拭き取ることも忘れないようにしてください。

一般的なビニールクロスの壁や天井であれば、先に掃除機でホコリを吸い取ってから、洗剤を薄めた水で濡らした雑巾を絞って、叩くように拭きます。壁紙の素材によっては変質や変色の恐れがあるので、目立たない場所で試してみてから掃除をしましょう。

窓ガラスはガラス用洗剤を全体に吹きかけて、固く絞った雑巾で拭きとりましょう。仕上げに乾いた雑巾で、残った汚れや洗剤を拭き取ります。また、水で濡らした新聞紙で拭く方法も、インクが手垢などを落としてくれるため、おすすめです。

窓ガラスだけでなく、サッシの溝やゴムパッキンもきれいに掃除しておきましょう。サッシは、まず乾いたモップを使ってホコリを取り除き、雑巾を使って汚れを落とし、落ちにくい場合は洗剤を使用します。ゴムパッキンの溝などは古い歯ブラシなどを使うと良いでしょう。

キッチン

キッチンの清掃ではシンク、蛇口、排水口、換気扇など、隅々までチェックすることが重要です。油汚れにはアルカリ性の洗剤、水垢にはクエン酸など酸性の洗剤といった具合に、汚れによって洗剤を使い分けることも効率良く掃除を進めるコツ。

油汚れが固まって落ちにくいときは、洗剤を浸したキッチンペーパーでパックするのがおすすめ。ある程度時間を置いて、やわらかいスポンジでこすると汚れが落ちやすくなります。

トイレ

トイレの掃除は便座だけでなく、便座の裏や床、壁、タンクの手洗い部分、金具の根本など細かい部分までチェックしましょう。

タンクの水垢は、専用洗剤で軽く拭き取ります。壁や床は尿が飛び散って意外と汚れているため、トイレ掃除用のウェットシートや雑巾でしっかり拭き取りましょう。

外せるタイプの便座や便座カバーは、外して掃除します。細かい部分は古い歯ブラシなどで汚れをかき出すようにして落としてください。便器の黒ずみには、酸性のトイレ用洗剤が効果的です。しばらく置いてから、トイレ用のブラシでこすります。

黒ずみが落ちにくいときは、洗剤に浸したトイレットペーパーでパックしておくと、汚れが落ちやすくなるのでおすすめです。

お風呂

お風呂場は 、浴槽や床だけでなく、排水口に髪の毛などが残っていないか、天井の換気扇に汚れがないか、よくチェックしましょう。

浴槽や床、壁などは、石鹸カスや水垢が多く付着しています。浴室専用の洗剤をかけて時間を置き、スポンジで汚れを落としましょう。カビが発生している場合は、カビ取り剤をスプレーしたトイレットペーパーで覆っておきます。しばらく経ってから、スポンジでこすって汚れを落としてください。

錆がある場合は、鉄分汚れに強い漂白剤を40℃程度のお湯で薄めて錆に付着させ、約30分置いてからブラシでこすると簡単に落ちます。

入居前の清掃は必要?

入居前の清掃は必要?

入居する際も、事前に部屋を掃除すると良いでしょう。ハウスクリーニング が入った引っ越し先に入居するとしても、引っ越すまでの間にホコリや湿気などが溜まって汚れている場合もあるためです。家財が入ってからでは掃除しにくい部分もあるため、入居前にしっかり掃除をしておくのがおすすめです。

また、入居前に掃除することで事前に部屋のキズや汚れ、不具合などを確認できるため、退去時のトラブルを防げるというメリットがあります。見つかったキズや汚れなどは、日付がわかるように撮影しておきます。事前に判明した不具合などは、管理会社に連絡して修繕してもらうこともできるでしょう。

入居前に清掃すべき場所&清掃方法

入居前に清掃すべき場所&清掃方法

ここからは入居前に清掃すべき場所と、清掃方法を詳しく解説します。掃除を始める前は、まず窓を開けて換気をし、室内に溜まったホコリを外に出しましょう。

床・畳

床や畳 は、まず掃除機やモップでホコリを取り除きます。床は固く絞った雑巾で拭き、畳は乾いた雑巾で畳の目に沿って乾拭きしましょう。

特に床はキズが付きやすい場所なので、掃除中にキズや汚れが見つかったら、日付がわかるような形で撮影しておきます。

また、撮影をしたら管理会社に連絡をして、入居前のキズや汚れであることを情報共有しておくと良いでしょう。そうしておくことで、退去時に修繕費を請求されても、入居前からあったキズや汚れだということが証明できます。

壁・天井

家具や家電が入っていない入居前は、壁や天井の掃除がしやすいタイミングです。汚れは上から下に落ちるため、床の掃除をする前に天井や壁の掃除をするのがおすすめです。

はたきやモップ、掃除機などを使って上からホコリを落としましょう。照明器具やカーテンレールなど見えにくい場所も、ホコリが溜まっていないか確認しておきます。

前の入居者がタバコを吸っていた場合、ヤニ汚れやにおいが残っていることがありますが、専用のヤニ落とし洗剤や約40℃のお湯に溶かした重曹で拭き掃除をすると取れるので、試してみてください。

窓ガラスに汚れやくもりがある場合は、窓ガラス用のクリーナーで拭き掃除をしましょう。カーテンレールの上もホコリが溜まっていないかチェックして、汚れが残っているようなら、ついでに掃除しておきます。

カーテンを付けてからでは掃除をしにくい場所なので、入居前にきれいにしておくのがおすすめです。

キッチン

キッチンを掃除 するときは、まず調理台のホコリやシンクの水垢をきれいに拭き取ります。さらに、まだ使っていないきれいなうちに、汚れ防止の対策をしておきましょう。

油汚れやホコリが隙間に入り込むのを防ぐため、コンロの隙間を埋めるカバーや汚れ防止の換気扇フィルターを設置しておくと、今後の掃除がラクになるのでおすすめです。

トイレ

トイレ掃除では、溜まっているホコリを拭き取り、蛇口の下にはトイレタンクの洗浄剤を設置しておきます。トイレ掃除には、トイレに流せるタイプの専用ウェットシートがおすすめ。

また、掃除をした後で便器にスタンプタイプの洗浄剤を設置しておくと、汚れが付きにくくなります。トイレ掃除をしたついでに、水の流れや水漏れなども確認しておきましょう。

お風呂

お風呂場 は、浴室用洗剤で浴槽や床を洗い、鏡にはくもり止めを塗布しておきます。お風呂場はカビが発生しやすいため、入居して使い始める前にカビ対策をしっかり行いましょう。

くん煙タイプの防カビ剤なら、きれいな状態を長くキープできるのでおすすめ。

快適な暮らしを実現する入居前清掃のポイント

快適な暮らしを実現する入居前清掃のポイント

家財が入る前は掃除がしやすいだけでなく、住み始めてから快適に過ごせるようさまざまな対策ができるチャンスです。ここからは、入居前にできるポイントをご紹介しましょう。

換気扇にフィルターを貼る

汚れが付きやすく掃除が大変な換気扇は、入居前にフィルターを貼っておくことで快適な暮らしを実現できるでしょう。

浴室やキッチン、トイレにある換気扇にフィルターを貼ると、汚れたらフィルターを取り替えるだけなので掃除がラクになります。また、換気扇ではありませんが、エアコンにもフィルターを貼っておくのがおすすめ。

害虫対策をしておく

ゴキブリなどの害虫は家具の隙間などで繁殖することが多いため、家具が少ない入居前に対策することが大切です。

くん煙式の殺虫剤を使用して害虫対策をするのがおすすめ。家財道具が何もない状態で使用することで、薬剤が部屋の隅々まで行き渡り、食器や家電にカバーをするなどの手間も省けます。

ただし、アパートやマンションなど集合住宅では、薬剤の煙が他の部屋に影響する可能性があるため、必ず事前に管理会社に連絡を入れておきましょう。

除湿剤・消臭剤を置く

湿気が溜まりやすいお風呂場は、対策をしていないとカビが繁殖する可能性があります。新居のお風呂場は換気扇を入れて、サーキュレーターなどで空気を循環させておきましょう。

お風呂場の他にも、靴箱やクローゼットなど、家の中には湿気が溜まりやすい場所があります。特に靴箱は風通しが悪く、湿気がこもりやすい場所。入居前に消臭剤や除湿剤を置いて、しっかりと対策しておくことが大切です。

退去前・入居前清掃のQ&A

退去前・入居前清掃のQ&A

ここからは、退去前や入居前の清掃に関するQ&Aをご紹介しましょう。

退去時に高額請求された場合は?

退去時に原状回復義務があることは冒頭で説明したとおりですが、借主側の負担として高額の修繕費用を請求されることがあります。例えば、壁や柱のキズやペットによるにおいや汚れ、タバコのヤニの汚れなどです。

これらは、契約時に支払った敷金から差し引かれる可能性もありますが、基本的には経年劣化として認められます。もしも納得できない高額請求をされた場合、管理会社や大家さんと交渉してみましょう。見積もりの詳細を確認し、国土交通省が定める原状回復のガイドラインと照らし合わせてみます。

交渉が決裂した場合は、国民生活センターや消費生活センターに相談するという方法もあります。相談の際は、賃貸契約書や退去費用の見積もりが手元にあると話がスムーズです。それでも納得いく結果が得られない場合は、民事調停に持ち込むという方法も取れます。

除菌をしたい場合は?

部屋を除菌したい場合は、市販の除菌剤や次亜塩素酸ナトリウムを使用します。除菌をする前の注意点は、除菌したい部分の素材が除菌剤を使用しても大丈夫かどうか確認すること。除菌剤との相性が悪い場合、除菌した場所が傷む恐れがあります。

次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、濃度0.05%まで薄めたもので拭き、除菌した後は必ず水拭きをしてください。また、次亜塩素酸ナトリウムが直接手に付着しないように、ビニール手袋を着用して除菌作業をしましょう。

自分で掃除できない場合は?

自分で掃除できない場合 は、清掃専門会社に依頼することもできます。くらしのセゾンが提供している「ハウスクリーニングセットプラン」は、一般の住宅の清掃をするサービスです。セットプランは、単品で依頼するよりもお得な料金で利用できます。特に利用頻度が高く、水垢やカビなど取りにくい汚れが溜まる水回りは、忙しい中で時間をかけて掃除をするよりもプロに任せたほうが効率的です。

「在宅おまとめクリーニング」は、水回りを含め家中を丸ごとクリーニングするプラン。部屋の大きさや要望に合わせて見積もりしてもらえるので、安心して利用できます。掃除をする時間が取れない方、掃除が苦手な方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

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おわりに

賃貸物件の退去時や入居前は、清掃が必要です。きちんと清掃をすることで、余分な費用を支払うことを避け、入居後も快適に暮らすことができます。清掃は場所によって汚れの種類が異なるため、それぞれの場所や汚れに合った洗剤選びや清掃方法が重要です。場所ごとの洗剤や清掃方法を把握して、効率的に清掃を進めましょう。

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