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地震保険の保険料はいくらにすべき?補償される内容や保険料の考え方を解説

地震保険の保険料はいくらにすべき?補償される内容や保険料の考え方を解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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地震保険は、地震によって生じたさまざまな災害による損害の補償を目的とした保険です。地震大国である日本では加入の必要性が高いと考えられますが、加入する際の適切な保険料はいくらなのでしょうか?このコラムでは地震保険の基礎知識や保険料の考え方を解説します。

地震保険の仕組みとは?基礎知識を解説

地震保険とは、地震によって生じた損害を補償するための保険です。ただし、補償の対象に「なるもの」と「ならないもの」が決められているため、すべての損害に対して補償を受けられるわけではありません。地震保険のみの加入は認められず、火災保険とセットで加入しなければいけません。火災保険の契約者であれば、契約期間中はいつでも地震保険に加入できます。支給される保険金額が損害の程度によって決まるのも特徴です。

地震保険の保険料を考える前に、まずは地震保険の基礎知識を理解しておきましょう。

地震保険は地震による損害を補償する仕組み

地震保険は、地震などの自然災害を原因とした損害を補償する仕組みです。保険金を受け取れるかどうかは、損害の内容や程度によって異なります。

地震保険の加入を検討する際は、日本における地震の傾向について知っておきましょう。気象庁の震度データベース検索から、2018年〜2021年の1〜4月における地震の発生回数の合計をまとめました(対象:震度3〜震度6強)。

  • 2018年:62回(月平均15.50回)
  • 2019年:43回(月平均10.75回)
  • 2020年:57回(月平均14.25回)
  • 2021年:91回(月平均22.75回)

ひと月当たりの地震の発生回数は2021年がトップとなっています。ただし、年間の地震発生回数(震度3〜震度6強)から月平均を割り出すと、2011年〜2020年でひと月あたり20回を超えた年は5年もあるため、2021年の地震の発生回数が極めて多いというわけではありません。とはいえ、地震の発生回数に限らず、万が一を想定して準備しておく必要があるでしょう。

なお、地震保険は日本政府と損害保険会社が共同で運営している制度です。損害保険会社だけではなく政府にも保険金の支払い責任が発生するのが特徴で、この仕組みは再保険と呼ばれます。再保険とは、一定規模以上の支払い保険金が生じた場合に、保険金の一部を政府が負担するものです。

再保険のためにかかった再保険料は地震再保険特別会計において管理されます。地震が起こった際の再保険金の総額は、国会で決定した金額を超えてはいけないと決められています。

出典元:気象庁「震度データベース検索

地震保険の補償対象となるのは、火災保険の補償対象外の地震・噴火や、これらが原因で発生した津波による火災・損壊・埋没または流出による損害です。対象は居住用の建物(住宅)や家財に限定されます。

地震保険の補償対象となるもの

  • 地震が原因で住宅が損壊した
  • 地震が原因で家財が損壊した
  • 地震によって発生した火災が原因で家が焼けた
  • 地震によって発生した津波が原因で家が損壊した
  • 噴火の発生によって家が損壊した

地震保険の補償対象外となるもの

  • 居住用ではない住宅(工場や事務所専用の建物等)
  • 地震がきっかけで他者に与えた損害
  • 1個または1組当たり300,000円を超える価値がある貴金属や美術品等
  • 預貯金証書
  • 印紙
  • 切手
  • 自動車(総排気量125cc以下の原動機付自転車は対象の範囲内)
  • 原稿
  • 設計書 など

価額が300,000円を超えるものに含まれるのは、​​骨董品・貴金属・宝石、通貨、有価証券(小切手・商品券・株券など)です。

地震保険では補償を受けられなくても、火災保険であれば補償の対象となるケースがあります。地震保険と併せて火災保険の補償対象を確認しておきましょう。

【火災保険の補償対象となるもの】

  • 火災(失火やもらい火による損害)
  • 落雷
  • 破裂・爆発
  • 風災・雹災(ひょうさい)・雪災
  • 水濡れ(漏水などによる損害)
  • 水災(台風や集中豪雨による損害)
  • 盗難
  • 騒擾(そうじょう)・集団行為などによる暴力行為
  • 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突

【火災保険の補償対象外となるもの】

  • 経年劣化による損害
  • 隙間からの風や雨などの吹き込みによる損害
  • 外観上の損傷(すり傷など)
  • 故意・重大な過失・法令違反による損害
  • 免責金額に満たない損害
  • 地震・噴火、またはこれらによって発生した津波による損害

以下のコラムでは、火災保険の基礎知識や選び方をわかりやすく解説しています。火災保険​​についてさらに詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

【解説】火災保険を住まいに合わせて上手に選ぶ7つの方法

地震保険の保険金額の決まり方

地震保険の保険金額には一定の上限が定められています。また、どの程度の損害が生じたかによって受け取れる保険金額が変動します。

損害の程度によっては補償を受けられない可能性もゼロではありません。地震によって損害が生じたからといって、実損(損害を受けた分)をすべてカバーする金額を受け取れるわけではない点に注意しましょう。

ここでは、地震保険の保険金額の決まり方について解説します。

地震保険の保険金額の上限

地震保険の保険金額は、建物・家財ごとに火災保険の保険金額の30〜50%に収まる金額と定められています。また、建物と家財にはそれぞれ金額の上限が設けられているので注意しましょう。

  • 建物の保険金額の上限:5,000万円
  • 家財の保険金額の上限:1,000万円

仮に建物の火災保険で1,000万円の保険金を受け取れるとしても、地震保険では300万〜500万円しか支給されません。

保険金額と損害の程度の関係

地震保険の保険金額は、地震によって生じた損害の程度によって大きく異なります。保険金額と損害の程度の関係は以下を参考にしてください。なお、以下の損害よりも程度が小さい損害の場合は補償を受けられません

全損 保険金額の100 限度:時価額
大半損 保険金額の60 限度:時価額の60%
小半損 保険金額の30 限度:時価額の30%
一部損 保険金額の5 限度:時価額の5%

仮に保険金1,500万円の地震保険を契約していた場合、時価額1,000万円の建物(住宅)が地震によって損壊し、主要構造部が全損して600万円分の損害が出たとします。このようなケースでは、建物の時価額である1,000万円が保険金として支払われます。

地震保険に加入している方の割合

損害保険料算出機構の調査によると、2019年度末の地震保険の契約件数は1,974万件です。これは前年に比べて3.9%増加する結果でした。また、地震保険を付帯した火災保険の契約件数の割合は、過去最高の66.7%でした。

加入の傾向として、地震保険制度が設立された1966年から30年間の契約件数は横ばい〜減少していましたが、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに増加に転じました。その後も大規模な地震が多く発生したことにより、地震保険の契約件数は増加を続けています。

出典:損害保険料算出機構「火災・地震保険の概況_2020年度(2019年度統計)

相場はいくら?地震保険の保険料を算出してみよう

地震保険の保険料は3つの項目を元に算出されます。ポイントとして、地震保険の保険料はどの損害保険会社で加入しても同じです。

地震保険は政府と損害保険会社が共同で提供していることから、保険会社間の競争がない公共的な保険制度となっています。そのため、地震保険の加入を検討する際に保険料で保険会社を比較する必要はありません。

ここでは、地震保険の保険料を算出する際に必要な項目や計算式について解説します。

地震保険の保険料算出に必要な3つの項目

地震保険の保険料の算出において必要な項目は以下の3つです。

  1. 基本料率
  2. 割引率
  3. 長期係数

建物の構造や所在地、保険期間の長さなどによって、それぞれの項目の内容が細かくわかれています。例えば、割引率は耐震性能によって分離され、4つの種類のいずれかが適用されます。

地震保険の保険料の計算に必要な項目について詳しく見ていきましょう。

基本料率

基本料率は、建物の構造と建物の所在地によって定められています。建物の構造によって分類されるのは、建物の構造に応じて地震の揺れによる損害などのリスクが異なることが理由です。同様に、都道府県ごとに地震の発生リスクが異なるため、建物の所在地が重視されます。

建物の構造の基準は以下の2つです。

  1. イ構造:鉄骨造やコンクリート造の建物など
  2. ロ構造:木造の建物など

木造の建物でも、耐火建築物、準耐火建築物および省令準耐火建物などに当てはまる場合は、ロ構造ではなくイ構造として扱われます。

建物の所在地は、地震の発生リスクによって1〜3等地の3つの区分に分かれています。保険料は1等地よりも2等地、2等地よりも3等地が高く設定されるています。

割引率

割引率は建物の耐震性能によって4つに分類されます。分類ごとの内容を確認しておきましょう。

  1. 免震建築物割引
  2. 耐震等級割引
  3. 耐震診断割引
  4. 建築年割

4つの耐震性能

1.【免震建築物割引】

免震建築物が対象で、割引率は50%です。

2.【耐震等級割引】

耐震等級を有している建物が対象で、耐震等級に応じて割引率が設定されています。

  • 耐震等級3:50%
  • 耐震等級2:30%
  • 耐震等級1:10%

3.【耐震診断割引】

耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法の耐震基準を満たす建物が対象で、割引率は10%です。

4.【建築年割】

1981年6月1日以降に新たに建てられた建物が対象で、割引率は10%です。

長期係数

長期係数とは、保険期間に応じて定められた係数のことです。火災保険と同様に、地震保険の保険料は保険期間の長さによって異なります。具体的には保険期間が1年の契約に比べると、2〜5年の長期契約のほうが保険料は安くなります。

保険期間ごとの長期係数は以下を参考にしてください。

  • 保険期間2年:1.90
  • 保険期間3年:2.85
  • 保険期間4年:3.75
  • 保険期間5年:4.65

地震保険の保険料の計算式

地震保険料の計算式は以下のとおりです。上記の3つの項目で求めた数値を用いると、地震保険の保険料を算出できます。

  • 地震保険の保険料=保険金額×基準料率
  • 基準料率=基本料率×(1-割引率)×長期係数

3つの項目の数値を当てはめて基準料率を求め、保険金額に基準料率を乗じた金額が支払うべき保険料です。自身で計算する他、日本損害保険協会が提供する保険料のシミュレーションで試算してみるのがおすすめです。

地震保険に加入するメリット

原則として地震による損害をカバーできるのは地震保険のみであるため、加入するメリットは大きいと考えられます。その他にも、地震保険に加入すると以下のようなメリットを得られます。

地震保険に加入するメリット

  • 対象を「建物のみ・家財のみ・建物と家財の両方」から選択できる
  • 政府と損害保険会社が共同運営する公共性のある保険で、巨大地震の補償や早期の保険金支払いが整備されている
  • 建物の耐震性能によって保険料の割引を受けられる
  • 地震保険料控除の適用が受けられ、所得税・住民税の負担を抑えられる

なかでも、地震保険の加入によって所得税と住民税の軽減につながるのは大きな利点でしょう。控除額は1年間に支払った地震保険料に応じて決定されます。

【所得税】

1年間に支払った地震保険料の合計額 控除額
50,000円以下 支払った保険料の全額
50,000円超 一律50,000円

【住民税】

1年間に支払った地震保険料の合計額 控除額
50,000円以下 支払った保険料の×1/2
50,000円超 一律25,000円

地震保険に加入する際の注意点

地震保険に加入する際の注意点として、単独での加入が認められないことが挙げられます。地震保険だけで加入できず、火災保険に付帯する形で契約しなければいけません。

また、地震保険の保険金額には上限が設けられているため、地震によって生じた損害すべてが補償されるわけではない点にも注意が必要です。お住まいの地域や建物の構造によっては保険料が高くなる可能性があることも覚えておきましょう。

地震保険は公共性が高い保険ではあるものの、保険料は適宜見直しが行われており、場合によっては値上がりすることがあります。直近では2014年と2017年(2017年、2019年、2021年の3段階に分けて)値上げが実施され、2014年7月以前に比べて保険料が平均35%も上昇しています。2022年10月にも地震保険料改定が実施される見込みで、耐震性の高い住宅の普及もあり、全国平均で0.7%の値下げとなります。ただし都道府県と建物の構造区分の組み合わせにより、最大の値上げ率は、+29.9%、最大の値下げ率は-47.2%となる予定です。

保険料の値上がりリスクに備えるなら、保険期間の見直しを行うのが有効です。地震保険では保険期間を最長5年に設定でき、設定した期間内は保険料が据え置かれます。そのため、保険料が値上がりする前に保険期間を見直し、見直した保険を5年間契約するのが賢明です。

ただし、お住まいの地域によっては保険料が値下がりすることもあるため、保険期間を見直す際は現状の保険料が上がるのか下がるのかも考慮しましょう。

【建物の種類別】地震保険の加入の必要性

地震保険の加入の必要性は、居住している建物の種類によって異なります。持ち家か賃貸かによって必要性が変わるのはもちろん、同じ持ち家でも一戸建てとマンションでは備えるべきリスクが変わります。

公的制度に頼る方法もありますが、地震の損害に対する公的制度は充実しているとはいえません。例えば、経済的な負担をサポートする「被災者生活再建支援制度」では最大300万円を受け取れますが、それだけでは実損をすべてカバーするのは難しいでしょう。

「生活再建の資金をすべてカバーできるわけではない」「損害の程度によっては補償されない」といった注意点はあるものの、地震大国である日本に住むなら地震保険に加入すべきと考えられます。

地震のリスクに賢く備えられるように、ここでは加入の必要性を建物の種類ごとにご紹介します。

持ち家(一戸建て)

持ち家の一戸建てにおいて加入の必要性が高いのは、建物と家財の両方の地震保険です。住宅ローンの支払期間中に地震による損害が生じると、ローンの支払いに加えて建物の再建費用や家財を買い直す費用が発生します。結果として、家計に大きなダメージが生じます。

建物と家財の地震保険に加入しておけば、家計が圧迫されるリスクを予防できます。ただし、両方に加入すると保険料が高くなりやすいため、家庭の状況や補償される内容、保険料のバランスを考えながら調整することが大切です。

住宅ローンが残っている場合は建物の保険金額を大きくしたり、建物の時価が低い場合は家財の地震保険を重視して加入したりすることを検討しましょう。

持ち家(マンション)

持ち家のマンションに居住している場合は、専有部分と共用部分ごとに加入の必要性を考えなければいけません。専有部分とは居住スペースや購入したスペースのこと、共用部分とはロビーや廊下など他の居住者と共同で使うスペースのことです。

共用部分は管理会社や管理組合などが管理を担当します。そのため、居住者が共用部分のための地震保険に加入する必要があるかどうかは、管理会社などに確認する必要があります。

専有部分については一戸建てと考え方が同じで、建物と家財の両方の地震保険に加入しておくのが賢明です。地震保険の加入によって損害に対する補償を用意しておくと、万が一の際に住宅ローンが残っていても経済的な負担を抑えられます。

建物と家財の両方に加入するのが難しい場合は、家財を優先するのがおすすめです。最新の耐震基準を満たす物件であれば、地震が起こっても建物に大きな被害が生じにくく、どちらかというと家財の被害のほうが大きいと考えられます。

賃貸住宅

賃貸住宅に居住している場合は、家財を対象とした地震保険の必要性が高なります。賃貸住宅の建物の所有者は管理会社や大家さんのため、地震によって建物が壊れても、居住者には再建費用の負担が発生しません。

ただし、居住者の所有物である家財に関しては、管理会社や大家さんの管理の範囲外です。そのため、地震によって家財が壊れても買い直せるように、家財の地震保険に加入しておくのが賢明です。

家財の損害に対する補償を手厚くしたいなら、家財保険に加入するのも選択のひとつとなります。家財保険に加入すれば、落雷や風災などの自然災害や、盗難事故などによって家財に生じた損害に備えられます。

注意点として、地震や地震による津波が原因で生じた損害は家財保険の対象外です。地震を含めた損害のリスクに備えられるのは地震保険のみであると覚えておきましょう。

地震保険を火災保険とセットで加入するなら

地震保険は単独で加入できないため、火災保険にセットして契約する必要があります。つまり、まずはどの火災保険に加入するかを決めなければいけません。数ある火災保険の中でもおすすめなのが、セゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」です。

基本の補償(火災、落雷、破裂・爆発)とその他の必要な補償を自由に組み合わせることができるため、ニーズや予算に合わせて内容を決められます。例えば、保険料をなるべく抑えたい場合は、基本の補償+地震保険といったシンプルな補償内容にすることも可能です。

また、保険金の請求手続きをLINEの公式アカウントから行えるのも大きな魅力です。損害物の写真や動画をLINE上で送信でき、担当者とチャットでスムーズにやりとりできます。チャットの内容は独自サーバーに保存されるため、セキュリティ面も安心して利用できます。

無料の見積りは以下のリンクから簡単に行えます。火災保険の加入に迷っているなら、ぜひクレディセゾンがおすすめするセゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」を検討してみてください。

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おわりに

地震保険に加入すると、地震によって建物や家財が損害を受けた際に保険金を受け取れます。ただし、地震保険のみに加入することはできないため、必ず火災保険とセットで契約しなければいけません。また、保険金額には上限があり、損害の程度によって金額が決定される点には注意が必要です。

保険料はどの損害保険会社でも同じですが、建物のみ・家財のみ・建物と家財の両方のいずれかを選択するかによって保険料が異なります。建物や家財のどちらかに限定すべきか、両方に加入すべきかは居住する建物によって変わってくるため、加入する前によく検討しましょう。

保険料を把握するには、自身で試算したりシミュレーションを活用したりする方法があります。保険料の算出に必要な基本料率・割引率・長期係数の3つを調べ、自身の保険料を計算してみてください。

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