地震保険料控除の対象と控除金額、年末調整の手続きに関して解説

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地震保険料控除の対象と控除金額、年末調整の手続きに関して解説

保険の控除について、なんとなく知っているけど、手続きが複雑なように感じる上、そもそも何が対象なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

生命保険や医療費など以外にも対象になる控除の中に「地震保険料」があります。ただし、単独での契約ができない地震保険は、控除対象外の火災保険とセットで契約することになるため控除に関しては分かりづらいようです。また、手続きには年末調整と確定申告がありますが、年末調整を利用することで、非常に簡単に手続きをすることができます。

このコラムでは、地震保険料控除の対象や控除額、手続きの方法について解説していきます。

1.地震保険と火災保険は控除の対象になる?

保険料控除の対象は地震保険のみで、火災保険においては一部を除き対象となりません。また、地震保険料の控除は、1月1日から年末までの年間単位で支払った保険料によって、一定額を所得から差し引きます。年末調整や確定申告で手続きをすれば控除を受けることができ、所得税や住民税の負担を軽減できる仕組みになっています。

以前の名称は「損害保険料控除」というもので、年末調整や確定申告で手続きをすれば、火災保険も対象となっていました。廃止された現在は、一部を除き控除の対象外になっています。そして新たに地震保険料ができました。その背景には日本での地震の多さにあります。今までの地震で被った被害が大きいこともあり、みんなで備えようと創設されました。

地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットで契約することが基本です。しかし、火災保険は一部を除き対象ではありません。火災保険が対象外のため、地震保険も同様に対象外と思われることが多いです。そのため、忘れずに手続きをしましょう。ただし、経過措置の条件が揃っている保険期間の長い火災保険契約は、引き続き保険料控除が可能な場合があります。

2.地震保険料控除の対象は?

地震保険料の控除ができる保険契約は、ある一定の資産などを対象としている契約です。契約内容としては、地震が起きたことによる損害によって生じた損失額を補う保険金が支払われるものです。

2-1.地震保険契約

地震保険契約とは、地震や噴火、またはこれらによって発生した津波の損害に備えることができる保険です。火災保険だけでは補償ができない部分であり、地震が多い日本ではニーズが高まっている保険でもあります。ただし、単独での加入はできないことになっており、火災保険とセットで契約することが基本です。

2007年の1月以降に契約した地震保険は、控除の手続きを行う本人や生計をともにする配偶者もしくは親族が所有している居住用家屋などが対象である契約です。そのほか、生活用動産が対象となっている契約もあります。生活用動産とは、衣服や家具などの日常生活を送る上で必要となる家財のことを指します。

控除対象となる住宅は持ち家だけと思われがちですが、持ち家でなくても賃貸住宅に住んでいる方も対象です。賃貸住宅に住む際には、火災保険に加入することが多いですが、地震保険も付帯されていれば、地震保険控除を受けることができます。

また、地震保険料の控除が受けられるのか分からない場合には、保険会社から送付される「地震保険料控除証明書」で対象か確認ができます。

2-2.経過措置が適用される長期損害保険契約

以前の制度である損害保険料控除はなくなりましたが、それに代わり、2007年に新たに「地震保険料控除」ができました。しかし、以前の保険内容で控除はできないわけではありません。経過措置として対象になるものがあります。

それは、2006年末までに契約をしていて、10年を超えるもので満期返戻金がある長期の損害保険契約です。また、2007年1月1日を過ぎてから長期の保険契約を変更していないことも条件となります。この条件が全て揃えば経過措置対象となるので、地震保険料の控除が可能です。具体的にどのような契約かというと、積立型の損害保険や年金払い型の積立損害保険、または積立型の火災保険などです(保険会社により、保険商品の名称が異なる場合があります)。

また、控除額の計算に関しては、地震保険料控除と同じ方法です。年間で支払いが済んでいる保険料に応じて控除額が決まります。ただし、上限金額は異なっていて、最高で15,000円の控除です。

経過措置が設けられている長期の損害保険と地震保険の両方を契約している場合は、どちらも控除が受けられます。しかし、それぞれの計算方法で出した金額の合計となり、最高額は50,000円ですので注意しましょう。

3.地震保険料控除の控除額はどのぐらい?

地震保険料控除を受ける際の注意点

地震保険料の仕組みについて見てきましたが、控除額についてはどれくらいになるのか分からない方も多いでしょう。以下で、ケース別に紹介します。

3-1.地震保険の保険料控除額

地震保険料控除額は支払い済みの地震保険料によって、保険料負担をしている契約者の課税所得金額から差し引かれます。所得税と住民税それぞれの年間で支払った保険料が50,000円を越えるか超えないかで控除できる最高額が違います。

年間の支払保険料が50,000円以下の場合

・所得税では全額が控除となり、住民税では支払保険料の半分が控除対象です。

年間の支払保険料が50,000円を超えている場合

・所得税では控除額が50,000円までとなり、住民税では25,000円までが控除対象です。

例えば、年間で30,000円の地震保険料を支払っていれば、所得税では30,000円、住民税では15,000円となり、所得税か住民税かで受けられる控除額が変わります。

また、地震保険は火災保険と一緒に契約することが基本です。しかし、火災保険は控除の対象ではありません。控除額の確認をする際には、地震保険に該当する保険料だけが対象ですので金額の見間違いに注意しましょう。

  所得税 住民税
  年間支払保険料 控除額 年間支払保険料 控除額
      
地震保険料控除
50,000円以下 控除対象保険料全額 50,000円以下 控除対象保険料×1/2
地震保険料控除 50,000円超 一律50,000円 50,000円超 一律25,000円

参考元: 国税庁ホームページ「地震保険料控除」

H3:3-2.経過措置が適用される長期損害保険の控除額

経過措置が適用される長期損害保険についても年間支払保険料により控除額が異なっています。支払保険料の設定が地震保険料控除より低めになっていますが、こちらも所得税と住民税でそれぞれ控除額が変わります。

新しい地震保険と経過措置の長期損害保険の両方を契約している場合は、別々の保険契約なのか同じ保険契約なのかを確認してください。

・別々の保険契約の場合

まず、それぞれ契約している保険の「年間支払保険料」から控除額を計算します。そして出た控除額を合算した金額が地震保険料控除額となります。ここで注意しなければならないことは、控除の上限金額です。合算した金額そのままではなく、合算した金額にも上限金額が設けられています。地震保険料控除と同じく、控除の上限金額は、所得税が50,000円で、住民税が25,000円です。

・同じ保険契約の場合

同じ契約内で、地震保険控除と経過措置にあたる長期損害保険料控除のどちらも当てはまる場合は両方とも受けることはできません。どちらの控除にするかを選択しなければなりません。選択は自由なので、控除を受ける本人が決めることができます。

  所得税  住民税 
  年間支払保険料 控除額 年間支払保険料 控除額
経過措置 10,000円以下 支払保険料全額 5,000円以下 支払保険料全額
長期損害保険控除 10,000〜20,000円 支払保険料×1/2+5,000円 5,000〜15,000円 支払保険料×1/2+2,500円
  20,000円超 15,000 15,000円超 10,000

4.年末調整での地震保険料控除の手続き方法

地震保険料控除の手続きについては、年末調整、確定申告どちらでもできるようになっています。どちらで控除を受けても金額に変わりはありません。会社にお勤めの方や自営業の方など、自身に合った控除手続きをしましょう。ここでは、年末調整での地震保険料控除について、必要な書類を説明します。

4-1.地震保険料控除を受けるために必要な書類

年末調整での地震保険料控除には「給与所得者の保険料控除申請書兼配偶者特別控除申請書」と「地震保険料控除証明書」の2種類の書類が必要になります。「給与所得者の保険料控除申請書兼配偶者特別控除申請書」は各財務署から企業に向けて送付され、勤務先から従業員へ配布されます。

「給与所得者の保険料控除申請書兼配偶者特別控除申請書」を勤務先から受け取ったら、必要事項に記入をします。会社勤めの方は、必要事項に記入するだけで後の手続きは勤務先がしてくれるので簡単です。さらに確定申告よりも還付される時期が早いこともメリットの一つです。

また、「地震保険料控除証明書」は勤務地ではなく自宅へ届きます。1年契約の場合、通常通りだと保険証書と一緒に送付されます。また、保険証書と一体型になっている証明書もあるので、そのような証明書の場合はミシン目から切って使用します。1年以上の長期の契約の場合は、10月頃に保険会社から送られてくることがほとんどです。

証明書を失くしたり、どうしても見つからない時は、保険会社に早めに連絡をしましょう。年末調整までに再発行の手続きをしてくれます。ただし、年末調整の提出期限間近になると、法律上は控除の対象にはなりますが、勤務している会社の経理担当などによっては負担が大きくなります。受け付けてもらえないこともあるので、そのときは確定申告をすることで控除を受けることができます。

証明書は、年末調整や確定申告で必要な書類になるので大切に保管をしておきましょう。また、勤務先を通して団体特約の保険に契約している場合は、「地震保険料控除証明書」が必要ない場合もあるので勤務先で確認が必要です。

4-2.「給与所得者の保険料控除申請書」書き方のポイント

給与所得者の保険料控除申請書で一番のポイントは、契約している保険が新しい地震保険なのか、経過措置が適用される長期損害保険契約なのかを把握することです。どちらの区分なのか保険契約によって丸をつける箇所がありますので、注意しましょう。

そのほか、保険会社の名称や保険期間、契約者名などの欄があります。地震保険料控除証明書に記載されているので難しくありません。よく確認しながら記入しましょう。

5.地震保険料控除を受ける際の注意点

地震保険料控除の控除額はどのぐらい?

先にも述べているように地震保険は火災保険とセットで契約しますが、例外を除いて基本的には火災保険は控除対象ではありません。火災保険が控除にならないので、手続きをしておらず、税金を多く払ってしまっている可能性があります。地震保険も一緒に契約していないか確認をして、忘れずに手続きをするようにしましょう。

5-1.保険料を一括で支払った場合

1年ごとではなく、数年分まとめて保険料を支払うと保険料が安くなることがありますが、一括で支払った場合はその年に全て控除できるわけではありません。まとめて支払った保険料を年ごとの保険期間で割ります。そして1年間分で計算した金額が、各1年ごとの控除対象となる保険料です。

5-2.夫婦共有名義の建物の保険の場合

夫婦が共同で住宅を購入して、共有名義の場合も控除の対象となります。ただし地震保険の契約者は基本的に1人なので、どちらが契約者になるか決めておく必要があります。

控除をすることにより、所得税や住民税が安くなるという利点があるので、夫婦で所得の多い方を契約者にしておくと控除の効果が高く節税対策になります。

6.年末調整での地震保険控除のまとめ

年末調整では勤務先へ提出するだけで簡単に地震保険料の控除ができます。揃える書類も勤務先から配布され、保険会社からの地震保険料控除証明書をきちんと保管しておくだけです。火災保険に加入している場合は地震保険への加入もしていないかどうか確認して忘れないように申請をしましょう。