今まで一緒に暮らしてきた最愛のペットとのお別れは、辛いものです。安心して天国に旅立てるよう、最後にしっかりとしたお葬式をしてあげたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、大事なペットの葬儀をきちんと行ってあげられるよう、葬儀の種類や費用の相場、具体的な流れなどを解説します。最愛のペットのいざというときに慌てないためにも、ぜひ参考にしてください。
(本記事は2023年12月25日時点の情報です)
この記事を読んでわかること
- ペットの葬儀では、人間と同様、火葬、葬儀、供養を執り行う
- 火葬には、「個別立会火葬」「個別一任火葬」「合同火葬」の3種類がある
- 供養の方法には、「共同供養」「個別供養」「手元供養」がある
ペットの葬儀でできること
ペットの葬儀とは、家族の一員として生活をしてきたペットが亡くなった際に行う、葬儀の様式のことです。人の葬儀と同様「火葬、葬儀、供養」を実施します。
環境省が2014年に行った調査によると、犬を飼っていた方の約40%が民間のペット葬を利用したという結果も出ており、ペットが亡くなった際は葬儀を執り行うのが一般的と考えられるようになってきています。
ペット葬にはさまざまな種類があり、個別での火葬か合同での火葬か選べたり、納骨堂にお骨を預けるか自宅に保管するかを選べたりするなど、ご家族の判断によって柔軟に対応できるのが特徴です。
参照元:環境省|一般市民アンケート調査
土葬より安心?おすすめしたい3つの火葬方法
ペットの葬儀には土葬や火葬の選択肢がありますが、火葬をおすすめします。動物を土葬する際には廃棄物処理法や刑法に触れる場合が出てくるからです。
ペットの土葬は人間の場合と異なり、法律で禁止はされていませんが、埋葬する際は法律により自分の土地で行わなければなりません。しかし、土葬する場所や条件によっては不法投棄などのトラブルにつながりかねないので、事前に確認が必要です。
法律上、ペットの遺体は一般廃棄物に分類され、私有地以外の場所への土葬はルール違反です。また、土葬付近に水源や畑が隣接している場合、水・土壌の汚染にも配慮しなければなりません。
遺体は長い年月をかけて、土に還っていきます。ペットの土葬後、土地を他人に譲り渡した場合、新たな所有者がペットの遺体を掘り起こし、場合によっては違約金を請求されるなどのトラブルにつながる可能性もあるでしょう。引っ越しや土地を譲り渡す予定がある場合、土葬は控えておいた方が賢明です。
その点、火葬はそのような心配はありません。火葬後は骨壷に骨を収骨し、霊園やお寺で預かってもらい供養、または自宅に持ち帰って供養できるのもメリットです。
以下では、火葬の種類について解説します。
個別立会火葬
ペットの遺体を1体ずつ火葬する方法です。費用は高めですが、葬儀からお骨上げまで立ち会うことができます。納骨後はペットの骨を持ち帰ることも可能です。
個別一任火葬
葬儀スタッフにペットを預けることで、葬儀や単独火葬、お骨上げまでをしてくれる方法です。飼い主は全ての工程において立ち会うことができません。
お骨上げ後の骨壺は納骨堂へ納骨、または、後日ご家族に返骨するかを選ぶことができます。
合同火葬
合同火葬は、ペットの遺体を複数同時に火葬する方法のこと。費用は個別火葬より安く抑えることができます。ただし、骨になった時、個体の判別ができなくなるため、お骨の自宅への持ち帰りは不可です。
一般的にお骨の多くは共同墓地へ埋葬されます。
ペットの火葬ができる3つの施設
ペットの火葬ができる施設は「ペット霊園」「ペット葬儀社」「訪問火葬」の3種類です。火葬のみを執り行う施設から、葬儀も同時に行ってくれる施設まで多数ありますので、それぞれ見ていきましょう。
ペット葬儀会社
「ペットのお葬式」を専門に執り行うサービスを提供しているのがペット葬儀会社です。お通夜から告別式、火葬まで、人間と同様の葬儀を取り入れてくれるのが飼い主にとっては嬉しいポイントといえるでしょう。
また、ペットの葬儀会社に依頼すると、ペット専用の墓地や納骨堂を紹介してくれる場合もあります。ペットを亡くした悲しみで火葬の立ち会いができない場合には、スタッフがペットを預かって収骨までを一任できるサービスがあるのもメリットです。
ペット霊園
ペットの火葬ができる施設のひとつとして、ペット専用の火葬炉を併設しているペット霊園が挙げられます。 セレモニーホールやお墓・納骨堂・供養塔もそろっているのが一般的です。
霊園に依頼すれば、葬儀から火葬、納骨までを済ませることができるのがメリットです。ペットが亡くなった際、自宅まで迎えに来てくれるサービスつきの施設もあるので、必要に応じて相談してみるのも良いでしょう。
移動火葬車
「訪問火葬」と呼ばれる選択肢が近年では普及してきました。
訪問火葬は、自宅まで移動火葬車に来てもらい、ペットの火葬をしてもらう方法です。朝早くから深夜にも対応しており、霊園に足を運ぶ必要がなく供養できる手軽さと、安価な料金設定で利用しやすいメリットがあります。
ただし、専用の施設がなく、火葬後の納骨や供養のサービスまで手が届かず簡易的な供養になってしまうのがデメリットといえるでしょう。また、ご近所への配慮が必要なこともあるため、訪問火葬を依頼する場合は、信用できる業者か事前に確認する必要があります。
火葬後はどうやって供養する?ペットの納骨方法
火葬を終えた後は納骨を行います。納骨方法は、以下の4種類です。
- 共同供養
- 個別供養
- 手元供養
- 自宅供養
それぞれの特徴を詳しく解説します。
他のペットたちと一緒に眠る共同供養
【ペット霊園で共同供養】
共同供養には、ペット霊園やお寺の境内にあるペット納骨堂に納骨する方法があります。納骨堂には「霊台」が設けられており、ご遺骨や遺影、お気に入りのおもちゃやお花などを一緒に供えることが可能です。
屋内に設置してあるため、天候や季節を気にする必要がなく、お手入れの手間も省けるのがメリットです。一方で、共同供養には安置料が必要になります。施設によって費用が異なるため事前の確認をおすすめします。
【ペット霊園で合祀埋葬】
ペット霊園での合祀埋葬は、屋外の動物慰霊碑へ他のペット達と埋葬する方法です。他のペット達と同じお墓に入るため愛犬が「寂しい思いをしなくて済む」と考えられるでしょう。また、合祀埋葬のメリットは、費用が比較的安価なことです。埋葬料、永代供養の費用も含め、10,000~15,000円ほどが相場とされています。
合祀墓のデメリットは、返骨ができないことです。合同埋葬ではご遺骨を骨壺から出して埋葬するケースが一般的なため、埋葬後は返骨が不可となります。
霊園や墓地に納骨する個別供養
ペット霊園に個別のお墓を用意し埋葬するのも、ペットの供養方法のひとつです。このとき、納骨代や墓石代、永代供養費用などが必要になってきます。
費用は100,000~600,000円と幅がありますが、人の埋葬供養と同じように墓石の裏側に、ペットの名前や命日、享年などを彫ることができるのが特徴です。ペットを数匹飼っている家庭では、ペットたちのお墓として個別墓を用意するケースが多く見られます。
遺灰や遺骨をアイテムにして身につける手元供養
遺骨をアクセサリーに納め、肌身離さず持っていられる手元供養も供養のひとつです。近年では遺骨や遺灰から作れる遺骨ダイヤモンドも注目されるようになりました。アクセサリーにして毎日身につけられるため、大切なペットを近くに感じられるとのことでこの方法を選択する方もいるようです。
住み慣れた家で遺骨を保管する自宅供養
自宅供養は、火葬サービスのみを依頼し、自宅で遺骨を保管する方法です。一緒に暮らした自宅に置いて、飼い主のそばで供養してあげられるのがメリットといえるでしょう。ペットロスを心配する方やお墓の管理が難しい場合におすすめの方法です。
また、埋葬費用や管理費がかからない点もメリットです。自宅供養で必要なのは、ご遺骨を納骨するための仏壇や、ペット用の位牌。埋葬費や管理費より安価に抑えることができます。
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ペットが亡くなってから供養するまでの流れ
ここからは、ペットが亡くなってから供養するまでの大まかな流れをご紹介します。いざというときに慌てずに対応できるよう、あらかじめチェックしておきましょう。
ペットを安置する
ペットが亡くなった際にまずするべきことは、ペットの安置です。息を引き取った後、直ぐに死後硬直が始まるため、なるべく早い段階で手足を伸ばして横にして、楽な体勢に整えてあげましょう。
死後は体液が出てくることもあるので、ペットの体型に合う箱にシーツやタオルを敷き、そっと寝かしてあげてください。ペットのお気に入りのクッションなどを入れてあげるのも良いかもしれません。
夏の暑い時期には、腐敗が早く進行するのを防ぐために保冷剤やドライアイスを入れて冷やしましょう。
葬儀会社へ連絡する
安置が終わったら、ペット葬儀会社へ連絡をし、火葬時間や斎場を予約しましょう。あまりに火葬まで時間が空いてしまうと遺体の腐敗が進む心配があるため、できるだけ早めの時間を選択すると良いかもしれません。
なるべく家族みんなが納得できるようなお別れができるよう、事前に葬儀内容を家族で相談し、希望に合った葬儀会社の候補を事前にいくつかピックアップしておくのがおすすめです。
葬儀を執り行い火葬する
火葬場に着いたら、読経や焼香を行いペットとお別れをし、その後火葬となります。一緒に過ごした家族が安心して旅路につけるよう、感謝の気持ちを伝えましょう。火葬時間はペットの身体の大きさにもよって異なりますが、約30分~1時間半です。
納骨し供養する
火葬が済んだら、遺骨を取り出し骨壺へ収骨します。家族が箸を使い、遺骨を骨壺へ納めてい区のが一般的です。
その後は、ペット火葬場の納骨堂で供養をお願いするか、家に遺骨を持ち帰るか家族で相談しましょう。骨壺を家に持ち帰った場合は、リビングに写真とともに飾ったり、ペット仏壇を用意してその中へ納めてあげたりするのもひとつの方法です。
ペットの葬儀にかかる費用は?
ここからは、ペットの葬儀にかかる費用の相場について解説します。火葬、供養方法、ペットの種類ごとの費用相場を表にまとめてみました。
火葬にかかる費用の相場
火葬には、飼い主が立ち会いのもとで、お別れ・火入れ・お骨上げまでを行う「立会火葬」、火葬場にペットを預けて単独で火葬し、骨壺に入れてもらう「個別火葬」、他のペットと一緒に火葬をする「合同火葬」の3つの方法があります。
リス・ハムスター・小鳥など ※体重1kg以下 | 合同火葬 | 8,000円~ |
個別火葬 | 15,000円~ | |
立会火葬 | 20,000円~ | |
超小型犬・猫・ウサギなど ※体重5kg以下 | 合同火葬 | 15,000円~ |
個別火葬 | 20,000円~ | |
立会火葬 | 35,000円~ | |
小型犬・中型犬 ※5kg以上25kg以下 | 合同火葬 | 20,000円~ |
個別火葬 | 25,000円~ | |
立会火葬 | 40,000円~ | |
大型犬 ※25kg以上 | 合同火葬 | 40,000円~ |
個別火葬 | 45,000円~ | |
立会火葬 | 55,000円~ |
供養にかかる費用の相場
供養を僧侶に依頼するのであれば、お布施を用意します。相場費用は5,000~30,000円が一般的です。
その他、供養の方法や霊園、お寺によっても費用相場が異なります。他のペットと共同供養塔へ納骨する「共同供養」、個別で供養する「個別供養」、自宅で骨壺や骨袋を準備し供養する「自宅供養」の種類別に費用を表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
共同供養 | 10,00~30,000円 |
個別供養 | 10,000円~ (維持費:年間10,000円~) |
自宅供養 | 数千円~ |
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ペットが亡くなったら気をつけたい3つのポイント
ペットが亡くなった際には、葬儀会社選びや役所に届けを出すなど注意するポイントがいくつかありますので、確認していきましょう。
信頼できる葬儀会社を選ぶ
ペットとのお別れに悔いを残さないためにも、葬儀会社選びは慎重に行う必要があります。まずは、サービスを提供している葬儀会社のサイトやプランをチェックし、きちんとした見積もりを出してくれるか、丁寧な対応をしているかなどを判断しましょう。周りの方の評判や口コミも聞いてみてください。
火葬の際は棺桶に入れられるものを確認する
火葬の際には、棺に入れられるものの制限があります。お気に入りの食べ物やお洋服、おもちゃなどを一緒に入れた場合は火葬後のお骨に影響が出てしまう可能性があるため、極力さけた方が賢明です。どうしてもお菓子などを入れたい場合は、容器から出して入れてあげましょう。
また、棺に入れるお花は淡い色のものがおすすめです。濃い色のお花の場合、色がお骨に移る可能性があります。
犬が亡くなった場合は役所に届け出る
愛犬が亡くなった場合は「狂犬病予防法 第四条」により、役所に届出を提出するのがルールです。犬を飼う際に行った市役所への登録申請後から、鑑札と狂犬病予防注射済票が必ず配布され、愛犬の死亡届を出さない限りこの登録は抹消されません。その結果、ワクチン接種を怠っていると見なされる可能性があるので、市役所の届出は速やかに行いましょう。
参照元:厚生労働省|狂犬病予防法(◆昭和25年08月26日法律第247号)
おわりに
ペットの葬儀には火葬方法をはじめ、納骨方法などにおいてさまざまな選択肢があるため、それぞれのメリット・デメリット、費用などを把握したうえで、納得のいくよう選択しましょう。最愛のペットとのお別れは辛いことですが、安心して天国に送り出してあげるためにも、葬儀方法を事前に家族で話し合ったり、ペット葬儀の流れを頭に入れておいたりするなど、いざという時に慌てないよう備えておくことが大切です。