スマホを使って電話をかける場合、080や090で始まる電話番号を使い、通話時間に応じた料金を支払うことが基本です。通話料金は原則として「30秒22円(税込)」と定められており、1分で44円、30分で1,320円の費用が発生します。かけ放題プランに加入していると、毎月の通話料金を定額に抑えることができますが、長時間電話をする方にとっては大きな出費となるのは変わりありません。
そこで活用したいのが、Wi-Fiを使って電話をかける方法です。特に電話をかける相手がスマホの場合には、無料で長時間電話で話すことも可能になります。本記事では、Wi-Fiを使って電話するメリット・デメリットや、海外で使用できる「Wi-Fi 通話」についてご紹介します。
1.Wi-Fiで電話ができる仕組みとは?
Wi-Fiで電話ができるといわれて、どんなサービスなのかイメージできない方もいるかもしれません。Wi-Fiを使った電話としてわかりやすいのが、LINEアプリを使った「LINE通話」です。LINE通話では、スマホがWi-Fiや4G・5G回線に接続していれば、電話番号を使わずに電話をかけることができます。通信量が無制限のスマホプランやWi-Fiを使っていれば、通話料金が一切発生しないことが特徴です。
LINE通話のようなWi-Fiを使った電話は、ドコモ・au・SoftBankなどが提供している通話回線ではなく、データ通信を使って通話する仕組みになっています。インターネットを使って、動画を見たりメッセージを送ったりするのと同じ感覚で電話ができるというイメージです。
Wi-Fiを使って電話ができるサービスには、LINE通話のほかにも、オンライン会議用アプリの「Zoom」や、iPhone同士で無料のビデオ通話ができる「Face Time」などがあります。こうしたアプリをスマホやパソコンにインストールすることで、Wi-Fiを使って無料電話をかけることができます。
2.Wi-Fiを使って無料電話をかける3つの方法
次に、Wi-Fiを使った無料電話を使用できる3つの方法について、具体的なサービスとともにご紹介していきます。それぞれのアプリのインストールや設定を済ませることにより、今日から無料電話を使えるようになるでしょう。
2-1.LINE・Zoomアプリを使う
手軽に無料電話がかけられるアプリには、LINEやZoomがあります。LINEアプリの場合、お互いに友だちとして連絡先を交換している相手であれば、いつでも無料で電話をかけることができます。若い世代の間では、「電話といえばLINE通話」というイメージを持っている方も少なくないため、お子さんやお孫さんとの通話でLINE通話を活用する機会も多くなるでしょう。詳しい使い方については、下記の記事も参考にしてみてください。
もうひとつの無料電話アプリであるZoomでは、LINEのように連絡先を交換していない相手との無料電話が可能です。片方がZoomの通話リンクを作成して、そのリンクを相手に送って開いてもらうことで、Zoom通話に参加できる仕組みです。もともとオンライン会議用のアプリのため大人数での参加にも対応していますが、一対一での電話でも活用できるアプリです。
2-2.iPhoneのFace Timeを使う
iPhoneに標準でインストールされているアプリの中に、「Face Time」があります。Face Timeは、iPhone同士であれば無料で通話・ビデオ通話ができるアプリで、仕組みとしてはLINE通話やZoomと同じです。Face Time通話では、相手の電話番号またはメールアドレスを入力する必要がありますが、通話料金が一切発生しない形で電話を楽しむことができます。
なお、Face Timeが使えるのはお互いがiPhoneを使っている場合のみで、Androidスマホを使っている場合には利用できない点に注意しましょう。
2-3.050番号を取得する
前述したスマホアプリを使ったWi-Fi経由の電話は、相手がスマホを持っている場合に利用できる方法なので、役所の窓口や企業のお問い合わせ窓口への電話では使うことができません。こうした用途でもWi-Fiで電話したい場合には、050番号を取得して「IP電話」を利用するのがおすすめです。
050から始まる電話番号を取得すると、その番号とWi-Fiのデータ通信を使って、通常の電話と同じように通話できるようになります。このような仕組みをIP電話と呼び、「050 plus」などのサービスに申し込むことで取得することが可能です。通常の電話回線を使うよりも安く通話できるので、2つ目の電話番号を持ちたい方や、電話料金を抑えたい方に向いています。
3.Wi-Fiで電話するメリット
次に、電話回線ではなくWi-Fiを使って電話するメリットについて、次の4つをご紹介します。
- 解約済みのスマホでも電話できる
- 画面共有・ビデオ通話にも対応
- 通話料金が無料または低額
- 気軽に国際電話ができる
それぞれ詳しく解説しましょう。
3-1.解約済みのスマホでも電話できる
Wi-Fiを使った電話はドコモ・au・SoftBankなどのキャリア契約を必要としないため、解約済みのスマホでも利用できるのがメリットです。Wi-FiモデルのiPadやAndroidタブレット、パソコンからも発信できることが特徴で、場所やシーンを選ばず電話をかけることが可能です。
3-2.画面共有・ビデオ通話にも対応
Wi-Fiを使った電話では、画面共有やビデオ通話を行うことも可能です。画面共有は、ご自身が使っているスマホやパソコンの画面を、そのまま相手にも表示する機能です。スマホ・パソコンの操作方法を教えてもらいたい場合や、資料を相手に共有したい場合に活躍します。ビデオ通話ができることも電話回線にはないメリットで、相手の顔を見ながら無料で会話することが可能です。
3-3.通話料金が無料または低額
LINE通話やZoomは、データ通信料を除いて通話料金は発生しません。自宅で光回線を利用しているなど、データ通信が無制限のWi-Fiを利用している場合には、データ通信料も実質的に無料となります。そのため30秒22円(税込)の電話料金が発生せず、コストを抑えて話せることが大きなメリットです。
050番号を取得してIP電話を利用する場合にも、通常の電話回線を使うよりも安く通話が可能です。たとえば「050 plus」のプランでは、国内の固定電話宛てであれば3分8.8円(税込)となっており、電話回線で3分電話した場合の電話料金132円(税込)と比べると、10分の1以下の費用に抑えることができます。
3-4.気軽に国際電話ができる
LINE通話やZoomといったアプリを使った通話であれば、国際電話であっても追加料金は発生しません。長距離間の電話では、音声の遅延が発生する可能性は高くなりますが、お互いにWi-Fiに接続していれば無料で国際電話をかけることができます。たとえば海外に留学しているお子さんやお孫さんと、LINE通話を使って無料で国際電話を楽しむことも可能です。
4.Wi-Fiで電話するデメリット
続いて、Wi-Fiを使って電話をかけるデメリットとして、以下の3つをご紹介します。
- 通話品質が劣る
- スマホのバッテリーを大きく消耗する
- 緊急ダイヤルにはかけられない
それぞれの注意点を踏まえて、無料のWi-Fi電話を利用しましょう。
4-1.通話品質が劣る
Wi-Fiを使った電話では、通話品質は使っているWi-Fiの通信品質に左右されます。Wi-Fiが低速で不安定な場合には、電話をかけても音声が途切れてしまったり、聞き取りにくい音声になってしまうことがあります。Wi-Fiの通信環境を改善することで通話品質を向上させることができるので、Wi-Fiルーターの交換やプロバイダの乗り換えも検討してみると良いでしょう。
4-2.スマホのバッテリーを大きく消耗する
Wi-Fiを使って電話をかけると、大量のデータ通信を頻繁に行うこととなるため、スマホに大きな負荷がかかります。その結果、スマホのバッテリーが消耗しやすくなり、通常よりも早くバッテリー切れになることも少なくありません。自宅でWi-Fiをする分には大きな問題にはなりませんが、外出先でWi-Fi電話を使う際にはバッテリーの残量にも注意しましょう。
4-3.緊急ダイヤルにはかけられない
LINE通話やZoom、050番号などは、いずれも110番や119番などの緊急ダイヤルに発信することができません。時報や天気予報にも非対応なので注意が必要です。なお、050番号であれば、警察署や消防署の固定電話に発信することは可能です。そのため050番号を電話回線の代わりとして使う場合には、事前に最寄りの警察署・消防署の電話番号を登録しておくと良いでしょう。
5.海外では「Wi-Fi 通話」機能が使えることも
ここまでWi-Fiのデータ通信を使って電話をかける方法についてご紹介してきましたが、実はiPhoneには電話回線の代わりとして使える「Wi-Fi 通話」という機能が搭載されています。Wi-Fi 通話機能を使うことで、電話回線の電波が入りにくい場所でも、Wi-Fiを利用して電話を発信することが可能です。
ただし、日本ではiPhoneのWi-Fi 通話機能には対応しておらず、国内では使用できない点にご注意ください。Wi-Fi通話機能を使えるのは、こちらのページに掲載されている国のうち、「Wi-Fi 通話」の項目がある通信事業者を利用している場合に限られます。海外旅行に行く際には、万が一のトラブルに備えてWi-Fi 通話に対応したSIMを契約すると安心です。
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6.Wi-Fiで快適に電話したいならWi-Fiの乗り換えもおすすめ
前述した通り、Wi-Fiを使った電話の通話品質は、接続しているWi-Fiの通信品質に大きく影響されます。そのため自宅のWi-Fiが遅くて困っている場合や、クリアな音声でWi-Fi電話を使いたい場合には、Wi-Fiの乗り換えを検討してみるのもおすすめです。
たとえば下記のような光回線は、通信品質が高く、快適にWi-Fi電話を楽しむことが可能となります。
- auひかり:独自の光ファイバー網を使った高速回線。auスマホとのセット割あり
- SoftBank光:Netflixをお得に契約できる特典も。SoftBankスマホとのセット割あり
- ドコモ光:提携するプロバイダが豊富。ドコモスマホとのセット割あり
それぞれの光回線の特徴やメリット・デメリット、月額料金については、下記の記事で詳しくまとめているので、ぜひ併せてご覧ください。
おわりに
Wi-Fi経由で電話をかける方法には、LINEやZoom、Face Timeといったアプリを使う方法や、050番号を取得してIP電話を利用する方法があります。いずれの方法も、Wi-Fiがあれば発信ができるため解約済みのスマホでも使えるほか、画面共有・ビデオ通話が可能で、国際通話も無料で楽しめるというメリットがあります。
ただしスマホのバッテリーを消耗しやすいほか、緊急ダイヤルには発信できないという特徴がある点にご注意ください。また、Wi-Fi電話の通話品質は接続するWi-Fiの通信品質に左右されるため、快適な通話のためにWi-Fiの乗り換えを検討してみるのもおすすめです。