品種改良や貯蔵技術の進歩により、りんごは一年中購入できるようになりました。国産りんごの代表品種「ふじ」を始め、多くの品種が肌寒くなる10月から寒さの厳しい2月ごろにかけて旬を迎えます。フレッシュな旬の味わいを存分に楽しみたいところですが、すべてのりんごが絶品とは限らず、甘さや食感が期待外れのものに当たることも。本記事ではおいしくないりんごにあたった時に役立つ、おいしくよみがえらせる方法をご紹介します。
おいしくないりんごを買わない選び方
おいしくないりんごをよみがえらせる方法を学ぶ前に、まず知っておきたいのはおいしいりんごの選び方。おいしいりんごの特徴を詳しくご紹介します。
おしり
りんごの完熟状態を見分けるうえで一番重要なのは、軸の反対側のおしり(果実の下の部分)です。おしりの部分は深くくぼんでいて、変形していないものを選びましょう。
おしりまで黄色く色づいているのが完熟のサインです。おしりに緑色が残っているものは、味わいにもまだ少し青みが感じられる場合が多いです。スーパーなどの店頭でりんごを見かける際、ツルがついた方が上向きで陳列されていると思いますが、ひっくり返しておしりをチェックするようにしてください。
ツル
ツルが太く、ツル元(果実の上の部分)が深くくぼんでいて、変形していないものが良いでしょう。ツルはりんごの実が枝とつながっていた部分です。つまりツルが太くしっかりしているのは、たくさんの栄養を受け取り、甘くおいしく育っている証なのです。太いツルがピンと張っている、新鮮なものを選びましょう。
自然なツヤとハリがある
自然なツヤとハリも重要なポイント。鮮度が落ちてきているりんごは時間の経過とともに水分が抜けるため、ツヤとハリがありません。
しかし、品種によっては、水分が抜けないようにするため、りんごの表面から油分が分泌されてテカリが出てくるものもあるので、新鮮さゆえのツヤなのか、時間が経過したテカリなのか見極めが必要です。その他のチェックポイントと組み合わせて確認するようにしてみてください。
色鮮やかで色ムラがない
全体的に色鮮やかなりんごは甘みが強く、味も濃いとされています。赤いりんごの場合なら、下の部分まで色ムラなく赤色になっているのが、糖度が高くなっているサインです。果実に緑の色ムラが目立つりんごは、未熟で酸味が強い場合が多いです。
しかし例外もあります。一般的なりんごは、果実周辺の葉を摘み取って、日光がまんべんなくあたるようにしますが、あえて葉を残す「葉とらずりんご」と呼ばれるものもあります。果実が葉に隠れてしまうので、赤と緑が混じったまばらな色になりますが、光合成により養分が果実に送られるので、色ムラがあっても糖度が高いのが特徴です。
音
見た目で判断がつかない場合には、指先で軽く叩いてその音で判断します。鮮度が落ちてきているりんごは水分が抜けたり、実が柔らかくなっているので鈍い音がします。
逆に鮮度の良いりんごは実が硬くしっかりしているので、高い音がします。この方法は蜜入りりんごを判断するのにも使えます。果実が高密度なほど高い良い音がします。
いぼり
ごく稀に、表面に凹凸があるりんごがあります。ボコボコしている状態は「いぼり」と呼ばれています。一見すると、あちこちをぶつけて傷んでいるのかと思われがちですが、「いぼり」はたっぷりと栄養分を吸収したりんごだけにできるもので、高確率で蜜が入っています。手に取るとずっしりと重さがあるのも特徴です。
1本の木すべてに実るわけではなく、成熟した枝だけに結実し、さらに摘果や肥料の調整など数々の条件が揃ってはじめて「いぼり」ができるので、店頭で見かけたらぜひ手に取ってほしい希少りんごです。
保存方法もおいしさを保つポイント
りんごをおいしく長持ちさせるには、適切な保存管理も重要なポイントです。常温でキッチンに置いておく方も多いですが、りんごにとって最適な環境は低温多湿。0~5℃の環境下で保管すると、おいしい状態を保つことができます。
自宅で保管する場合は、まず乾燥予防にキッチンペーパー等でりんごを包みましょう。そのうえでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保管するのがベストです。
おいしくないりんごをおいしくする方法
ここまではおいしいりんごの選び方、りんごのおいしさを保つ方法について説明してきましたが、甘さが足りないりんごに当たった時にはどうすればいいのでしょうか?ちょっとした工夫でりんごをおいしくする方法についてご紹介します。
しっかり冷やす
りんごは、冷蔵庫や涼しいところでしっかりと冷やすことで、より甘くすることができます。りんごに含まれている果糖は、低温で甘みが増すという性質を持っているからです。
また、りんごは温度変化に弱い果物です。冷蔵庫から取り出し、一日暖かい室内に置いたままにして、再び冷蔵庫に戻すなどすると、劣化が加速してしまいます。購入したりんごを冷蔵庫に入れたら、食べるタイミングまでは冷蔵庫から出し入れしないことをおすすめします。
ビニール袋に入れて数日おく
りんごに甘さが足りなかったら、ビニール袋やジップロックに入れて、冷蔵庫に数日入れておくと、りんご発するエチレンガスにより熟成を促進させて甘みが増します。この原理を利用して、梨や柿など他のフルーツもりんごと一緒にビニールに入れておくと甘くなります。
おいしくないりんごを活用する簡単レシピ
冷やしてもビニール袋に入れて数日おいても甘くならなかったり、パサつきなど食感が気になるようだったら、簡単レシピでおいしくアレンジしましょう。すりおろしたり、熱を加えることで、おいしくないりんごもおいしく活用することができます。
りんごチップス
【材料】
- りんご・・・お好きな量
【作り方】
- りんごを半分に切って芯を取り除き、スライサーを使って薄く切る。
- 天板にクッキングシートを敷いてりんごを重ならないように並べ、180度のオーブンで15分焼く。
- 温度を130度に下げ、追加で20分焼く。
お子さんのおやつにも最適なヘルシースナックです。りんごによって水分量が異なるので、焼き時間は様子をみて調整してみてください。
アップルティー
【材料】(約2リットル分)
- りんご・・・3個
- ティーバッグ・・・2,3個
【作り方】
- ①りんご3個を適当な大きさに切り、鍋に水2リットルを入れて煮出す。
- ②沸騰したら3分ほどで火を止めてティーバッグを入れ、規定の時間蒸らしてから取り出す。
ほんのりりんごの香りがする、即席アップルティーです。ホットでも冷やしても楽しむことができます。甘さを足したい時にはハチミツがおすすめです。
りんごのコンポート
【材料】(約2人分)
- りんご・・・1個
- 水・・・200mL
- 砂糖・・・大さじ4
- レモン・・・1/2個
【作り方】
- りんごは皮を剥いてくし切りに、レモンは1cm幅の輪切りにする。
- 鍋に水と砂糖を入れて煮たて、砂糖が完全に溶けたら①を加えて弱火で煮る。
- りんごが透き通ってきたら火を止め、冷ます。
甘く煮詰めたコンポートは、そのままでももちろんヨーグルトに入れても美味しく食べられます。はずれりんごだけでなく、消費に困った時などは、りんごコンポートを作って冷凍保存しておけば無駄なく楽しむことができます。
焼きりんご
【材料】(約2人分)
- りんご・・・1個
- グラニュー糖・・・大さじ2杯
- バター(有塩)・・・15g
- シナモンパウダー・・・適量
【作り方】
- りんごを皮付きのまま、厚さ1.5cm程度のくし切りにする。
- フライパンにバターを入れて弱めの中火で溶かしたら、りんごを重ならないようにして並べて片面3分ずつほど焼く。
- 半量のグラニュー糖を表面にかけたら裏返して焼き目をつけ、反面も同じように繰り返す。
- 両面に焼き目がついたら、火からおろし、器に盛り、お好みでシナモンパウダーをかける。
密閉容器に入れて冷蔵庫で3〜4日保存できるので、ちょっと多めに作るのもおすすめです。トーストの上に載せて生クリームを添えれば朝食にも最適な一品に。品種によってさまざまな味わいが楽しめます。
ドレッシング
【材料】
- りんご・・・1/2個
- オリーブ油・・・100cc
- レモン・・・大さじ2
- 塩・・・小さじ1
- 粗挽き胡椒・・・小さじ1/3
【作り方】
- りんごを皮ごとすりおろす。
- 遮熱消毒した瓶に全ての材料を混ぜ合わせる。
りんごの自然な甘みと風味で野菜が美味しく食べられるドレッシングです。生野菜のサラダはもちろん、温野菜とも相性も抜群です。醤油を加えたアレンジもおすすめです。
旬のりんごをもっとおいしく自由に楽しもう
りんごは私たちにとっておなじみの果物です。生食ではおいしくないと感じるハズレりんごに出会っても、調理することでおいしく楽しむことができます。この冬はりんごのいつもと違った新しい一面を、紹介したレシピと共にぜひお楽しみください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。