更新日
公開日

効率と節約を叶える暖房器具の使い方

効率と節約を叶える暖房器具の使い方
神原 サリー

監修者

家電ライフスタイルプロデューサー

神原 サリー

家電ライフスタイルプロデューサー。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、東京・広尾の「家電アトリエ」をベースにテレビやラジオ、雑誌やウェブなどさまざまなメディアで情報発信中。商品企画やコンサルティングの仕事も多数。公式YouTubeチャンネル「神原サリーの家電アトリエchannel」も好評。睡眠改善インストラクターの資格も取得。

暖房器具は、冬の電気代を大きく左右する要因のひとつです。電気代を抑えながら、効率的に暖房を使うためにはどうすればいいのでしょうか?暖房器具の選び方のポイントから上手な使い方、暖房費用を節約する工夫についてご紹介します。

冬の消費電力は暖房器具が3割以上

冬の消費電力は暖房器具が3割以上

経済産業省 資源エネルギー庁の調査結果を見ると、夏はエアコンなどの冷房による消費電力が3割以上、また冬もエアコンを含む暖房器具の割合が3割以上でその割合はほぼ同等です。ただ夏よりも消費電力が大きいのは冬。暖房器具は熱を生み出し電気エネルギーを消費するので、夏よりも電気代がある程度かかるのは仕方がないことです。ただ今どきの暖房器具は進化しています。ちょっと使い方を見直すだけで、もっと暖房の効率を上げることができ、節約にも繋がりそうです。

省エネルギー政策について

出典:省エネルギー政策について|省エネルギー・新エネルギー|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

お部屋を上手に暖めるには?

お部屋を上手に暖めるには?

暖房器具といってもエアコン、電気ストーブ、電気カーペット、こたつ、さらに床暖房など、その種類は多種多様。また、節電を考えるなら部屋中がむんむんするくらい暖めるのはNGです。

各部屋や場所を効率良く、さらに節約を意識した暖め方を確認していきましょう。

リビング全体を暖めるポイント

リビング全体を暖めるポイント

おすすめ暖房器具…エアコン

エアコンのしくみ…熱を運ぶポンプのような働きをする「ヒートポンプ」を採用。暖房時には室外の空気の熱を室内へと広げます。スイッチを入れてすぐは他の暖房器具と同様に消費エネルギーがかかるものの、その後の暖房効率が良く、低いワット数を保っていられるため、省エネ性能が高いのが特徴です。 

みんなが集まるリビングでメインにしたい暖房器具は、エアコン一択!その理由は暖房器具の中でも、部屋全体を暖めるのがもっとも得意だからです。足元が暖まりにくいことがエアコン暖房の弱点といわれていましたが、近年のエアコンは床をすべるように暖気が流れる工夫が施されており、速暖性も高く、風感も気にならないものばかりです。 

エアコン暖房で効率性を高めるポイント

暖房の設定温度は「20℃」

低すぎない?とびっくりされる方も多いかもしれませんが、「20℃」でほんのり暖かい部屋を維持できます。寒がりな方でも22℃までを目安にしましょう。

加湿器を併用する

湿度を40~60%にすると体感温度が高まります。

サーキュレーターを使用する

エアコンの反対側にサーキュレーターを設置すれば、暖気を効率良く循環できます。そもそもサーキュレーターは、冬の暖房器具と併用するために開発されたものです。DCモーター搭載のタイプはエネルギーをあまり使わず、運転音も静かです。

スマホの遠隔操作を活用する

外出先からスマホでエアコンをつけておけば、帰宅後すぐに暖かい部屋で過ごせます。その機能がない場合は、エアコン本体のタイマーを上手に活用しましょう。

●パーソナル暖房を併用する

エアコンだけで寒いと感じたときは、自分の周囲を暖めるパーソナル暖房も合わせて使ってみましょう。ブランケットタイプなどは思いのほか電気代がかかりません。 

エアコンの消費電力を節電したいときは?

24、25℃は高い温度設定で、暖房効率や節約の面から見てもNGです。外気温とエアコンで作り出す温度差が大きくなればなるほど、消費電力はアップします。

例えばエアコンの室内温度を1℃下げるだけでも年間約1,650円の節約(※)ができます。エアコン暖房「20℃」を基本に、冬場の節電の工夫や習慣も改めて見直しましょう。

●暖気を逃がさない!

  • ドアや窓の開閉を少なくする
  • 窓からの冷気を防ぐため、床まで届く長めの厚手のカーテンを使用する

●暖房効果を低下させない!

  • エアコンの肝となるのが室外機。熱の出入りをスムーズにするために、室外機周りに物を置かない
  • フィルターは1週間に1回、少なくとも2週間に1回は清掃する

※外気温度6℃の時、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日)/省エネポータルサイト(資源エネルギー庁) 

これは間違い!エアコンの節電意識

×速暖したいから温度設定を高くする

温度を高めにしても早く暖まりません。

×こまめな電源オン・オフ

室温を設定温度に近づけようとするときが、一番エネルギーを使用します。エアコンはインバーターで制御されており、適温で長時間使っているとエネルギーをあまり消費しないので、30分程度の外出なら、つけっぱなしのほうが電気代はかえってお得です。

×風量を弱にする

風量を抑えてもさほど消費電力は抑えられません。風量はエアコン任せの「自動」が効率的です。

×消費電力が高いので電気ストーブを使う

エアコンは電気ストーブよりも消費電力が低いです。また小型のヒーターを使いすぎるほうが、電気代がかかってしまう場合があります。

エアコンの型が古い場合は?

エアコンの機種が10年、15年選手というご家庭も少なくないかもしれません。古いエアコンは、暖房効率が低下していることが考えられます。

効率良く暖めるために、暖かい空気は上に流れるということを考慮して、エアコンのフラップ(羽)を下に向けたり、人がいるほうに風を向けるなど、こまめな調整で対応しましょう。また風量を上げても電気代は1W程度しか変わらないので、風量を「強」にするのもおすすめです。暖気を巡らせるサーキュレーターなども活用してみてください。

さまざま暖房器具の効率性

さまざま暖房器具の効率性

ヒーターは、リビング暖房器具のもうひとつの主役。ただし “ヒーター”と名がつくものは基本的にエネルギーがかかるため、電気代はエアコンよりも高めと覚えておきましょう。

例えば電気ヒーターは、600、800、1200などワット数で働きますが、1200Wといったらドライヤーをずっとつけっぱなしで使っているのと同じエネルギーになります。節電したい場合は、特徴を理解して効率良く活用しましょう。

●ファンヒーター

石油、ガス、電気の3種類。温風が出てくるまでに機種によって数十秒、数分かかる。暖まるスピードが早い

●遠赤外線ヒーター(電気ストーブ)

ハロゲン、カーボンなど形状がさまざまあり、スイッチを入れると同時に暖まる。近距離を暖めるので、狭い部屋や身の周りでの使用が最適

●オイルヒーター

器具内のオイルを加熱して暖める。暖まるまでに時間を要する。無風で暖気がまろやか

●オイルレスヒーター

外観はオイルヒーターに似ているが、アルミやシーズヒーターを搭載。取り込んだ空気を暖めて放出する。速暖性に優れている

●床暖房

電気式と温水式の2つがあり、足元から体を温めるので、設定温度が低めでも快適。運転を止めてもすぐに冷めることなく、暖かさが持続する。省エネを考えるなら、カーペットやラグマットなどは敷かないほうが効果的

サブ暖房におすすめの器具

サブ暖房におすすめの器具

今注目を集めているのがサブ暖房機器。パーソナル暖房と呼ばれるものもあります。設定温度20℃のエアコンでは寒いというとき、自分の周囲だけ、局所を即効で暖めたいときに活躍します。また下半身を集中して温めると、より効率良く身体全体が温まります

●電気こたつ

人気が復活している電気こたつは、あまり電気代がかからない暖房器具のひとつ。床に座わるのが億劫だったり、寝てしまうのを回避したい方は、ダイニングテーブルタイプを。布団レスでも使用でき、冷えやすい膝や太ももあたりをじんわり温めます。人感センサー機能が付いているものならば、消し忘れの心配もなし

●電気カーペット

電熱線に通電し発熱するため、それなりに電気代がかかる。半面だけを使えるモードなどを活用し、無駄な電気代をカット

●電気ブランケット

腰に巻いたり、肩にかけたり、ひざ掛けにしたり、肩や首、3首の温活にも。ワット数が少ないので、電気代も低め

寝室を効率的に暖める

寝室を効率的に暖める

おすすめ暖房器具…エアコン、オイルヒーター、オイルレスヒーター

喉の乾燥が気になる、身体に良くなさそうなどの理由で、寝る前に暖房器具をオフにしていませんか?就寝中も暖房器具の使用は必須で、夜中にトイレに起きたときに寒いという心配もなく、その後布団に入ったときに寝付けなくなるということも避けられます。就寝中のエアコン暖房の温度は17、18℃で設定、温度が安定すればエアコンをつけっぱなしでも電気代はそこまでかかりません。

乾燥が気になる方は、小型の加湿器を用意したり、またはオイルヒーターやオイルレスヒーターを選択しましょう。コンパクトな子ども部屋などもオイルヒーターを弱モードにし、ゆっくりあたためておくのがおすすめです。オイルヒーターは、一度暖まると蓄熱性が高く、まろやかな暖かさが続きます。無風なので加湿器が不要な場合もあります。

また暖房器具ではありませんが、寝る前に布団乾燥機で足元のほうを10分程度暖めておくのも賢い暖房方法です。頭寒足熱がいいといわれるように、足元を温めることで寝つきが良くなり、安眠を誘います。

脱衣所・トイレ・キッチンを暖める

おすすめ暖房器具…ファンヒーター(セラミック)、遠赤外線ヒーター

気温の変化によって血圧が上下してしまうヒートショックの対策として、脱衣所に暖房器具を設置したいところです。トイレも同じ理由で暖房器具を用意。人感センサー付きならすぐに温まりますし、電気代も無駄がありません。

それからキッチンでの作業中に足元が寒いというニーズには、膝くらいまでの縦型スリムな電気ストーブを。場所を取らず、持ち運びも簡単ですから、脱衣所のものと併用してもいいでしょう。運転モードを弱にすると300W程度の電力しかかかりません。ヒーター性能がついたキッチンマットも使い勝手がいいですね。

暖房器具を新調するときのポイント

暖房器具を新調するときのポイント

「節電したいけれど、効果的なやり方がわからない」というお悩みには、「省エネ」を謳う最新の暖房器具からチェックしてみましょう。特に10年以上使っているエアコンは、壊れていなくても買い替えを検討してみるのが得策です。昨今のエアコンは速暖で省エネ性が高く、場合によっては電気代を半分程度に抑えられるものもあります。

まとめ

まとめ

夏は熱中症対策でエアコンをつけることの推奨が広まりましたが、冬はいまだに暖房器具の使用に後ろめたさを感じている方も少なくないようです。でも寒さを我慢するのはストレス。主役の暖房器具の設定温度を抑え、ワット数が少ない暖房をサブで用いれば、快適さとともに節電できると意識を変えていきましょう。暖房器具をもっと有効に活用できるようになると、暮らしの質も良くなります。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

よく読まれている記事

みんなに記事をシェアする