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ヘルシー&美味しい!素材本来の味を引き出す「せいろ」の正しい使い方

ヘルシー&美味しい!素材本来の味を引き出す「せいろ」の正しい使い方
山岸 義浩

監修者

竹虎四代目

山岸 義浩

竹虎株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。幼少期より家業の竹材業に親しみ、自然と竹の世界へ。大学卒業後、家業に入社。経営の厳しさ、竹への熱い思いなど様々な経験を経て、2005年に代表取締役社長に就任。現在は、伝統を受け継ぎつつ、現代のライフスタイルに合う竹製品の開発にも力を入れている。

野菜や茶わん蒸しに中華まんなど、蒸し料理に欠かせない「せいろ」。素材本来の味を引き出し、ヘルシーな料理が楽しめる蒸し料理は、今や世界中の老若男女問わず人気があります。

今回は、そんな蒸し料理に欠かせない「せいろ」について、創業明治27年から続く老舗竹屋の四代目の山岸さんにお話を伺い、せいろの種類や選び方、使い方、お手入れ方法など、詳しく解説していきます。さらに、「せいろ」を初めて使う方でも安心な、簡単に作れるレシピもご紹介します。「せいろ」を上手に使って、毎日の食卓をもっと豊かにしませんか?

そもそも、せいろってなに? 

そもそも、せいろってなに? 

せいろとは、蒸し器の一種で、主に竹や木で作られる調理器具です。

お湯を沸かした鍋の上に置いて蒸気を利用し、食材を蒸すために使います。せいろを使う最大のメリットは、素材本来の味を引き出すことができること。蒸すことによって、栄養素が逃げず、ヘルシーに仕上がります。また、蒸気の力で食材が均一に加熱されるため、食材の旨味や甘みが引き立ちます。

せいろの種類と選び方

せいろの種類と選び方

ほかほかと湯気が立ちのぼるせいろ。 蒸し料理がおいしいのはもちろん、なんだかおしゃれで、食卓もあたたかい雰囲気になりますよね。せいろには、主に和せいろ中華せいろの2種類があります。

和せいろは、ふんわりとした木の香りが漂い、背が高いもの、ボリュームがある素材が得意。冷めても味が落ちにくく、茶碗蒸しやおこわなどを短時間で蒸しあげることができます。一方、中華せいろは木製またはステンレス製、通常は円形で、和せいろよりも大きいサイズです。二段、三段と重ねて使え、そのまま食卓に出せるというメリットも。中華せいろは、飲食店などで見られることが多く、蒸し料理などに幅広く使用されます。

素材

せいろは主に竹、杉、ステンレスなどの素材で作られています。

竹は自然素材で、軽量かつ熱伝導が良いため、素材を均等に蒸すことができます。ただし、水に濡れた状態に弱いため、使用後は必ずお手入れが必要です。杉は、竹と比べるとより強度があり、耐久性に優れています。一方で、特有の香りが料理に移ることがあるので注意が必要です。ステンレス製は、耐久性が高く、洗いやすいというメリットがありますが、熱伝導は竹や木よりも劣ります。

サイズ

せいろは、18cm~30cmと、一人暮らし用から家族向けまでさまざまなサイズがあります。小型のせいろは一人分の食材を蒸すのに適しており、コンパクトなキッチンでも使いやすいのがポイントです。一方、大型のせいろは、家族向けの食事やパーティー用に適しています。用途に応じてサイズを選ぶと、蒸し料理を効率良く楽しむことができます。

形状

せいろは、丸型と角型の2つの形状があります。丸型は、蒸し器全体の熱が均一に伝わりやすいため、幅広い食材に適しています。一方、角型はスタッキングが可能なため、収納に便利で、限られたスペースでも使いやすいです。形状によって蒸し方が異なるため、これも選ぶ際の重要なポイントです。

せいろは誰でも簡単に美味しく調理できます。お一人で蒸籠を楽しまれる方には、15cmをお使いの方が多く、ご家族2~3人でお使いの場合には18㎝を2段でご使用されています。少し足りない場合でも、蒸し上がりは早いので無理に大きなサイズをお求めいただく必要はありません。

せいろの正しい使い方

せいろの正しい使い方
(写真提供:竹虎 (株) 山岸竹材店)

自分にぴったりの蒸篭が見つかったところで、ここからはせいろの正しい使い方を、創業明治27年から続く老舗竹屋の四代目の山岸さんにご紹介いただきます。

新しいせいろを購入した方や、せいろを初めて使う方はぜひチェックしてみてください。

1.軽く水にくぐらせる

軽く水にくぐらせる
(写真提供:竹虎 (株) 山岸竹材店)

初めて使うときは一度、サッと水にくぐらせ風通しの良い日陰でよく乾かして下さい。そして、使用する直前にもう一度水に濡らします。すると、木材の膨張・収縮を防ぎ強度が増し縁の浮き上がり防止になります。二回目以降は、直前に濡らすだけで結構です。長時間のつけ置きは強度が落ちてしまうのでご注意ください。

2.湯を沸かす

鍋に8分目くらいほどのたっぷりのお湯を沸かします。蒸気が十分に上がってから蒸すことがポイント。蒸し時間が長い料理の場合は、予備の湯を沸かしておいて湯が少なくなってきたら足すようにします

3.野菜を並べる

せいろにお好きな野菜を並べます。野菜はお好きな形にカットしてください。この時クッキングシートやキッチンペーパーを敷いてから野菜を並べると、せいろが汚れにくいため後片付けもサッと終わります。

4.蒸す

蒸している間は、十分に蒸気をこもらせて、竹串などを刺しながら火の通り具合を確かめてください。蒸し時間によってシャッキリした食感やほっくりした食感を楽しむことができます。

二段、三段のせいろは、何種類かの材料を一度に蒸すことができ便利です。アクのでる材料は下の段に、時間差をつけて火の通りにくいものから順に蒸します。また、風味や香りをなじませたいときには上に重ねて蒸します。

お米やもやしなど食材が小さい時には、手ぬぐいやふきんを蒸しかごに敷いてから蒸すと、蒸し終わったときに布巾ごと持ち上げて簡単にとり出せるので便利です。肉まん(豚まん)やシュウマイなど、底にはりつきそうな食材の場合は、蒸しかごにキッチンペーパーを敷いて蒸すと底に付着することなくきれいに蒸しあがります。

せいろのお手入れと保管方法

せいろのお手入れと保管方法

せいろを長く使い続けるためには適切なお手入れと保管が欠かせません。ここでは、せいろを長持ちさせるための洗い方と保管方法について詳しく解説します。

せいろの正しい洗い方

せいろを使った後は、以下の手順で手早く洗い、しっかりと乾燥させることが大切です。

  1. せいろをサッと手早く水洗いします。洗剤は基本的に不要ですが、油汚れがひどい場合は中性洗剤を薄めて使用し、よく洗い流してください。
  2. 洗い終わったら、清潔な布巾で水分を丁寧に拭き取ります。
  3.  直射日光を避け、風通しの良い場所で十分に乾燥させます。特に乾燥した日には、立てかけて半日以上置くと効果的です。

カビを寄せ付けない保管方法

竹やヒノキなど、天然素材でできているせいろは、適切な手入れを怠るとカビの温床となることも。使用後は、せいろをしっかりと乾燥させましょう。湿気が残っているとカビの原因になります。特に、乾燥した日には立てかけて半日以上置くと良いでしょう。

また、風通しの良い場所で乾かすことも大切です。せいろを保管する際は、ビニール袋などの密封された状態ではなく、新聞紙や布で包んで保管しましょう。密閉してしまうと湿気がこもり、カビが発生しやすくなります。棚の上段など、湿気が少なく、通気性の良いところを選びます。

保管中も定期的にせいろを点検し、カビの兆候がないか確認します。特に高温多湿の季節には注意が必要です。カビが見つかった場合は、すぐに掃除して再度乾燥させることが大切です。

まずは試して!せいろを使った簡単レシピ集

まずは試して!せいろを使った簡単レシピ集

最後に、竹虎(株)山岸竹材店スタッフおすすめのせいろをもっと楽しむためのおすすめレシピをご紹介します。

定番!蒸し豚&野菜

定番!蒸し豚&野菜
(写真提供:竹虎 (株) 山岸竹材店)

●材料(1人前)

キャベツ…適量
豚バラ肉…適量
にんじん…適量

  1. 野菜や豚肉を重ねてミルフィーユ状にしながら、せいろに詰めていきます。
  2. せいろの蓋をし、中火で5分ほど蒸します。野菜は蒸されると小さくなっていくので、蓋がなんとか閉まるぐらいまで具材をたくさん入れても大丈夫です。

お好きな野菜を好きなだけ!とても簡単に作れるおかずメニューです。季節の野菜や、肉などお好みでどうぞ。

ほっこり♪にんじん蒸しケーキ

ほっこり♪にんじん蒸しケーキ
(写真提供:竹虎 (株) 山岸竹材店)

●材料(4個分)

にんじんおろし…1本分
ホットケーキミックス…150グラム
玉子(Мサイズ)…1個
牛乳(または水)…100ミリリットル

  1. 材料をひとつのボールに移して混ぜ合わせます。ダマにならないよう全体を泡だて器で綺麗にかき混ぜて、角が立たない程度のモッタリとした生地になればOKです。
  2. 生地をマフィンカップに移します。蒸しあがると生地が膨らむので、量はカップの半分ほどを入れるようにします。

野菜を生で食べるのがどうしても苦手な方は、ケーキやパン生地におろした野菜を混ぜるだけの簡単スイーツがオススメです。短時間で蒸しあがり、消化も良いにんじん蒸しケーキは、お子様のおやつや夜食にも喜ばれます。

竹香る蒸しプリン

竹香る蒸しプリン
(写真提供:竹虎 (株) 山岸竹材店)

●材料(8個分)

■プリン生地
虎竹茶…ティーバッグ3袋
卵…4個
牛乳…680ml
砂糖…105g

■カラメルソース
砂糖…95g
水…40ml

  1. 砂糖と水を、鍋ごとゆすりながら中火にかけます。同時に、カラメルの柔らかさを調整するためのお湯を適量沸かしておきます。(分量外)
  2. カラメルが飴色になってきたら火を止め、分量外のお湯をこれに加えます。
    ※カラメルが強く飛び跳ねて火傷をする恐れがあるので、カラメルの鍋に蓋をした状態でお湯を注いでください。
  3. カラメルをプリンカップに注ぎ、冷蔵庫で冷やしておきます。
  4. 卵と砂糖をボウルに入れ、よく混ぜます。
  5. 鍋に牛乳と虎竹茶を入れ、中火で5分ほど煮出します。
  6. 漉し器を使って【5】から茶葉を取り出します。
  7. 【4】に【6】の牛乳を少しずつ加えながらよく混ぜます。
  8. 茶漉しを使いながら、【3】のプリンカップに【7】のプリン液を注いでいきます。
  9. 【8】にアルミホイルで蓋をします。
  10. 蒸し布を敷いたせいろにプリンカップを入れ、蒸し布で包み込むようにしてください。弱火で30分ほど蒸します。

焼プリンとは違う、なめらかな蒸しプリンは子どもから大人まで美味しく食べられます。

せいろは、日本の伝統的な調理器具でありながら、現代の食生活にも非常に適した調理法です。健康志向の高まりとともに、蒸し料理の需要はますます高まっています。せいろを使うことで、食材の栄養価を保ちながら、素材本来の美味しさを引き出すことができます。ぜひ、せいろを使った蒸し料理を楽しんでください。

まとめ:蒸し料理の魅力を最大限に引き出す!せいろで料理の幅を広げよう

まとめ:蒸し料理の魅力を最大限に引き出す!せいろで料理の幅を広げよう

せいろを使って、毎日の食事をもっと楽しく、そして健康的にしませんか?今回は、せいろの選び方から、美味しい蒸し料理を作るためのコツ、そしてお手入れ方法までをわかりやすく解説しました。

せいろ料理は、あなたの料理のレパートリーをぐっと広げてくれるはずです。せいろは、食材の旨味を最大限に引き出し、栄養価を損なわずに調理できる優れた調理器具です。本記事を参考に、ぜひせいろを使った蒸し料理に挑戦してみてください。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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