「ボードゲーム」と聞くと、子ども向けの遊び道具というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、近年では大人も楽しめるような戦略性の高いゲームや、コミュニケーションを深めるためのゲームなど、さまざまな種類のボードゲームが登場しています。
実は、ボードゲームは年齢や性別を問わず、多くの人々が楽しめる素晴らしい遊びなのです。
この記事では、ボードゲームの魅力や、初心者でも楽しめるおすすめのゲームなどを、ボードゲームカフェ「ふふふ」オーナー・大小さんにお伺いしました。「ボードゲームに興味はあるけれど、どんなゲームを選べば良いかわからないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
ボードゲームとは?

ボードゲームとは、テーブルや平らな面で遊ぶことを目的とした遊びやゲーム全般を指します。盤上でコマやカードを動かしながら進めるスタイルを基本とし、戦略性、運、創造力、コミュニケーションを必要とするものが多く、大人から子どもまで、幅広い世代が一緒に楽しめるのが大きな特徴です。
ボードゲームの種類をチェック

ボードゲームにはさまざまな種類があり、それぞれが異なる楽しさを提供してくれます。
例えば、
・ダイスなどを使う運の要素が強いもの
運の要素が強いボードゲームは、初心者でも遊びやすく、毎回異なる展開を楽しめるのが魅力です。単純な運だけでなく、リスク管理や心理戦を絡めたゲームもあり、幅広い層に人気があります。
・知識や推理を活用して勝利を目指す戦略もの
知識や推理を活かす戦略系は、運の要素が少なく、プレイヤーの実力が結果に大きく影響するのが特徴です。相手との駆け引きや長期的な計画が求められるため、じっくり考えながら遊ぶのが好きな人におすすめです。
・プレイヤー全員が同じ目的のために協力し合う協力型
協力型ボードゲームは、プレイヤー全員が共通の目標を達成するために協力し合うゲームです。知恵を出し合い、戦略を練りながら困難を乗り越えるのが醍醐味の一つ。勝敗はチーム全体のものとなり、対戦が苦手な人やチームワークを楽しみたい人におすすめです。
代表的なものとして以上の3つが挙げられますが、最近の傾向は時代とともに変化しつつあると大小(たいしょう)さんはいいます。
近年のボードゲームでは、戦略的な要素が増え、人との距離感やバランスを考えたゲームが多くなったと感じます。戦争的なテーマから距離を置き、相互コミニュケーションが強いものより、箱庭的な要素を取り入れたものも増えてきました。これによって、プレイヤー同士の関係が穏やかになり、より深い体験ができるようになってきました。
また、日本では「日本語に依存したボードゲーム」が増えてきていますね。パーティー向けの人数が多くても楽しめるゲームや軽いゲームが流行したり、コロナ禍以降は一人用ゲームが登場しています。「プリントアンドプレイ」という、データをダウンロードして自分で印刷して遊ぶ形式のゲームもあるんですよ。社会情勢に応じてボードゲームのスタイルや提供方法も柔軟に変化していて、人と会えないときにも楽しめるようになりました。
ボードゲームの魅力とは?

デジタルゲームが普及する現代において、ボードゲームはアナログならではの温かさを感じさせてくれます。実際に駒を動かしたり、カードを手で触ったりする感触は、デジタルゲームでは味わえないもの。そんなボードゲームの魅力を掘り下げていきましょう、
子どもから大人まで一緒に遊べる
世代を超えて楽しめる要素が詰まっており、子どもも大人も一緒に遊ぶことができるため、家族の時間を楽しいものに変える特別なツールがボードゲーム。簡単なルールで、子どもが自信を持って挑戦することができたり、大人が本気で勝負を楽しんだりと、どの世代にも合った体験を提供してくれます。また、高齢者も気軽に参加できるゲームも多く、家族全員でコミュニケーションの輪を広げることができます。
見守るのではなく、同じ熱量で一緒に遊べる遊びはなかなか少ないです。頭を使い、体力勝負でないボードゲームは特に貴重で、年齢や体力に関係なく楽しめる点が魅力ですね。
対面だからこその楽しさと心理戦
ボードゲームは、プレイヤー同士が直接向き合い、対話を重ねながら進めるスタイルが特徴です。このコミュニケーションを通じて、ルールを守る力や相手への配慮、時には競争心が育まれます。また、一緒にプレイすることで、自然と笑顔や会話が生まれ、家族や友人との絆を深める貴重な時間を作り出します。このような経験が、ボードゲームを特別で思い出に残るものに変えてくれるのです。
ゲームといえばオンラインゲームが主流になりつつありますが、やはり顔を合わせて楽しむボードゲームには独自の魅力があります。実際に対面でプレイすると、相手が真剣に考えているのか、ぼーっとしているのかなど、微妙なニュアンスが伝わるのが楽しい部分。オフラインだからこその楽しさがあり、物を渡し合ったり、気持ちの高まりや目の動き、表情などの細かい部分も共有できるのが大きなポイントです。この「その場にいる感覚」を共有できることこそが、特別な体験といえるでしょう。
子どもの育脳や知育にも役立つ
ゲームを通して、論理的な思考力や問題解決能力を養うことができたり、協力型ゲームではチームワークの大切さを学ぶこともできます。また、子どもがゲームで楽しむ中で自然とルールを守る習慣を身につけたり、社会性を育むきっかけになるのも魅力です。親子で一緒に楽しむことで、子どもの成長を実感する良い機会にもなります。
子どもの場合、最初は理解できなかったことが「パッとひらめく瞬間」が訪れる時がありますね。また、どの言葉なら子どもに伝わりやすいか、どの言葉が難しいかを試しながら表現を工夫する過程が面白いです。親がどのように説明するかを見るのも新たな発見があります。
また、ゲームにはそれぞれ対象年齢が書かれていますが、例えば5歳の子が7歳からが対象のゲームができたときはちょっと誇らしい気分になって、自己肯定感が高まると思いますよ。
ボードゲームを選ぶ際のポイントとは?

全世界では、毎年1000種類以上が誕生し、その総数は1万種類を超えるといわれているボードゲーム。実際にどんなものを選んだらよいのか迷ってしまいますよね。ここからは初心者が選ぶ際のポイントを解説します。
遊ぶ人数と遊べる年齢を確認
基本的にボードゲームには2人で遊べるものから、大勢で楽しめるものまで幅広い種類があります。また、対象年齢が示されていることで、子どもから大人、高齢者まで、楽しめるゲームを選ぶ基準にもなります。例えば、小さな子どもでも理解しやすいルールのゲームや、大人同士で戦略を楽しめる複雑なゲームなど、誰とゲームをするのかなど用途に合った選択が重要です。家族や友人でプレイする場合、参加人数と年齢に対応したゲームを選びましょう。
遊ぶ人にあったテーマや難易度
遊ぶ人の年齢や経験に応じて、テーマや難易度を選びましょう。小さな子ども向けには動物や食べ物など親しみやすいゲーム、小学校高学年や中学生には、戦略や推理を必要とする少し複雑なゲームもおすすめです。大人向けには、深い戦略や経済的要素が求められるゲームがぴったりです。
ボードゲームには対象年齢やプレイ時間、推奨人数は必ず記載されています。しかし、14歳以上と記載があっても難易度はかなり高めです。大人でもいきなりプレイしても楽しめないかも知れません。かなり頭を使うゲームが多く、特に初心者の方はすぐに理解するのは難しいでしょう。
ボードゲームを始めるなら、大人ならまずは10歳以上向けのものから挑戦すると良いですよ。
コンポーネントやイラストに魅力を感じるか
ボードゲームを選ぶ際には、コンポーネント(付属するコマやゲームボードなどの総称)やイラストの魅力も見逃せません。美しいデザインや触って楽しい部品があると、全員のテンションが上がります。子どもだけでなく大人も楽しく遊べるよう、見た目にもこだわったゲームは人気があります。
独自の世界観であったり、コンセプトに惹かれて選ぶのもアリですね。日本のゲームは日本語で言葉遊びをするものが多いですが、海外のゲームは言語依存が少なく、海外文化に触れることができるのも魅力の一つです。また、ドイツのゲーム会社がエジプトをテーマにしたゲームを作ったりするのも非常におもしろいですよね。好きなゲーム作家を見つけてその人の作品を選ぶのもいいですし、専門誌も存在するので、そこで調べてみるのも手です。
初心者にもおすすめのボードゲーム4選

小さな子どもから高齢者まで、幅広い層が楽しめるのがボードゲームの魅力ですが、初心者はどんなものを選んだらよいのでしょうか?世界各国のボードゲームを知り尽くす大小さんに年齢やシチュエーションごとのおすすめを紹介していただきました。
子ども向け

商品名:「宝石ゴンゴン」
年齢 | 5歳~ |
人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 15分 |
ゲーム概要 | 木製ハンマーで箱の側面を力強く叩き、振動で山積みの宝石を崩しながら、狙った宝石を一撃で落とすゲーム。ただし、落としすぎると失敗になるため、力加減と狙いが重要! |
ポイント
箱を開けると、まずハンマーが入っているのが目に入り、それだけでテンションが上がります!ゲームでは、何回叩いてもOKですが、1個でも宝石が落ちると自分の番が終了してしまいます。とはいえ、たくさんの宝石を手に入れるため力いっぱい叩けばいいわけではなく、8個までなら獲得可能ですが、9個以上落とすと1つももらえません。ギリギリの力加減で攻めるのがポイントです。力加減がわからないと勝てないため、ちょうどいい力の調整を学ぶ楽しさもあります。
大人向け

商品名:「-Splendor-宝石の煌き」
年齢 | 10歳~ |
人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 30分 |
ゲーム概要 | ルネサンス時代の豪商となり、宝石の採掘と加工を斡旋して財を築くことを目指すゲームです。プレイヤーは、宝石の採掘や加工に必要な資源を獲得し、発展カードと呼ばれる建物を購入することで、より多くの宝石を獲得できるようになります。 |
ポイント
ボードゲーム好きなら誰もが知っている名作。ルール自体はシンプルですが、プレイするほど上達し、経験者には絶対に勝てません!ボードゲームにハマるきっかけになることも多いゲームです。
基本的な流れは、トークンを集めて宝石を購入し、それによって割引がどんどん増えていく仕組み。自分のプレイによって成長を実感しやすく、先を読む力も鍛えられます。「これを買えば次にこれが安くなる」といった計画が立てやすく、戦略を考える楽しさがあります。
また、一度手に入れた割引は他のプレイヤーに奪われることはなく、箱庭的な要素が強いのも特徴。全員の情報はオープンなので、相手が何を狙っているのかも把握しやすいですが、初心者は自分のことで精一杯になりがち。しかし、プレイを重ねるごとに新たな気づきがあり、1ゲーム目では見えなかったことが2ゲーム目には理解できるなど、成長を感じられる設計になっているのが楽しいです。

3世代で楽しめる

商品名:「あいうえバトル」
年齢 | 10歳~ |
人数 | 2~6人 |
プレイ時間 | 15分 |
ゲーム概要 | 「はぁって言うゲーム」や「ぷよぷよ」のゲームデザイナーである米光一成さんがデザインを担当したゲーム。プレイヤーは、お題に沿ったワードを手元に書き、それを一文字ずつ当て合っていくルールです。最後まで自分のワードを当てられずに生き残った人が勝者となります。 |
ポイント
「ちょっかんくん」という自分のボードにテーマに沿った7文字以内の単語を書き、それを1文字ずつ当て合う言葉当てゲームです。
ゲームでは、裏向きの50音表を使い、「この中に『あ』がある人?」といった質問を繰り返し、該当するプレイヤーはその文字をオープンにしていきます。こうしてヒントをもとに、単語を推理していくのが基本の流れです。
このゲームでは、単語全体を当てるのではなく1文字ずつ推理していくのがポイント。文字数が多いほどHP(耐久力)が高くなりますが、その分当てられるリスクも上がるため、どんな単語を選ぶかが重要になります。
また、50音表のみを使用するため、濁点や半濁点は書かないというルールも特徴的です。例えばお題がフルーツで、「パイナップル」にした場合、「は」から始まる単語として扱われ、「はから始まる果物は?」と考えさせる要素が生まれます。このちょっとしたひねりが、言葉選びの楽しさを引き立てます。
さらに、心理戦の要素も強く、例えば「もも」と書いた人がいても、指名時に誰も「も」を選ばないといった意外な展開が生まれることもあるんです。
文字が書ける年齢の子から遊べますし、お題を自由に決められるためルールの自由度が高いのもいいですね。

大人数向け

商品名:「レンソ-ビンゴ」
年齢 | 6歳~ |
人数 | 3~10人 |
プレイ時間 | 15分 |
ゲーム概要 | 全員でお題から連想する言葉を書き、自分と同じ言葉を書いた人数を確認。その人数と同じ数字のマスを埋めていき、誰よりも早くビンゴを完成させることを目指すパーティーゲームです。 |
ポイント
3~10人と参加人数の幅があり、人数に応じたビンゴカードが用意されています。例えば、お題が「東京の観光地といえば?」の場合、プレイヤーはそれぞれ「東京タワー」や「東京ドーム」など東京の観光地を書きます。その後「せーの!」で答えを公開し、同じ答えを書いた人数を確認します。その人数と同じ数字のマスを埋め、誰よりも早くビンゴを完成させた人が勝ちとなります。
戦略として、あえてみんなに寄せることもできますし、特定の人数(例:10人中2人くらい)に合いそうな言葉を狙うのも面白いポイント。また、「5人組といえば?」といったお題では、世代によって書くグループが異なり、意外な答えが飛び出すのもこのゲームの醍醐味です。
ボードゲームを最大限楽しむための工夫とは

ボードゲームをより楽しく、充実した時間にするためには、ちょっとした準備やルールのアレンジなどを加えるとより効果的。ゲームの魅力を最大限に引き出し、参加者全員が満足できる体験を作り出しましょう。
ルールの共有を大切に
ボードゲームを楽しむためには、初めて遊ぶゲームのルールを全員でしっかり共有しましょう。また、実際にプレイしながらルールを覚える「チュートリアルプレイ」を行うと、説明だけでは理解しにくい部分もスムーズに把握できそうです。こうした準備をすることで、子どもから大人まで同じスタートラインでゲームを楽しめる環境が整います。
皆が一緒に楽しめることがいちばん大切なので、ファミリールールを取り入れたり、子ども向けにルールを簡略化するなど、公式ルールにこだわりすぎなくてもいいのかなと思っています。子どもが「これをやりたい!」と思ってくれたなら、その気持ちに応えられるように、遊びやすい工夫をしてあげることが大切ですね。
家族や友人と定期的にゲーム大会を開催する
家族や友人と定期的にゲーム大会を開くことで、みんなで集まる楽しみが増し、交流の機会が広がります。「次はどのゲームをしよう?」というワクワク感も生まれ、自然と会話も弾みます。対戦型や協力型など、さまざまなジャンルのゲームを取り入れることで、世代を超えたチームプレイや戦略的な駆け引きを楽しむことができそうです。
ゲームは何回か繰り返すことで、どんどん上達していきます。例えば、「10回に1回お父さんに勝てた!」といった成功体験が感じられるのも、繰り返しプレイする楽しさの一つ。1回で終わらず、せっかく購入したのであれば、何回も遊んで成長し、楽しさを深めて欲しいですね。
購入前にプレイ動画やレビューをチェックする
動画サイトで、目当てのボードゲームについての解説を視聴したり、商品レビューをチェックすることで、ゲームの理解が深まり、プレイの準備が整います。
昔のゲームで今も継続して再販されているものは、面白いです。長年愛されてきた名作を試してみるのも良い選択です。また、ボードゲームの本場であるドイツで毎年発表される「ドイツ年間ゲーム大賞」を受賞したゲームは、必ず日本でも発売されるため、これらのゲームを選ぶと間違いなく楽しめると思いますよ。
まとめ:ボードゲームの魅力を知って、世代を問わず楽しもう

年齢や性別を問わず、多くの人々が平等に楽しめるボードゲーム。コミュニケーションの活性化、戦略性の高さ、多様なジャンルなど、その魅力は多岐にわたります。大人も子供も一緒に楽しめるゲームも多く、家族や友人との絆を深めるきっかけにもなるはずです。
全国各地には、ボードゲームを購入できる店舗や、実際にプレイできるカフェが数多くあります。まずはそうした場所に足を運んで、実際に体験してみるのもおすすめです。自分の店でもよくあるのですが、そこで初対面の人同士が打ち解け、コミュニティが生まれることもたくさんあり、それもボードゲームならではの醍醐味かもしれません。そして、ボードゲームが純粋に「遊び」でしかない、ところが何より魅力的だと感じますね。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。