足腰の弱くなってきた高齢者や介護が必要な方が、安全で快適に過ごすために役立つのが介護用手すりです。家の玄関や廊下、階段、トイレや浴室に取り付けるなど、リフォーム工事を検討している方が増えています。
このコラムでは介護用手すりの選び方をはじめ、種類や費用、取り付け方法などをまとめました。介護保険を利用した購入方法、自治体の助成金制度を活用する事例も紹介していますので、費用を抑えたいと考えている方も必見です。
このコラムのまとめ
高齢者や要介護者がいる住宅で必要となる介護用手すりには、さまざまな種類があります。手すりを選ぶポイントとしては、利用者の使い勝手はもちろん、生活動線を考えたり設置場所との相性を検討したりすることが大切です。介護の専門家であるケアマネジャーなどに相談するのも良いでしょう。
また、介護用手すりには介護保険の利用が可能です。レンタルもしくは住宅改修する時に自己負担金が減らせるなど、お得に設置・取り付けができます。
手すりはDIYなど自作することも可能ですが、安全性を担保するため介護用品メーカーの正規品を選び、取り付け工事はできる限りプロにお任せするのがおすすめです。利用者にとって使いやすく、安全で最適な手すりの選定を心掛けましょう。
くらしのセゾンの「介護・バリアフリーリフォーム」では、住宅の改修から福祉用具までさまざまなお困りごとを専門スタッフが丁寧にヒアリングし、ご対応します。アフターフォローも行っていますのでご安心ください。廊下、トイレ、浴室、脱衣所など、住宅のさまざまな場所の介護用手すりの取り付け工事をお手伝いします。お気軽に無料お見積りをどうぞ。
介護用手すりとは
まずは、介護用手すりがどのような役割をしているのか改めて考えてみましょう。手すりには、下記のような役割があります。
- 歩くことのサポート
- 立ち上がりなど、日常生活を送るうえでの動作サポート
- 床で足を滑らせるなどの転倒防止
- 住宅内の階段で段差を踏み外すなどの転落防止
手すりにつかまると足腰への負担が分散されるため、身体全体のバランスが取りやすくなります。そのため、高齢者や介護が必要な方たちの歩行をサポートするのはもちろん、あらゆる日常生活の動作を助けてくれるのです。
例えば、ベッドから起き上がったり、トイレの便座、浴室の浴槽で座ったり立ち上がったりするときなど、手すりが全身を支える役割を果たします。
どんな種類がある?
介護用手すりには役割によってさまざまな種類があるため、用途によって選ぶことが大切です。ここでは、手すりの種類と役割、主な設置場所、取り付け時の注意ポイントなどをご紹介します。
水平型
種類 | 水平型 |
使用方法 | 地面に対して水平に設置して使用する |
役割 | 手すりにつかまり、手を滑らせて移動できる短いタイプの水平型を玄関やトイレに設置して姿勢を安定させる |
主な設置場所 | 玄関、廊下、トイレなど |
縦型
種類 | 縦型※アルファベットの「I」のような形のため「I型」とも呼ぶ |
使用方法 | 地面に対して垂直に設置して使用する |
役割 | 立ったり座わったりする上下運動をサポート段差を上がるときのサポート |
主な設置場所 | 玄関、トイレなど |
L字型
種類 | L字型※水平型と縦型を組み合わせた、アルファベットの「L」の型 |
使用方法 | 立ち上がりなどサポートが必要な場所の近くに設置して使用する |
役割 | トイレや浴室で立ち上がる動作のサポートと姿勢保持 |
主な設置場所 | トイレ、浴室など |
取り付け時の注意ポイント | トイレの便座や浴槽などに近過ぎる場合、重心移動が難しくなるため腕の力が必要となり、手すりの効果を発揮できないケースがある。手すりの取り付け時、設置場所に注意が必要 |
据え置き型
種類 | 据え置き型 |
使用方法 | 壁に手すりが設置できない場所で、床に置いて使用する |
役割 | ベッドやソファ、椅子の近くに置き、立ち上がりをサポート |
主な設置場所 | 寝室のベッド付近、リビングのソファ付近など※床に置くだけなので、必要に応じて移動も可能 |
階段用
種類 | 階段用 |
使用方法 | 階段の左右もしくは片側に設置して使用する |
役割 | 階段の上り下りの動作を助け、転倒および転落を防ぐ |
主な設置場所 | 階段 |
取り付け時の注意ポイント | 階段の傾斜に合わせて、理想としては左右両側に設置できると良い。片側のみ設置する場合は、階段を下りるときの利き手側に設置するように注意 |
突っ張り型
種類 | 突っ張り型 |
使用方法 | 床と天井に突っ張り棒のように固定して使用する |
役割 | 立ち上がりの動作をサポートする上方をつかみ、身体を引っ張り上げる |
主な設置場所 | 天井と床のある場所ならどこでも(主に、壁がない場所など) |
取り付け時の注意ポイント | 突っ張り型を2つ以上組み合わせて棒と棒の間をバーでつなぎ、歩行や移動動作をサポートすることができる |
手すりを選ぶときのポイント
さまざまな種類の手すりがありますが、初めて介護用手すりを設置、購入する方はどのような観点で選べば良いのか悩んでしまうでしょう。そこで、介護用手すりを選ぶときのポイントについてご紹介します。
福祉用具の専門家やケアマネジャーに相談しながら選ぶ
手すりを選ぶときには、福祉用具の専門家や相談員に相談してみましょう。また、介護の専門家であるケアマネジャーなどに相談するのもおすすめです。プロの目線でアドバイスをもらうことにより、安全かつ使い勝手の良い手すりを選べるでしょう。
利用者の日常動作に合っているものを選ぶ
利用者の身体の状況によって、どのような補助が必要になるのか、どの種類の手すりが適切なのかは一人ひとり異なります。椅子からの立ち上がり動作を例に考えてみましょう。座面を押し上げながら立ち上がる方であれば据え置き型の手すり、前のテーブルなどにつかまって身体を引き上げる方は突っ張り型がおすすめです。
万が一、利用者の動作に合っていない手すりにしてしまうと、身体のバランスが取りづらく不自然な姿勢になるため、逆に転倒などの危険性を高めてしまう可能性があります。
手すりの形状や太さは、利用者が握りやすいものを選ぶ
使い勝手を良くするためには、利用者の手の大きさや握力を確認して、握りやすい形状や太さの手すりを選びましょう。一般的な手すりの場合、太さは直径3~4cm程度となっています。しかし、それよりも細めの方が握りやすい方もいます。直径が太過ぎてしまうと、とっさに手すりにつかまりたいときにつかみにくい場合があり、転倒の恐れが高まることになるのです。
また、握りこみやすく滑りにくい設計の波型タイプの手すりなどもあります。購入、取り付けの前に、利用者が実際のサンプルをつかんでみるなど、さまざまな太さや形状の手すりを検討してみると良いでしょう。
介護用手すりの費用は?
ここからは、介護用手すりの具体的な費用についてみていきましょう。介護用手すりは、種類や設置場所によって費用が変わります。手に入れる方法は大きく2つあり、1つ目がレンタルで手すりを設置する「福祉用具貸与(福祉用具のレンタル)」、2つ目がリフォーム工事によって手すりを取り付けできる「住宅改修」です。それぞれご紹介しましょう。
福祉用具をレンタルする場合
介護保険サービスでは、車いすや杖などの福祉用具のレンタルを行っています。要支援1以上の認定を受けていれば、取り付け工事が発生しない手すり(据え置き型、突っ張り型など)をレンタルできます。利用条件、費用相場(自己負担額)、手続きについては下記のとおりです。
利用条件 | 要支援1以上の介護認定を受けている |
レンタル費用相場 | 手すりの種類により異なるが、2,000~5,000円程度/月額(介護保険適用で、原則1割が自己負担額)※所得によっては、自己負担割合が2~3割のケースもあり |
手続き方法 | 介護認定を受けたら、ケアマネジャーもしくは地域包括支援センターなどに相談介護計画に「福祉用具貸与の利用」を追加するレンタル企業を選定手すりの納品と契約レンタル開始、それ以降は定期的なメンテナンス |
住宅改修の場合
住宅改修は、その名のとおり住宅にリフォーム工事を施して、手すりを取り付ける方法です。介護保険が適用されることにより、住宅改修でかかった費用の9割相当額が給付金で支払われます。利用条件、費用相場(自己負担額)、手続きについては下記のとおりです。
利用条件 | 要支援1以上の介護認定を受けている要介護者1人につき、原則1回利用可能原則支給額の上限18万円 (工事費上限20万円のうち、18万円給付のため実質負担は2万円) |
費用相場 ※手すりの種類、工事を行なうリフォーム会社によって費用に差があります。 | 階段用手すり…5~10万円程度(階段の長さや形状による) トイレの手すり…3~10万円程度(1ヵ所) 浴室の手すり…2~3万円程度 玄関の手すり…10~13万円程度 ※これらの住宅改修工事費用の原則1割が自己負担額になります。 |
手続き方法 | 介護認定を受けたら、ケアマネジャーもしくは地域包括支援センターなどに相談リフォーム会社に見積もり依頼工事内容やリフォーム会社を決定工事開始前に、自治体へ事前申請する(改修図面など必要書類を提出し、審査にはしばらく時間を要する)工事の実施、支払い自治体へ工事完了の申請を行う |
補助金支給のポイント
補助金支給制度には、要介護認定されていることや手すりを取り付ける予定の住宅が利用者の被保険者証の住所と同一であり、実際に住んでいることが条件となっている場合が多いです。
介護保険サービスを利用したり、自治体の補助金などを活用したりするには、決められた申請条件を満たす必要があります。給付金および補助金を受けられる条件に該当しているのか、事前に条件をチェックしておきましょう。
各自治体が独自で行っているケースもあり、その場合には介護保険を利用する申請条件と異なるケースもあるので注意が必要です。
お得に介護用手すりを設置・取り付けしたいなら
介護用手すりのリフォームにかかる費用を少しでも抑えたいと思っている方に向けて、介護用手すりを取り付けるのに活用できる補助金や、その他の取り付け方法などをご紹介します。
各自治体の助成金制度を活用することもできる
介護保険を利用する以外にも、各自治体で手すりの設置・取り付けのために助成金を給付しているケースがあるため確認しましょう。
自治体助成金制度の事例
介護用手すりに活用できる助成金制度は、制度の名称をはじめ、条件や上限金額も自治体によってさまざまです。申請条件を細かくチェックしてから申請してください。ご自身の自治体にも、介護用手すりの取り付けが対象となる助成金制度がないか、窓口やWEBサイトで調べてみましょう。
ここでは、自治体助成金制度の事例を2つご紹介します。
【事例①】
自治体 | 大阪市 |
名称 | 高齢者住宅改修費給付事業 |
助成金額 | 支給限度額は、5~30万円(介護保険料段階に基づいて給付基準額および支給率を定める) |
条件 | 大阪市内に住所を有する介護保険料段階が第1~6段階、要介護認定で「要支援」以上の認定を受けた高齢者がいる世帯 など |
対象となる工事 | 玄関、階段、廊下、浴室、トイレなどの手すりの取り付けなど |
【事例②】
自治体 | 横須賀市 |
名称 | 高齢者住宅リフォーム補助金 |
助成金額 | 20万円(税抜)以上のリフォーム工事に対して、一律10万円を補助 |
条件 | 横須賀市内に所有する住宅65歳以上もしくは65歳以上の高齢者が同居している住宅である など |
対象となる工事 | 手すりの取り付けなどバリアフリー改修工事など |
※こちらに記載されている情報は2023年1月時点の情報です。現在の申請受付状況については、各自治体のWEBサイトにてご確認ください。
介護用手すりは自作できる?
介護用手すりは、リフォーム会社に依頼したりレンタルしたりする以外にも、DIYで自作することも可能です。WEBサイト上のショップや街のホームセンターで、あらゆる商品およびパーツ材料を手に入れることができます。手すりを設置するための工具は、一般的なドライバーやメジャーなど以外に、電動ドライバーや壁内センサーなどがあると便利でしょう。
自作で取り付けるときの注意事項
自作で手すりを取り付ける場合には、利用者はもちろん、リフォーム工事のプロや専門家の意見を取り入れることが大切です。自作の手すりの取り付けが甘く、使用時に壊れてしまったり、利用者のケガなどの要因になってしまったりしたら本末転倒です。手すりは大手メーカーなどの正規商品を購入して、取り付け場所も慎重に確認します。介護用手すりは、安全第一で取り付けることを心掛けましょう。
取り付け工事をプロにお任せ!介護・バリアフリーリフォームの活用を
介護用手すりは、利用者の快適な生活や安全安心のために取り付けるものです。取り付け工事については、できる限りプロに任せることをおすすめします。
くらしのセゾンの「介護・バリアフリーリフォーム」では、住宅の改修から福祉用具までさまざまなお困りごとを専門スタッフが丁寧にヒアリングし、ご対応します。アフターフォローも行っていますのでご安心ください。廊下、トイレ、浴室、脱衣所など、住宅のさまざまな場所の介護用手すりの取り付け工事をお手伝いします。お気軽に無料お見積りをどうぞ。
おわりに
介護用手すりには、用途に応じて多くの種類が用意されており、その入手方法もレンタルから住宅改修を伴うものまでさまざまです。ぜひ、利用者の毎日の生活やライフスタイルに合った、最適な介護用手すりを見つけてください。手すりの選定に迷ってしまうことがある場合には、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどの介護の専門家やリフォーム会社などに相談してみましょう。