共働き家庭の増加により、親のいない家に帰る鍵っ子が増えています。しかし「安心して留守番させるためにはどうすれば良いのか」「子どもを守るためには何ができるのか」など、不安が尽きない方も多いでしょう。ここでは、鍵っ子デビューを判断するためのポイントや、鍵っ子のリスクなどについて解説します。子どもの安全を守るための対策も紹介していますので、参考にしてください。
鍵っ子とは、小学校から帰ったあとに家で留守番をする子どものことです。親の仕事の都合により常に鍵を持っていることから、この呼び名がつけられました。
鍵っ子には、鍵を忘れる・紛失する、不審者に親が不在であることを知られて犯罪に巻き込まれるなどのリスクがあります。
安全に留守番させるためには、鍵の大切さを教えること、ご近所さんとの関係をつくっておくことなどが重要です。居場所や家での様子を知りたい場合は、見守りサービスの利用も検討しましょう。
鍵っ子とは?
鍵っ子とは、親が共働きをしていて帰宅時間が遅いために、常に家の鍵を持っている子どものことを指します。鍵っ子という呼び名が生まれたのは、1960年代のこと。このころ、共働き家庭の増加に伴い、親のいない家に帰宅する子どもが増えたことから、鍵っ子の呼称が生じて世間一般に広く使用されるようになりました。
厚生労働省のデータでは、1980年には614万世帯であった共働き世帯数が2000年には900万世帯を超え、さらに2019年には1,245万世帯に達していることがわかります。共働き世帯が増加し続ける現代において、鍵っ子は決して珍しい存在ではありません。
しかし、子どもの留守番にはリスクが伴うことから、防犯対策の必要性が叫ばれています。
参照元:厚生労働省|共働き等世帯数の年次推移
鍵っ子が始まる主な年代は小学1年生、3年生、4年生
鍵っ子が始まるタイミングとして多いのが、小学校1年生、3年生、4年生です。小学校に入れば学童保育があるため、小学校1年生になるタイミングで利用を検討する方も多いでしょう。しかし、学童保育の開所時間が保育園の預かり時間より短いことも多く、結果的に留守番を選択せざるを得ないケースがあります。
また、小学校3年生くらいは学校生活にも慣れてきて、学童保育が退屈だと感じる子どもが増えるタイミングです。中には「仲良しの友達と遊びたい」と考える子どもも出てくるでしょう。
小学校4年生から鍵っ子になる子どもが多いのは、過去に学童保育を利用できるのが10歳未満、つまり小学校3年生くらいまでだった頃の名残が考えられます。厚生労働省が策定した2015年の「放課後児童クラブ運営指針」では、学童保育の対象児童が小学校6年生まで拡大されました。しかし、地域によっては待機児童がおり、学童保育を利用できないケースもあります。
参照元:厚生労働省|放課後児童クラブ関係資料
鍵っ子デビューを判断するポイント
留守番を始めるタイミングとしては小学校1年生、3年生、4年生であることが多いですが、年代だけで鍵っ子デビューを判断するのはおすすめできません。どのようなポイントをチェックするべきか見ていきましょう。
ひとりで鍵を開け閉めできる
家の鍵を任せる以上、鍵を正しく使って開け閉めできることが重要となります。
また、玄関の鍵を二重ロックにしているご家庭もあるかもしれません。誤った使い方をして鍵をうまく開けられなかったり、家に入ったあとに鍵をしっかり閉められなかったりすると、子どもが危険にさらされてしまいます。
鍵の使用方法を正しく理解できるようになってから、留守番させるようにしましょう。
一定時間、ひとりで家にいることができる
一定時間一人で家にいられるかどうかも、チェックポイントです。この点に関しては、低学年でも平気で留守番できる子どももいれば、高学年になっても不安になってしまう子どももおり、個人差が大きいかもしれません。
練習としては、まず30分程度の短い留守番に耐えられるかを試し、その時間を徐々に長くしていくのがおすすめです。
親との約束を守れる
留守番中に、親との約束に従って行動できるかどうかも確認しましょう。例えば「帰ったらまず宿題をする」「ゲームは30分まで」「おやつは決められた分だけ」など、親がいなくても決められた時間とルールを守れるかどうかが判断基準になります。
ただし、一度守れたというだけで留守番をさせないようにしましょう。ルールを守ることの必要性を子どもが理解・納得して、日常的に実施できることが大切です。
電話がかけられる・受けられる
緊急時に親に電話連絡できるかどうかも重要です。電話を使えなければ、何か起こったとしても親に連絡ができません。連絡手段がスマートフォンの場合も固定電話の場合も、事前にどうやって連絡するのかを子どもに教えておきましょう。また、電話をかけるだけでなく、受けることもできるようにしてあげてください。
鍵をなくさずに持っていられる
鍵の管理ができるかどうかもチェックしましょう。鍵を紛失してしまうと、子どもが家に入れなくなってしまいます。鍵をどこに保管しておくのか、学校にいる間や帰宅後はどうするのかを子どもと決めましょう。
鍵の紛失対策としては、ランドセルに付けるタイプのキーケースや、チェーン付きのキーホルダーなどを活用するのがおすすめです。また、鍵の種類としてはスマートロックが使いやすいでしょう。
通常の鍵とは違うため使い方をしっかりと教える必要はありますが、一度覚えてしまえばカードやリモコンなどで鍵を開けられます。また、オートロック機能も付いていることから、万が一鍵を閉め忘れたときにも役立つでしょう。
鍵っ子に関するさまざまな問題やリスク
留守番中の子どもを守るためには、鍵っ子のリスクを知っておく必要があります。3つの主なリスクをご紹介します。
鍵を忘れてしまう、なくしてしまう
鍵を家に忘れて学校に行ってしまったり、紛失してしまったりすることもあるでしょう。そうなると、小学校から帰ってきたときに鍵がないため、子どもが家に入れず外で長時間放置されてしまう可能性があります。
鍵をどこかで紛失した場合、誰かに拾われて悪用される可能性も否定できません。また、鍵を再度つくる必要があるため、家計への負担もあるでしょう。
不審者に両親が不在であることを知られてしまう
鍵を振り回して遊んでいる、鍵をランドセルにしまわずに見える状態になっているなどの場合は、不審者に「鍵っ子家庭だ」と知られてしまう恐れがあります。
また、電話やインターフォンなどの対応により、鍵っ子であることが不審者に伝わってしまう可能性もあるでしょう。鍵っ子であることを不審者に知られてしまうと、犯罪のターゲットにされることもあるため大変危険です。
実際に、電話で子どもしかいないことを確認し、配送会社を装って不審者が家の中に侵入する事件も発生しています。両親が不在であることを知られないような対策が重要です。
留守番中に危険な行動を取ってしまう
留守番中の危険行動も、鍵っ子の心配な点といえるでしょう。危険な行動を取っても親がいれば制止したり対処したりできますが、親の目がなければ火災・溺水・転落・誤飲などの重大な事故につながる危険性があります。
料理の経験があれば、子どもは親がいなくても火を使おうとするかもしれません。また、ライターやマッチなどが手の届くところにあれば、興味本位で遊んでみる子どももいるでしょう。
また、寒い時期は暖房器具を使うことも多いですが、火災につながる可能性があります。そして、万が一火災が起きたときには、火を消そうとして逃げ遅れる可能性も否定できません。
節約や災害時のために、浴槽に水を張ったままにしているご家庭もありますが、水を「怖い」と思わない子どももいます。浴槽に近づいて転落し溺れる、水遊びをして溺れるといったことがないように、水を抜いておくようにしましょう。
また、ベランダ・階段などの高いところから子どもが転落する事故も多く発生しています。ベランダには鍵をかけて立ち入らせないようにする、足場になるものを置かないなど、しっかりとした対策が必要です。
薬剤などの異物を誤って飲み込むリスクがあることも、子どもの留守番で気をつけたい点です。小学生になれば、口に入れて良いもの・悪いものを判断できる子どもがほとんどでしょう。
しかし、だからといって誤飲のリスクは否定できません。本人が興味本位、あるいは好んで飲み込んでしまう可能性があるため、手の届くところに薬剤を置かないことが大切です。
鍵っ子の防犯対策
ここからは、留守番中のリスクを軽減するための防犯対策をご紹介していきます。
鍵の大切さをしっかり教える
最も重要なのが、鍵の大切さを子どもに教えることです。家の住所がわかるものと一緒に鍵を落としてしまった場合は、空き巣や強盗に入られる可能性があることを伝えましょう。
また、鍵を紛失すると家に入れないため、不審者に誘拐される可能性もあります。このように、鍵を紛失するとさまざまな危険があると理解させることが大切です。
鍵を持っているのを誰かに知られるだけでも、リスクがあることを伝えてください。友達に鍵を見せびらかしたり、鍵を遊び道具にしたりすることがないようにしましょう。
防犯グッズを携帯させる
防犯グッズを持たせることも、鍵っ子を守る方法のひとつです。中でもおすすめしたいのが、GPS機能を搭載したキッズ携帯です。子どもの居場所がひと目でわかるため、すぐに異変に気づけるでしょう。
ただし、小学校によってはキッズ携帯が持ち込めないこともあります。その場合は、後述する見守りサービスを利用するのがおすすめです。
誰もいなくても「ただいま!」と挨拶する習慣を身につける
鍵っ子であることを不審者に悟られないために、家に親がいなくても「ただいま」と言う習慣をつけておきましょう。不審者に「家に誰かいるのか」と思わせることができれば、危険を回避できる可能性が高くなります。ルールを教えるだけでなく、なぜその必要があるのかを含めて、子どもにしっかり伝えましょう。
また、留守番中に親の不在を知られないようにするためには、電話とインターフォンには基本的に対応しないと約束しておくことも大切です。「相手が〇〇だったときだけ対応する」など、具体的なルールを決めましょう。
近隣の不審者や事件の情報を子どもに伝える
近隣の不審者情報を子どもに伝えることも大切です。どこでどのような事件が起こったのかだけでなく、自分が同じ状況になったらどう行動するべきなのかということも教えましょう。
注意したいのが、逃げ込む場所の決め方です。鍵っ子は家に逃げてしまうと、ひとりになるため大変危険です。地域ぐるみで子どもを守る「こども110番の家」やご近所さんなど、大人がいる場所を選びましょう。
ご近所さんと良好な関係を築いておく
鍵っ子に必要なのが、地域の見守る目です。そのためには、日頃からご近所さんとコミュニケーションを取り、良い関係をつくっておくことが重要です。
まずは、子どもの存在を知ってもらうところから始めましょう。すれ違ったときに挨拶をする、ちょっとした会話をするなどの積み重ねが、子どもの安全を守ることにつながります。
鍵っ子を守りたいなら見守りサービスの検討もおすすめ
鍵っ子のリスク対策におすすめなのが、見守りサービスの利用です。サービスの種類や選び方のポイントを見ていきましょう。
見守りサービスとは?
見守りサービスとはICT(情報通信技術)を利用した防犯サービスです。子どもや高齢者の安全を見守ることに特化しており、さまざまなサービスが展開されています。
見守りサービスの種類
子ども向け見守りサービスの主な種類と、それぞれの特徴をご紹介しましょう。
【子ども向けの見守りサービス】
- センサー型
- オートカメラ型
- 位置情報共有型
センサー型は、センサーが異常を察知したときに警備会社が駆けつけるシステムのことです。第三者の侵入や火災・ガス漏れに対応したものなどがあります。
それに対してオートカメラ型は、カメラを活用した見守りサービスです。映像だけでなく音声も確認できるため、子どもの様子を把握しやすいでしょう。中には、双方向の音声通話が可能なものもあります。
小型の専用端末により、子どもの居場所を確認できるのが位置情報共有型です。コンパクトなのでランドセルに入れても荷物になりません。キッズ携帯の持ち込みが禁止されている場合にもおすすめです。
見守りサービスの選び方
見守りサービスを選ぶときは、用途・機能・コストの3つのポイントをチェックしましょう。
まず考えたいのが、どのような見守りをしたいのかということです。家の中で過ごしている様子を知りたいのか、それとも無事に帰宅したかどうかを知りたいのかなど、見守りサービスを利用する目的をはっきりさせましょう。もちろん、それぞれのサービスを組み合わせて利用することも可能です。
2つ目のポイントは、サービスの機能です。特に位置情報共有型では、位置情報測位の精度が低いと、取得データと実際の位置に誤差が生じやすくなります。子どもの居場所をしっかりと把握するためには、位置情報測位の精度が高いものを選びましょう。
また、小学校1年生で鍵っ子デビューする場合は、卒業まで6年間見守りサービスを利用することも少なくありません。毎月どのくらいの費用がかかるのかについてもチェックしておきましょう。
セゾンの「見守りサービス相談窓口」なら鍵っ子のお留守番も安心
「子どもの安全を守りたい」「どのようなサービスを利用したら良いかわからない」という場合におすすめなのが、くらしのセゾンの「見守りサービス相談窓口」です。
窓などの振動により外からの侵入を察知する開閉センサー、留守番中の子どもの様子をスマートフォンで確認できる見守りカメラ、GPS機器など、さまざまな見守りサービスをご用意しています。お客様のご利用環境や困りごとをお聞きしたうえで、一人ひとりに合わせたオーダーメイドプランをご提案していますので、ぜひご利用ください。
おわりに
鍵っ子にはさまざまなリスクがありますが、しっかりと対策をするとそのリスクを軽減できます。犯罪に巻き込まれないようにするためにはどのような対策が必要か、普段と違うことが起こったらどうすれば良いのかなど、普段から子どもと話し合っておくことが大切です。子どもも親も安心できるように、留守中の様子を把握できる見守りサービスなども上手に活用していきましょう。