ふとしたときに現れてイヤな臭いを発するカメムシ。臭いが手や服につくとなかなか取れず、不快感が続くため、遭遇してしまったらできるだけ臭いに悩まされることなく駆除したいものです。
このコラムではそんなカメムシの対処方法をお伝えします。臭いを出させることなく駆除する方法や、イヤな臭いの消し方、そもそもカメムシと遭遇しないようにする予防策までまとめています。カメムシに悩まされることなく快適に過ごすためにも、記事を参考に対策をしてみてください。
カメムシは日本全国に生息するセミやアメンボなどの虫の仲間です。危険を感じてくさい臭いを放つという特徴がある他、パイプのような口で植物の汁を吸うという特徴があります。さまざまな野菜や果物の汁を吸って飛び回るため、害虫とされているものもいます。
カメムシを駆除するときには、刺激によってくさい臭いを発してしまうため、刺激を与えないように優しくすばやく対処しましょう。あらかじめ隙間テープを使って家の中への侵入経路を塞いだり、遭遇しないために忌避剤を使ってカメムシを遠ざけたりすることも大切です。
カメムシとは
大量発生して洗濯物や布団にくっついて、イヤな臭いを放ったり、群れて家の中に侵入したりと、困ったことの多いカメムシ。どんな時期に発生して、寿命はどれくらいなのか。まずはじめにカメムシの生態についてご紹介します。
カメムシとはどんな虫?
カメムシはセミやアブラムシ、アメンボなどと同じ半翅目(はんしもく)に分類される虫です。パイプのような口をしていて、植物などの汁を吸うという特徴があります。日本中に生息し、野菜や果物の汁を吸って飛び回るため、農作物に被害を及ぼす害虫とされている種類が多いです。
カメムシの最大の特徴ともいえるくさい臭いも不快害虫と呼ばれる原因のひとつといえるでしょう。カメムシは外部からの刺激によって、おなか側にある臭腺から臭いを出して、危険から身を守ります。カメムシの臭いは主にトランス-2-ヘキセナールという成分が原因です。
仲間を集めたり、危険を知らせたりするフェロモンの役割をすると同時に、高濃度になるとカメムシ自身をも死に至らせるほどの毒性がある、危険な成分でもあります。
カメムシの多くは春から夏にかけて羽化し、活動をはじめます。気温が下がりはじめる秋ごろに越冬場所を探して、暗く狭い場所を好むため、窓や換気扇の隙間から家の中に侵入してくるのです。冬を越したカメムシは、暖かくなると活動を再開し、繁殖活動を終えると寿命を迎えます。
カメムシの種類
ここからは目にすることが多い、代表的なカメムシの種類を説明します。
クサギカメムシ
日本中の山野に自生しているクサギと呼ばれる木によくいることから命名されたカメムシです。15 mm前後の大きさで、身体が平たく、焦げ茶色の身体に不規則な茶褐色の斑点があるのが特徴です。年に1〜2回発生し、さまざまな種類の植物の汁を吸ってあちこちに飛び回るため、農作物に害を及ぼす害虫とされています。
マルカメムシ
大きさは5mm前後、その名のとおり丸く茶色っぽい身体で、日本における生息数の多いカメムシです。4月から6月ごろに、マメ科の植物の葉や茎に卵を産み付けて発生します。マルカメムシも同様に秋に越冬場所を探しはじめ、天気が良い日に洗濯物や布団についたり、家の中に侵入したりして悪臭を放つのです。
アオクサカメムシ
アオクサカメムシの成虫は15 mm前後の光沢のない緑色の身体で、お尻の部分に向かってすぼまっていく盾のような形をしています。こちらも農作物にとって害虫となるカメムシのひとつです。野菜や果物だけではなく、稲の穂につくこともあり、黒点米や斑点米と呼ばれる害虫被害の原因となってしまいます。
スコットカメムシ
カメムシ学者であるスコット氏の名前から命名されたカメムシです。体長10 mm程度の青緑っぽい茶色の身体に白い模様があり、日本では本州と北海道に分布しています。
8月から9月ごろに発生し、秋の晴れた暖かい日に越冬場所を求めて日当たりの良い木の幹や建物の壁などにやってきて、家の中にも侵入してきます。北海道や東北地方で被害がよく見られるカメムシです。
ホオズキカメムシ
ナスやピーマン、トマトやトウガラシなどのナス科の植物を中心として、ホオズキを特に好むカメムシです。大きさは10 mm前後で黒茶色です。オスはメスに比べて後ろ足が太く発達しているのが特徴です。
花粉が多い年はカメムシが大量発生する?
カメムシはスギやヒノキを好んで卵を産む傾向があります。スギやヒノキの花粉が多いということは、それだけ実をつける割合が多いということです。つまり、スギやヒノキの花粉が多い年は、その実を目当てにカメムシも多く発生するということなのです。
カメムシを見つけたときの対処法
カメムシを見つけて対処するとき、大切なのはできるだけイヤな臭いを出させないようにすることです。ここからは、なるべく悪臭を出すことなく駆除する方法についてお伝えしていきます。
ティッシュで覆う
カメムシを見つけたらティッシュをふんわりとかぶせましょう。刺激しないようにすることが大切です。ティッシュとともにカメムシをやさしくつかんで逃がします。力加減が難しいですが、カメムシを落としてしまわないよう慎重に捕まえましょう。ティッシュで持ち上げた後すぐに、ビニール袋などに入れてしまうとより安全です。
ガムテープで捕獲
ガムテープを使う方法も直接カメムシに触れることなく対処することが可能です。ガムテープだけで捕まえようとすると難しいので、紙を滑らせてカメムシを乗せ、その上からガムテープで覆うことで、より捕まえやすくなります。
ガムテープを付けるときにはカメムシをつぶさないように注意して、素早く貼り付けて閉じ込めましょう。
ペットボトルを使用して捕獲
壁や天井にいる場合はペットボトルの捕獲器を作ると捕まえやすいです。飲み口から5〜10cmほどのところをカットし、漏斗状にしてペットボトルの下部分にはめ込みます。
そうすることによって、一度中に入ったカメムシが外に出にくくなります。中に食器用洗剤を入れておくことで、そのまま駆除できて便利です。
牛乳パックを使用して捕獲
牛乳パックを使うと捕獲器を作る手間なく、壁や天井にいるカメムシを捕まえることができます。牛乳パックの口をすべて開き、中に食器用洗剤を入れておくだけです。牛乳パックでカメムシを迎えに行き、少し触れて牛乳パックの中に落として口を閉じます。
殺虫剤を使用する
カメムシ専用の殺虫剤を使用するのも手っ取り早い方法です。おすすめは凍結タイプのスプレー。驚かせないように近づき、くさい臭いを出す前にスプレーで凍らせましょう。
やってはいけない駆除方法
カメムシを駆除するときに注意すべきことはどういったことでしょうか。ここからはカメムシへの対処として、やってはいけない行為をお伝えします。
叩いたり強引につかんだりする
ここまで解説してきたように、カメムシは身の危険を感じたときにくさい臭いを発します。そのため、手でたたいたり、無理やりつかんだりして、カメムシを刺激するのは厳禁です。
その刺激によって放たれた悪臭は手につくとなかなか落とすことができません。さらに、臭いの素となる成分は毒性があるため、分泌液に触ってしまったり、臭いのついた手で目をこすったりしてしまうと、皮膚や目に炎症を引き起こす恐れもあるので注意が必要です。
掃除機で吸い込む
直接手を触れる必要がなく、吸い込んで姿が見えなくなるため、掃除機で掃除したくなりますが、この方法もおすすめできません。
掃除機で吸い込むことで、カメムシに近づくことなく駆除できますが、吸い込んだカメムシは掃除機の中に留まります。掃除機の中で悪臭を放ってしまうと掃除機に臭いが染みつく原因になるだけではなく、掃除機の排気として掃除のたびにイヤな臭いを漂わせる原因にもなってしまいます。
カメムシの臭いがついたらどうすれば良い?
カメムシの悪臭を出さない駆除のポイントをお伝えしましたが、洗濯物についていたり窓枠についていたりと、気づかないうちにカメムシに触れて、イヤな臭いがついてしまうということもあるでしょう。
ここからは、ついてしまったカメムシの臭いを消す方法をお伝えしていきます。手や洋服、布団、靴とケース別にご紹介していくので、参考にしてみてください。
手に臭いがついた場合
カメムシの臭いの原因成分であるトランス-2-ヘキセナールは、油に溶けやすいという性質があります。そのため、手に臭いがついてしまったら、化粧のオイルクレンジング剤やサラダ油などを使って落とす方法が効果的です。オイルを手に垂らして、手をこすったあと、石鹸などで洗い流してください。また、消毒用のアルコールも油と同じ効果があるので、代用可能です。
洋服に臭いがついた場合
カメムシの臭いには界面活性剤も効果があります。洋服などの洗濯物にカメムシの臭いがついてしまった場合は、柔軟剤など界面活性剤の入った洗剤で洗うことで悪臭を消すことが可能です。
また、カメムシの臭いは熱によって気体になりやすい揮発性のある特徴があるため、アイロンのスチームなども消臭効果があります。
布団に臭いがついた場合
布団にカメムシの臭いがついてしまった場合、洗えるものであれば界面活性剤の含まれている洗剤で洗いましょう。
洗濯するのが難しいものの場合は、消臭スプレーやアルコールのスプレーを使用して、スチームを当てたり天日干ししたりして臭いを消します。1度では臭いが取りきれないときには何度か繰り返してみてください。
靴に臭いがついた場合
うっかりカメムシを踏んでしまったり、靴の中のカメムシに気づかず履いてしまったりして、カメムシの臭いが靴についてしまう場合もあるでしょう。スニーカーなどの洗える靴であれば、洗濯物と同様に界面活性剤の入った洗剤でつけ置き洗いをして、天日干しでよく乾かしましょう。
革靴などは界面活性剤が入った革靴用の洗剤で臭いがついている場所を洗います。中敷きは外して洗うか、新しいものに交換しましょう。
洗うのが難しい、どこに臭いがついたかわからない場合
家具や壁紙など洗うことが難しいものや、どこから臭いがするのかわからないといった場合には、臭いが揮発しなくなるまで放置しておくのもひとつの方法です。
家具や壁紙など臭いがついているものがわかれば、柑橘系の香りのする中性洗剤で拭き掃除をすることによって、より早く臭いを取り除くことができます。臭いのもとがわからない場合は、柑橘系の消臭スプレーが効果的です。
可能な時期であれば室温を高めにしたり、換気を良くしたりすることによって、さらに臭いの成分を揮発させやすくすることができるでしょう。
カメムシを予防するには
ここまで、カメムシの駆除方法やイヤな臭いへの対処方法をお伝えしてきましたが、そもそもカメムシと遭遇しないために、家に入れない予防をすることも重要です。ここからは、カメムシとの遭遇を防ぐための対策方法についてご紹介していきます。
すき間テープを貼る
2mmの隙間があれば入り込んできてしまうというカメムシ。その侵入を防ぐためには、ほんの少しの隙間でも塞いでおくことが大切です。網戸や窓のサッシ、ドアの隙間はホームセンターなどで購入できる隙間テープで対策しておきます。エアコンのドレンホースや換気口などからも侵入する恐れがあるので、目の細かいネットや専用のフィルターで侵入経路を断ちましょう。
カメムシの忌避剤を使用する
カメムシの忌避剤を使って近づかせないというのも予防策のひとつです。殺虫剤としてだけではなく、忌避剤としても効果のある駆除剤もあります。
カメムシが止まりそうな壁や玄関などにスプレーしておくタイプのものや、カメムシをよく見かける場所にぶら下げておくタイプのものがあるので、対策したい場所に合ったものを選ぶと良いでしょう。
草木をしっかりと手入れする
カメムシは草木が生い茂ったところを好んで繁殖します。庭や鉢植えなどにカメムシが好む植物がある場合はしっかりと手入れを行い、カメムシの繁殖を防ぎましょう。雑草なども定期的に取り除き、カメムシが卵を産める環境をできる限り減らす必要があります。
また、除草した草を放置してしまうとカメムシが集まる温床になりかねません。庭はしっかりと手入れをし、すっきりとした状態を保ちましょう。
ミントなどハーブの鉢植えを置く
ミント系の香りはカメムシをはじめとして、ゴキブリなどの他の害虫も寄せ付けない効果があります。洗濯物を干すベランダにミントの鉢植えを置いたり、カメムシが近づきやすい窓辺や網戸などにハッカ油を混ぜた水をスプレーしておいたりすると忌避剤としての効果が期待できます。
洗濯物は部屋干しに
カメムシは白く暖かいところや、フローラルの香りがする所を好む傾向があるため、花の香りのする洗剤で洗った白っぽい洗濯物はカメムシにとって最適な場所になってしまいます。
そのため、カメムシが活動をはじめる春から秋にかけて、特に薄い色の服は室内に干したほうが安心できるかもしれません。ベランダに暗い色の防虫ネットを張るというのも一つの手段です。
外に洗濯物を干す場合は、取り込むときにカメムシがついていないか十分確認しましょう。カメムシがついていたら、洗濯物を振るなどで刺激しないようにはらいましょう。カメムシを家に招き入れないためにも、洗濯物を取り込む際には注意が必要です。
害虫駆除のプロに依頼する
手がつけられないほどにカメムシが大量発生してしまったときには、害虫駆除のプロに依頼するのもひとつの手です。専門の忌避剤や殺虫剤を使って、壁や窓だけではなく床下や天井裏の対策をしたり、侵入してくる恐れがある隙間を判断してコーキング処理をしたりといった対策を施してくれます。
おわりに
春から秋といった過ごしやすい穏やかな時期に現れる、不快な臭いを発するカメムシは、できるだけ遭遇を避けることが上手な付き合い方なのかもしれません。忌避剤やハーブでカメムシをできるだけ遠ざけ、遭遇してしまったらイヤな臭いを出させないように刺激せずに対処することが大切です。今回ご紹介した方法で、カメムシに遭遇してしまっても、慌てずに落ち着いて駆除しましょう。