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アシナガバチの巣を見つけたときの対処法。放置しても大丈夫?

セゾンのくらし大研究 編集部

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春の訪れとともに見かけるようになるハチ。自然の多いところだけでなく、住宅地に巣を作ることも珍しくないのがアシナガバチです。攻撃性は低いアシナガバチですが、非常に強い毒性があり、刺されると危険です。

そんなアシナガバチの巣を見つけたときはどうしたら良いのでしょう。このコラムでは、そんなアシナガバチの巣を見つけたときの対処法とアシナガバチの性質、アシナガバチに刺されたときの対処法を紹介します。

この記事のまとめ

毎年住宅街に巣を作り被害報告のあるアシナガバチ。種類が多く、日本列島の広範囲に生息しています。スズメバチとよく似た姿のハチですが、性格は温厚でこちらが刺激しない限りはアシナガバチから攻撃してくることはほぼありません。
しかし、スズメバチと同程度の毒性があるので、刺されたらアナフィラキシーショックを起こす可能性があり非常に危険です。そのため、早急に刺傷部を処置し、医療機関を受診しましょう。
また、私たちの生活圏に巣を作った場合は、人間が誤って刺激してしまう可能性もあるため、巣がまだ小さいうちに駆除するのがおすすめです。すでに10 cm以上の大きな巣の場合や、ご自身で駆除する自信がない方は専門会社にお願いするのが良いでしょう。

アシナガバチってどんなハチ?

はじめにアシナガバチとは、どんなハチなのか説明していきましょう。

アシナガバチの特徴

アシナガバチは、日本では比較的珍しくない、私たちの生活圏周辺に生息しているハチです。体長は1〜3cm弱と大きく、足を伸ばして飛ぶのが特徴です。性格は温厚で、巣をこちらから刺激したり直接攻撃したりしない限りはハチのほうから寄ってくるようなことはありません。日本には、11種のアシナガバチが生息しているといわれています。

アシナガバチは植物についている毛虫や芋虫を捕食したり、受粉を助けたりするため、有益な虫ともいえますが、毒性が強いため、刺されると大変危険です。実際に死亡例も確認されています。

アシナガバチの種類は?

日本に生息するアシナガバチは、アシナガバチ属、チビアシナガバチ属、ホソアシナガバチ属の3属に分かれています。

アシナガバチ属

アシナガバチ属は最も一般的な種類のアシナガバチです。黒と黄色の縞模様で体長は2〜2.6 cm程度、日本全国に生息しています。この種類のハチは、住宅地や都心などの人間が多い場所に巣を作ることも多く、誤って気づかずに巣を刺激してしまい、被害に遭うというケースも珍しくありません。

アシナガバチ属は、7種類存在します。その中でもセグロアシナガバチは、大きく、毒性の強いハチです。住宅地にも生息し、民家の軒下や屋根裏などに巣を作ることもあります。夏の繁殖のピーク時には攻撃性が増し、人を刺してしまうこともある被害件数が多いハチです。

ホソアシナガバチ属

ホソアシナガバチ属は、ヒメホソアシナガバチとムモンホソアシナガバチとの2種類で北海道を除く本州から沖縄に生息しています。一般的なアシナガバチよりもお腹の部分が細く、体長は種類によって若干差がありますが、1.5〜2.5 cm程度です。ホソアシナガバチ属は、自然が豊富な場所を好むため、都会ではあまり見かけませんが、キャンプや登山などのときに出くわす可能性があります。

チビアシナガバチ属

チビアシナガバチ属は、体長が1〜1.5 cmほどで小さいのが特徴です。日本にはナンヨウチビアシナガバチとオキナワチビアシナガバチの2種類が生息しています。ナンヨウチビアシナガバチは、生態系に被害を与えるとされている総合対策外来種のハチで、小笠原諸島の硫黄島に生息しています。

オキナワチビアシナガバチは奄美大島より南が生息地のため、本島で出くわすことはほとんどないといって良いでしょう。

アシナガバチの巣の特徴

アシナガバチの巣の形は、逆さになったシャワーヘッドやハスの実のような形状で外に穴が複数露出しています。4〜5月頃から巣を作りはじめ、10月末頃まで活動します。巣は1年だけ使用され、次の年にまた使われることはありません。

活動が活発になる6〜9月は毎年被害が多くなるので、注意が必要です。アシナガバチが飛行していた場合は、アシナガバチの巣がどこにあるのか確認しておくと良いでしょう。

スズメバチの巣との違いは?

アシナガバチとよく間違われるハチがスズメバチです。成虫はよく似ていますが、巣の形は全く異なるのでその点で分けることが可能です。スズメバチの巣は、丸みを帯びていてマーブル模様をしており、巣穴が露出しておらず、出入り口がひとつしかないのが特徴です。

アシナガバチに刺されたときの症状や対処法は?

アシナガバチの毒性は、スズメバチよりは弱いですが、共通する成分が多いため、危険性も高いです。スズメバチに刺されたときと同様に、死亡してしまう可能性もあるので、注意する必要があります。ここではアシナガバチに刺されたときの主な症状と対処法を紹介しましょう。

アシナガバチに刺されたときの主な症状 

刺されてしまった場合は、猛烈な痛みを感じます。アシナガバチに刺されたときの症状は、大まかには局所症状とアナフィラキシー症状です。

局所症状には、以下のものがあります。

  • 腫れ
  • かゆみ
  • 痛み

局所症状はだいたい半日前後で落ち着き、数日には回復しますが、ハチに刺されたときに気をつけなければならないのは、アナフィラキシー症状です。アナフィラキシーとは、薬やハチの毒などのアレルゲン物質が体内に侵入し起きる全身性の急性アレルギー反応をいいます。アナフィラキシーの症状は、以下のようなものがあります。

  • 全身症状…倦怠感、冷や汗、ぐったりしているなど
  • 皮膚症状…皮膚のかゆみ、皮膚の赤み、蕁麻疹など
  • 呼吸器症状…息苦しさ、喘鳴、声のかすれ、咳など
  • 消化器症状…下痢、嘔吐、尿や便を漏らすなど
  • 循環器症状…血圧低下、脈が不規則・触れにくい、チアノーゼなど
  • 神経症状…けいれん、意識障害、しびれ、めまいなど

症状は刺された方によってさまざまですが、軽度の場合では、顔が赤くほてり、全身のかゆみや倦怠感、息苦しさがあります。中程度の場合は、軽度の場合と同様の全身症状とともに口の中のしびれや胸の苦しさ、腹痛や下痢、嘔吐、さらには頭痛やめまいなどの症状が発生します。

重症になると、中程度の症状に加えて、脱力感、耳が聞こえなくなる、目が見えなくなるなどの症状が現れ、意識を失うこともあります。そのような場合は緊急的な処置が必要です。

アシナガバチに刺されたらどうすれば良い?

では、もしアシナガバチに刺されたらどう対処すれば良いのかを解説していきます。

静かにその場を離れる

まずは刺された場所から離れます。アシナガバチの毒の中の攻撃フェロモンが他のアシナガバチを呼び寄せてしまう可能性があるためです。慌てたり、大きな声を出したりするとアシナガバチを刺激してしまうため、静かにその場から離れます。

また身体を動かすと毒のまわりが早くなってしまうため、安全な場所まで来たら必要以上に動かないようにしましょう。

流水をかけながら毒を絞り出す

ハチの毒は水に溶けやすいため、刺された部分に水をかけます。指や爪などで刺された部分を強く挟み、毒を絞り出しましょう。強い吸引力で毒を吸い出すことのできるポイズンリムーバーもおすすめです。1,000円前後で購入できるので、ハチに遭遇しやすい場所へ行く際は一つ持っておくと安心です。

刺された部分を冷やし、薬を塗る

毒を抜いたあとは、保冷剤などで冷やし、あれば抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を塗ります。手や足を刺された場合は、心臓に近い方をゴムなどで縛り、毒が回らないようにするのも効果的です。ただし長時間は行わず、数分おきにゴムを緩めてください。

医療機関を受診

以前にアシナガバチ(またはスズメバチ)に刺されたことがある場合や目に毒液が入った場合、倦怠感などの全身症状が現れた場合は医療機関を受診する必要があります。受診する科は、皮膚科、内科またはアレルギー科です。近くに医療機関がなかったり、全身症状が悪化したりするような場合は、急いで救急車を呼んでください。

アシナガバチの巣は駆除した方が良い?

アシナガバチの巣は、ある場所によって駆除したほうが良いか、しなくても良いかが変わります。時期によっては、急スピードで巣が大きくなる場合があるため、自宅の軒下やベランダなど人の行き来が多い場所は早く駆除することをおすすめします。

しかし、人がほとんど近寄らず、生活に支障がないような場所に発見した場合は、アシナガバチの巣は駆除をせず、放置して様子を見るのもひとつです。できるだけ近づかず、巣を刺激してしまわないように生活しましょう。

ただし、たとえ人けのないところにあっても家の周辺を常にアシナガバチが飛んでいる場合は、刺される可能性が高くなります。その場合は、ご自身はもちろんですが周囲の安全も考え、駆除したほうが良いでしょう。

アシナガバチはどこに巣を作る?

アシナガバチは私たちの生活圏に巣を作りやすいハチで、雨や風をしのげ、日の光が入らないところを好んで巣を作ります。そのため狭くて暗い軒下や乾燥していて雨や風が当たらないベランダなどに巣を作り、洗濯物を干すときや掃除をする際にハチが攻撃されたと勘違いして、被害に遭うことが多いです。

具体的には以下の場所があります。

  • 天井の中
  • 普段開閉しない窓
  • 室外機の中
  • 庭木の空洞部分
  • 家の木下
  • ベランダ、テラス
  • 戸袋の中

アシナガバチの巣の寿命は1年ですが、環境によっては毎年同じ場所に巣を作る可能性があります。

アシナガバチの巣を駆除する方法

では、アシナガバチの巣を安全に駆除するにはどうしたら良いのでしょう。ここではアシナガバチの巣の駆除に必要なものや、その駆除方法を解説していきます。

準備するものと服装

駆除のために用意するものは以下のとおりです。

  • 防護服(ない場合は厚手の長袖・長ズボン、白いレインコートを上に羽織るとなお良い)
  • ヘルメット
  • マスク
  • ゴーグル
  • タオル(侵入を防ぐため首に巻く)
  • 軍手や手袋
  • 長靴(ズボンのすそを入れひもで縛る)
  • 殺虫剤スプレータイプ2~3本
  • ゴミ袋
  • 長さのある棒または剪定ばさみ
  • ゴミ拾い用のトング
  • ほうき
  • 懐中電灯(ハチが集まるのを防ぐため赤いセロハンを貼る)
  • ビニール袋

安全性からいうと、防護服を着るのが一番です。自治体で防護服の貸し出しが可能なところもあるようなので、一度問い合わせてみると良いかもしれません。防護服を用意するのが難しい場合は、アシナガバチの毒針の長さは約5mmのため、5mm以上の厚手の服を着用しましょう。また服と服の間に隙間を作らないように着用してください。

殺虫剤は、ラベルの成分表に「ピレスロイド系」表記があるものか、ハチ駆除専用のスプレーを使うと効果が高いです。ピレスロイド系の表示があれば、蚊やゴキブリ用の殺虫剤でも効果があります。しかし、ハチ専用の殺虫剤の方が噴射力が強く、まんべんなく薬剤を届けられるので、専用の殺虫剤の方が使い勝手が良いでしょう。

日没後に駆除を行う際は、懐中電灯を使用しますが、直接巣にあてないように注意します。蜂は光に向かっていくため、そのまま使用するととても危険です。赤い光であればハチが反応しにくいため、セロハンを貼っておきましょう。

駆除する手順

ここからは駆除の手順を詳しく紹介していきます。

巣に向かって殺虫剤をスプレーする

風上からスプレー式殺虫剤を巣の出入り口に向けて噴霧し続けます。殺虫剤を吹きかけると、アシナガバチが一斉に飛び出してきますが、心配はいりません。殺虫成分が数秒でも付着すると、アシナガバチは死んでしまうので、途中でやめてしまわずに噴射し続けましょう。十分な効果を得るには30秒程度の噴射が必要です。

巣を駆除する

アシナガバチが巣から出てこなくなったら、しばらく様子を見ます。その後、棒や剪定ばさみなどを使用して巣を根元から落とします。夜間作業する場合は、見える範囲で遠くから懐中電灯を使用しましょう。

巣があった場所に再び殺虫剤をスプレー

巣があった場所には、もう一度しっかりとスプレーをかけておきましょう。最後まで残さず処理をしないと、また同じ場所に巣を作られる可能性があるからです。

巣を袋に入れて処分

落ちた巣とアシナガバチはむやみに触らず、ほうきやトングなどで片付けましょう。駆除した巣とアシナガバチは袋の中でもう一度殺虫剤をかけ、固く口を縛って密封し、処分して終了です。ハチの巣は、燃えるゴミとして処分することが可能です。

駆除するときの注意点

アシナガバチは大変危険なため、駆除するときには注意が必要です。次のことに注意してください。

できるだけ冬に駆除をする

ご自身で駆除をする場合は、働きバチと女王蜂のいなくなった冬がおすすめです。生活環境内になく、様子を見ていた巣もこのタイミングで駆除すると良いでしょう。冬以外では、巣もまだそれほど大きくない春先が比較的安全に駆除できます。

21時以降に駆除する

アシナガバチの巣を駆除する場合は、日没後の21時以降が良いでしょう。アシナガバチは、暗くなると巣に戻り、動きも鈍くなります。

アシナガバチは日中巣から離れているので、アシナガバチのいない巣を駆除してもあまり意味がありません。また駆除しているときに巣から離れていたアシナガバチが戻ってきて刺されてしまう可能性も高くなります。

注意したいのは、懐中電灯の使い方です。前述したように、アシナガバチは光に向かってくる習性があります。懐中電灯を使用する場合は赤いセロハンを貼るなどの加工をして、直接巣にあてるようなことがないようにしてください。

黒っぽい服や肌が露出した服は避ける

黒っぽい服装は、アシナガバチが敵と勘違いして攻撃してくる可能性があります。黒い服を着て駆除することは避け、白色のものを身につけましょう。整髪料などの香料もアシナガバチを刺激し、興奮させます。駆除するときは使用しないようにしてください。

10 cm以上の巣はご自身で駆除しない

アシナガバチの巣の駆除をご自身で行う際は、サイズを必ず確認してから行ってください。大きい巣はハチの数も多くなり、素人では手に負えないからです。大規模な巣ではエサ探しなどのために出入りするハチの数が多く、巣の見張りをする非常に警戒心の強いハチもいるのです。

よってご自身で駆除を行う際は、10 cm未満の場合のみにとどめましょう。決して無理をしてご自身で駆除するようなことがないようにしてください。

無理せずプロに依頼しよう

アシナガバチは、危険性が高いといわれているスズメバチよりは温厚な性格ではありますが、毒性の強さはほぼ変わらないため、刺されると命の危険性もあります。駆除を行う際にアシナガバチに刺されるという症例も報告されているため、巣の駆除は専門会社へ依頼することをおすすめします。

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おわりに 

アシナガバチの性質や刺されたときの対処法、巣を見つけたときの対応について解説してきました。アシナガバチに刺されると、命に関わります。アシナガバチの性質をしっかりと把握し、刺されることがないよう十分気を配りましょう。また、今回ご紹介した、巣を見つけたときの対処法を参考に、巣を駆除する場合は安全には十分考慮して行ってください。

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