自宅のベランダや玄関、車に鳥のフンがついてしまい、どのように掃除すれば良いのか困った経験はありませんか。フンを放置してしまうと、さまざまなリスクがあるため、汚れを見つけたらなるべく早く、適切な方法で掃除を行うことが重要です。
そこで今回は、鳥のフンの掃除方法や掃除をするときの注意点などをご紹介します。掃除後の予防対策についても触れるので、繰り返される鳥のフン被害にお困りの方は必見です。
鳥のフンを放置しておくと、雑菌や病原菌によって健康被害を引き起こしたり、近くに巣を作られてしまったりするなど、さまざまなリスクがあります。鳩やカラスなどの鳥たちは、天敵から身を守れる見晴らしの良い場所を好むため、マンションのベランダなどで被害が多発します。
乾いた鳥のフンは、ぬるま湯などで柔らかくしてからデッキブラシでこすり洗いをしましょう。掃除には、衛生上の理由から基本的に使い捨ての物を使用します。掃除後は、汚れていた場所を殺菌するため消毒してください。
繰り返しフンを落とされないための予防対策としては、防鳥ネットを取りつけたり、鳥が嫌がるニオイのする植物や忌避剤を置いたりするのも効果的です。専門会社に予防対策を依頼するのも良いでしょう。
鳥のフンを放置してはいけない理由
はじめに、鳥のフンを放置してはいけない理由についてご紹介します。
健康被害のリスク
鳥のフンには雑菌や病原菌が含まれているため、健康被害を及ぼすことが危惧されるでしょう。鳥を感染源として発生する病気には、オウム病、ニューカッスル病、クリプトコッカス症、トキソプラズマ、鳥インフルエンザなどがあります。
また、鳥のフンが原因となって、くしゃみや咳、目のかゆみなど、アレルギー症状を引き起こすケースもあります。そのため、むやみに鳥のフンに触れてはいけません。基礎疾患のある方や妊婦、子どもや高齢者の方は症状が重篤になる恐れがありますので、特に注意しましょう。
劣化や腐食のリスク
長い間鳥のフンが付いていた場所では、劣化や腐食を起こす危険性が高くなってしまいます。鳥のフンには酸性物質が含まれており、コンクリートや金属、塗装面などにフンが付着すると、劣化や腐食が始まります。
例えば、家のコンクリートや塗装面にフンが蓄積すると、建物の強度が損なわれる可能性もあるでしょう。特に、鳩は1羽当たり1日30gのフンをします。数日間放置してしまうと、蓄積量が多くなってしまうため、すぐに対処しましょう。
巣を作られるリスク
鳥のフンを放置していると、その場所や近くに巣を作られてしまう可能性があります。頭の良い鳥の場合は、自分のフンがそのまま残っているのを認識すると「この場所は安全である」と理解し、夜間のねぐらや巣作りの場所として利用されてしまうこともあります。
また、巣を作られると、フンの被害が深刻になるだけでなく、鳥が巣で卵を産みヒナが生まれてしまう可能性もあるでしょう。卵からヒナが生まれてしまうと、鳥獣保護法によってご自身で巣を撤去することが不可能になってしまうため、早めの対処が必要です。
主な鳥害の種類
鳥害被害をもたらす鳩、カラス、スズメの特徴と被害内容などを解説します。
鳩(ハト)
日本には約13種類の鳩がいるといわれています。そのなかでも街でよく見かけ、鳥害被害を頻発させている鳩は「ドバト(カワラバト)」と呼ばれる種類です。人に対する警戒心も低く、都市部を中心によく現れる鳩です。被害件数が最も多いといわれているのが、ビルやマンションのベランダなどになります。
【特徴】
- 雑食
- 決まった行動パターンをとる
- テリトリー意識が強い
- フンの量が多い
- ねぐら、巣のなかでもフンをする
【被害内容】
- ビルやマンションなどの建物、駅舎、駐車場、寺社、市場、車や人などにフンを落とし汚される
- フンの悪臭、それによる害虫被害
- 乾燥したフンの飛沫による感染症
- 鳴き声
- 巣をつくり、卵を産む
- ドバトを見ることへの嫌悪感など
カラス
日本には約7種類のカラスがいるといわれています。郊外や野山などによく現れるのは「ハシボソガラス」、都市部で見かけるのは「ハシブトガラス」と呼ばれる種類です。ハシブトガラスは、森の中で暮らすカラスでしたが、エサの豊富な街へと移り住み、個体数も増加しました。
【特徴】
- 認識力や記憶力、情報伝達力など知性に優れ、鳥の中でも非常に頭が良い
- 飛翔性能があり、運動能力に優れている
- 雑食
- エサを保存する貯食行動をとる
- 小動物を仕留めるなど、攻撃力がある
- 仲間との協調性がある
- 人に対する警戒心が強いが、大胆に攻撃をしてくるケースもある
【被害内容】
- 繁殖期に威嚇行動
- ゴミ置き場における、食べ荒らし
- 鳴き声、騒音
- ビルやマンションの建物の屋上などにおける、フンの被害
- 乾燥したフンの飛沫による感染症
- 巣をつくり、卵を産む
- 人に対して攻撃してくる
- カラスを見ることへの嫌悪感、恐怖心など
スズメ
日本には、「スズメ」と「ニュウナイスズメ」の2種類のスズメがいるといわれています。ニュウナイスズメは山や森に住んでいるため、街などでよく見かけるのは「スズメ」です。
【特徴】
- カラスや猫、ヘビなど天敵が多いため、性格はとても臆病
- 警戒心も強い
- 天敵が人を避けるのを理解していることから、人の近くを生活圏としている
- 集団で行動することが多い
【被害内容】
- 巣の周辺での鳴き声、騒音
- 家の屋根、垂木のすき間などに巣を作る
- 米や穀物の倉庫、市場などにエサを探しに来る
鳥にフンをよく落とされる家の特徴
鳥にフンを落とされやすい家の特徴について解説します。鳥がよく現れる場所には大きく2つの特徴が見られます。
1つ目に、天敵から身を守りやすい場所です。例えば、雨風をしのげる屋根がある、大きな太陽光パネルが設置されている家などは、鳥に好まれやすい傾向があります。その他にも、エアコンの室外機がベランダに置いてある場合も、鳥の休憩所などになりやすいです。
2つ目に、見晴らしの良い場所です。これも、天敵から身を守るために、なるべく広範囲を見渡せるような高い場所を好むようです。例えば、都会にあるマンションやビルなどは、この2つの特徴に当てはまるので、鳥のフン被害に遭いやすい家であるといえます。
また、車などに、鳥のフンが落とされてしまった経験はありませんか。実は、車にフンを落とす理由は、鳩やカラスなどの鳥たちの強い縄張り意識が要因なのです。フンを落とすのは、一種の威嚇、縄張りを示すマーキングのためであり、車が「自分の縄張りに入って来た天敵である」と勘違いしているからといわれています。また、鳥のフンがよく落とされる車は、実は鳥に似た色をした車なのだともいわれます。
ベランダや玄関についた鳥のフンの掃除方法
ここからは、ベランダや玄関などに鳥のフンがある場合の掃除方法について解説していきます。
準備する道具
鳥のフンを掃除する前に、必要な掃除道具を準備していきましょう。
【準備する道具】
- 使い捨てのマスク
- 使い捨てのゴム手袋、ビニール手袋
- ゴーグル
- デッキブラシ
- ぼろ布、キッチンペーパー、古新聞など
- 水かぬるま湯を入れたバケツかペットボトル
- 塩素系漂白剤スプレー
- アルコールなどの消毒液スプレー
- ゴミ袋
消毒液やぬるま湯を鳥のフンに吹きかける
乾燥してしまっている鳥のフンには、ぬるま湯もしくは消毒液スプレー、塩素系漂白剤スプレーなどを吹きかけて、鳥のフンを柔らかくしてください。広い範囲にフンがついている場合には、濡らした新聞紙を覆いかぶせて、ぬるま湯をかけて柔らかくしておきましょう。
まだ乾燥していないフンは、消毒液スプレーを吹きかけながら、キッチンペーパーなどで拭き取りましょう。
柔らかくなった鳥のフンを拭き取る
次に、柔らかくなった鳥のフンをキッチンペーパーやぼろ布を使い、拭き取ります。汚れたキッチンペーパーはすぐにゴミ袋に捨ててください。
デッキブラシで洗い流す
水かぬるま湯で汚れを流しながら、デッキブラシでこすり掃除を行います。使用したデッキブラシには鳥のフンが残ってしまっていることもあるため、使用後には処分するか、必ず消毒を行いましょう。
最後に消毒をして完了
掃除が終了したら、フンがついていた場所に消毒液スプレーや塩素系漂白剤スプレーなどを吹きかけて殺菌します。消毒をしておかないと、乾燥したときに細かな粉塵などが舞ってしまうこともあるので、丁寧に行いましょう。最後に、使用したものを全てゴミ袋に入れて、しっかり袋を縛ってから処分してください。
車についた鳥のフンの掃除方法
次に、車のボンネットなどについた鳥のフンの掃除方法についてご紹介します。
フンが乾いていない場合
フンをウェットティッシュで拭き取って、ゴミ袋に捨ててください。ビニール手袋などが着用できないケースがほとんどだと思いますので、フンを拭き取った後は、よく石鹸で手洗いを行いましょう。
フンが乾いている場合
時間が経過してしまって、乾いて固まっているフンは、そのままこすってしまうと車に傷がつく恐れがあります。ぬるま湯やアルコールなど消毒液スプレーでフンを柔らかくして、キッチンペーパーなどで拭き取りましょう。フンを長い間放置してしまい、ボンネットなどにシミ跡が残ってしまった時には、シミ除去剤を使いシミ取りを行いましょう。塗装面が剥がれてしまう危険性があるため、研磨剤は使用しないでください。
フロントガラスなどにフンがついている場合
ガラスに傷がついてしまう可能性があるため、いきなりワイパーを作動して掃除を行うことは避けましょう。少し手間ですが、ウェットティッシュやキッチンペーパーを使い、手作業で拭き取ってください。
服についた鳥のフンの掃除方法
服に鳥のフンがついたときの掃除方法をご紹介します。鳥のフンがついてしまった服は、そのまま洗濯機に入れて洗わないようにしましょう。他の服にフンが付いてしまうのを防ぐためです。
- まずは、汚れてしまった服のみを手洗いします。
- バケツや桶などにぬるま湯を入れて、フンが付いている部分を浸けて、フンを柔らかくします。フンが取れるようになったら、流水で洗い流しましょう。
- フンがあった場所に洗濯洗剤をつけて、もみ洗いし、すすぎます。
- 酸素系漂白剤をつけて30分ほど浸け置き後、また水でよくすすぎましょう。それから、他の服と一緒にいつもの洗濯をしてください。
鳥のフンを掃除するときの注意点!
鳥のフンを掃除するときの注意点を4つご紹介します。掃除を行う前に、必ず目を通してください。
マスクと手袋はしっかり着用する
フンを掃除するときには、感染対策が重要です。マスクとビニール手袋は必ず着用、できればゴーグルなども付けて掃除しましょう。掃除が短時間であっても、鳥のフンに含まれる菌が体内に入ってしまう可能性があります。
掃除中に舞ってしまうほこり、乾いたフンの粉塵などを吸い込まないようマスクをつけて掃除をしてください。鳥のフンの掃除で汚れてしまった手で他の物を触ると、菌を広げてしまう可能性もあるため、ビニール手袋の着用も必須です。
掃除に使用した道具は捨てる
鳥のフンの処理で使用した掃除道具は、他に使いまわさないようにしましょう。前述したとおり、鳥のフンには多くの菌やウイルスが含まれているからです。鳥のフンの掃除用具は、基本的に使い捨ての物を使用し、汚れたデッキブラシやぼろ布は処分してください。
風が強い日は掃除をしない
ほこりや鳥のフンの粉塵が飛散することを防ぐため、風が強い日の掃除は極力避けましょう。風で、ほこりや粉塵などが広がってしまうと、アレルギー症状や感染症などの健康被害のリスクも高まってしまうためです。風が強い日は掃除を控え、日を改めましょう。
鳥のフンに触れた場合はしっかり洗う
万が一、鳥のフンに直接手が触れてしまった場合は、すぐに石鹸で洗い流してください。手など皮膚に直接フンが触れてしまうと、皮膚炎などが起こってしまうことも。病原菌が付着してしまっている恐れもあるので、手洗いの後は手指用のアルコール消毒液などを使用すると安心です。
鳥のフンの予防対策
最後に、鳥のフンの予防対策を6つご紹介します。ぜひ、参考にしてください。
防鳥ネットを取りつける
繰り返される鳥のフンの被害に悩んでいる方は、防鳥ネットを使用するのが良いでしょう。鳥は、ベランダなどの手すりにつかまろうとするので、手すりにネットがかかるように設置してください。
防鳥ネットの選び方は「鳥の種類に合ったネット目にすること」がポイントです。鳩、カラスくらいの大きさなら、約20〜30mmのネット目、スズメくらいの大きさであれば、約15mmの小さなネット目を選ぶと良いでしょう。
強力な磁石を設置する
鳩は強い磁気を嫌がる習性をもっています。そのため、鳩の被害がある場所には強力磁石を設置するのもおすすめです。磁石は、ホームセンターなどでネオジウム磁石や専用マグネットなどが販売されています。手すりに磁石をつけていると磁気が弱まり効果が薄れるため、手すりにつけずに、ネットなどに吊して設置するようにしましょう。
鳥が嫌がる植物を育てる
鳥が嫌がる香りのする植物を育てるのもひとつの手です。鳥はミントやローズ系の香りが苦手といわれています。
ハーブやペパーミント、ローズマリーなどをベランダなどで育ててみるのも良いでしょう。他にも、鳥の嫌がるニオイのする忌避剤を設置するのも効果的です。忌避剤には効果の持続期間に限りがあるので、定期的に交換するようにしましょう。
ベランダは常にきれいに整理する
ベランダを整理整頓し、鳥が巣を作りやすい環境や隠れやすい場所を作らないのも大切なポイントです。例えば、物置やダンボール、使っていない鉢植えなどが置いてあると、鳥にとって好まれやすい場所になってしまうことも。
なるべくベランダには物を置かず、手すりや床も常にきれいに掃除しておきましょう。鳥は清潔な場所を嫌がるので、ベランダをきれいな状態にキープすることが重要です。
車はボディシートを活用する
鳥のフンで車が汚れるのを防ぐには、ボディシートをかけておくのが良いでしょう。鳥のフンは酸性のため、車のボンネットなどにフンがつくと、ボディの塗装面に悪影響を及ぼします。車にフンを見つけたら、乾燥してしまう前に汚れを落とすようにしましょう。
専門会社に予防対策を依頼する
自分で対策するのが大変な場合には、専門会社に依頼する方法がおすすめです。
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おわりに
鳥のフンを放置してはいけない理由や、掃除方法などをご紹介しました。気づかない間に、ベランダや玄関、車などを汚されてしまい、悩みの種となる鳥のフン。汚れた場所を見つけたら、注意点を守りながら適切に掃除を行ってください。そして、鳥のフンの被害を繰り返さないためにも、予防対策に努めていきましょう。