空気が乾燥する季節になると、肌も潤いを失い、カサカサしたり、シワになったり、白く粉を吹いたりします。見た目が悪いばかりでなく、乾燥肌が進行すると痒みや赤みなどの不快な症状が出てくるため、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
乾燥した肌を改善するため、スキンケアに力を入れる方は多いでしょう。しかし、肌の表面をケアするだけでは乾燥肌の根本的な改善には至りません。症状が進む前に乾燥肌の改善策を実践し、健康な肌の潤いを取り戻しましょう。
このコラムでは、乾燥肌になる原因や改善方法について詳しく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
乾燥肌とは水分が不足した状態
乾燥肌は、肌の内部にある水分が失われて潤いがなくなった状態です。肌には、紫外線や異物の侵入を防ぎ、水分の蒸発を防止する天然のバリア機能が備わっています。バリア機能とは、肌表面の油分と水分のバランスを取り、水分を保持する機能です。
健康な肌は、皮脂やアミノ酸、尿素などの保湿因子によって潤いが保たれています。しかし、乾燥肌には皮脂や保湿因子が不足しているため、水分を内部に保持できず、肌表面からの蒸発を抑えられません。乾燥肌は、肌のバリア機能が崩れることにより、カサカサや痒みという不快な症状が出てしまうのです。
乾燥肌になる5つの原因
乾燥肌になる原因は、次の5つがあります。ひとつずつ詳しく解説しますので、参考にしてみてください。
年齢的な要因
肌のみずみずしさを保つには、水分を抱え込む保湿因子や肌表面の皮脂が必要です。しかし、年を経るごとに皮脂や保湿因子が減少するため潤いを保持できず、乾燥肌になる可能性が高くなります。
また、女性は年齢によりホルモンバランスが乱れることも乾燥肌の原因のひとつです。女性は30代を超えると女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が減り、さらに更年期以降は皮膚のトラブルが発生しやすくなります。ホルモンのバランスが崩れることによりバリア機能が低下し、乾燥肌になる方が多いです。
紫外線
屋外で紫外線を浴びる時間が長くなると、肌の一番外側にある角質層がダメージを受けるため、肌を守る機能が低下し、乾燥肌の症状が出ます。角質層のダメージとは、紫外線により皮脂膜が攻撃され皮膚のバリア機能が弱くなることです。皮脂膜には水分の蒸発を防ぐ役割があり、皮膚内部の水分が蒸発し乾燥が進みます。
また、紫外線によって日焼けした肌は、軽いやけどのような状態です。ヒリヒリしたり、赤みや痛みが出たりする場合もあります。さらに進むと水ぶくれや発熱などの症状が出ることもあるため、注意が必要です。
生活習慣の乱れ
仕事が忙しくなって睡眠時間が減ったり、外食が増えたりして、生活習慣が乱れることがあります。生活習慣の乱れにより食事や睡眠が不足すると、ターンオーバーと呼ばれる肌の新陳代謝の周期が乱れ、乾燥肌の原因になります。
また、運動不足も乾燥肌の原因です。運動すると血行促進やストレスの解消、睡眠の質が向上します。一方、運動をしないと血行が悪くなり新陳代謝が活性化されません。乾燥肌の改善には、規則正しい生活習慣と適度な運動を継続することが大切です。
室内外の乾燥した空気
乾燥した空気に触れると、肌の水分を保つ機能が低下し、乾燥肌の原因になります。スキンケアで充分に保湿していても、空気が乾燥していると水分が蒸発しやすくなるため、注意が必要です。
特に冬の室内ではストーブやエアコンなどの暖房器具を使うので、部屋の空気が乾燥します。そのため、肌の乾燥も進行しやすい状態です。また、冬は戸外の空気も乾燥していることが多く、肌の潤いを保つ脂質や保湿因子が減少し、乾燥肌になりやすくなります。乾燥した空気は乾燥肌に悪影響を与えるため、部屋の内外を問わず充分に注意しましょう。
スキンケアの間違い
スキンケアの間違いが原因で、乾燥肌が改善しない場合があります。洗顔をする際に肌をこすったり、化粧水を過剰にパッティングしたりすることにより、肌表面の皮脂を取り過ぎてしまい、水分の蒸発を防止できなくなることが原因です。
また、メイクをする時や落とす時にも肌に摩擦が加わるため、バリア機能が低下し乾燥肌につながります。
乾燥肌の改善法10選
乾燥肌の悩みを改善するには、スキンケア以外にも注意するポイントがあります。ここでは、乾燥肌の改善方法をご紹介します。乾燥肌体質の改善方法について詳しく知りたい方は「【医師監修】完全網羅!深刻な乾燥肌を改善する方法10選!肌の水分が減る5つの原因を徹底解説」のコラムもお読みください。
年齢に応じたスキンケアをする
年齢が進むと、潤いを保つ成分が減少するため、年齢に応じたスキンケアが必要です。年齢を重ねると、健康な肌に豊富に蓄えられているコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などが次第に減少します。そのため、肌の内部にある水分を保つ力が弱くなり、潤いのない乾燥した肌になります。
女性は30代を超えると肌の保水力が落ち、新陳代謝のサイクルが乱れるので、スキンケアで年齢に応じた基礎化粧品や工夫を追加することが必要です。
一年中UV対策をする
紫外線は乾燥肌ばかりでなく、さまざまな肌トラブルの原因になるため、UV対策は一年中行いましょう。紫外線は季節に関係なく一年を通して降り注いでいます。紫外線によるバリア機能の低下を防ぐには、外出時には常にUVケアをすることが大切です。
肌の老化の8割は、紫外線を浴びることで起こります。特に紫外線A波(UVA)は、肌の潤い成分であるコラーゲンを破壊します。日差しの弱い冬でも、外出する時はUVケアを徹底しましょう。
睡眠・食事・入浴法を見直す
乾燥肌を改善するには、質の良い生活習慣の意識が重要です。毎朝決まった時刻に起きて、栄養のある食事を摂りましょう。就寝前にお酒を飲んだり、喫煙したり、スマホを見たりすると、睡眠の質が低下するため、避けるようにしましょう。
食事は栄養バランスを考えて摂ることが大切です。次に挙げる栄養素は乾燥肌の改善に効果があるので、しっかり摂りましょう。
- ビタミンC(イチゴ、レモン、ブロッコリーなど)
- β-カロテン(ピーマン、かぼちゃ、スイカなど)
- D-アミノ酸(納豆、ヨーグルト、チーズなど)
さらに寝る1〜2時間前にお風呂に入り、体温を上げておくと自然に眠れます。入浴する際は、39~40℃のぬるめのお湯がおすすめです。身体の芯から温まるので、新陳代謝が促進されます。健全な新陳代謝の周期は28日ですが、年齢が進むごとに期間が長くなり、乾燥肌に悪影響を与えます。しかし、生活習慣を変えるだけで健全な新陳代謝サイクルに近付き、健康な肌を取り戻すことができるでしょう。
部屋の湿度を適度に保つ
エアコンや暖房器具で部屋の湿度が下がると、肌の乾燥が進みます。乾燥肌を防ぐためには、湿度を50~60%に保ちましょう。また、エアコンの風が直接当たっても乾燥の原因になるため、風の強さや風向を調整することも大切です。
スキンケアを見直す
現在、行っているスキンケアを見直してみましょう。ここでは、クレンジングと洗顔の注意点を解説しますので、ご自身のスキンケアと比較してみてください。
クレンジング
クレンジングを選ぶ際に成分表示を見て、肌に悪いものが入っていないか確認することが重要です。ラウリル、アンモニウムなどの合成海面活性剤が含まれているものは肌に負担を掛けるため、選ばないようにしましょう。また、オイルタイプのクレンジングも肌への負担が大きいので、特別濃いメイクをしているのでなければ、乾燥肌には向きません。
洗い流さないタイプのクレンジングは、成分が肌に残ったり、拭き取るときに過度の摩擦を生じているので使用しないようにしましょう。乾燥肌の方は洗い流すタイプのクレンジングを選ぶと良いでしょう。クレンジング剤が残らないようすすぎましょう。ぬるま湯で洗顔後は肌の表面の水分が蒸発しやすい状態になっているので、できれば10分以内に保湿ケアをしましょう。
洗顔
洗顔する際はよく泡立てて優しく洗いましょう。肌を強くこすって洗うと、摩擦で肌のバリア機能が壊れてしまうからです。洗顔には、36℃前後のぬるま湯を使いましょう。温度が高いと皮脂が溶け出し、肌の乾燥が進みます。
夜だけでなく、朝の洗顔にも洗顔料を使いましょう。水洗いだけでは睡眠中に出た皮脂などの汚れが落ちません。
また、アルコールやエタノールなどが入っていない刺激の少ないスキンケア用品を選びましょう。
丁寧な保湿で肌を潤す
乾燥肌を改善するためには、適切な保湿方法を知ることが重要です。
保湿成分が入った化粧水で水分補給をし、美容液や乳液、クリームなどの油分を上に塗って水分の蒸発を防ぎます。
美容液は、セラミドやヒアルロン酸などが豊富に含まれたものを選びましょう。また、油分を補給するためのスキンケア用品を塗る際には、純度の高い白色ワセリンがおすすめです。白色ワセリンは、不純物がほとんど含まれていないため、乾燥した肌に刺激を与えにくいです。
乾燥肌を改善するには、保湿ケア化粧品の付け方もポイントです。化粧品を肌に付ける時は、手のひらで優しく押さえ、しっかりと浸透させましょう。
日常生活を見直す
乾燥肌の改善を目指すには、何気なく選んでいた肌着や、食生活といった生活習慣に関わる点を見直すことも有効です。
例えば、肌着は刺激がなく柔らかい綿素材のものを選びましょう。肌着は直接肌に触れるので、起毛素材や化学繊維のものは避けた方が良いでしょう。素材選びに気を配ることで、肌に痒みが出ることを防げます。
食生活では、アルコールや香辛料などの刺激物を控えるようにしましょう。乾燥肌で痒みが出ている時に刺激物を摂ると、痒みが強くなります。加えて、アルコールを多量に飲むと良質な睡眠を取れません。また、無意識に引っ掻いて肌を傷付けてしまうこともあるため、飲酒は控えることが重要です。
入浴の習慣を見直す
乾燥肌の方は、入浴時の習慣が間違っている可能性があるため、この機会に見直してみましょう。
身体を洗う時には、ナイロンやポリエステルなどの硬い素材のタオルや、ブラシなどは使わない方が良いでしょう。肌の表面を傷付けてしまうため、身体を洗う時にはタオルなどを使わず手で洗いましょう。よく泡立てた石鹸を手に取り、優しく洗うのがおすすめです。
入浴後は、外気に触れると10分後には肌が乾燥した状態に戻ってしまいます。タオルで水分を取ったら、すぐに保湿剤を塗って水分の蒸発を防ぎましょう。
こまめに水分補給する
肌の潤いを保つには、1日に1.5〜2Lの水分補給が必要です。水分補給は、のどが渇く前に少量ずつこまめに行いましょう。一度に大量の水分を摂ってもすぐに尿として排出されてしまうため、少しずつ飲むのが効果的です。
飲みものは、水や麦茶をおすすめします。カフェインを含んだコーヒーや紅茶には利尿作用があるので、なるべく摂らないようにしましょう。
乾燥肌に効果的な有酸素運動を行う
運動不足になると、血行が悪くなり乾燥肌の原因になります。適度な運動を習慣にすれば、血行が促進され代謝が活性化します。また、運動は睡眠の質向上、ストレス解消にも効果があるため、健康な肌を保つ重要なポイントです。
肌の血行が促進されると、酸素や栄養成分が肌に行きわたりやすくなり、水分・油分のバランスが整った健康な肌になります。
乾燥肌を改善するには、有酸素運動を行いましょう。有酸素運動は長時間掛けて酸素を取り込むため、血行が良くなります。息切れしない程度の運動を取り入れれば、運動の習慣がない方でも無理なく生活に取り入れられるでしょう。
有酸素運動には種類がありますが、特にウォーキングやヨガをおすすめします。ウォーキングやヨガは年齢に関係なく実践しやすい運動だからです。
ウォーキングをする際には、無理をせずご自身の体調に合わせて、歩くペースや時間を決めましょう。最初は短時間でも良いですが、最終的には1時間程度の運動が目標です。
ヨガは室内でできるため、天候に左右されずに続けやすいでしょう。運動の習慣がない方は、身体が固くなっているので、慣れるまでに時間がかかります。しかし毎日継続していけば、肌の新陳代謝が良くなり、乾燥肌の改善につながります。
男性は皮脂量が多いため、乾燥している自覚がない方も多いですが、実は乾燥しています。近年は男性向けのスキンケアアイテムも増えていますので、ぜひ利用していただきたいです。
乾燥肌が改善しない場合は皮膚科を受診しよう
さまざまな改善方法を試しても良くならない場合や、赤みや痒みの症状が出ている場合は、皮膚科の受診をおすすめします。乾燥肌が進行し、痒みのある部分を引っ掻いてしまうと炎症を起こす場合があるため、早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
医師に診察してもらうことで、体質に合ったケア方法を知ったり、乾燥肌の原因を特定したりすることが期待できます。薬の処方を受ければ、市販では手に入らないアイテムでのケアもできるようになるので、肌状態の不安を皮膚科に相談してみてはいかがでしょうか。
おわりに
乾燥肌になる原因は、年齢や紫外線、乾燥した空気、スキンケアの間違いなどです。原因を知ることで、乾燥肌の症状を進行させないコツや改善方法がわかるでしょう。
できることからご自身の生活を見直し、乾燥肌の改善にお役立てください。症状が進んでいる場合には、早めに皮膚科で診てもらいましょう。