現在30代の方で、これから資産運用を始めようかと迷っている方も多いのではないでしょうか?
実は、30代は20代よりも資金を確保しやすく、40代よりも運用期間を長く確保できるため、資産運用を始めやすい年代です。
そこで本記事では、資産運用を30代から始めるメリットやおすすめの運用方法、失敗しないコツなどを紹介します。本記事を読めば、30代で資産運用を始める必要性や考え方が分かり、失敗のリスクを抑えられるでしょう。
この記事を読んでわかること
- 資産運用を30代で始めることで、出産や住宅購入などのライフイベントや老後に備えられる
- 30代は20代よりも資金を確保しやすく、40代よりも老後までの時間があるため、資産運用を始めやすい
- 資産運用を失敗させないためには、目標を決めて少額から始める
- 長期・積立・分散を意識してコツコツ運用することで、リスクを抑えて効率の良い資産運用ができる
資産形成と資産運用の違い
「資産運用」と似た用語に「資産形成」があります。まずは、それぞれの言葉の意味と違いを理解しておきましょう。
資産形成とは
資産形成とは、生きていくうえで必要な資産を一から築くことです。例えば、働いて得た給与を貯金する、日々の支出を抑えて貯蓄を増やすといった行為が資産形成に当たります。
結婚や出産などのライフイベントには、まとまったお金が必要となるため、収入を増やしたり資産を積み立てたりと、備えておく必要があります。
資産運用とは
資産運用とは、資産形成によって得た資産をさまざまな投資手法で運用し、資産を増やすことです。株式投資や不動産投資、投資信託などが当てはまります。
資産運用によって、資産が増えることもあれば減ることもあるため、リスクを分散して効率良く運用するのが重要です。
資産運用を30代から始めるメリット
資産運用を30代から始める主なメリットは以下のとおりです。
- ライフイベントに備えられる
- 20代より資金を確保しやすい
- 40代以降は資産運用の難易度があがる
それぞれについて詳しく解説します。
ライフイベントに備えられる
30代は結婚や出産、住宅購入などのライフイベントを迎える方が多い年代です。また、老後や教育資金など、将来必要となる資金をどのように準備するかを考える機会が多くなるタイミングです。
そのような30代のうちに資産運用を始めておけば、ライフイベントの出費にも備えやすく、資金面の不安を軽減できます。
20代より資金を確保しやすい
30代は仕事で昇給・昇進する方が多く、20代よりも収入が増える傾向にあります。国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、年代別の平均給与は以下のとおりでした。
年齢 | 男性 | 女性 | 合計 |
20〜24歳 | 287万円 | 249万円 | 269万円 |
25〜29歳 | 404万円 | 328万円 | 371万円 |
30〜34歳 | 472万円 | 322万円 | 413万円 |
35〜39歳 | 533万円 | 321万円 | 449万円 |
男性の平均給与は年齢を重ねるにつれて高くなっており、35〜39歳の平均給与は、20〜24歳よりも246万円も増えていることが分かります。
収入が増えると余剰資金が生まれやすいため、30代は20代よりも資金を確保しやすく、資産運用を始めやすい年代といえるでしょう。
40代以降は資産運用の難易度があがる
資産運用を効率良く行うには、早い時期から始めるのがポイントです。40代以降は子どもの教育資金などが必要となり、資金に余裕を持ちにくい傾向があります。
日本政策金融公庫が令和3年に行った「教育費負担の実態調査結果」によると、子ども1人当たりにかかる、高校入学から大学卒業までの教育費は942.5万円でした。簡単に用意できる金額ではないため、子どもが大きくなる前から、資産運用などで教育資金を準備しておく必要があります。
また、40代は30代よりも資産運用できる期間が短く、資産運用の難易度があがります。そのため、老後までの期間が長く、資金を確保しやすい30代のうちに資産運用を始めるのがおすすめです。
30代の資産運用におすすめの方法は?
資産運用を30代で始めるメリットを紹介しましたが、いざ始めるとなると不安に思う方も多いでしょう。
そこで本章では、30代の資産運用でおすすめの方法を紹介します。
- NISA
- iDeCo
- 投資信託
- ロボアドバイザー
- 貯蓄型の保険
それぞれ順番に見ていきましょう。
NISA
NISAとは、少額からの長期・積立・分散投資の支援を目的とした、非課税で運用できる国の制度です。投資対象商品は、一定の要件を満たした投資信託に限定されています。2024年1月から新しいNISAが始まり、抜本的に拡充・恒久化されています。新制度のNISAを利用することで、年間1,200,000円、無期限、非課税で運用が可能です。
新NISAの内容は以下の表を参考にしてください。
新NISA | ||
枠 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
対象者 | 日本在住で18歳以上 | |
非課税投資枠(年間) | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 無期限 | |
非課税保有限度額 | 全体で1,800万円 (成長投資枠は1,200万円) | |
対象商品 | 一定の要件を満たした投資信託など | 上場株式、投資信託など |
制度の併用 | 可能 |
新NISAでは、旧制度よりも非課税投資枠が拡充され、非課税期間は無期限となりました。有効に活用すれば大きな節税効果が見込めるでしょう。
詳しい内容は、金融庁のホームページをご確認ください。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に、任意で加入できる私的年金制度です。ご自身で決めた掛金を積み立てて運用を行い、60歳以降に掛金と運用益の合計額を受け取れます。
iDeCoは掛金が全額所得控除になったり、運用益を非課税で再投資できたりと、税制上でさまざまな優遇措置が講じられています。ただし、元本保証がなく、原則60歳まで資産を引き出せないのがデメリットです。
投資信託
投資信託とは、複数の投資家から集めた資金を、資産運用のプロが債券や株式などに投資して運用する投資手法です。
投資信託の商品を選んだ後は、運用のプロに一任できるため、投資初心者でも気軽に始められます。
投資信託にも損失を被るリスクがありますが、少額から運用でき、投資先が多いため、リスクを軽減しやすいのが特徴です。ただし、手数料や税金などのコストがかかる場合があります。
定期的に一定額を購入する積立投資で、資産形成をしたい方には投資信託がおすすめです。
ロボアドバイザー
ロボアドバイザーとは、人工知能(AI)が資産運用を代行してくれるサービスです。AIがご自身の年収や運用スタイルに合わせて、最適な投資方法を自動で診断します。
AIからの提案内容(ポートフォリオ)を見て運用方法を決めた後は、AIが自動で資産運用をしてくれるため、手間や時間が最小限で済むのが特徴です。
ただし、AIとはいえ損失を被るリスクがあるため、無理のない範囲で運用するのがおすすめです。
貯蓄型の保険
貯蓄型の保険とは、保険料の払込期間が満期を迎えた際や、解約した際に支払った保険料が戻ってくる保険のことです。亡くなった際や、高度障害になった際に保険金を受け取れる終身保険や、老後に保険金が受け取れる個人年金保険などが代表例です。
保険と貯蓄の性質を兼ね備えたのが貯蓄型の保険となり、商品によっては満期を迎えた際に、払い込んだ保険料以上のお金を受け取れる場合があります。
また、死亡保障が付いていれば、万一亡くなった場合の備えにもなります。ただし、短期間で解約した場合は損失を被ったり、掛け捨ての保険よりも月々の保険料負担が重くなったりする場合があるため注意しましょう。
クレカ積立ならポイント還元でお得!
クレカ積立とは、クレジットカードで投資信託の積立投資をすることです。クレジットカードで決済するため、入金の手間なく投資信託を購入できます。また、積立と同時にポイントが貯まるメリットがあります。
資産運用を失敗させないコツ
資産運用には損失を被るリスクがあります。大切な資産を減らさないために、堅実に運用するのが重要です。
そこで本章では、資産運用を失敗させないためのコツを紹介します。
- 目標を決める
- 資金を把握する
- 長期・積立・分散を意識する
- 特性やリスクを理解する
- 少ない額から始める
それぞれについて詳しく解説します。
目標を決める
資産運用を始める前に、資産運用の目標や達成したい時期を明確にしましょう。目標によって最適な運用方法が異なるためです。
例えば、教育費や住宅購入費の運用など、なるべく資金を確保しておきたいケースでは、元本割れのリスクが低い「ローリスク・ローリターン」型の金融商品を選ぶと良いでしょう。一方で、余剰資金など損失を被っても支障がないケースでは、「ハイリスク・ハイリターン」型の金融商品も選択肢として検討できます。
また、運用期間やリスクをどれだけ取れるのかなどを具体的に考えることで、途中で方向性に迷わずに済みます。
資産運用をスムーズに進めるためにも、目標をあらかじめ決めておきましょう。
資金を把握する
資産運用を着実に進めるには、毎月の収支額を把握して、資産運用に回せる資金を計算することが大切です。
資産運用は余剰資金で行うことが基本であり、無駄な出費を抑えて、資産運用に回せる資金を多く確保できれば、効率良く運用できます。
また、最初に収入から資産運用に回す資金を差し引き、残ったお金を生活資金にしたほうがスムーズに運用できるでしょう。収入から生活資金を先に差し引いてしまうと、突発的な支出などで投資に回せる資金が変動してしまうためです。
毎月の収支額を把握して、生活資金や資産運用に回す資金など細かく決めておきましょう。
長期・積立・分散を意識する
資産運用にはリスクがあります。なるべくリスクを抑えるには、「長期」「積立」「分散」を意識した投資をするのがポイントです。
長期投資とは、長期間にわたって資産運用することです。少額でも長期間運用することで、まとまった金額となりやすく、大きな利益につながります。
積立投資とは、毎月一定額をコツコツ購入して運用することです。購入のタイミングに迷わず、価格変動のリスクが抑えられます。
分散投資とは、投資先や銘柄などを複数に分けて運用することです。分散投資をしていれば、値下がりした銘柄があったとしても、他の銘柄の値上がりでカバーできます。
長期・積立・分散を意識して、バランス良く資産を運用しましょう。
特性やリスクを理解する
資産運用はさまざまな方法があり、リスクも金融商品によって異なります。金融商品が持つ特性やリスクを理解すれば、商品を選ぶ際にご自身の目的に合致しているかどうかが分かります。
例えば、安全性を重視する場合は、リスクの高い金融商品は向きません。一方で、収益性を重視する場合は、リスクを取って高いリターンを期待できる金融商品も選択肢に入ります。
資産運用にはリスクがつきものであるため、特性やリスクを理解したうえで商品を選びましょう。
少ない額から始める
資産運用は少額から始めるのが基本です。1日100円(月3,000円)の投資であっても、年利5%で運用すると、10年後には465,847円になります。
また、投資経験のない状態で多額の資金を投資すると、日々の値動きに一喜一憂してしまい、生活に支障をきたす恐れがあります。
まずは少ない額から始めて、資産運用の知見や経験が深まった後にまとまった資金を運用するのがおすすめです。
おわりに
資産運用は、早いうちに少額から運用するのがポイントです。特に30代は収入が増える傾向にあり、資金を確保しやすくなるため、資産運用を始めやすい時期といえます。まずは、ご自身が資産運用をする目的を明確にして、いつまでに資金が必要かを考えてみるのがおすすめです。
本記事で紹介した資産運用のおすすめの方法や失敗しないコツを理解して、無理のない範囲で資産運用を始めてみましょう。