100万円で資産運用ができるのか疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。多くの資金が必要と思われる資産運用ですが、100万円からでも始められます。
本記事では、100万円を運用するメリットや運用方法、初心者が押さえておきたいポイントと注意点を解説します。100万円を投資するべきか悩んでいる方も、本記事を読んでいただければ少額投資への理解が深まり、将来へ向けた資産形成ができるでしょう。
この記事を読んでわかること
- 少額でも始められる金融商品を選べば投資額が少なくても資産形成ができる
- 少額投資で成功するにはリスクを抑えながら長期間で運用するのがポイント
- 自身に合った運用方法を選択することも重要
- 税金が優遇される制度の利用もおすすめ
100万円を運用する意味について
100万円の貯金がある場合、貯蓄や消費に回すのではなく、運用に回してみたいと考える方も多いでしょう。一方で、100万円を投資してもメリットは少ないのではないかと、疑問に感じている方もいるかもしれません。
100万円でも投資することに意味はあります。少額から始められる金融商品で運用することで、徐々に資産を増やせるからです。
本章では、100万円の活用方法や投資の魅力を紹介します。少額でも投資に回すことで、将来に向けて資産を増やせるため、ぜひ参考にしてください。
100万円なら銀行預金に預けていたほうが良い?
普通預金や定期預金で預けていれば、100万円が減るリスクはありません。
しかし、現代は超低金利の時代であるため、預貯金に預けていてもお金はあまり増えません。2023年6月現在、大手銀行の普通預金が年利0.001%、定期預金が年利0.002%です。比較的金利が高いといわれているネット銀行でも、普通預金は年利0.01~0.2%程度、定期預金は1年もので0.01~0.21%程度です。
例えば、100万円を大手銀行で年利0.001%の普通預金に1年間預けたとしても、1年後に10円の利息しか受け取れません。
一方、投資であれば年利5%程度で運用できるため、100万円を投資すれば、年間5万円程度の配当金を得られます。
しかし、投資である以上損失を被る可能性があるため、大きく失敗しないためには、リスクを抑えた運用が大切です。ご自身が資産運用をする目的をもとに、適した手法を考えましょう。
投資することの魅力
100万円であっても、投資をすることで以下のようなメリットがあります。
- 効率的な資産形成ができる
- インフレ対策になる
- 税制優遇制度を活用できる
それぞれについて解説します。
効率的な資産形成ができる
現代は超低金利のため、普通預金や定期預金に預けていてもお金はあまり増えません。少額であっても運用することで、将来に向けて効率的に資産形成ができます。
資産を増やすにはリスクが付きものですが、金融商品の概要やメリット・デメリットをしっかりと理解すれば、リスクを抑えられます。具体的には100万円でも始められる金融商品を選び、長期的に運用することがポイントです。
また、積み立てタイプの商品を選び毎月定額を積み立てることで、価格変動のリスクを軽減できます。少額投資に適した方法で運用し、効率的に資産形成しましょう。
インフレ対策になる
インフレになると現金の価値が下がるため、日本円を現金のまま保有していると資産としての価値が下がってしまいます。一方で、インフレ時に値上がりする資産に投資することで、効率的に資産を増やせます。特におすすめなのが株式や外貨への投資です。
インフレは売上や利益を上昇させる要因のひとつであるため、インフレになると株価が上がる傾向にあります。また、100万円の一部を外貨で保有すれば、円安時に資産を増やせます。インフレになると円安になる傾向にあるため、適切な対策を講じましょう。
このように、現金以外の金融資産で保有することで、インフレ時の資産の目減りを防げます。
税制優遇制度を活用できる
国として投資を推進しているため、NISAやiDeCoといった税制優遇制度が用意されています。これらの制度を活用すれば、掛け金の所得控除や利益の非課税といった優遇が受けられるため、手元に多くの資産を残せます。
NISA口座を開設できる証券会社には手数料やサービスに違いがあるため、初心者でも利用しやすいサービスのある証券会社を選ぶことが大切です。
100万円でどんな金融商品に投資できる?
具体的に100万円でどのような金融商品に投資するべきか分からない方も多いでしょう。本章では100万円で投資できる金融商品を6つご紹介します。
- 債券
- 株式
- 投資信託
- ETF・REIT
- ロボアドバイザー
- ファンドラップ
それぞれの特徴を理解することで、ご自身に合った商品を選択できるでしょう。
債券
債券とは、国や地方公共団体、企業などが投資家から資金を集めるために発行する有価証券の一種です。あらかじめ利率や満期日が決められているため、投資家は毎年利息を受け取り、満期日には額面金額を受け取れます。
債券には、国内債券や外国債券があります。
- 国内債券:国内で発行される債券(日本円建て)
- 外国債券:日本以外で発行される債券(主に外貨建て)
それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
国内債券 | ・安全度が高い | ・価格変動リスクがある |
外国債券 | ・利率が高い ・円安になれば為替差益を得られる | ・円高になれば資産が目減りする ・信用リスクがある |
株式
株式投資は、株式会社が発行する証券を売買して、売却益や配当金を得る運用方法です。
株式投資の最大のメリットは、株式を売買して差益を得るキャピタルゲインです。株式を安く買って高く売れば、その差額が利益になります。株式を保有していると得られるインカムゲイン(配当金や株主優待など)や、株主が経営に参加できる議決権もメリットです。
一方で、株式投資には元本保証がないため、購入時より値下がりすれば元本割れする恐れがあります。企業が減益すれば配当金が減り、インカムゲインも減少するでしょう。倒産した場合、せっかく買った株式の価値が無くなってしまいます。
株式投資はまとまった利益を得られる可能性がある反面、大きく損失を出すリスクがあることに注意が必要です。企業の経営状態や景気の動向などしっかりと検討して銘柄を選び、リスクを抑えて運用しましょう。
投資信託
投資信託とは、投資のプロにお金を預けて投資・運用してもらう商品です。
投資信託の最大のメリットは、投資のプロが代わりに運用してくれることです。そのため、初心者でも手軽に投資を始められます。また、世界中の株式や債券に自動的に分散投資されるため、リスクを抑えた投資が可能です。
ただし、元本保証がなく、プロでも市場の動向や世界情勢によっては損をするリスクがあります。投資信託にはコストもかかるため、始める前にしっかり調べて余分な出費に注意しましょう。
ETF・REIT
ETFやREITは投資信託の一種です。
- ETF:証券取引所に上場している投資信託
- REIT:不動産に投資できる投資信託
それぞれのメリットとデメリットは、以下の表を参考にしてください。
メリット | デメリット | |
ETF | ・コストが少ない | ・価格変動のリスクがある |
REIT | ・少額で不動産投資ができる ・安定収益が期待できる ・流動性が高い | ・不動産市場の影響を受ける ・元本割れのリスクがある ・運営元の信用リスクがある |
ETFはコストが少ないため、利益を減らさずに運用できます。一方で、組み入れている有価証券の価格変動や需要によって価格が下がるリスクがあります。
REITで得られる分配金や売却益は不動産市場の影響を受けます。そのため、元本割れのリスクがある点には注意しましょう。
しかし、本来まとまった資金がなければ投資しにくい不動産に少額で投資できるため、投資先を分散したい方はREITを検討してみましょう。
ロボアドバイザー
ロボアドバイザーとは、AIに資産を運用してもらうサービスです。AIがご自身に合った投資対象を選択してくれるため、投資の知識や経験が無くても始めやすいのが特徴です。自動で分散投資してくれることに加え、相場の変動が発生した際は資産配分を調整(リバランス)してくれます。
ロボアドバイザーには以下の2種類があります。
- 投資一任型:運用をすべてAIに任せられる
- アドバイザー型:リスク許容度に合わせた資産運用をアドバイスしてもらえる
ロボアドバイザーには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
・少額から投資が可能 ・分散投資や積立投資を行うNISA対応のロボアドバイザーがある ・自動積立機能付きロボアドバイザーがある | ・損失のリスクがある ・手数料が高い ・知識や経験を身に付けにくい |
少額で投資が可能なため、100万円でも運用できます。自動積み立て機能付きを利用すれば、仕事や家事で忙しい方も入金を忘れずに投資できるでしょう。
投資やお金のことを考えるのが苦手な方には適していますが、手数料を安く抑えたい方や、投資の知識を身に付けたい方には適していません。分散投資や積立投資を行っていくサービスのため、長期運用を検討する方に向いています。
ファンドラップ
ファンドラップは、許容できるリスクや資産形成の希望を証券会社が対面で聞き取り、ポートフォリオを作成して資産運用をアドバイスするサービスです。投資する金融商品は、証券会社のアドバイザーが決めてくれるため、知識のない初心者は安心して投資を始められます。
ただし、最低投資額はロボアドバイザーより高く、まとまった資金が必要です。対面である分手数料も高くなります。
投資の際に知っておきたいポイント
金融機関にお金を預けたり投資をしたりする際の金利には、単利と複利の2種類があります。どちらのタイプの利息が付くかによって、利益が大きく異なるため、資産運用をする際はしっかりと確認しておきましょう。
本章では、単利と複利それぞれの計算方法を解説します。
単利とは
単利とは、投資の元本だけに利息が付くことです。毎回同じ金額の元本に利息が付くため、同じ金額の利息が毎回積みあがっていきます。
例えば、100万円を年利3%の単利で運用すると、毎年受け取る利息は以下のとおりです。
- 年間:100万円×3%=30,000円
- 5年目:30,000円×5年=150,000円
5年後の利息は150,000円です。
利息の計算はしやすい一方で、元本にしか利息が付かないため、大きく資産を増やすには向いていません。
複利とは
複利とは、投資の元本と利息部分に利息が付くことです。半年複利なら半年ごと、1年複利なら1年ごとに利息が元本に加えられていきます。利息を元本に含めるため毎回の利息が増えるため、長期で運用すれば大きく資産を増やせます。
例えば、100万円を年利3%の1年複利で運用した場合、利息の金額は以下のとおりです。
- 1年目:100万円×3%=30,000円
- 2年目:103万円×3%=30,900円
- 3年目:106万900円×3%=31,827円
- 4年目:109万2,727円×3%=32,781円
- 5年目:112万5,508円×3%=33,765円
5年目の利息は159,273円となり、単利より9,273円多く利息を受け取れます。長期間で運用すれば雪だるま式に利息が増えていくため、効率的に資産運用ができます。
参照元:一般社団法人全国銀行協会|レシピの基礎知識 金融商品を見るときに知っておきたい金利表示
100万円の投資で注意したいこと
100万円で投資を始める際は、失敗しないために注意するべきポイントが4つあります。
- 余剰資金で始める
- 投資の勉強をしてから始める
- ご自身のリスク許容度を考えてから投資を始める
- まずは少ない金額から投資する
少額の資金でもおおきな損失を出す恐れがあるため、できる限りリスクを抑えた運用を心がけましょう。本章ではそれぞれのポイントを詳しく解説します。
余剰資金で始める
貯金全額を投資に回して、万が一失敗すると、資産がゼロになり生活が苦しくなってしまいます。損失のリスクに備えて、必ず投資資金とは別に生活資金を確保しておきましょう。
また、急な支出に対する備えも大切です。投資商品によってはすぐに現金化できないものもあるため、万が一の出費に備えて一定額の資金を手元に残しておきましょう。
投資の勉強をしてから始める
投資には知識が必要です。専門家に任せて運用できる商品もありますが、どのようなメリットやデメリットがあるのかをご自身で把握しておくことが重要です。
金融商品の特徴を理解しておけば、市場の動向によって急な値動きがあっても慌てず対応できるでしょう。少額から効率的に資産形成を行うには、ある程度の知識を得て、ご自身で経験を積むことも必要です。
ご自身のリスク許容度を考えてから投資を始める
金融商品を選ぶ際は、ご自身のリスク許容度を把握しましょう。投資によるリスクは、ローリスク、ミドルリスク、ハイリスクに分類され、ご自身がどの程度のリスクまで受け入れられるかによって、商品の選び方が変わります。
それぞれのリスク許容度に向いている運用方法は以下のとおりです。
- ローリスク:定期預金や債券など
- ミドルリスク:株式や投資信託など
- ハイリスク:FXや信用取引など
また、ご自身のリスク許容度に合わせたリスクヘッジも重要です。国内や海外の株や債券、REITなどを組み合わせることで、万が一の際のリスクを軽減できます。適切な分散投資を行うには知識が必要であるため、初心者の方は投資信託など、専門家に任せて運用できる方法をおすすめします。
まずは少ない金額から投資する
初心者の方は知識も経験もないため、ご自身に合った運用方法を見極めるのは困難です。いきなり100万円全額を投資すると、市場の動きに対応できず損をする可能性もあります。
まずは最悪失っても良い金額から投資して、経験を積みましょう。いくつかの商品に投資してみることで理解が深まります。知識や経験が増えることによって、ご自身に合った金融商品が分かるでしょう。
おわりに
100万円の投資にも意味があります。少額でも長期的に運用すれば、将来に向けて少しずつ資産を増やせるためです。例えば、投資信託は投資のプロが運用してくれるため、初心者でも簡単に始められます。
しかし、投資にはリスクがあるため、100万円全額を投資に回すのはおすすめできません。万が一の際の資金は手元に確保し、少額からスタートするのが成功するポイントです。ご自身のリスク許容度をもとに、適切な運用方法を選び資産を増やしましょう。