更新日
公開日

NISAは複数口座開設できる?口座の乗り換え方法も紹介

NISAは複数口座開設できる?口座の乗り換え方法も紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

執筆者
セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

NISA口座はひとり1口座と決まっており、複数開設できません。これからNISAを始めたい方であれば、「複数持って非課税枠を増やしたい」と考える方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、NISA口座の取り扱いや家族で複数の口座を持つ方法を解説します。すでにNISA口座を保有している方向けに、別の金融機関への乗り換え方法も紹介します。NISA口座選びのポイントもわかり、よりご自身やご家族に合った投資が実現できるでしょう。

この記事を読んでわかること

  • NISA口座はひとり1口座までで、複数開設できない
  • 家族で複数のNISA口座を持つことはでき、「非課税枠を増やせる」「簡単に分散投資ができる」といったメリットがある
  • NISA口座は1年単位で変更可能で、変更を希望する年の前年10月1日から翌年9月30日までであれば、その年に変更できる(ただし変更を希望する年の1月1日以降に新規買い付けがないことが条件)

NISA口座は1人1つまで

NISA口座は1人1つまで

NISAは投資の利益を非課税にできる制度です。日本在住の18歳以上が利用できるものには「一般NISA」「つみたてNISA」があり、17歳以下であれば「ジュニアNISA」となります。また2024年からは新NISAがスタートし、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が設立されます。

一般NISAの非課税保有期間は5年、年間投資可能額は最大120万円で、つみたてNISAの非課税保有期間は20年、年間非課税投資可能額は最大40万円です。この非課税の恩恵を最大限に利用するために、「口座を複数持ちたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

はじめにNISA口座の取り扱いについて解説します。

NISA口座は複数開設できない

NISA口座はひとり1口座と決められており、複数の開設はできません。具体的には、「一般NISAでA社、B社」と2つの開設は不可能です。「つみたてNISAでA社、B社、C社」もできません。また「一般NISAでA社、つみたてNISAでB社」というパターンも同様です。

なお新制度ではつみたて投資枠と成長投資枠が併用できます。同じ金融機関内で併用することが条件です。

証券口座は複数開設できる

NISA口座はひとり1口座と制約があるものの、証券口座はいくつでも開設できます。証券口座とは証券会社で金融商品の運用に必要な口座のことです。

例えばNISA口座をA社で持っている状況で、通常の証券口座をB社、C社で開設できます。

複数の金融機関で開設を申し込んだらどうなる?

複数の金融機関で開設を申し込んだらどうなる?

過去にNISA口座を開設していたのを忘れていたり、誤って同時に複数に申し込んだりすることもあるかと思います。複数の金融機関でNISA口座を申し込み、希望しないほうで開設してしまった場合には別途変更手続きが必要です。

ここでは複数の金融機関で申し込んだ場合の流れと対処法について解説します。

税務署から通知が届く

NISA口座の開設には税務署での確認作業が必要です。同じ人が複数の金融機関を通してNISA口座の開設手続きをすると、税務署側は手続きが早かったほうの金融機関で口座を開設します。そして税務署は遅かったほうの金融機関に対して「非課税適用確認書の交付を行わない旨の通知書」を送ります。

過去にどこで口座を開設したか忘れてしまった場合には、最寄りの税務署で照会手続きをしてみてください。後日開設している金融機関から回答をもらえます。2023年5月22日からはe-TaxでNISA口座の開設状況を確認できるようになりました。

NISA口座から普通の証券口座への商品移動は可能

NISA口座にある商品を証券口座(一般口座や特定口座)に移動させることは、どのタイミングでも可能です。

ただし証券口座はNISA口座と異なり、利益に対して20.315%の税金がかかります。移動することでどの程度の負担増になるかシミュレーションしてから、移動すべきか判断しましょう。

金融機関変更の場合は別の手続きが必要

希望しない金融機関で口座を開設してしまった際には、変更手続きをしなければなりません。

具体的には書類の取り寄せや提出、審査などが必要で、予定よりも時間がかかってしまうこともあります。手続き内容は金融機関ごとに異なるため、詳しくは問い合わせてみてください。

家族であれば複数のNISA口座を持てる

家族であれば複数のNISA口座を持てる

家族で複数のNISAを開設する場合、「扶養家族である」といった要件は必要ありません。家族内で複数のNISA口座を持つことで、世帯での年間投資可能額が上がり、ライフイベントに必要なお金を準備しやすくなります。ここでは夫婦での開設と子どもの口座開設について解説します。

夫婦で口座を開設する

夫婦で口座をそれぞれ開設することで、非課税枠が増え、分散投資がしやすくなります。それぞれで手続きが必要で、同じ金融機関でも、異なる金融機関でも問題ありません。

結婚を機に開設する際には、本人確認書類の氏名や住所の変更を忘れずに行いましょう。間違って変更前の本人確認書類を提出してしまうと、再提出を求められ、手続きの時間が伸びてしまいます。

2023年まではジュニアNISAで子どもの口座を開設できる 

子どもがいれば、人数分のジュニアNISAを開設できます。ジュニアNISAとは年間投資可能額80万円で、利益を非課税にできる子ども版NISAです。口座開設者は未成年となるため、両親や祖父母などの運用管理者が代理で行います。

新規買い付けは2023年末までとなり、保有商品は2024年以降は「18歳になるまで非課税で保有」「非課税で払い出し」が可能です。気になる方は金融機関での開設期限を確認し、早めに手続きをしましょう。

家族で複数のNISA口座を持つメリット

家族で複数のNISA口座を持つメリット

夫や妻、子どもそれぞれでNISA口座を持つことで、年間の投資可能額が増え、目的別に口座を持てるといった良さがあります。また投資資金を贈与する際の税金についてもほとんどのケースで心配ありません。ここでは家族で口座を持つメリットを見てみましょう。

非課税保有枠を有効に使える

夫婦で口座を持つことで、年間の投資可能額が増えます。複利効果で資産形成がしやすくなり、学費やリフォーム代、親の介護費用、老後資金などを希望するタイミングで準備しやすくなるでしょう。

例えば夫婦で新NISAのつみたて投資枠を利用すると仮定します。つみたて投資枠の年間投資可能額は最大120万円で、月換算で10万円となります。夫は月10万円、妻は月10万円と投資でき、2人で年間最大240万円もの投資が可能です。

専業主婦でも贈与税はかからない

妻がNISAを利用する際の資金を収入のある夫からもらうこともあるかと思います。1月1日から12月30日までの贈与額の合計が年間110万円以下であれば贈与税は発生しません(暦年課税を選択した場合)。

例えば専業主婦の妻がつみたてNISAで年間100万円の投資をするにあたって、夫から100万円の贈与を受けても税金はかからずに済みます。

年間110万円を超えないよう、投資額は慎重に決めることが大切です。より多くの金額を投入したいときには夫側で購入するなど、対策を考えましょう。

簡単に分散投資ができる

夫婦でNISAをすることで、「夫はA株、妻はB投資信託」などと分散投資が可能です。同じ商品に投資をし続けると値下がりしたときのリスクが大きくなります。そこで夫と妻で別々の商品を運用することで、一方の値下がり分をカバーでき、安定した資産運用につながります。

「国内株式でも業種を別々にする」「株式と債券にする」など、分散投資の方法はさまざまです。夫婦で話し合い、投資のスタイルを決めましょう。

目的別に口座を作ることができる

「夫は長男の教育費を、妻は次男の教育費を」と目的別に口座を作れるのも、メリットです。目的別に口座を持つことで、管理がしやすく、目標金額までいくらかわかりやすくなります。

世帯でNISA口座を複数開設する際には、ログインや取引時のID・パスワードなどを間違えないよう、2人がそれぞれに確認できる場所にまとめておきましょう。

NISA口座の乗り換え方法

NISA口座の乗り換え方法

NISA口座を別の銀行や証券会社に変更したいときには、変更前と変更後の金融機関で手続きが必要です。希望する時期にNISAを始められるよう、早めに変更手続きを申し出ましょう。ここではNISA口座の乗り換え方法を解説します。

1年ごとに金融機関の変更が可能

NISA口座の変更は年に1回までで、タイミングを逃すと次の変更時期は1年後となってしまいます。

なお金融機関の変更だけではなく、現行NISAでは「一般NISAからつみたてNISAへ」「つみたてNISAから一般NISAへ」の変更も年に1回までです。

2024年からの新NISAでは一般NISAが「成長投資枠」に、つみたてNISAが「つみたて投資枠」となります。成長投資枠とつみたて投資枠は併用できるため、枠の切り替えといった考え方はなくなります。

NISA口座の乗り換えのタイミング

NISA口座の乗り換えタイミングはどの金融機関も共通です。希望する年の前年10月1日から翌年9月30日までの変更で、その年分として変更できます。

2024年分の非課税枠から利用したいときには、2023年10月1日から2024年9月30日までが変更期間となります。ただし2024年1月1日以降に新規買い付けをしていると、2024年分での変更はできません。新規買い付けをしてしまうと、変更期間は2024年10月1日から2025年9月30日までで、2025年分からの変更となります。

NISA口座の乗り換えの流れ

はじめに変更前の金融機関のホームページから口座変更を申請します。その後「金融商品取引業者等変更届出書」が送られてくるため、必要事項を記入し、本人確認書類を添付し、返送しましょう。しばらく経つと「非課税管理勘定廃止通知書」が届きます。

次に変更したい金融機関に口座変更を申請しましょう。しばらくすると「非課税口座開設届出書」が送られてくるため、必要事項を記入し、本人確認書類と「非課税管理勘定廃止通知書」を合わせて返送します。

その後税務署と金融機関で審査に通れば、手続き完了です。

NISA口座選びのポイント

NISA口座選びのポイント

NISA口座を作る際には取扱商品や手数料などをホームページで確認することが大切です。ここでは口座選びのポイントを4つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

取扱商品で選ぶ

NISAで扱う商品は投資信託や株式、REIT、ETFなど、種類は豊富です。自分の考え方やリスク許容度に合わせた商品であれば、途中で金融機関を変更したり、売却したりすることなく、長期間運用がしやすくなるでしょう。

つみたてNISAひとつとっても、銘柄はさまざまです。例えば株式100%の投資信託や株式や債券などを組み合わせた商品があります。SNSやYouTubeなどで情報を集め、ぴったりの商品を見つけてみましょう。

手数料の安いところを選ぶ

手数料が安いほど、長期的に運用しやすく、目標金額まで到達しやすくなります。

NISAにかかる手数料には信託報酬や買付手数料などがあります。信託報酬は運用中にずっとかかる費用です。インデックスファンドといった信託報酬が安い銘柄がたくさんある証券会社を選んでみるのも良いでしょう。

最低購入額で選ぶ

100円や1,000円など、最低購入額で選ぶ方法もあります。金融機関によって最低購入金額は異なり、ネット証券だと100円で始められるところが多い印象です。一般NISAで株式を購入したいときには「単元未満株」という少ない資金でできる商品がおすすめです。ホームページで商品を調べてみましょう。

使いやすさで選ぶ

持っているクレジットカードで積み立てたり、ポイントで投資できたりと、「日常生活にフィットしているか」を基準に選ぶのも良いでしょう。

普段使っているクレジットカードで積み立てれば、他の支払い代金と一緒に引き落とされるため、便利に感じるかもしれません。ネットショッピングやコンビニの買い物などで貯めているポイントがあれば、余ったポイントで運用できます。

おわりに 

NISA口座はひとり1口座と決まっており、複数開設できません。誤って複数申し込んで希望する口座が開設できなかった場合には、別途金融機関での変更手続きが必要です。

NISA制度で非課税枠をより有効活用したい場合には、家族で複数の口座を作ることをおすすめします。世帯での年間投資可能額を増やせたり、分散投資ができたりと投資の幅が広がります。

口座選びに迷う方は「取扱商品数の多さ」や「手数料の安さ」「最低購入金額」「使いやすさ」で選んでみてください。

よく読まれている記事

みんなに記事をシェアする

ライフイベントから探す

お悩みから探す

執筆者・監修者一覧

執筆者・監修者一覧

セミナー情報

公式SNS

おすすめコンテンツの最新情報をいち早くお届けします。みなさんからのたくさんのフォローお待ちしています。