個人事業主は確定申告する際に、社会保険料控除も合わせて申告します。申告した金額は全額課税所得額から差し引かれるため、所得税の節税にもつながるでしょう。このコラムでは、社会保険料控除として申告できるものや計算方法について解説します。
1.個人事業主の社会保険料控除に該当するものと計算方法
社会保険料控除とは、国民年金や厚生年金保険、国民健康保険などの社会保険料を納付したときに利用できる所得控除の一つです。自分自身の社会保険料に加え、配偶者やその他の親族の社会保険料を納付したときも、社会保険料控除として申告できます。
なお、所得控除とは課税所得額を求めるときに利用できる控除のことで、正しく申告することで課税所得額が減り、所得税額や住民税額も減らせます。
会社員や公務員などの給与取得者は、年末調整で社会保険料控除を申告することが可能です。年末調整のない個人事業主は、確定申告の際に社会保険料控除を申告します。社会保険料控除として申告した金額は全額所得控除の対象となるため、課税所得額が減り、所得税と住民税の節税につながります。節税のためにも、正しく漏らさず申告することが大切です。
1-1.国民健康保険料・介護保険料
国民健康保険料は所得や自治体によって異なります。また、子どもなどの家族も同じ国民健康保険に加入する場合は、その分、保険料が加算されます。
40歳以上64歳以下の方は介護保険料も加算される点に注意しましょう。なお、令和3年度東京都新宿区の場合、所得が520万円(給与収入700万円)であれば1ヵ月あたり42,255円、介護保険被保険者(40歳以上64歳以下)の場合は1ヵ月あたり51,820円。所得が202万円(給与収入300万円)であれば1ヵ月あたりの国民健康保険料は16,974円、介護保険被保険者(40歳以上64歳以下)の保険料は1ヵ月あたり21,107円です。
参照元:東京都新宿区「令和3年度 国民健康保険料 概算早見表(給与・年金)」
1-2.国民年金保険料
国民年金保険料は所得にかかわらず一律で、1ヵ月あたり1万6,590円(令和4年度)です。1ヵ月早めに口座振替で納付すること、あるいは6ヵ月分、1年分、2年分をまとめて前納することにより割引が適用されるため、国民年金保険料を抑えることができます。
割引率がもっとも高いのは、口座振替による2年分の前納です。1ヵ月分ごと現金で支払う場合と比べると、2年間で約1ヵ月分ほどの1万5,790円がお得になります。
国民年金保険料は、一部の国際ブランドに対応したクレジットカードでも納付することが可能です。1ヵ月分ずつの納付もできますが、6ヵ月分、1年分、2年分の前納にも対応しています。いずれも1ヵ月分ずつ納付する場合と比べて割引が適用され、もっともお得な2年分の前納では約1ヵ月分(1万4,540円)安くなります。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは、国民年金保険料の支払いにも対応したクレジットカードです。前納を選択すれば保険料を抑えることができるだけでなく、支払い額に応じたポイントも付与されるためさらにお得になります。
クレジットカードで国民健康保険料も納付可能です。国民年金保険料と同じく、支払い額に応じたポイントが付与されるのも、クレジットカード払いの特徴といえるでしょう。いずれの社会保険料もクレジットカード払いにすることで、納付し忘れることも回避できます。
ビジネス専用のクレジットカードで納付することで、事業関連あるいは控除関連の費用を生活費と明確に区別できるのもメリットです。ぜひ個人事業主におすすめのセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードをご検討ください。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードの詳細はこちら
参照元:日本年金機構「国民年金保険料」
参照元:日本年金機構「国民年金保険料の納付は口座振替での前納・早割が便利でお得です!」
参照元:日本年金機構「国民年金保険料の納付に利用できるクレジットカード」
参照元:日本年金機構「国民年金前納割引制度(現金払い 前納)」
1-3.労働保険料
一人親方などで労働保険に特別加入している場合は、労働保険料も社会保険料控除として申告できます。
労働保険料は、給付基礎日額によって異なる点に注意しましょう。収入や必要な給付金額によって、適切な給付基礎日額を選びます。給付基礎日額が5,000円であれば1年あたり3万8,850円が目安となります。
1-4.国民年金基金の掛金
国民年金基金とは、個人事業主などの厚生年金保険に加入していない方(厚生年金被保険者の扶養に入っている専業主婦・主夫は除く)が任意で加入できる制度です。掛金を支払うことで、老齢年金を受け取る際に年金額が上乗せされます。
国民年金基金の掛金の上限額は月額6万8,000円です。掛金は全額社会保険料控除とできるため、所得税額や住民税額を抑えることにもつながります。
また、勤務先を退職して個人事業主になった場合は、年末調整ができていない可能性があります。忘れずに厚生年金保険料や厚生年金基金の掛金を申請するようにしましょう。
参照元:国税庁「社会保険料控除」
2.個人事業主が社会保険料控除について知っておきたいこと
個人事業主が社会保険料控除を申告する際には、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 配偶者などの家族の社会保険料も申告できる
- 家族が青色事業専従者のときも申告できる
- 従業員の社会保険料は控除には該当しない
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
2-1.配偶者などの家族の社会保険料も申告できる
個人事業主が家族の社会保険料を支払った場合も、社会保険料控除に含めて申告します。ただし、家族が自分自身の社会保険料を社会保険料控除に含めている場合は、たとえ保険料を負担したのが個人事業主であっても二重に申告しません。
家族自身に確定申告の義務がなく、控除などについても申告しない場合に限り、個人事業主の控除に含めるようにしましょう。
2-2.家族が青色事業専従者のときも申告できる
青色申告をしている場合は、生計を一にしている家族を青色事業専従者とし、青色事業専従者に支払った給与を経費計上することが可能です。青色事業専従者である家族の社会保険料を負担するときは、個人事業主が社会保険料控除として確定申告します。
2-3.従業員の社会保険料は控除には該当しない
青色事業専従者ではなく、従業員を雇用しているケースもあるでしょう。個人事業主が従業員の社会保険料を一部負担する場合は、従業員の社会保険料を個人事業主の社会保険料控除に含めて申告できません。
個人事業主が負担した従業員の社会保険料は、社会保険料控除ではなく、福利厚生費として経費計上が可能です。従業員自身が負担した社会保険料は、従業員自身の確定申告において社会保険料控除として申告します。
3.正しく控除を申告して節税につなげよう
国民年金保険料や国民健康保険料、国民年金基金などの社会保険料を納付したときは、社会保険料控除として確定申告しましょう。いずれも全額が所得控除の対象となるため、課税所得額を減らし、所得税額や住民税額を減らすことにつながります。
社会保険料控除だけでなく、控除に該当するものはすべて正しく申告することで節税を実現することが可能です。
個人事業主は会社員や公務員とは異なり、社会保険料が給料から天引きされません。各自で保険料を納めるため、期限を守って忘れずに納付することが大切です。クレジットカード払いであれば、自動的に引き落とされるため、納付し忘れることを回避できます。まとめて前納することで保険料の割引が適用されること、ポイントが貯まることも、クレジットカード払いのメリットです。ぜひ納付方法のひとつとして検討してみましょう。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードの詳細はこちら