住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用して自宅を購入した方の税金負担を減らすための制度のことです。購入した自宅によって、適用条件が異なるため、事前に確認しておく必要があります。このコラムでは、住宅ローン減税の基礎知識や適用条件などを解説します。
1.住宅ローン減税に関する基礎知識
住宅ローン減税とは、住宅ローン控除とも呼ばれ、住宅を購入する際にローンを組んだ場合に、そのローンの年末残高の1%をその年の所得税の額から差し引く減税措置のことです。また、住宅ローン減税は、消費税増税対策により10年から13年に延長されています。
そして住宅ローン減税を受けるためには、さまざまな条件を満たす必要があります。ここでは、住宅ローン減税に関する基礎知識を確認し、制度を利用できるかどうかチェックしましょう。
1-1.住宅ローン減税とは税金負担を軽減する制度のこと
住宅ローン減税とは、住宅ローン控除とも呼ばれ、税金負担を軽減するために制定された制度のことです。正式名称は、住宅借入金等特別控除と呼びます。
住宅ローン減税では、年末の住宅ローン残高、または住宅取得対価のいずれかの金額が少ないほうに対して、1%が所得税から控除されます。控除の上限は40万円で、所得税のみでカバーできない場合は住民税からも控除される仕組みです。
1-2.消費税増税対策で13年に延長された
住宅ローン減税は、消費税増税対策によって10年から13年に延長されました。消費税が増税されたことにより、軽減税率に該当しないものに対しては消費税が10%かかるようになったためです。
現在住宅ローン減税は、居住開始が令和4年12月まで延長されています。減税が延長された背景として、新型コロナウイルスによって経済活動が落ち込んだことが挙げられます。住宅への投資や支出は、経済を回復するために重要な要素だと考えられており、減税を延長することでさらなる経済回復が期待されています。
1-3.減税を受けるためには条件がある
住宅ローン減税を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 減税を受ける年の所得の合計が3,000万円以下であること
- 床面積が40平方米メートル以上の住宅の取得、かつ床面積の1/2以上が自身の居住地であること
- 自身が住むための住宅を取得するために借り入れを行っていること
- 返済期間が10年以上であること
- 借入先が以下のいずれかであること
- 銀行
- 住宅金融支援機構
- 農協、信用金庫、信用組合
- 地方公共団体
- 各種公務員共済組合
- 勤務先
住宅ローン減税を受けるためには、年間の所得が3,000万円以下でなければいけません。3,000万円を超えた場合は、翌年の所得を3,000万円以下に抑えられれば減税を受けられます。
令和2年までの住宅ローン減税では、床面積50平方メートル以上が対象でした。しかし、令和3年の改正により合計所得が1,000万円以下の方に限り、40平方メートル以上でも対象となっています。また、居住地が床面積の1/2以下になる場合は、減税の対象とならないため注意が必要です。
ほかにも、子どもや孫が住む住宅の購入資金に借り入れた場合や店舗や投資用、別荘として住宅を購入した場合なども、減税を受けられません。あくまで、自身が住むための住宅購入が減税の対象条件になることを覚えておきましょう。
返済期間の残りが10年以上あることも、減税を受けるための条件のひとつです。例えば、繰り上げ返済を行って、返済期間が10年未満になっている場合は減税を受けられません。そのため、繰り上げ返済を行う際は、住宅ローン減税のことも考慮して行うと良いでしょう。
2.住宅ローン減税の適用条件
住宅ローン減税の適用条件は、新築物件、中古物件、リフォームや増築と、住宅の状況によって異なります。新築物件の場合は、住宅を取得後6ヵ月以内に入居しなければいけない、といった条件があるため、事前に確認しておきましょう。
中古物件は、住宅が建築されてから取得するまでの期間が20年と定められているため、物件を購入する前に確認しておくと安心です。また、リフォームや増築の場合は、自らが所有して居住していることが絶対条件とされています。ここでは、住宅ローン減税が適用となる条件について解説します。
2-1.新築物件の場合
新築物件で住宅ローン減税を受ける際の適用条件は、以下のとおりです。
- 新築物件を取得してから6ヵ月以内に入居し、減税の申請をする年の年末である12月31日まで住んでいること
- 居住した年を含めて5年間に、長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと
- 先述した住宅ローンを受けるための条件に当てはまっていること
算出方法の違いによって、登記簿上と売買契約書に記載されている床面積が異なる場合があります。そのため、住宅ローン減税を受ける前によく確認しておくことが大切です。
2-2.中古物件の場合
中古物件で住宅ローン減税を受ける際の適用条件は、以下のとおりです。
- 住宅が建築されてから取得するまでの期間が20年以下であること
- 地震に対する安全基準を満たしている住宅であること
- 耐震等級1以上の住宅性能評価書を取得していること
- 新築物件における適用条件を満たし、なおかつ建築後に使用された物件であること
中古物件は、建築された年によって現行の建築基準を満たしていないケースがあります。そのため、新築物件で適用される条件だけではなく、一定基準の耐震性能を持っていることが条件として加わります。中古物件を購入する際は、よく確認しましょう。
2-3.リフォームや増築の場合
リフォームや増築によって住宅ローン減税を受ける際の適用条件は、以下のとおりです。
- 自身が所有し、居住地として活用している住宅の増改築などを行う場合であること
また、上記の条件を満たしていれば、以下の要件のいずれかに当てはまると住宅ローン減税を受けられます。
- 増築・改築・建築基準法に規定する大規模な修繕、または建て替え工事であること
- マンションは所有する部分の床や階段、壁の半分以上を修繕や模様替えする工事であること
- 地震に対する安全性に関わる基準に合格するための修繕や模様替え工事であること
- 増改築後の床面積が50平方メートル以上(または40平方メートル以上)であること
- 工事費用が100万円を超える工事であること
- 住宅の居室・キッチン・浴室・トイレ・洗面所・納戸・玄関・廊下の床、または壁の全部について行う修繕や模様替えの工事であること
- 増改築後の床面積の1/2以上が自身の居住用であること
- 工事費用の1/2以上が自身の居住用部分に関する費用であること
- 一定のバリアフリー改修工事、または省エネ改修工事であること
リフォームや増築の場合は、適用条件が難しいため、制度の利用を考えている方は早めに専門家に相談するのがおすすめです、また、工事費に関して、100万円を超える必要があるものの、リフォームや増築に関係する工事のみが対象とされています。
例えば、1階部分の水回りをリフォームして、2階部分にクローゼット取り付けた場合、1階のリフォームに関する工事費用は控除の対象となりますが、2階は対象外と判断されます。そのため、リフォームや増築を行う際は、どの部分までが控除の対象となるのかよく理解しておきましょう。
3.住宅ローン減税を受ける際の3つのポイント
住宅ローン減税を受ける際のポイントは、以下の3つです。
- 住宅の所有者が手続きを行う
- 確定申告を行う
- リフォーム減税との併用には注意する
住宅ローン減税は、住宅の所有者が手続きを行わなくてはいけません。確定申告を行う際には、さまざまな書類が必要であるため、事前に確認して準備しましょう。
また、住宅ローン減税とリフォーム減税は併用できないケースも多く、制度の活用を前提として資金計画は分けていると安心です。ここでは、住宅ローン減税を受ける際のポイントを解説します。
3-1.住宅の所有者が手続きを行う
住宅ローン減税を受ける際は、住宅の所有者が手続きを行う必要があります。一般的な住宅ローン減税の手続き方法は、1年目の確定申告を行う際に住宅ローン控除申請を行います。
2年目以降は年末調整を行う際の手続きで、減税を受けられる仕組みです。なお、住宅ローンの還付申請のみを行う場合は、居住開始日の翌年1月1日以降であれば5年間いつでも手続きを行えます。忘れないうちに、申請を済ましておきましょう。
3-2.確定申告を行う
住宅ローン減税を受けるためには、確定申告を行いましょう。通常の確定申告の期間は、2月16日~3月15日です。居住を開始した翌年に確定申告を行うことで、住宅ローン減税を受けられます。
また、確定申告を行う際は、以下の書類が必要となるため、事前に準備しておきましょう。
- 確定申告書A
- 住宅ローンの借入残高証明書
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 土地建物の登記簿謄本
- 勤務先の源泉徴収書
- 建築請負契約書または売買契約書のコピー
- マイナンバーカードなどの本人確認書類
築年数が20年以上の中古物件、または築年数が25年以上の中古マンションを購入した場合は、住宅性能評価書または耐震基準適合証明書の写しが必要です。なお、確定申告はマイナンバーを持っていれば、自宅でも申請できます。
3-3.リフォーム減税との併用には注意する
住宅ローン減税を受ける際は、リフォーム減税との併用に注意しましょう。リフォーム減税とは、リフォームを行った際に受けられる優遇制度のことです。省エネやバリアフリーなどを目的にしてリフォームを実施し、所定の条件を満たすことで税金が還付されます。
しかし、耐震を目的としたリフォーム以外のほとんどの工事で、住宅ローン減税とリフォーム減税の併用はできない仕組みです。そのため、税金が還付されることを前提とした計画を立てることのないように注意しましょう。
4.住宅ローン減税の計算方法
住宅ローン減税の計算方法は、基本の計算式と、11~13年目の計算式の2種類があります。基本の計算方法は、控除の1~10年目が対象となっている点に注意しましょう。
また、住宅の持つ性能によっては、住宅ローンの残高の上限が異なります。そのため、自身の住宅がどれに当てはまるか確認しておくことが大切です。ここでは、住宅ローン減税の計算方法について解説します。
4-1.基本の計算方法
住宅ローン減税の基本の計算式は、以下のとおりです。
住宅ローン控除額=住宅ローンの年末残高、または住宅の取得対価×1.0%
住宅ローンの控除額は、控除を受ける年の年末時点で、住宅ローンの残高、または住宅の取得対価のどちらか少ないほうの金額に1.0%を掛けて計算します。一般的には、住宅ローンの残高のほうが少額です。ただし、10年目までが当てはまる計算式である点に注意しましょう。
一般的な性能を持つ住宅では、住宅ローンの残高の上限が4,000万円であるため、控除額の最大は40万円となります。しかし、一定以上の性能を持つ認定長期優良住宅、もしくは認定低炭素住宅であれば、住宅ローンの残高の上限が5,000万円まで引き上がるため、控除額の最大は50万円に上昇します。
また、個人から中古物件を購入した場合は、消費税非課税の住宅を取得したことになるため、控除を受けられる期間は10年間までです。そして、控除の対象となる住宅ローンの残高は2,000万円まで引き下がり、控除額の最大も20万円まで減少する点に注意しましょう。
4-2.11~13年目の計算方法
11~13年目の計算式は、以下のとおりです。
- 建物の取得価格×2.0%÷3
- 住宅ローンの年末残高、もしくは住宅の取得対価×1.0%
11~13年目は、上記のどちらかの計算式のうち、金額の少ないほうが対象とされます。建物の取得価格は、一般的な住宅の場合は4,000万円、認定長期優良住宅などに該当する場合は5,000万円が上限とされています。
ただし、納付している税金が住宅ローン減税額を下回った場合は、すべてが減額されるわけではないことに注意が必要です。
5.住宅ローン減税を計算する際の4つの注意点
住宅ローン減税を計算する際の注意点は、以下の4つです。
- 借り換えを行うと控除額が変更になるケースがある
- 住宅ローンに関する最新の情報を入手しておく
- 借入金額を決めるときは控除額のことも考える
- ふるさと納税を活用すると控除額が減ることがある
住宅ローンの借り換えを行うと、控除額が変わることもあるため確認しておくことが大切です。また、住宅ローン減税は時限立法であるため、常に最新の情報をチェックしましょう。
ほかにも、ふるさと納税を活用している場合は、控除額が減少するケースもあるため注意が必要です。ここでは、住宅ローン減税を計算する際の注意点を解説します。
5-1.借り換えを行うと控除額が変更になるケースがある
住宅ローンの借り換えを行えば、控除額も変更になるケースがあるため注意が必要です。新しく契約した住宅ローンの残高が、借り換え直前の残高よりも少なくなる場合は、借り換え後の残高で控除額が決定します。
反対に、借り換え後の住宅ローンが、借り換え前の残高を超える場合は、以下のような計算方法になります。
控除対象額=借り換え後の住宅ローンの年末残高×借り換え直前の住宅ローンの残高/新たに契約した住宅ローンの借入金額
住宅ローンの借り換えを行った際は、控除額がどのように変化するかもチェックしておくと安心です。
5-2.住宅ローン減税に関する最新の情報を入手しておく
住宅ローン減税を受ける際は、住宅ローン減税に関する最新の情報を常に入手しておきましょう。住宅ローン減税は時限立法のため、時期によって内容が変わります。時限立法とは、一時的な事態に対応するために期間を限定して制定した法律のことです。
そのため、社会情勢や景気などにも左右されるため、常に最新の情報を確認しなければいけません。特に、インターネット上で情報を集める際は、開示された情報がいつのものなのかを確認することが大切です。
5-3.借入金額を決めるときは控除額のことも考える
住宅ローンの借入金額を決める際は、控除額のことも考えることが大切です。住宅ローンの控除額は、住宅ローンの借入金額や収入、そのほかの控除の3つの要素によって決まります。3つの要素のうち、借入金額のみが自身で調整できるため、住宅ローンの控除額を決める際の重要なポイントとなります。
そのため、住宅ローン減税を最大限活かすためには、どれくらいの借入金額にするのがいいのか、シミュレーションをすることがおすすめです。また、住宅ローンの金利や所得などによっては、借入金額を増やすことで負担が減る場合もあるため、よく確認しましょう。
5-4.ふるさと納税を併用すると控除額が減ることがある
ふるさと納税を併用すると、控除額が減る可能性があるため注意が必要です。ふるさと納税と住宅ローン減税は併用できるものの、確定申告で税金の還付を受ければ、課税対象となる所得が減り、住宅ローン控除額が減少するケースもあります。
そのため、確定申告が不要なワンストップ特例制度を活用すると、課税総所得が変わらないため、ふるさと納税と住宅ローン減税を併用しやすくなるでしょう。ただし、ワンストップ特例制度は、住宅ローン控除の1年目には使用できないことや、確定申告が不要な方のみが対象であるといった条件であるため利用の際は注意が必要です。
ワンストップ特例制度については、以下のコラム記事で詳しく紹介しています。
6.住宅ローンには「クレディセゾンのフラット35」がおすすめ
住宅ローンには、クレディセゾンのフラット35がおすすめです。クレディセゾンのフラット35には、以下の8つの特徴があります。
- 最長35年間の固定金利である
- 迅速かつスピーディーに審査を実施する
- フラット35融資実行前までの「つなぎ融資」を組み合わせられる
- クレディセゾンのフラット35PLUSを利用すれば、100%融資が可能になる
- クレジットカード会社の信頼と安心感を得られるため任せやすい
- 保証料・繰上返済手数料は無料で対応できるため、余分な費用は発生しない
- 充実した団体信用生命保険の保障により返済をサポートしてくれるため、安心して借りられる
- 全国約5,000ヵ所の厳選した優待サービスを受けられる
セゾンのフラット35は最長35年間の固定金利のため、返済計画を立てやすいのが特徴です。将来的に金利が上昇しても、何も影響はありません。また、最短3営業以内で審査が完了できるのも魅力的なポイントです。各種手続きや融資もスピーディーに対応します。
セゾンのフラット35を活用すると、リフォームローンも利用できます。最長35年間で500万円まで融資できるため、中古物件を購入したい方にもおすすめです。
ほかにも、住宅ローンの借入時に発生する諸費用を抑えられるのもポイントです。他の金融機関の中には、保証料に3万円かかるケースもあります。少しでも諸費用を抑えながら、住宅ローンの借入を行いたい方でも安心して利用できるでしょう。
セゾンのフラット35に関する詳細は、以下の公式サイトをご覧ください。
おわりに
住宅ローン減税とは、税金負担を軽減するための制度のことです。消費税増税対策で10年から13年に延長されています。ただし、住宅ローン減税は時限立法であるため、常に最新の情報を確認しておくことが大切です。
また、住宅ローン減税に関する計算方法は、1~10年目と11~13年目で異なっており、該当する時期に合わせて計算しましょう。住宅ローン減税と併用できない制度や、併用することで控除額が減税される制度があるため、事前に確認しておくことも重要です。住宅ローン減税を活用して、お得に生活しましょう。
既に住宅ローンを組んでいて、借り換えを検討している場合は、お客様の希望やニーズに合わせた最適な住宅ローンを提案できる住宅ローンの相談窓口へ相談してみてはいかがでしょうか。