賃貸アパートの経営で収益を上げるためには、適切なタイミングでのリフォームが重要です。しかし、費用面での不安から踏み切れない大家さんも多いのではないでしょうか。この記事では、賃貸アパートのリフォーム費用の相場や、実際の事例、利用できる融資制度までをわかりやすく解説します。リフォームの計画を立てている大家さんや、相続したアパートの改修を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 賃貸アパートは、築年数や物件の状態に応じて適切なタイミングでリフォームすることで空室率の改善や収益アップにつながります
- リフォームを成功させるためには、費用対効果の検討や適切な賃料設定、入居者ターゲットの明確化が重要です
- リフォーム資金の調達には、補助金制度やリフォームローンが活用できます
- セゾンのリフォームローンなら最大500万円まで借入可能で、融資期間も最大25年と長い期間借りられます
賃貸アパートリフォームに適したタイミングとは?
いずれリフォームをしなければならないと考えているものの、具体的にいつすればいいのかわからず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。賃貸アパートのオーナーがリフォームを検討すべきタイミングは、以下のとおりです。
- 老朽化や耐震性に不安があるとき
- 空室が多いとき
- 賃貸アパートを相続したとき
それぞれ、詳しく解説します。
老朽化や耐震性に不安があるとき
建物の老朽化や耐震性に不安を感じ始めたら、リフォームを検討すべきタイミングです。建物の安全性にも関わるため、早めにリフォームに取り掛かりましょう。
特に1981年以前に建てられた物件は旧耐震基準が採用されているため、大地震が発生した際に十分な耐震性を発揮できない恐れがあります。また、建物の老朽化が進むと、台風や大雨などの自然災害による被害も受けてしまうでしょう。
具体的な老朽化のサインとしては、外壁のひび割れや雨漏り、配管の劣化などが挙げられます。このような症状が見られた場合は、リフォーム会社や住宅診断士に物件の状態を確認してもらいましょう。プロの目で建物を診断し、適切なリフォームプランを立てられます。
早めのリフォーム実施は、入居者の安全を確保するだけでなく、物件の資産価値の低下を防ぐことにもつながります。定期的な点検と必要に応じたリフォームで、長く安心して運営できる賃貸物件を目指しましょう。
空室が多いとき
空室の増加は、賃貸経営において見過ごせない問題です。一般的に、年間の空室率が5~10%を超えてきたら、リフォームを検討する目安となります。
具体的な空室率の計算方法は以下のとおりです。
例えば、総戸数10戸のアパートのうち、2部屋が8ヶ月間空室だった場合「(2戸×8ヶ月)÷(10戸×12ヶ月)×100=13.3%」です。
空室率5〜10%の水準を超える期間が続く場合は、物件の魅力を高めるリフォームを検討しましょう。
賃貸アパートを相続したとき
将来的に賃貸アパートを相続する予定がある場合、相続前のリフォームは効果的な節税対策となります。
例えば、将来相続財産となる予定の現金1,000万円を、相続前にアパートのリフォーム費用として活用することで、その分の現金は相続財産から除外されるためです。
このように、相続前のリフォームは節税効果が期待できるうえ、物件価値の向上にもつながります。ただし、リフォーム内容は物件の状態や立地、想定する入居者層に合わせて慎重に検討しましょう。
また、大規模な改築や増築の場合は固定資産税評価額が上がる可能性があるため、専門家への相談をおすすめします。
賃貸アパートリフォームの費用相場
賃貸アパートのリフォームは、物件の規模や施工内容によって費用が大きく変動します。また、使用する設備や材料のグレードによっても費用は異なってきます。
【賃貸アパートのリフォーム費用相場】
(2階建て・8戸程度の標準的なアパートの場合)
施工箇所 | 費用相場 | 費用の目安となる項目 |
---|---|---|
外装工事 | 120万円~500万円 | 建物の階数、外壁面積、塗料のグレード |
内装工事 | 8万円~500万円 | 施工範囲、材料の品質、間取り変更の有無 |
水回り工事 | 25万円~180万円 | 設備のグレード、配管工事の有無 |
ここでは、外装・内装・水回りの各リフォーム費用の相場を具体的に見ていきましょう。
外装リフォーム
築年数が経過した賃貸アパートは外装をリフォームすることで、建物の印象を大きく改善できます。
入居を決定する際に、物件の第一印象は大きな要素となるため、入居率も改善するでしょう。
外壁塗装は、一般的な2階建てアパートの場合、120万~300万円程度が相場です。3階建てアパートだと、200~400万円程度になります。使用する塗料の品質によって費用は変動しますが、耐久性を考慮すると中級以上の塗料を選ぶと長持ちするでしょう。
一方、ベランダの防水塗装は1平方メートルあたり2,500円~7,000円が目安です。雨漏りの予防や建物の長寿命化につながるため、外壁塗装と一緒に実施するのが効率的でしょう。
内装リフォーム
内装リフォームは、入居者の生活空間に直接関わる重要な工事です。主な費用相場は、以下の表のとおりです。
施工箇所 | 費用相場 |
---|---|
壁紙の張り替え | 750円~1,500円(1平米あたり) |
室内のドア交換 | 4万円~10万円(1箇所あたり) |
フローリングの張り替え | 2万円~6万円(1畳あたり) |
和室から洋室への改装 | 55万円~100万円(6~8畳) |
間取り変更 | 80万円~160万円(約33平米の部屋) |
施工範囲や使用する材料の品質によって費用は大きく変わってきます。
水回りリフォーム
室内のリフォームで特に費用がかかるのが、水回りです。具体的な費用相場は以下の表のとおりです。
施工箇所 | 費用相場 |
---|---|
キッチン | セパレートタイプ:15〜30万円 システムキッチン:30〜100万円 |
トイレ | 和式から洋式への変更:20万円~30万円 温水洗浄機能付きへの交換:10万円~20万円 |
浴室 | ユニットバスの交換:40万円~75万円 |
浴室とトイレの分離 | 180万円程度 |
水回り設備は10年程度で交換時期を迎えるため、計画的にリフォームをしましょう。
賃貸アパートリフォーム・リノベーション事例
築年数が経過した賃貸アパートは、適切なリフォームによって物件の価値を大きく向上できます。
ここからは、実際のリフォーム事例をもとに、具体的な工事内容と費用、そして改装後の効果について解説します。経年変化に応じたさまざまなケースを参考に、ご自身の物件に最適なリフォームプランを検討してみてください。
【築16年】内装リフォーム
築16年の賃貸アパートで、空室の長期化に悩んでいたオーナーが実施した内装リフォーム事例です。
- 壁紙の全面張り替え(8万円)
- フローリング材の交換(15万円)
- クローゼットの新設(12万円)
上記を行い、総工事費は35万円でした。
工期は4日間で、明るい色調の内装材を採用したことで、室内の印象が大きく改善されています。リフォーム完了から3週間で新規入居者が決まり、従来の家賃を維持したまま空室を解消することができました。
【築24年】浴室リフォーム
敬遠されがちだったバランス釜式の浴室を、給湯器付きの浴室に改装した事例です。ホールインワン給湯器への交換(18万円)と、浴槽の大型化(6万円)を実施しました。
工事期間はわずか1日で完了し、快適な浴室環境を実現しています。リフォーム後は入居希望者からの問い合わせが増加し、2か月以内に満室となりました。また、設備の改善により、家賃を月額2,000円アップすることにも成功しています。
【築30年】フルリノベーション
築30年の和室1Kアパートを全面的にリノベーションした事例です。工事費の内訳は以下のとおりです。
- 間取り変更(150万円)
- キッチン交換(80万円)
- ユニットバス新設(90万円)
- 内装一新(80万円)
総額400万円の工事となりました。30日間の工期で、古さを感じさせない現代的な空間へと生まれ変わりました。工事完了直後から入居申し込みがあり、従来の家賃から30%アップの賃料設定でも、2週間で契約が決まっています。
【築30年】デザイナーズ物件にリフォーム
若者の多いエリアで、築30年の木造アパートをデザイナーズ仕様にリフォームした事例です。
- 天井の吹き抜け化(120万円)
- オーダーキッチンの設置(85万円)
- ユニットバスのセパレート化(95万円)
- 内装のデザイン施工(100万円)
総工事費は400万円でした。工期は50日弱を要しましたが、独創的な空間デザインが若い入居者層から高い支持を得ています。リフォーム後は周辺相場よりも20%高い家賃設定でも、安定した入居率を維持できています。
【築40年】間取りを変更するリフォーム
築40年の和室2Kを、現代のニーズに合わせて1LDKに変更したリフォーム事例です。
- 間取りの変更工事(180万円)
- システムキッチンの設置(70万円)
- フローリング化(60万円)
- 設備の更新(90万円)
総額400万円の工事となりました。工期は40日間でリフォーム後は、ファミリー向け物件として生まれ変わり、家賃を25%アップしても、安定した需要を確保できています。
賃貸アパートリフォームの注意点
賃貸アパートのリフォームは、物件の価値向上や収益アップにつながる重要な投資です。しかし、闇雲にリフォームを実施しても期待した効果が得られないこともあります。ここでは、リフォームを成功させるために押さえておきたい4つの注意点を解説します。
- 費用対効果を考えておく
- 賃料設定は慎重に行う
- ターゲット層に合わせたリフォーム内容にする
- 減価償却の対象にならないリフォームもあると知っておく
それぞれ見ていきましょう。
費用対効果を考えておく
リフォーム費用の回収期間を事前に試算しましょう。回収期間の計算方法は以下のとおりです。
一般的にアパートのリフォーム費用は、3〜5年で回収するのが望ましいとされています。賃料の値上げ幅なども踏まえて試算してみましょう。
また、費用対効果を高めるには、第一印象を改善する水回りの設備更新など、入居者ニーズの高い箇所から着手する方法もあります。
賃料設定は慎重に行う
リフォーム費用の回収を急ぐあまり、賃料を高くし過ぎてしまうケースがあります。適正な賃料を設定するためにも、以下3つの要素を考慮しましょう。
- 周辺相場との比較
- リフォーム内容による付加価値
- 想定入居率への影響
先述したように、約3〜5年でリフォーム費用を回収できる賃料に設定することで、高くし過ぎてしまう状態を避けられるでしょう。
ターゲット層に合わせたリフォーム内容にする
ターゲット層を明確にし、そのニーズに沿ったリフォームを実施することで、効果的な空室対策が可能です。一般的に各ターゲット層が重視するポイントを表にまとめているので、ぜひ参考にしてください。
単身者向け | ・コンパクトなシステムキッチン ・独立洗面台 ・ネット環境の整備 |
ファミリー層向け | ・収納スペースの充実 ・防音性能の向上 ・セキュリティ強化 ・共用部分の充実 |
学生向け | ・シンプルな設備 ・手頃な賃料設定 |
減価償却の対象にならないリフォームもあると知っておく
リフォーム費用は「修繕費」と「資本的支出」に分類されます。
- 修繕費:原状復帰のための工事費用
- 資本的支出:建物の資産価値が高まるような工事費用
修繕費は、減価償却の対象にならないため注意しましょう。具体的には以下のとおりです。
修繕費(減価償却対象外) | 資本的支出(減価償却対象) |
---|---|
・20万円未満の工事 ・壁紙の張り替え ・床材の補修 ・設備の修理 | ・間取りの変更 ・設備の新規導入 ・グレードアップ工事 ・耐震補強工事 |
リフォーム費用を減価償却費として計上できれば節税につながります。ただし、費用の分類や減価償却の方法は専門的な判断が必要となるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
賃貸アパートリフォームには補助金やローンを利用できる
賃貸アパートのリフォーム費用を抑えるために、各種補助金制度やリフォームローンを活用できます。ここからは、活用できる支援制度を見ていきましょう。
アパートリフォームが対象の補助金
主な補助金制度は以下の通りです。省エネ性能の向上や居住環境の改善を目的としたものが中心となっています。
【全国で利用できる主な補助金制度】
制度名 | 概要 | 補助金額 | 主な申請条件 |
---|---|---|---|
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 既存住宅の長寿命化や省エネ化を支援 | 戸数×80万~210万円 | ・インスペクション実施 ・維持保全計画作成 |
子育て支援型共同住宅推進事業 | 子育て世帯向けの設備導入を支援 | 戸数×100万円(上限) | ・小学生以下の子育て世帯が入居 ・10年以上の管理期間 |
住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業 | バリアフリー化や省エネ改修を支援 | 工事内容により50万~200万円/戸 | ・10年以上の登録期間 ・家賃上限額の設定 |
各制度とも申請期限や予算額に限りがあるため、早めに検討しましょう。また、地域独自の補助金制度が用意されていることもあるので、物件がある自治体にも確認してみましょう。
賃貸向けリフォームローン
賃貸アパートのリフォーム資金は、一般の住宅ローンとは異なる「賃貸向けリフォームローン」で調達できます。このローンには以下のような特徴があります。
- 柔軟な返済期間の設定
- 収益物件専用の審査基準
賃貸向けリフォームローンは、物件の築年数や工事内容に応じて、5年から20年程度の返済期間を選択できます。また、一般の住宅ローンと異なり、家賃収入を返済原資として考慮した審査が行われます。
ただし、ほとんどが変動金利型となるため、将来の金利上昇リスクには注意が必要です。資金計画を立てる際は、金利の上昇も想定に入れておきましょう。
賃貸アパートのリフォーム資金にはセゾンのリフォームローン
賃貸アパートのリフォーム資金の調達には、セゾンのリフォームローンが便利です。インターネットで手軽に申し込めて、投資用物件にも利用できるため、多くの大家さんから支持を得ています。セゾンのリフォームローンの特徴や利用方法について詳しく解説します。
セゾンのリフォームローンの特徴
セゾンのリフォームローンには、以下の4つの特徴があります
- 投資用物件にも対応
- WEBで申し込み手続きが完了
- 担保・保証人が不要
- 審査結果の回答が最短2営業日
それぞれ解説します。
投資用物件にも対応
投資用物件のリフォームは一般的に金利が高くなりがちですが、セゾンのリフォームローンでは一般の住宅リフォームと同じ金利で利用できます。
たとえば、外壁の塗り替えや給湯設備の更新など、物件価値を上げるためのリフォーム資金として300万円を25年返済で借り入れた場合、月々16,420円からの返済が可能です。
※金利4.35%で計算した場合
最長25年という長期の返済期間が選べるため、家賃収入に応じた無理のない返済計画を立てられます。
WEBで申し込み手続きが完了
24時間365日いつでもインターネットから申し込みができ、来店は一切不要です。申し込みフォームからの手続きで完結し、必要書類も全てオンラインで提出できます。
本人確認書類や所得証明書類、工事見積書なども、スマートフォンで撮影した写真やPDFファイルでアップロードできるため、書類のコピーや郵送の手間も省けます。
自宅やオフィスにいながら、空いた時間に手続きを進められるため、多忙な大家さんでも便利です。
担保・保証人が不要
物件への担保設定や保証人は不要です。セゾンのリフォームローンは、不動産担保型ではなく、所得を基準とした審査を行う無担保ローンだからです。
一般的な不動産担保ローンでかかる、抵当権設定費用や保証料も不要です。また、保証人を立てる必要もないため、家族や親族に負担をかけません。
余計な費用や手続きの心配なく、シンプルな契約でリフォーム資金を調達できます。
審査結果の回答が最短2営業日
提出書類に不備がなければ、最短2営業日で審査結果がわかります。独自の審査システムにより、スピーディーな与信判断が可能になっているためです。
月曜日に申し込みを完了し、必要書類をすべて提出すれば、最短で水曜日には審査結果がわかります。
入居者募集のスケジュールに合わせた工事計画が立てやすく、空室期間の短縮にもつながります。
賃貸用アパートのリフォームローン利用例
賃貸アパートのリフォームのご利用例をご紹介します。
築20年のアパートで外壁の劣化が目立ち始めた場合、外壁塗装と外階段、ベランダの錆び補修に300万円を借り入れ、25年の返済期間で月々16,420円からの返済プランを組み、物件の資産価値を維持しながら、家賃収入から無理なく返済できる計画を組むことが可能です。
※金利4.35%で計算した場合
また、賃貸アパートの設備を現代的なものにアップデートする利用例もあります。古くなった給湯器の交換とユニットバスのシステムバスへの改装を行うために180万円を借り入れ、この工事により入居者の利便性が高まり、家賃収入の安定化にもつながるように活用ができます。
※金利4.35%で計算した場合
ご利用例については、こちらをご覧ください。
申し込みの流れ
セゾンのリフォームローンの申し込みは、すべてインターネット上で完結します。申し込みから融資実行までの流れは以下のとおりです。
- Webサイトから申し込み(必要書類のアップロード)
- 審査結果の通知
- 必要書類の返送
- 融資実行
申し込みの際は、本人確認書類(運転免許証など)、収入証明書類(源泉徴収票や確定申告書)、リフォーム工事の見積書などが必要となります。これらの書類はスマートフォンで撮影した画像やPDFファイルでアップロードできるため、わざわざ書類をコピーしたり郵送したりする手間がかかりません。
投資用物件の場合は、物件からの収入を証明する確定申告書なども必要となりますが、オンラインでの申し込みに不安がある方でも、専用のコールセンターが丁寧にサポートしてくれますので安心です。また、審査結果は最短2営業日でお知らせしますので、工事の進行にも支障をきたしません。
リフォーム資金の調達でお悩みの方は、ぜひセゾンのリフォームローンをご検討ください
おわりに
賃貸アパートのリフォームは、物件の価値向上と収益アップのための重要な投資です。費用対効果を考え、適切な資金調達方法を選ぶことがポイントとなります。リフォームのタイミングや内容は、物件の状態や入居者のニーズに合わせて慎重に検討しましょう。
また、補助金やリフォームローンなど、さまざまな支援制度も活用できます。特に、省エネ化や子育て支援に関する補助金制度は、物件の付加価値を高めながら工事費用を抑えられる可能性があります。リフォーム会社や金融機関によく相談し、物件の将来性も見据えた効果的なリフォーム計画を立てていきましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。