浴室の換気扇が故障したり、寿命を迎えたりした際の交換方法について詳しく解説します。浴室の換気扇を交換するには電気工事士の免許が必要なため、安全で適切な手順が大切です。
本記事では交換のタイミングや費用相場、さらに交換を安く抑えるコツについてもご紹介。快適な浴室環境を保つために、ぜひ参考にしてください。
- 浴室換気扇の交換は電気工事士の資格が必要であり素人のDIYは危険なため、専門会社への依頼必須
- 換気扇の交換時期は寿命(10~15年)やエラー表示、異音、換気不足といった症状から判断できる
- 全交換の費用は7~10万円程度だが、部品交換のみなら2~5万円程度で済む場合もある
- プロペラファン型(2~4万円)とシロッコファン型(6~10万円)で費用相場に大きな差がある
浴室の換気扇を交換する方法
浴室の換気扇の交換は、工事に電気工事士の資格が必要なため、自分での作業は危険を伴います。
ここでは、工事の依頼時に知っておきたい資格の必要性や工事の流れについて解説します。
浴室の換気扇交換には電気工事士の免許が必要
浴室の換気扇交換では、本体の設置だけでなく、電気配線の接続やアース線の延長など、専門的な技術を要する作業が含まれます。そのため、これらの工事には「第二種電気工事士」の資格が必須となります。
実は、市販の部材を自分で購入しても、施工会社に依頼する場合と費用差があまり生じないケースが多いのです。また、工事中の感電や漏電といった危険も潜んでいます。このようなリスクや手間を考慮すると、技術と経験を持つ施工業者に依頼する方が、結果的に安全で効率的な工事につながります。最適な換気扇の選定から設置まで、一貫して専門家に任せることで、快適な浴室環境を実現できます。
浴室の換気扇交換工事の流れ
浴室換気扇の一般的な交換工事は、以下の手順で進められます。
- 浴室のブレーカーを切り、配線・配管状況を確認する
- 既存の換気扇の配線と本体、ダクトを取り外す
- 新しい換気扇に配線とダクトを接続する
- 新しい換気扇の本体を取り付ける
- フロントカバーを取り付け、試運転を行う
特に換気乾燥暖房機へ機種変更する場合には、天井の開口部を広げる作業も必要となります。建物の構造や設備の状況によって工事の内容や難易度が変わるため、事前の入念な現場調査と適切な工事計画が重要です。作業の安全性と確実な施工のために、経験豊富な専門の事業者への依頼をおすすめします。
浴室の換気扇を交換するタイミングは?
浴室換気扇は日々の生活に欠かせない設備ですが、ずっと使用できるわけではありません。経年劣化による性能低下や故障の兆候を見逃さないことが、快適な浴室環境を維持するポイントとなります。
ここでは、換気扇の交換が必要なタイミングについて解説します。
お風呂の換気扇の寿命である10~15年の間
浴室換気扇の耐用年数は、使用頻度やメンテナンス状況によって異なりますが、一般的に約10年とされています。ただし、換気扇のタイプによって寿命は若干異なり、換気扇のみのタイプは15年、乾燥機能付き換気扇は10年程度が目安です。
これはメーカーが定める設計上の標準使用期間として示されています。寿命を超えて使用し続けると発火の危険性も出てくるため、10年を目安に交換を検討するのが賢明です。
なお、取り扱い説明書に記載されている「想定使用条件」に合わない環境で使用している場合は、より早期に劣化する可能性があります。
浴室換気扇の操作画面にエラー表示が出たとき
浴室換気扇の異常は、壁面の液晶画面やリモコンに特定のエラーコードとして表示されます。例えば、パナソニック製品では「F01」が本体と脱衣室リモコンの接続異常を、「F14」が温度センサーの故障を示すといった具合です。
ノーリツの浴室暖房乾燥機では「68」がファンモーター関連部品の不具合を表します。これらのエラーコードが表示された場合、メーカーは修理や交換を推奨しています。お使いの機器の取扱説明書で該当するエラーコードを確認し、適切な対応を取ることが大切です。
スイッチが入らないとき
電源スイッチを押しても動作しない場合、まずはブレーカーがONになっているかを確認する必要があります。ブレーカーが正常なのに換気扇が動かない場合は、換気扇本体の故障や電気系統のトラブルが考えられます。
電気系統の問題は素人判断が難しく、誤った対処をすると感電事故などの危険も伴います。このような状況では、自己解決を試みるのではなく、専門の事業者による点検と診断を受けることがおすすめです。
充分に換気ができていないと感じるとき
換気の効きが悪くなってきたと感じた場合、まず考えられるのは換気扇へのホコリの蓄積です。この場合、換気扇のカバーやフィルターを丁寧に清掃することで改善する可能性があります。掃除をしても換気不足が解消されない場合は、モーターの劣化やファンの破損が考えられます。
特に気になるのは、浴室内の湿気が十分に排出されず、カビの発生を招く恐れがある点です。換気扇掃除後も改善が見られない場合は、本体の交換を検討するタイミングといえます。
換気扇使用時に異音がするとき
換気扇から「ブオー」、「キュルキュル」といった普段と異なる音が発生する場合、複数の原因が考えられます。多くの場合、換気扇へのホコリの付着やモーター内部のオイル不足が原因です。また、モーターやファンのサビ、経年劣化による部品の破損や変形も異音の原因となります。まずは換気扇の清掃を試みることをおすすめします。
しかし、清掃後も異音が続く場合は、モーターなどの重要部品が損傷している可能性が高く、本体ごと交換が必要になります。異音を放置すると故障が進行する恐れがあるため、早めの対応が重要です。
浴室の換気扇交換で失敗しない換気扇選びのポイント
浴室換気扇の交換を検討する際は、以下の3つのポイントに注目することが重要です。
- 換気扇のサイズ
- 消費電力の確認
- 運転音の程度
これらの要素を事前に確認することで、工事費用の抑制や快適な浴室環境の実現につながります。
以降では、それぞれのポイントについて解説します。
換気扇のサイズを確認する
換気扇選びで最も重視すべきは、適切なサイズの選定です。現在設置されている換気扇の型番を調べ、埋込寸法(開口寸法)と接続ダクト径の2点を確認しましょう。
埋込寸法は換気扇本体のサイズを、接続ダクト径は換気ダクトの直径を示します。これらの数値が同じ製品を選択することで、余分な工事を避けることができます。
異なるサイズの換気扇を取り付ける場合、開口部の拡張や新たなダクト工事が必要となり、費用増加や工期の延長につながります。特にこだわりがなければ、同じサイズの製品を選ぶことで、スムーズな交換工事が実現できます。
消費電力をチェックする
換気扇は毎日使用する機器のため、消費電力の違いは長期的な電気代に大きく影響します。最新の換気扇は省エネ性能が向上しており、従来機種と比べて電力消費を最小限に抑えることができます。
製品を比較すると、消費電力に大きな差がないように見えるかもしれません。しかし、24時間換気を行う場合、わずかな消費電力の違いでも年間の電気代は大きく変わってきます。
将来的なランニングコストを考慮し、省エネ性能の高い機種を選択することで、長期的な費用削減につながります。
換気扇の音が気にならないかも確認する
リビングや寝室が浴室の近くにある場合、換気扇の運転音は生活の質に直接影響を与えます。最新の換気扇はモーター音が静かになるよう設計されていますが、機種によって音の大きさには差があります。特に夜間の使用時には、静かな環境で換気扇の音が気になりやすくなります。
24時間換気を行う場合は特に、運転音の静かな製品を選ぶことで、快適な住環境を維持することができます。製品カタログなどで運転音の数値を確認し、自宅の環境に適した機種を選びましょう。
浴室の換気扇を交換する際の費用相場をチェック
浴室換気扇の交換費用は、本体の種類や工事内容によって大きく異なります。全面交換か部分交換か、またどのタイプの換気扇を選ぶかによって、必要な予算は変わってきます。
ここでは、それぞれのケースにおける費用相場について解説します。
浴室の換気扇を全交換する場合
浴室換気扇を全交換する際の費用は、本体の種類や設置環境によって変動します。故障がひどい場合は、換気扇を丸ごと交換するのがおすすめです。
全交換にかかる費用の内訳は以下の通りです。
費用項目 | 相場費用 | |
換気扇本体 | プロペラファン型 | 1万円前後 |
シロッコファン型 | 3~4万円 | |
浴室換気扇の交換作業費 | 2~4万円 | |
諸経費(専門会社交通費、販売費、管理費など) | 7~10万円 |
浴室換気扇の全交換では、本体価格に加えて工事費と諸経費が必要となります。本体価格は機種により1万円から4万円程度と幅がありますが、工事費は2~4万円、諸経費として1~2万円程度を見込む必要があります。最新の高機能モデルを選択する場合は、さらに費用が上がる可能性があります。
浴室の換気扇を部分交換する場合
換気扇の一部のみに異常が見られる場合は、部品交換だけで対応できることもあります。換気扇本体を交換するよりも費用を抑えられるため、修理可能かどうかを業者に確認してもらうことをおすすめします。
部品ごとの交換費用の目安は以下の通りです。
部品 | 費用相場 |
---|---|
換気扇のモーター | 3万円 |
ダクト側の換気ファン | 2~5万円 |
タイマースイッチ | 3~4万円 |
故障の状況によっては、換気扇全体を交換せず、問題のある部品のみを交換することで対応できる場合があります。部品交換であれば費用を抑えられますが、交換後の性能や耐久性を考慮すると、全体交換をおすすめするケースもあります。高額な修理が必要な場合は、新しい換気扇への交換も検討しましょう。
換気扇の種類による費用相場の違い
浴室換気扇は大きく分けて「プロペラファン」と「シロッコファン」の2種類があり、それぞれ特徴と費用が異なります。選択の際は、予算だけでなく、設置環境や必要な機能も考慮しましょう。
プロペラファン
プロペラファン型は、壁に直接取り付ける昔ながらの換気扇です。本体価格が5,000~13,000円程度と比較的安価で、工事費も1~2万円程度に抑えられます。シンプルな構造のため交換工事も容易であり、総額2~4万円程度で設置が可能です。静かな運転音で排気力も高いのが特徴です。ただし、屋外の風の影響を受けやすいため、マンションの高層階には不向きとされています。
シロッコファン
シロッコファン型は、現代のユニットバスで主流の換気扇です。本体価格は3~4万円、取り付け工事費は2~4万円かかり、総額で6~10万円程度となります。プロペラファン型と比べて高額になりますが、外気の影響を受けにくく安定した換気性能を発揮します。また、タイマー機能や乾燥機能など、多彩な機能を備えた製品が多いのも特徴です。マンションや高層階での使用に適していますが、ダクトや電気配線の工事が必要なため、工期が2日以上かかることもあります。
浴室の換気扇交換を安く抑える3つのコツ
浴室換気扇の交換は、工事費用を含めると予想以上の出費になることがあります。しかし、賢い選び方と施工方法の工夫によって、コストを抑えることが可能です。
以降では、換気扇交換を安く済ませるための具体的な方法を紹介します。
換気扇本体は自分で購入し、取り付けだけを専門会社に依頼する
リフォームショップで換気扇を購入すると、本体価格に販売手数料が上乗せされることがあります。インターネットショップなどで本体を直接購入し、工事のみを専門業者に依頼することで、総費用を節約できる可能性があります。
ただし、この方法を選ぶ場合は、事前に施工予定の業者に相談し、購入予定の換気扇が設置環境に適合するか確認することが重要です。
また、本体を自分で用意する場合、製品保証の扱いが変わることもあるため、購入前に確認しておきましょう。一括で依頼する場合との費用差を見積もりで比較検討することをお勧めします。
型落ちした換気扇を使う
浴室換気扇は1~2年に1回のペースで新モデルが発売されます。新製品が登場すると、それまでの機種は「型落ち品」として価格が下がる傾向にあります。
性能面では新製品との大きな違いがないにもかかわらず、価格差が生じることも珍しくありません。型落ち品は在庫限りとなることが多いため、購入を検討する場合は在庫状況を確認し、早めに手配することをお勧めします。費用を抑えたい場合は、型落ち品を狙うことで、品質を妥協することなく予算を抑えることができます。
リフォーム補助金を活用する
国や自治体では、省エネ設備への交換を促進するため、さまざまな補助金制度を設けています。特に子育て世帯や若者夫婦世帯を対象とした支援制度が充実しており、浴室換気扇の交換工事も補助対象となる場合があります。
例えば「こどもエコすまい支援事業」や各自治体独自の住宅エコリフォーム支援事業補助金などが該当します。ただし、これらの補助金は予算に達すると募集が締め切られてしまうため、交換を検討している場合は早めに申請することが重要です。該当する可能性のある方は、お住まいの自治体の窓口やウェブサイトで最新の情報を確認しましょう。
あったら便利!換気扇交換の際につけたいおすすめ機能
シロッコファン型の浴室換気扇には、単なる換気以外にも生活を便利にする機能が搭載されています。換気扇の交換を検討する際は、これらの機能を活用することで、より快適な浴室環境を実現できます。ライフスタイルに合わせて、必要な機能を選びましょう。
衣類乾燥機能
乾燥機能付きの換気扇があれば、天候に左右されることなく浴室で洗濯物を乾かすことができます。花粉や黄砂が気になる季節でも、安心して室内干しができるのが特徴です。
また、湿気の多い梅雨時期でも、生乾きの臭いを防ぎながら効率的に乾燥できます。特に、バルコニーのない住宅や、マンションで外干しが制限されている場合に重宝する機能といえます。
暖房機能
浴室暖房は、単なる快適性だけでなく、安全性の面でも重要な機能です。冬場に冷え切った浴室から熱い湯船に入ることで起こる「ヒートショック」は、心筋梗塞や脳梗塞・脳出血の原因となります。
入浴前に浴室を暖めておくことで、温度差による身体への負担を軽減できます。特に高齢者や高血圧・糖尿病の方がいるご家庭では、事故防止のために必須といえる機能です。
送風機能
夏場の蒸し暑い浴室では、送風機能が快適な入浴をサポートします。エアコンと異なり、浴室を極端に冷やすことがないため、のぼせ予防に最適です。
特に、プライバシーの観点から窓を開けにくい浴室環境では、効果的に空気を循環させることができます。また、カビの発生を抑制する効果も期待できるため、浴室の衛生管理にも役立ちます。
タイマー機能
タイマー機能は、省エネと利便性を両立する重要な機能です。帰宅時間に合わせて暖房を作動させたり、乾燥や換気の運転時間を設定したりすることで、効率的な電力使用が可能になります。
また、切り忘れを防ぐことができるため、無駄な電力消費を抑えることができます。24時間換気を行う場合でも、時間帯によって風量を調整することで、より効果的な節電対策が実現できます。
工事費用に悩んだら「セゾンのリフォームローン」
浴室換気扇の交換やリフォームを検討する際、予算面での不安を抱える方も多いでしょう。セゾンのリフォームローンは、そんな方々の味方となる融資サービスです。WEBでの24時間申し込みが可能で、最短2営業日での審査結果回答が特徴です。
具体的な利用例を見てみましょう。
換気扇単体の交換であれば、30万円の借入れで3年返済の場合、月々8,903円の返済となります。より大規模な工事として、浴室暖房乾燥機付きのシステムバスへのリフォームの場合で、180万円の借り入れで20年返済なら月々11,242円の返済となります。
※金利4.35%で計算した場合
借入れ可能額は30万円から500万円までで、返済期間は最長25年と柔軟に設定できます。担保や保証人も不要なため、手続きもスムーズです。突然の故障で急ぎの交換が必要になった場合でも、迅速な対応が可能です。
また、投資用物件の浴室換気扇交換にも利用できるのが特徴です。賃貸物件オーナーの方も、入居者の快適な生活環境を整えるためのリフォーム資金として活用できます。
計画的な設備更新のために、セゾンのリフォームローンの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
おわりに
浴室の換気扇交換は、快適な住環境を維持するために欠かせない設備メンテナンスです。寿命や不具合のサインを見逃さず、適切なタイミングで交換することで、カビの発生を防ぎ、室内の空気環境を清潔に保つことができます。
工事には電気工事士の資格が必要となるため、必ず専門業者に依頼する必要がありますが、本体の選定方法や補助金の活用など、賢い選択をすることで費用を抑えることも可能です。また、乾燥機能や暖房機能など、新しい機能を備えた換気扇に交換することで、より快適な浴室環境を実現できるでしょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。