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マンションの修繕積立金が値上げとなる理由は?相場もチェック

マンションの修繕積立金が値上げとなる理由は?相場もチェック
セゾンのくらし大研究 編集部

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居住しているマンションの修繕積立金が、急に値上がりした経験はありませんか?今回は急な値上げに悩む方に向け、修繕積立金が値上げとなる理由や支払えなくなってしまったときに起こり得る事態と対処法などについて分かりやすくまとめていきます。

ほかに修繕積立金の基本的な知識なども解説しているため、修繕積立金についてしっかり理解したい方もぜひ参考にしてください。

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マンションの修繕積立金とは?

マンションの修繕積立金は、分譲マンションに居住している方がマンションのメンテナンスのため長期的に積み立てる費用です。マンションにより長く住むためには、定期的な修繕・点検によって設備の更新や維持を行わなければなりません。具体的には、以下のような作業を行う際に修繕積立金が使われます。

  • 外壁や配管の補修作業
  • 屋上の防水作業
  • エレベーターの部品交換および全面改修
  • 排水管清掃
  • 機械式駐車場をはじめとした設備の防サビ・塗装補修、部品交換
  • 駐車場の増設などの大規模補修
  • 台風や地震などの災害による補修

劣化によって大規模な修繕が必要になると、場合によっては数千万円単位のお金がかかる恐れもあります。急にたくさんお金がかかるとなった場合、すべてのマンション住人がまとまった費用を捻出できるわけではありません。毎月修繕積立金を支払うことで、大規模な修繕に備えるのです。

修繕積立金は管理会社作成の計画書に沿って、計画的に使用されます。しかし、先に挙げたような災害などの不測の事態が起きた場合には、修繕積立金を取り崩して費用を捻出することもあります。

修繕積立金ではまかなえない計画外の費用が発生した場合には、一時金徴収や修繕積立金の値上げなどをすることになるでしょう。どちらもマンション住民の承認を経たのち、総会での決議が必要です。

管理費とどう違う?

修繕積立金と同様、マンションに毎月支払うものとして管理費があります。修繕積立金は計画的なマンション修繕のための費用であるのに対し、管理費はマンションで毎日快適に過ごすための維持費用です。具体的には以下のように使われています。

  • 電灯やエレベーターなどの光熱費
  • 廊下やバルコニーといった共用部分の電球などの消耗品代
  • 植栽や植木の軽い剪定
  • 消防設備やエレベーターなどの点検
  • 管理人の清掃代や人件費
  • 管理組合を運営するための費用

なお、あまり大きくない補修の場合には、修繕積立金ではなく管理費が使用される場合もあります。

修繕積立金の相場

ここからは築年数・広さ(平米)・戸数別の修繕積立金の相場について見ていきます。

築年数別の相場

マンションが完成した年度別で見た修繕積立額の平均は、以下のとおりです。

完成した年度平均修繕積立額
~1989年12,154円
~1994年12,760円
~1999年13,447円
~2004年12,649円
~2009年12,386円
~2014年9,846円
2015年~6,928円

表の数値から、築年数が新しいほど平均修繕積立額は下がっていく傾向にあることが分かります。建物の築年数が経過していくにつれて修繕に必要な費用が具体的に分かり、修繕積立額を改定するため、古いマンションほど修繕積立金が高くなると考えられます。

参照元:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」管理組合向け調査の結果(P168)

広さ別の相場

マンションが完成した年度別に見た平米当たりの修繕積立金月額相場は、以下のとおりです。

完成した年度平米当たりの修繕積立金月額相場
~1989年182円
~1994年257円
~1999年191円
~2004年153円
~2009年150円
~2014年126円
2015年~93円

平米当たりの単価で見ても、先ほどと同様、築年数が新しいほど修繕積立金の月額相場は安くなっていました。築年数が経つにつれ、修繕のための費用は高くなることが分かります。

戸数別の相場

マンションの総戸数別の平均修繕積立額は、以下のとおりです。

総戸数平均修繕積立額
31~50戸12,952円
51~75戸10,581円
76~100戸11,535円
101~150戸10,775円
151~200戸12,698円
201~300戸12,883円
301~500戸14,496円
501戸以上13,719円

表の数値から、総戸数が50戸を下回る小規模マンション、150戸を超える大規模マンションで1戸当たりの平均修繕積立額が高いことが分かります。

小規模マンションは戸数が少ないため、修繕のための1戸当たりの費用負担が大きい傾向です。一方で大規模マンションはマンションが大きい分共有部分も多いことから、修繕費が高額になると考えられます。

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修繕積立金が高い…値上がりする理由は?

「修繕積立金が4倍になった」などという話もあるように、修繕積立金が値上がりするケースも少なくありません。なぜ修繕積立金の値上げが起きるのでしょうか?

積立方式によるもの

修繕積立金の方式は大きく分けて3つあり、それぞれ値上がりする理由が異なります。方式ごとの概要と値上がりする理由について見ていきましょう。

段階増額積立方式

現在多くのマンションで採用されている段階増額積立方式は、決まったタイミングでの値上げを前提としたものです。そのため、5年や10年といったタイミングで修繕積立金の値上げが起こります。

マンションは築年数が経つごとに修繕箇所が増えていくため、築年数が浅いうちは修繕積立金が比較的安価で、後に値上がりしていく方式は理にかなっているといえるでしょう。

修繕積立額の増額は計画的に行われるものではありますが、値上げをするタイミングに総会で再度決議を得るのが一般的です。

総会の際に「まだ問題ないだろう」と放置してしまうと、のちの値上げ幅が大きくなる懸念が生まれます。増額のタイミングを先延ばししないことで大幅な修繕積立金の値上げを防げるでしょう。

均等積立方式

均等積立方式は、マンションの竣工時点で将来的な設備や建物の維持管理に必要な費用を概算し、可能な限り均等に分けて負担する方式です。

修繕積立金の初期費用は割高になってしまいますが、長い期間金額の変更がないため、将来的な増額が計画に含まれることはありません。ただし、長期修繕計画を見直した場合には、修繕積立金が増額するケースも考えられます。

均等積立方式では、売却する際には大幅な積立修繕金の増額の恐れが低いことから、資産価値の向上にも効果的です。買う側としても修繕積立金の大幅な増額が起こりにくいことはメリットとなるため、売却額も高くなるでしょう。

一時金徴収方式

月々の負担金額を抑え、修繕工事が決まった段階で不足分を追加徴収するのが一時金徴収方式です。不足金額が高額になるケースも少なくないため、採用しているマンションは多くありません。

築年数が経つにつれて、想定していなかった追加費用が急きょ発生する可能性も。一時金の徴収に備え、まとまったお金を用意しておく必要があります。

建設業界の人件費が高騰している

建設業界の人件費が高騰すると修繕工事の費用も高くなるため、修繕積立金の値上げにつながる場合があります。人員不足などにより、建設業界の人件費は上昇傾向です。

2022年には人員不足や賃金水準の低下を招かないよう、公共工事の賃金基準となる労務単価が引き上げられました。今後も人件費は上がると予想できるため、修繕工事費用にも影響を及ぼすでしょう。

参照元:国土交通省「報道発表資料:令和4年3月から適用する公共工事設計労務単価について」

耐震強度に問題がある

旧耐震基準で建てられたマンションや1階が駐車場などで耐震壁が少ないマンションなどは、耐震補強が必要となるケースも少なくありません。耐震補強の目安金額は1戸当たり300〜1,000万円程度。20年間で積み立てるとしても、毎月10,000〜40,000円程度の値上げになってしまうのです。

持ち主が分からなくなってしまう問題がある

相続放棄、相続後の未登記などの理由からマンションの持ち主が分からなくなり、修繕積立金が徴収できず、1戸当たりの負担が重くなってしまいます。そうなると修繕積立金が減り、想定していた修繕工事を行えず老朽化が進んでしまいます。

分譲時の初期設定価格が低い

新築マンションを売却しやすくするため、マンション分譲時の修繕積立金を安めに設定しているケースも見受けられます。初期設定価格が安いと、将来的に修繕積立金が不足した時、値上げ率が大きくなってしまうのです。

リニューアル工事費用が組み込まれていない

最新設備のマンションを購入したとしても、築年数が経てば設備が古くなることは避けられません。古くなった設備を改修し、より住みやすくするためのバリアフリー化などのリニューアル工事は、修繕計画に含まれていない場合がほとんどです。

計画にない工事のため、リニューアル工事費用は修繕積立金の値上げにつながります。

修繕工事費が相場よりも高い

修繕工事を行うとき、管理組合が管理会社に修繕工事を委託するケースがあります。普段から任せている安心感はありますが、修繕を行う企業から管理会社に向けて中間マージンが支払われるため、割高になってしまうのです。

相場よりも高い費用を支払うことで将来的な修繕積立金が不足し、値上げせざるを得ない状況が起こり得ます。

修繕積立金にまつわるトラブル

ここでは修繕積立金にかかわるトラブルの具体例や解決方法についてまとめます。

コンサルタントにまつわるもの

とあるマンションでは大規模修繕のため、管理会社の紹介により大手設計事務所のコンサルタントを選びました。コンサルタントによると大規模修繕にかかる費用は3億円ほどとのことでしたが、実際に入札を行うと、最低でも5億2,000万円はかかると分かったのです。

しかし、着工間近で工事を止めることはできず、修繕積立金の不足分である1億5,000万円の借金をして大規模修繕を行いました。

上記の事例のように、管理組合には専門的な知識がないからと悪質なコンサルタントに任せてしまい、多額の借金を抱えてしまうケースも。

昨今は悪質なコンサルタントに依頼することがないよう、公的な相談窓口の活用などが呼び掛けられています。管理組合の理事をはじめ、マンション住人が大規模修繕を他人事と考えずに行動することが大切といえるでしょう。

参照元:被害2億円も!「修繕積立金トラブル」の実際 悪質コンサルに巻き上げられる

以前の住人による修繕積立金の滞納

中古で購入しようと検討していたマンションで、以前の住人が修繕積立金や管理費を滞納していることが判明したというケースもあります。

この場合、とくに何の処理もしないままマンションを購入してしまうと、管理組合から滞納分の修繕積立金や管理費を請求されてしまうのです。

請求されないためには、不動産会社を通じて売主に修繕積立金や管理費が支払われなければ購入しないとの意思を伝える必要があります。

もし売主に支払能力がなければ、手付金や売買代金から修繕積立金や管理費相当分の金額を管理組合に送金し、清算処理するよう売主に提案しましょう。

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マンションの修繕積立金はいつまで支払う?

所有するマンションに住んでいなかったり貸し出したりしていても、ご自身がマンションを所有している限りは修繕積立金を支払い続けなければなりません。

売却した場合には売却が決定した日ではなく、引き渡しを行う日の前日まで修繕積立金の支払いが必要です。

マンションを売却したら修繕積立金は戻ってくる?

マンションを売却したとしても、修繕積立金は戻ってきません。修繕積立金はマンションの維持のために使われる費用なので、売却のたびに返金していては修繕が計画どおりに行えなくなってしまうためです。

もし、もう住んでいないマンションがあり、ただ修繕積立金を支払っている状態なのであれば、早めの売却を考えても良いかもしれません。

ただし、修繕積立金の一部は戻ってくる可能性があります。一般的に修繕積立金は翌月分を先に支払っているため、引き渡しのタイミング次第で日割りとなった修繕積立金が返金されるのです。

マンションの修繕積立金を払えなくなってしまったら?

「修繕積立金が支払えないかも」と不安になったことはありませんか?ここでは修繕積立金が支払えないとどうなるか、そして考えられる対処法について見ていきます。

修繕積立金が払えないとどうなる?

修繕積立金の滞納が続くと以下のような事態が起こる可能性があります。

住環境・資産価値の低下

修繕積立金が支払われないと修繕が適切なタイミングで行えず住環境やマンションの資産価値が低下する恐れがあります。

売却が難しくなる

先程トラブルの事例として挙げたように、売却したマンションを買った方が修繕積立金を支払わなければならないケースも考えられます。

もし同じマンションで滞納がある部屋とない部屋があれば、滞納がない部屋を購入したいと考えるのが当然です。そのため、マンションを売却しやすくするためには、きちんと修繕積立金を支払っておく必要があります。

競売にかけられ、追い出される

一般的に修繕積立金の滞納が3〜6ヵ月程度続くと、管理会社から支払いを促されます。そこで支払いができないと悪質な滞納者とされ、法的措置に移行していきます。

裁判所による法的措置である支払督促は法的な強制力を持つため、ここで支払いがなければマンションは競売にかけられ、住めなくなってしまいます。

競売になると退去条件や販売価格に所有者が意見することはできません。競売時の売却価格は通常の5〜7割程度となるケースが多いため、大きな損となります。

支払いに困ったときの対処法

続いて修繕積立金の支払いが難しくなった際、どういった対処法があるのかについてまとめていきます。

管理会社・理事会に相談

まず行うべきこととしては、マンションの管理会社や理事会に修繕積立金を支払えない旨を伝え、相談することです。

どうして支払えないのか、今後どのように、どのタイミングで支払っていく予定なのかなどをしっかりと伝えます。理解してもらえれば、少し余裕を持った期限にしてくれるかもしれません。

支払う期日の延長・分割支払いを交渉

修繕積立金の滞納額が多くなっている場合には、支払期日を延ばせるか、分割で支払えるかを管理会社や理事会に相談してみましょう。

返済計画書などを提出して支払いをする意思があることを伝えられれば、受け入れてもらえるケースも大いに考えられます。

売却

修繕積立金は踏み倒しできないため、無理に修繕積立金の返済をすることで家計が苦しくなってしまうこともあり得ます。将来的に家計が改善する兆しがないようであれば、売却も視野に入れておきましょう。

おわりに

マンションの住環境維持のために欠かせない修繕積立金は、さまざまな理由から値上げする可能性があります。修繕積立金の値上げに対応できず滞納してしまうと、競売にかけられてしまう恐れもあるため、きちんと支払うことが大切です。

管理組合の理事会に選任され、修繕積立金の値上げや一時金徴収でも不足する場合には、管理組合向けローンの導入も検討してみましょう。

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