リノベーションとは、今ある住宅をライフスタイルに合わせて快適に作り替えることを指します。このコラムでは、リノベーションのメリットや注意点、具体的な進め方について解説します。
1.リノベーションとは快適な住まいに作り替えること
リノベーションとは、住まいの古くなって使いづらくなった部分やライフスタイルに合わなくなった部分などを直し、快適な住まいに作り替えることを指します。快適な住宅を完成させるための工事であれば、外観や内装、間取りなどの見える部分だけでなく、構造自体を変えて、より暮らしやすい住宅にすることもリノベーションに当てはまります。
1-1.新たな価値をプラスするリノベーション
リノベーションには、新たな価値をプラスするという意味もあります。例えば、アウトドアが趣味のご家庭であれば、リノベーションで玄関の土間を広くしてアウトドア用品を置けるようにすることもできるでしょう。この工事により、住宅に「アウトドアを楽しめる」という新たな価値が付与されます。
また、リノベーションを視野に入れることで、住宅の選択肢が広がる点も注目です。家族のこだわりを詰め込んだ注文住宅を建てるのも良いですが、中古住宅を購入して、こだわりたい部分だけをリノベーションすることもできます。こだわりのポイントを絞り込むことで、すべて一から作るよりも費用を抑えられる可能性が高くなります。また、リノベーションを前提として物件を選べば、多少気になる部分もカバーできるため選択肢が広がります。
リノベーションは、環境保護の視点からも注目されています。住宅を建て替えるとなると大量の廃材が出るだけでなく二酸化炭素も排出されますが、ライフスタイルに合わない部分などの特定の場所だけを工事するなら、建て替えるよりも廃材や二酸化炭素を少なく抑えることができるでしょう。
1-2.元の状態に戻すリフォーム
「リフォーム」という言葉もよく使われますが、リノベーションとの具体的な違いを説明します。リフォームとは壊れたものや古びたものを元の状態に戻すことを指す言葉です。リノベーションのように新たな価値を付け加えるのではなく、新築時のような元の状態に戻すことを目的とします。
例えば何年も生活をしたことでフローリングが傷だらけになったとしましょう。特に間取りや機能を変更したいという要望がないのであれば、フローリングだけを新しく張り替えて新築時の傷のない状態に戻します。
また、トイレの設備が古くなった、網戸がきっちりと閉まらなくなった、玄関ポーチの床部分の石が欠けているなどの不具合も、新たな機能は付け加えず、新築時の状態に戻すだけの場合はリフォームに当てはまります。
2.リノベーションの5つのメリット
新しい生活を始めたいときや住まいに暮らしにくさを感じている場合は、新築住宅の購入や現在暮らしている住宅を建て替えるなどの選択ができます。そこに、リノベーションも検討してみてはいかがでしょうか。
現在暮らしている住宅の立地や環境が気に入っているなら、リノベーションすることで、場所は変更せずに済みます。また、住宅自体を変えたいときは、中古住宅を購入してリノベーションするという方法もあるでしょう。では、リノベーションの5つのメリットをご紹介します。
- ライフスタイルに合わせて自由に設計できる
- 資産価値が高まる
- 地球環境に優しい
- 好立地に低価格で住める
- 物件の選択肢が多い
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
2-1.ライフスタイルに合わせて自由に設計できる
リノベーションは特に決まりがありません。ライフスタイルに合わせて暮らしやすいように自由に設計することができます。例えば、子どもが独立したので個室を減らしてリビングを広げる。また、高齢になってきたのでフルフラットのバリアフリー仕様にする。二階の一部を取り除いて吹き抜け構造にするなど、それぞれのライフスタイルに合わせて住宅を変えることが可能です。
暮らしやすい住宅にしたいという気持ちはあっても、具体的にどうすれば暮らしやすくなるのか分からないときは、設計事務所や工務店、住宅メーカーなどに相談してみましょう。家族の思いを形に変えるお手伝いをしてもらえます。
2-2.資産価値が高まる
リノベーションをして機能を増やすことで、資産価値が高まる場合もあります。住宅を売却する場合も、一度もリノベーションをせずに古びてしまった住宅よりは、最新の機能を搭載し、暮らしやすいように工夫された住宅の方が、高値が付く可能性は高くなるでしょう。
また、リノベーションでは、外観や内装などの見た目にも大規模な工事を行うことがあります。その場合、見た目が新築と変わらないという点でも購入希望者に評価され、高値で売れるかもしれません。
2-3.地球環境に優しい
住宅がライフスタイルに合わなくなったとき、建て替えるという選択肢もあるでしょう。しかし、建て替えはすべて壊して新しく建てる行為なので、問題がある部分だけでなく問題がない部分も工事をすることになります。
つまり、本来であれば手をつける必要がない部分の工事をするだけでなく、まだまだ使える資材も廃棄処分することになるのです。大量の廃材が生まれるのはもちろんのこと、大量の二酸化炭素が排出されることになるので、地球環境を守るためにも、できる限り廃材や二酸化炭素が出ないリノベーションを検討してはいかがでしょうか。
2-4.好立地に低価格で住める
新築一戸建てや新築マンションを買うのではなく、中古一戸建て、中古マンションを購入してリノベーションするという方法もあります。一般的に中古住宅の方が新築よりも低価格なので、リノベーション費用をプラスしたとしても予算を大幅に抑えられるかもしれません。
また、駅から近い場所や高級住宅地などはすでに土地が埋まっていることが多いため、好立地に新しい住宅を建てることは難しいケースもあります。好立地に空き地や新築マンションが見つかるケースもありますが、その場合は価格が高く予算オーバーする可能性もあります。
しかし、最初から中古住宅や中古マンションにターゲットを定めるなら、土地に空きがない場合や予算オーバーの場合も、好立地に低価格で住めるかもしれません。浮いた資金でリノベーションを実施し、家族のこだわりが詰まった住宅を作りましょう。
2-5.物件の選択肢が多い
中古一戸建てや中古マンションをリノベーションする場合、物件の選択肢が多いこともメリットの1つです。新築だけにターゲットを絞って住宅を探すとなると選択肢が限られてしまいますが、中古も含めて住宅を探すと豊富な案件から選べるようになります。
選択肢が増えるということは、理想に近い住宅を見つけやすくなるということです。また、理想に近い住宅が見つからなくても、立地や広さに納得できればリノベーションで理想の住宅に作り替えることができます。家族全員が納得できる素敵な住まいを見つけるためにも、中古住宅をリノベーションするという方法も検討してみてはいかがでしょうか。
3.リノベーションの5つの注意点
現在のお住まいや新しく購入した中古住宅をリノベーションすることで、ライフスタイルに合う生活を実現できるだけでなく、低価格で好立地に暮らすことも可能です。また、地球環境保全の観点からもリノベーションは優れた選択といえるでしょう。しかし、注意すべき点もあります。次の5つのポイントについてはリノベーションする前に吟味しておく必要があるでしょう。
- 居住開始までに時間がかかる
- ローンの金利が高くなる可能性がある
- マンションなどはリノベーションできない部分も多い
- 耐震性や耐熱性などの補強が必要になることもある
- 減税制度などが適用されないこともある
3-1.居住開始までに時間がかかる
すでに完成した新築一戸建てや新築マンションを選ぶ場合は、購入してすぐに居住できます。しかし、中古一戸建てや中古マンションを購入してリノベーションをする場合には、リノベーション工事が完了するまでは居住を開始することができません。工事の内容によっては数ヵ月以上かかることもあるので、かなりの期間、待つことになるでしょう。
また、現在の住宅を売却してリノベーションした別の住宅に暮らす場合には、売却のタイミングによっては工事が完了するまで仮住まいで暮らすことになります。仮住まいを借りる費用がかかるだけでなく、現在の住宅から仮住まい、仮住まいからリノベーション後の住宅と2回引っ越すことになるため、費用と手間が増えてしまうかもしれません。
現在の住宅をリノベーションする場合も同様です。工事をしている間は仮住まいが必要になることがあるため、仮住まいの家賃と2回の引っ越し代がかかります。ただし、工事の範囲が狭く、工事中も日常生活を送れるときには仮住まいを用意する必要はありません。リノベーションを決める前によく確認することをおすすめします。
3-2.ローンの金利が高くなる可能性がある
中古住宅を購入してすぐにリノベーションする場合は、リノベーション費用も住宅ローンを利用できることがあります。住宅ローンは一般的に金利が低く設定されているので、リノベーションの費用も低金利で借りられるでしょう。
しかし、現在の住宅をリノベーションする場合や、一戸建てやマンションを購入してから少し期間を置いて工事を依頼する場合は、住宅ローンを利用することはできません。資金が不足する場合はリフォーム向けのリフォームローンなどを利用することになりますが、住宅ローンと比べると金利が高いことが多いようです。
3-3.マンションなどはリノベーションできない部分も多い
構造上、間取りを思うように変更できない可能性があります。特にマンションでは制約が多いので注意しましょう。例えば、壁で建物を支える壁式構造では、壁を取り払う間取り変更は困難です。
また、階下に生活音が響かないように、床の素材がカーペットか畳に限定されている可能性もあります。その場合は、フローリングへのリノベーションが難しいケースもあるので、マンションの規約などで確認しておきましょう。
そのほかにも、共用部分には注意が必要です。共用部分は管理会社などの許可なしにリノベーションすることができないため、思うような住宅に仕上げられない可能性があります。例えば、窓や玄関ドア、ベランダなどは共用部分のため、勝手にリノベーションできません。
3-4.耐震性や断熱性などの補強が必要になることもある
見える部分だけでなく見えない部分も費用がかかり、思ったよりもリノベーション費用が高額になることもあります。例えば、新しい耐震基準で建てられていない住宅であれば、今後安心して暮らしていくためにも、耐震補強工事が必要になるでしょう。場合によっては数百万円単位で費用がかかるケースもあります。
また、暮らしやすさを向上させるために、断熱性能を高める工事が必要になることもあるでしょう。古い住宅であればあるほど壁材などの性能が期待しにくいので、リノベーションをして見た目や設備などが新しくなっても、暮らしやすさはあまり変わらない可能性があります。そのような場合には断熱性能を高めるために外壁や屋根などの張り替えなどを実施することが望ましいですが、リノベーション費用がさらに数百万円ほど高くなるかもしれません。
さらに、工事の途中で経年劣化によって、構造に問題があると判明する場合があります。補強工事が必要だと判明することもありますし、壁や床などを取り払ったときにシロアリの被害や湿気などによる腐食が見つかることもあります。
このようなときには基礎から補強工事が必要になるため、リノベーション費用もさらにかさみます。結果的に予算を大幅に超えてしまい、肝心のこだわりポイントに十分な資金を投入できない可能性もあるでしょう。
3-5.減税制度などが適用されないこともある
中古住宅を購入してリノベーションする場合にも、住宅ローンを利用するのであれば住宅ローン減税が適用されることがあります。
国土交通省のホームページによると、減税を受けるためにはいくつかの要件があるので、事前に確認しておくようにしましょう。
◆主な要件(床面積が50㎡以上の場合)
①その者が主として居住の用に供する家屋であること
②住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること
③店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
④借入金の償還期間が10年以上であること
⑤既存住宅の場合、以下のいずれかを満たすものであること
ⅰ)木造 …築後20年以内
マンション等…築後25年以内
ⅱ)一定の耐震基準を満たすことが証明されるもの
ⅲ)既存住宅売買瑕疵保険に加入していること
⑥合計所得金額が3,000万円以下であること
⑦増改築等の場合、工事費が100万円以上であること 等
なお、中古住宅の住宅ローンに減税が適用されると、最大13年にわたり 所得税や住民税から控除されます。節税効果の高い制度なので、条件に該当するときは忘れずに申告しましょう。
4.リノベーションの進め方
暮らしやすさを向上させるため、また、ライフスタイルに合わせた生活を実現するため、リノベーションを検討してみてはいかがでしょうか。リノベーションは以下の流れで進めていきます。
- 物件探し
- 現地調査と工事内容の確定
- リノベーション費用の見積もり
それぞれの段階において何を行うのか、また、何に注意すべきなのか見ていきましょう。
4-1.物件探し
理想の暮らしを実現できる中古一戸建てや中古マンションを探します。生活したいエリアが決まっているときは、不動産会社を訪問し、予算や広さなどを伝えて物件を紹介してもらいましょう。インターネットの不動産情報サービスを閲覧し、ある程度物件を絞っておくと理想とする物件のおおまかな目安が伝わりやすくなります。
リノベーションでは変えられない部分、例えば、立地や敷地の広さ、建物の大きさなどに注目して探していきましょう。
ただし、リノベーションは必要な部分だけを工事するため、建物の状態が良く、耐震基準を満たしている物件であれば、リノベーション費用を抑えることができます。また、内装や設備、間取りなども工事をせずに済みそうな部分が多いと、その分リノベーション費用の削減につながるでしょう。
4-2.現地調査と工事内容の確定
気になった物件を絞り込んだら、実際に現地に足を運び、物件の内覧を行います。気になる部分があれば遠慮せずに質問しましょう。時間帯を変えて何度か訪問する、日当たりや室内の明るさなどを詳しく把握できます。
また、周辺環境についてもしっかりと調べておきましょう。夜間も一度は訪れ、駅から住宅までの道のりに危険な場所や街灯がない場所はないか確認します。駅からの距離もチェックしておきたいポイントの一つです。「駅から徒歩10分」の物件でも、道が平坦なのかアップダウンが多いのかによって通勤通学のしやすさは大きく変わります。
購入する物件を決めたら、次はリノベーションの内容を決めていきましょう。住宅を詳しく調べ、「外壁が古びているので張り替えたい」「浴室やトイレ、洗面所の水回りはすべて取り替えたい」などのように工事内容をピックアップしておきます。
工事内容を選ぶ際に優先順位を決めておくと、費用が高額になった場合に対応しやすくなります。ひび割れなどがある、構造上あるいは機能上、修繕する必要がある箇所の工事は優先順位を高くします。また、家族の意見が一致している部分も優先順位を高くすると良いでしょう。
4-3.リノベーション費用の見積もり
リフォーム会社や工務店などから、リノベーション費用を見積もります。いくつかの会社から見積もると相場が分かり、割高な会社に依頼してしまう可能性を減らせるでしょう。また、複数の会社から見積もりを取ることで値下げ交渉をしやすくなるというメリットもあります。
なお、壁材や床材、トイレなどの設備は、何の素材や種類を選ぶかによって費用が大きく異なるので注意が必要です。予算内にリノベーション費用を収めることが難しいときは、素材や設備のグレードを一段階落とすことも検討しましょう。
5.リノベーション済み賃貸住宅とは?
ここまで、現在住んでいる家や中古物件購入時のリノベーションについて説明してきました。ここでは、リノベーションをした状態で市場に出回っている賃貸住宅について説明します。
リノベーション済みの賃貸マンションであれば、外観は築年数相応でも一歩室内に入ると近代的で清潔な状態になっているものもあります。また、一戸建てであれば、内装や設備だけでなく外観も新しくなっている物件も少なくありません。
大がかりなリノベーションをした物件であれば、見た目も性能も新築と変わらないものもあります。しかし、実際は新築ではないため、同程度の広さや立地の新築物件よりも家賃が安価に設定されていることが多いです。家賃を抑えつつ、好立地や高機能、優れた外観・内装の住宅を選びたいときは、リノベーション済み賃貸住宅に注目してみましょう。
なお、「リフォーム済み賃貸住宅」も数多く市場に出回っています。こちらは古くなった部分や機能に問題が生じている部分だけに工事が実施されている住宅です。性能がグレードアップしているわけではないため、不便はないもののリノベーション済み賃貸住宅と比べるとデザイン性や機能性に劣る可能性があるでしょう。
しかし、リノベーション済み賃貸住宅ほど大がかりな工事をしていないため、家賃は低めの傾向です。予算を抑えたいときは検討してみましょう。
おわりに
リノベーションにより、新築物件を購入するよりも費用を抑えて理想の生活を実現できるかもしれません。建て替えと比べても費用が安く、地球環境に優しい方法であるという点もリノベーションの魅力です。
リノベーションを視野に入れることで、住宅の選択肢が広がります。所有物件をリノベーションする場合にはリフォームローンも利用できるので、検討してみてはいかがでしょうか。
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