銀行に融資を申し込んだものの断られてしまった方や、金利や返済期間などの諸条件が合わなかった方におすすめなのが個人向けの不動産担保ローンです。
不動産担保ローンは無担保ローンと比べて、低金利かつ長期間の借り入れができる特徴があります。
このコラムでは個人におすすめの不動産担保ローンや審査のポイントなどをご紹介していくため、借入(金)や返済期間をもとにご自身に合った不動産担保ローンを選べるようになるでしょう。
この記事を読んでわかること
不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りる金融商品です。金融機関によって不動産担保ローンの審査項目や評価方法は異なりますが、主に「収入」「不動産の価値」「個人信用情報の記録」を重視しています。不動産担保ローンは低金利かつ長期間で借りられる点が特徴ですが、融資を受けるまでに時間がかかる点や繰り上げ返済をする際に手数料が発生することが多い点に注意が必要です。銀行、ろうきん、ノンバンクなど複数の選択肢があるため、条件面を踏まえてご自身に適したものを選びましょう。
1.不動産担保ローンとは?

不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りる金融商品です。
担保とは、返済不能になった場合に備えて、資金の貸し手(債権者)の損失を保証すること。つまり、万が一ローン返済が不能となった場合は、担保に入れている不動産を手放すことになります。
不動産担保ローンの借入可能額は不動産の価値や債務者の返済能力によって異なりますが、10億円などまとまった資金を融資している金融機関もあります。
都心の土地や築年数の浅いビルなど、経済的価値が高い不動産を担保にすると借入可能額が増加すると考えましょう。しかし、金融機関によって不動産の評価方法は異なるため、同じ不動産でも異なる融資額となる可能性があります。
2.不動産担保ローンの審査のポイント

金融機関によって不動産担保ローンの審査項目や評価方法は異なりますが、主に以下の3つのポイントを重視しています。
- 収入
- 不動産の価値
- 個人信用情報の記録
それぞれについてご紹介しましょう。
2-1.収入
金融機関は毎月問題なくローンを返済してもらえるように、収入面を重視しています。
しかし、収入が高ければ審査で高評価を得られるわけではありません。勤め先や勤続年数なども含めて審査されます。そのため、一般的には経営者や自営業者よりも、大企業の社員や公務員の方が借りやすい傾向にあります。
なお、自宅以外の不動産を担保とする不動産担保ローンは総量規制の対象外であるため、借入額に注意しましょう。総量規制とは、個人に対して年収の1/3を超える融資をしてはならないという規制です。例えば、年収500万円の方に対しては約166万円以下の融資に留める必要があります。
しかし、不動産担保ローンは総量規制の対象外であり、気をつけなければ返済能力を超える借入(金)になってしまう恐れがあるのです。家計を圧迫しないためにも長期的な返済計画を立てて、無理のない範囲でローンを組みましょう。
2-2.不動産の価値
金融機関は返済が滞った際に担保不動産を売却して資金を回収するため、不動産の担保価値が融資額に直結します。
不動産の担保価値は市場価格(物件価格)をもとに評価しますが、具体的な計算式は以下のとおりです。
- 不動産の担保価値=市場価格×担保掛目
担保掛目とは、金融機関ごとに設定している割合であり、一般的に60%〜80%に設定されています。しかし、具体的な計算方法は開示してもらえないことも多いため、少し余裕を持って50%〜70%程度で見積もっておくのがおすすめです。
2-3.個人信用情報の記録
個人信用情報とは、クレジットカードや各種ローンの取引を記録した情報で、内閣総理大臣が指定する信用情報機関が保管しています。各金融機関で共有されており、クレジットカードの発行時やローン契約時など、顧客の信用度を測る際に用いられるのが個人信用情報です。
過去にクレジットカードやローンの滞納があると、その情報が記録されているため、新規の審査にとおりにくくなると考えましょう。
なお、個人信用情報の登録期間は基本的に5年です。過去に滞納した方でも、完済から5年を経過すると記録が削除されます。
3.不動産担保ローンのメリット

ローンにはさまざまな種類がありますが、不動産担保ローンならではのメリットは以下のとおりです。
- 低金利で借りられる
- 借入限度額が高い
- 資金の使い道が自由
- 長期間の利用が可能
- 家族所有の不動産も担保にできる
- 保証人が不要
それぞれについてご紹介しましょう。
3-1.低金利で借りられる
不動産担保ローンは住宅ローンより金利が高いものの、無担保ローンと比べると低金利で借りられます。その理由は、資金を貸し出す金融機関側のリスクが低いためです。金融機関は万が一債務者が返済不能となった場合、担保となる不動産を売却して資金を回収できます。
一方、無担保ローンは資金を回収できないリスクが高いため、金融機関も金利を高く設定せざるを得ないのです。実際に、銀行の場合は不動産担保ローンの最高金利を10%以下に設定しているケースが多いです。
しかし、なかには金利の高い不動産担保ローンを提供している金融機関もあります。そのような金融機関は審査基準がやや甘い可能性があり、リスクを負ってでもより多くの方に貸し出すスタイルを取っていると考えられるでしょう。
3-2.借入限度額が高い
ローンには総量規制による借入限度額がありますが、不動産担保ローンは総量規制の対象外であるため、無担保ローンと比べて借入限度額が高い傾向にあります。また、安定資産である不動産を担保にするため、金融機関としても積極的な融資が可能です。
ただし、自宅を担保にする場合は総量規制の対象となる点に注意しましょう。賃貸用不動産などを所有している方は、総量規制にかかわらずまとまった額のローンを組めます。複数のローンを借り換えして不動産担保ローン1本にまとめるといった方法もあるため、必要に応じて有効活用しましょう。
なお、実際にいくら借りられるのかは金融機関によって判断が異なるため、審査を依頼するのがおすすめです。
3-3.資金の使い道が自由
住宅ローンやカーローンなどの目的別ローンは、資金の使い道が定められているため、他の用途には利用できません。一方で、不動産担保ローンの多くは資金の使い道が自由です。
不動産担保ローンであれば、住宅の購入資金やリフォーム資金、教育資金、生活費など、さまざまな用途に利用できます。銀行などでは一部用途に制限があるタイプの不動産担保ローンもあるため、借りる際は要件を確認しましょう。
3-4.長期間の利用が可能
不動産担保ローンは無担保ローンと比べると長期間の利用が可能です。一般的なカードローンの場合、返済期間を最長10年にしているケースが多いですが、不動産担保ローンでは25〜35年の期間で利用できます。
返済期間が長ければ毎月の返済金額を抑えられるため、無理のない返済プランを立てられるでしょう。ただし、期間が長くなるほど総返済額が大きくなる点には注意が必要です。
3-5.家族所有の不動産も担保にできる
不動産担保ローンで担保の対象になるのは、自己所有の不動産だけではありません。親や兄弟など、三親等以内の家族・親族が所有する不動産を担保にできるのが一般的です。ご自身で不動産を所有していない場合は、家族名義の不動産を担保にすることを検討してみましょう。
なお、家族所有の不動産を担保にする場合は、家族の署名捺印などが必要になるため、事前に相談しておく必要があります。
3-6.保証人が不要
不動産担保ローンでは、保証人を不要としている金融機関が多いです。ただし、本人名義以外の不動産を担保に入れる場合は、その限りではありません。家族や親族名義の不動産を担保にする場合は、名義人を連帯保証人にすることを求められる場合もあります。
連帯保証人になると万が一の際は責任を負わなければならないため、断られる可能性もあるでしょう。ノンバンクの不動産担保ローンは連帯保証人が不要であるケースが多いため、幅広く検討するのがおすすめです。
4.不動産担保ローンの注意点

不動産投資ローンのメリットについてご紹介しましたが、以下のような注意点もあります。
- 諸費用がかかる
- 融資を受けるまでに時間がかかる
- 繰り上げ返済をする際に手数料が発生することが多い
- 不動産を失う可能性も
それぞれについてご紹介しましょう。
4-1.諸費用がかかる
不動産担保ローンを組む際は、不動産担保ローンならではの費用がかかります。
- 不動産の調査費用
- (根)抵当権設定費用
- 火災保険の掛け金(未加入の場合)
不動産の調査費用とは、不動産の担保価値を算出するためにかかる費用です。資料の取得費用や現地までの交通費、各種事務手数料など、さまざまな費用がかかります。
抵当権設定費用とは、不動産に抵当権を設定する際にかかる司法書士費用や登録免許税などの費用。融資金額が高くなるほど、抵当権設定費用も高くなるのが一般的です。
また、担保に入れる不動産が火災保険未加入の場合は、新たに火災保険に加入する必要があります。
4-2.融資を受けるまでに時間がかかる
不動産担保ローンでは、個人の審査の他に不動産の評価もしなければならないため、融資を受けるまでに時間がかかるケースが多いです。なかには即日融資可能な金融機関もありますが、無担保ローンのようにすぐに審査が完了するわけではありません。
不動産担保ローンを組みたい方は、融資が必要になる日に間に合うようになるべく早く金融機関へ相談するのがおすすめです。
4-3.繰り上げ返済をする際に手数料が発生することが多い
不動産担保ローンでは、繰り上げ返済時に手数料が発生する商品がほとんどです。繰り上げ返済をすると返済期間が短くなるため、総返済額が抑えられます。しかし、繰り上げ返済で手数料がかかる場合は、どの程度お得になるのかを考えてから実施しなければなりません。
繰り上げ返済の回数によっては、減る利息よりも支払う手数料が上回る恐れがあるためです。また、一括返済は途中解約扱いとなり違約金が発生することもあります。契約前に繰り上げ返済の条件を確認しておきましょう。
4-4.不動産を失う可能性も
不動産を担保としてお金を借りる以上、万が一返済できなくなった際は不動産を手放すことになります。自宅を担保にしている場合は自宅を失ってしまうため、そのような事態にならないためにも計画的な借り入れを行いましょう。
また、団体信用生命保険など、病気やケガで働けなくなった際の保障が付いているローンを選ぶのもおすすめの方法です。
5.不動産担保ローンを選ぶ際のポイント

不動産担保ローンを選ぶ際のポイントは以下のとおり。
- 金利がより低い商品であるか
- 必要とする融資を受けられるか
- 諸費用はどのくらいか
- 万が一のときの保障があるか
- 急いでいる場合は融資までにかかる期間にも注目する
それぞれについてご紹介します。
5-1.金利がより低い商品であるか
返済負担を軽減するためにも、金利が低い商品を選びましょう。先述のとおり、不動産担保ローンは長期間の借り入れが可能であるため、少しの金利差によって総返済額が大きく異なります。
また、変動金利や固定金利など、金利の種類も重要。長期的な計画を立てたい方は固定金利、金利変動のリスクに耐えられる方は変動金利がおすすめです。
5-2.必要とする融資を受けられるか
ローンを組む目的を達成するために、必要とする額の融資が受けられるかを確認しましょう。不動産の担保評価は金融機関ごとに定められているため、同じ不動産でも融資額が異なります。
複数の金融機関を比較して、希望額の融資を受けられる金融機関を選びましょう。
5-3.諸費用はどのくらいか
不動産担保ローンを選ぶ際は、諸費用の比較検討が大切です。不動産担保ローンの諸費用は、融資額に一定割合をかけて算出する金融機関もあれば、一律で設定している金融機関もあります。
より効率的な資金調達を行うためにも、なるべく諸費用を抑えられる商品を選ぶのがおすすめです。しかし、諸費用がかからないとアピールしている金融機関では、その分金利に上乗せされている場合もあるため注意しましょう。
5-4.万が一のときの保障があるか
不動産担保ローンは返済不能になると不動産を手放さなければなりません。そうならないために、万が一のときの保障をチェックしましょう。例えば、団体信用生命保険に加入するタイプであれば、死亡または高度障害となった際に保険金でローンが完済されます。
ご自身だけでなく家族の生活を守るためにも保障内容をチェックし、場合によっては外部の保険も検討しましょう。
5-5.急いでいる場合は融資までにかかる期間にも注目する
急いで融資を受けたい場合は、審査期間が短い不動産担保ローンも一つの方法です。一般的に銀行系よりもノンバンク系のほうが審査期間は短い傾向にあります。
必要書類を揃えたうえで融資を申し込むと手続きがスムーズに進むため、事前に何が必要かを確認しておきましょう。
6.個人向け不動産担保ローンのおすすめ3選

不動産担保ローンを選ぶ際のポイントが分かったところで、おすすめの個人向け不動産担保ローンを3つご紹介します。
銀行、ろうきん、ノンバンクから1つずつ紹介するので、ご自身に合った商品を選んでみましょう。
6-1.住信SBIネット銀行「不動産担保ローン」
住信SBIネット銀行の不動産担保ローンは最大35年のローンが組めます。金利も2.95%からあり、不動産担保ローンのなかでも低金利です。融資金額は最大1億円であるため、資金力のある銀行ならではの融資といえるでしょう。商品の概要は以下のとおりです。
対応エリア | 全国 |
融資金額 | 300万円〜1億円 |
融資利率 | 2.95%〜8.9%(変動金利) |
返済期間 | 最長35年 |
保証人 | 原則不要(保証会社を利用) |
担保(抵当権設定) | ご本人が所有する不動産 |
6-2.中央労働金庫「有担保フリーローン(不動産担保型)」
中央労働金庫の有担保フリーローン(不動産担保型)では、最長35年のローンが組めます。融資金額は最高1億円であるため、個人での融資であれば十分な金額でしょう。また、変動金利と固定金利を組み合わせたお得な借り入れ方法も選択可能。商品の概要は以下のとおりです。
対応エリア | 関東1都7県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨) |
融資金額 | 最高1億円 |
融資利率 | 標準金利:2.475%(変動金利) |
返済期間 | 最長35年※ただし、最終返済時は満76歳未満 |
保証人 | 原則不要(保証協会を利用) |
担保(抵当権設定) | ・ご本人、ご親族が所有する不動産 ・ご本人とご親族が共同で所有する不動産 ※第一順位の抵当権を設定 ※共有物件の場合は、共有者の持分も担保として提供 |
6-3.セゾンファンデックス「フリーローン(不動産担保)」
セゾンファンデックスのフリーローン(不動産担保)は、抵当権の順位を問わないため、現在ローンを組んでいる不動産であっても担保にできます。商品の概要は以下のとおりです。
対応エリア | 全国 |
融資金額 | 100万円〜3,000万円 |
融資利率 | 6.8〜9.9%(固定金利) |
返済期間 | 5年〜15年(60回〜180回) |
保証人 | 原則不要 |
担保(抵当権設定) | ・ご本人、ご親族が所有する不動産 ・ご本人とご親族が共同で所有する不動産 ※抵当権の順位は問いません。 ※対象となる不動産には、マンション・店舗・賃貸アパート・セカンドハウス・駐車場などが含まれます。 |
最短3営業日で審査結果が分かります。WEBから簡単に申し込めるため、ぜひご活用ください。
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おわりに
不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りる金融商品です。商品ごとに特徴があるため、このコラムでご紹介したおすすめの個人向け不動産担保ローンを参考にしてください。
なお、このコラムでは個人向けの不動産担保ローンをご紹介しましたが、セゾンファンデックスでは事業者向け不動産担保ローンも提供しています。
経営者や個人事業主の方は、ぜひご検討ください。
セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンの詳細はこちら