不動産担保ローンは銀行やノンバンクだけでなく、ろうきんでも取り扱っています。融資を受けられる方は限定されていますが、要件を満たしている方はろうきんを選ぶことでお得に借りられるでしょう。
そこで本記事では、ろうきんで扱っている不動産担保ローンの特徴を紹介します。ろうきん以外のおすすめ商品についても紹介するため、本記事を読んでいただければご自身に合ったローンを選べるでしょう。
この記事を読んでわかること
不動産担保ローンとは、所有している不動産を担保に設定して融資を受ける金融商品です。銀行やノンバンクだけでなく、ろうきん(労働金庫)でも不動産担保ローンを取り扱っており、金利が低いなどの特徴があります。しかし、ろうきんで借りられる方は限られているため、まずはご自身が要件を満たしているかを確認しましょう。また、不動産担保ローンと似た金融商品であるリバースモーゲージを取り扱っているろうきんは限られているため、管轄のろうきんで取り扱いがない場合は別の金融機関で探す必要があります。

1.そもそも「不動産担保ローン」とは?概要をおさらい

ろうきんの不動産担保ローンについて紹介する前に、本章ではそもそも不動産担保ローンとは何かを解説します。
メリット・デメリットや扱っている金融機関について理解し、不動産担保ローンの概要を押さえましょう。
1-1.不動産を担保に設定してお金を借りる商品
不動産担保ローンとは、所有している不動産を担保に設定して融資を受ける金融商品です。
担保とは、返済不能になった場合に備えて、資金の貸し手(債権者)の損失を保証することです。金融機関は万が一の際に備え、不動産を差し押さえて資金を回収するための権利である抵当権を不動産に設定したうえで融資を実行します。
上記のような理由から、不動産担保ローンは金融機関側のリスクが低く、無担保ローンと比べると好条件で借りられるのが特徴です。
1-2.不動産担保ローンでお金を借りるメリット・デメリット
不動産担保ローンでお金を借りるメリット・デメリットについて解説します。
・メリット
不動産担保ローンのメリットは以下のとおりです。
- 金利が低めに設定されている
- 返済期間を長期に設定できる
- まとまった金額を融資してもらいやすい
- 資金の使い道が比較的自由
不動産担保ローンは金融機関側のリスクが低いため、金利や返済期間の面で好条件の融資を受けられます。カードローンなどの無担保ローンでは返済期間が10年以下かつ金利が10%を超えるケースも多いですが、不動産担保ローンでは返済期間が最大35年かつ金利10%未満で借りられるケースがほとんどです。
また、不動産という大きな資産を担保にする分、まとまった金額の融資を受けやすくなります。金融機関によっては1億円を超える融資が可能な場合もあるため、個人での借入(金)だけでなく事業資金としても役立つでしょう。
さらに、不動産担保ローンでは資金の使い道が自由であるケースが多いです。住宅ローンやカーローンのような目的別ローンは定められた用途にしか利用できませんが、不動産担保ローンであれば事業資金や教育資金、生活費など、さまざまな用途で利用できます。
・デメリット
不動産担保ローンのデメリットは以下のとおりです。
- 返済できなくなったら担保に入れた不動産を失う
- 手数料がかかる
- 融資してもらうまでに時間がかかる
不動産担保ローンでは、不動産を担保にしてお金を借りるため、万が一返済不能となった場合には不動産を失ってしまいます。自宅を担保にしている方は自宅を失ってしまうため、そのような事態を避けるためにも計画的な借り入れを行いましょう。
団体信用生命保険など、病気やケガで働けなくなった際の保障・サービスが付いているローンを選ぶのもおすすめの方法です。
また、不動産担保ローンでは不動産の調査費用や抵当権の設定費用がかかるため、無担保ローンと比べて手数料がかかる点に注意しましょう。基本的に融資金額が大きくなるほど手数料も高くなります。
さらに、不動産担保ローンは無担保ローンのように即日で融資を受けるのは難しいと考えましょう。個人の審査だけでなく不動産の調査も必要になるためです。融資の実行は、審査を申し込んでから2週間〜1ヵ月程度の時間がかかる傾向にあります。
1-3.不動産担保ローンを扱っている金融機関
不動産担保ローンを扱っている主な金融機関は以下のとおりです。
- 銀行
- 信託銀行
- ノンバンク
- ろうきん(労働金庫)
- しんきん(信用金庫)
ノンバンクとはクレジットカード会社や消費者金融など、預貯金業務を行わずに貸金業務に特化している金融機関です。銀行と違い、自社で受け付けから審査まで一括で行うため、審査期間が短い特徴があります。
ろうきんについては、次章で詳しく解説します。
2.ろうきんが提供する不動産担保ローンの特徴

ろうきん(労金)とは労働金庫の略称であり、労働組合や生活協同組合の会員が資金を出し合って運営している金融機関です。
ろうきんが提供する不動産担保ローンの特徴は以下のとおりです。
- 申し込める方が限られている
- 金利が低めに設定されている
- 投資や事業目的では借りられない場合がある
それぞれについて解説します。
2-1.申し込める方が限られている
ろうきんは会員が資金を出し合って運営しているため、銀行などの金融機関と違いローンを申し込める方が限られています。具体的には以下のように区分されています。
- 団体会員:ろうきんに出資・加入している労働組合、互助会、共済会などに所属している方
- 生協組合員:ろうきんに出資・加入している生協の組合員
- 一般勤労者:団体会員、生協組合員以外の方(管轄エリアに在住・勤労している方)
団体会員や生協組合員でなくともローンは申し込めますが、ろうきんの管轄エリアに在住・勤労している方に限定されます。そのため、管轄のろうきんが不動産担保ローンを扱っていない場合は、ろうきんから融資を受けられません。また、「ろうきん友の会」への入会や、個人会員となることが求められる場合もあります。
2-2.金利が低めに設定されている
ろうきんでローンを申し込めるのは団体会員、生協組合員、一般勤労者に区分されますが、その中でも団体会員と生協会員は金利の優遇を受けられます。
例えば、中央ろうきんで提供している全期間固定金利型・手数料定額型の適用金利は以下のとおりです。
- 団体会員:1.850%~1.940%
- 生協組合員:2.010%~2.150%
- 一般勤労者:2.030%~2.170%
※2023年4月1日現在
2-3.投資や事業目的では借りられない場合がある
一般的な不動産担保ローンは資金の用途が定められていないケースが多いですが、ろうきんの場合は生活費全般に限られているケースが多いです。具体的には耐久消費財(家電、自動車、家具など)の購入やレジャー、旅行などです。
投資や事業目的では借りられない場合があるため、事前に利用可能な用途を把握しておきましょう。
3.不動産担保ローンを扱っているろうきん

ろうきんの不動産担保ローンの特徴が分かったところで、本章では各ろうきんの不動産担保ローンの詳細を紹介します。対象エリアなどを確認し、ご自身が利用可能なろうきんの不動産担保ローンを調べてみましょう。
なお、本記事に掲載している内容は2023年4月現在の情報です。金利やローンの内容が変更となっている可能性もあるため、事前に確認してから申し込みましょう。
3-1.中央ろうきん「有担保フリーローン(不動産担保型)」
【主な特徴】
- 不動産担保取扱手数料が低い
- 金利ミックスを利用できる
- 金利引下げ制度がある
対象エリア | 関東1都7県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨) |
借入可能額 | 最高1億円 |
返済期間 | 35年以内 |
資金使途 | セカンドハウスやマイホーム、教育、自動車、耐久消費財などくらしのさまざまな資金 |
返済方法 | 元利均等毎月返済または元利均等毎月加算併用返済 |
公式HP | https://chuo.rokin.com/banking/loan/free_secured/ |
中央ろうきんの有担保フリーローン(不動産担保型)にかかる不動産担保取扱手数料は、団体会員・生協組合員であれば11,000円(消費税込)、一般勤労者の方であれば33,000円(消費税込)に設定されており、ほかのろうきんと比較すると低いのが特徴です。
また、金利ミックスや金利引下げ制度を活用することで、標準金利よりお得に融資を受けられます。
3-2.東北ろうきん「有担保フリーローン」
【主な特徴】
- 生命保険が充実している
対象エリア | 東北6県(青森県・岩手県・秋田県・宮城県・山形県・福島県) |
借入可能額 | 最高1億円 |
返済期間 | 35年以内 |
資金使途 | 住宅、教育、自動車、耐久消費財購入など、暮らしのさまざまな資金 |
返済方法 | 元利均等・利息分割後取返済、または元利均等・利息分割後取加算併用返済 |
公式HP | https://www.tohoku-rokin.or.jp/kariru/summary.html |
東北ろうきんの有担保フリーローンは、生命保険が充実しています。ろうきん負担で団体信用生命保険(団信)に加入できるほか、希望によって以下の団信を選択できます。
- ろうきん3大疾病保障特約・障がい特約付団信
- 夫婦連生団信
- 就業不能保障団信
- 就業不能保障団信夫婦連生
- がん団信
- がん団信夫婦連生
ご自身やご家族の万が一に備えて、必要な保険を選びましょう。
3-3.北陸ろうきん「フリーローン(不動産担保)」
【主な特徴】
- 借り過ぎを防げる
- 一部繰上償還手数料が無料
対象エリア | 北陸3県(富山県・石川県・福井県) |
借入可能額 | 5,000万円以内 |
返済期間 | 35年以内 |
資金使途 | 耐久消費財の購入、レジャー、旅行など暮らしのための生活費全般 |
返済方法 | 毎月返済または毎月・ボーナス併用返済 |
公式HP | https://hokuriku.rokin.or.jp/loan/fudousan_free_loan.html |
北陸ろうきんのフリーローン(不動産担保)は、借入可能額が5,000万円以内であり、不要な借入(金)を防げます。不動産担保ローンはまとまった金額の借り入れができる一方で、返済負担が重くなるデメリットもあるため、バランスに優れているといえるでしょう。
また、一部繰上償還手数料が無料であるため、資金面に余裕がある時は適宜繰上げ返済を行うことで、返済負担を軽減できます。
3-4.中国ろうきん「有担保多目的ローン」
【主な特徴】
- 保証料0円
- 返済期間は最長40年
対象エリア | 中国5県(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県) |
借入可能額 | 最高1億円 |
返済期間 | 40年以内 |
資金使途 | 生活資金、自己居住用住宅資金 |
返済方法 | 元利均等毎月返済または元利均等毎月・ボーナス併用返済 |
公式HP | https://www.chugoku.rokin.or.jp/kariru/tamokuteki_loan/yuutanpo.php |
中国ろうきんの有担保多目的ローンは新規利用者は労金負担で保証料がかからないため、借入時の初期費用を抑えられます。また、返済期間が最長40年と長いため、月々の返済負担を軽減できます。
4.リバースモーゲージを扱うろうきんも

ろうきんでは不動産担保ローン以外にも不動産を担保にする「リバースモーゲージ」という金融商品を取り扱っている場合があります。
本章ではリバースモーゲージと不動産担保ローンの違いや、取り扱っているろうきんについて解説します。
4-1.リバースモーゲージとは?不動産担保ローンとの違い
リバースモーゲージとは、不動産(自宅)を担保に入れて生活資金を融資してもらう高齢者向けの融資制度です。借入期間中は利息のみを返済し、借入人が亡くなった際に担保にしていた不動産を処分し、借入金を返済します。
不動産担保ローンはさまざまな目的のために借り入れを行いますが、リバースモーゲージは主に以下のような目的で借り入れを行います。
- 老後の生活資金等
- 医療費、介護費等
- 自宅のリフォーム費、住宅ローン借換費用等
通常のローンは融資額を一括で受け取りますが、リバースモーゲージでは年金形式(分割)でも受け取れます。
リバースモーゲージは老後に問題になりがちな生活資金の不足と、不動産の処分を一度に解決できる金融商品です。
4-2.リバースモーゲージの商品があるろうきん
リバースモーゲージを取り扱うろうきんは以下のとおりです
- 東北ろうきん
- 新潟ろうきん
- 静岡ろうきん
- 中国ろうきん
- 四国ろうきん
※2023年4月現在
北海道や九州、近畿など、管轄のろうきんがリバースモーゲージを扱っていない場合は、ほかの金融機関で探す必要があります。
5.ろうきん以外でおすすめの不動産担保ローン

本章ではろうきん以外でおすすめの不動産担保ローンを2つ紹介します。
- セゾンファンデックス「事業者向け不動産担保ローン」
- セゾンファンデックス「フリーローン(不動産担保)」
それぞれについて見ていきましょう。
5-1.セゾンファンデックス「事業者向け不動産担保ローン」
【主な特徴】
- 最短3営業日でスピード審査
- 不動産担保力を重視
- ご親族の担保提供も可
対象エリア | 全国(※一部対応できないエリアあり) |
借入可能額 | 100万円〜5億円 |
返済期間 | 5年〜25年(60回〜300回) |
資金使途 | 開業資金・納税資金・物件購入資金・建替え資金など |
返済方法 | 毎月4日に指定口座からの自動引落し(金融機関休業日の場合は翌営業日) |
公式HP | セゾンファンデックス「事業者向け不動産担保ローン」の詳細はこちら |
セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンは、個人・法人にかかわらず利用可能です。
- 赤字決算で銀行から借りられない
- 銀行からの借入(金)があるが追加融資を受けたい
- 税金滞納中で新たな融資を受けられない
上記のような理由で銀行から借りるのが難しい方は、ぜひご検討ください。
セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンの詳細はこちら

5-2.セゾンファンデックス「フリーローン(不動産担保)」
【主な特徴】
- 資金用途自由
- 最短3営業日でスピード審査
- ご親族の担保提供も可
対象エリア | 全国 |
借入可能額 | 100万円〜3,000万円 |
返済期間 | 5年〜15年(60回〜180回) |
資金使途 | 自由 |
返済方法 | 毎月4日に指定口座からの自動引落し(金融機関休業日の場合は翌営業日) |
公式HP | セゾンファンデックスのフリーローン(不動産担保)の詳細はこちら |
セゾンファンデックスのフリーローン(不動産担保)は、資金用途に定めのないローンです。
- まとまったお金を借りたい
- 税金納付や学費など複数の用途に使いたい
- ほかのローンをまとめたい
上記のような悩みを抱えている方は、ぜひご検討ください。
セゾンファンデックスのフリーローン(不動産担保)の詳細はこちら
おわりに
不動産担保ローンとは、所有している不動産を担保に設定して融資を受ける金融商品です。ろうきんでも不動産担保ローンを取り扱っており、金利が低いなどの特徴があります。
ただし、ろうきんで融資を受けられるのは団体会員や生協組合員、一般勤労者などの会員に限定されています。
不動産担保ローンは多くの金融機関で取り扱っているため、諸条件を確認してご自身に適したものを選びましょう。