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家を高く売る方法は?家を売る方法・流れ、高く売るポイントを解説

家を高く売る方法は?家を売る方法・流れ、高く売るポイントを解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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マイホームを売却する際、できるだけ高く買ってもらうために工夫できることがあります。家の見せ方、売り出し価格、売るタイミングなどのポイントを押さえることで、「買いたい」という気持ちを高めてもらうことが可能です。この記事では、これから家を売ろうと考えている方に向けて、売る際に必要な手続きやコスト、高く売る方法などについて解説します。売却活動をスムーズに進め、物件を希望に沿う金額で売るためにもぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること
  • 家を高く売るためには室内の掃除や整理整頓を徹底し、周辺環境や家の特長を的確に把握してアピールすることが重要。清潔感と整頓された空間は購入希望者に良い印象を与え、物件の魅力を最大限に伝えることができる。
  • 売り出し価格は、将来の値引き交渉を見越して少し高めに設定し、買い手が多い時期を狙って売り出すことが高価売却への鍵となる。季節や市場の需要を考慮して、最適なタイミングでの売り出しが重要。
  • 査定は複数の不動産会社に依頼し、内見を多く獲得するための努力と、物件が位置するエリアで豊富な実績と情報を持つ不動産会社に依頼することが大切。これにより、適切な価格設定と効果的な販売戦略で、成功に導くことが可能になる。

家を売る方法

家を売る方法

家を売る方法には大きく分けて3種類あります。それぞれのメリットと注意点を解説します

不動産会社に仲介してもらう

家を売る際は、多くの方が不動産会社に仲介してもらいます。国土交通省の「住宅市場動向調査報告書」によると、不動産会社の仲介で不動産を購入した割合は76.4%(2021年)に上ります。

インターネットや店頭での広告活動などを通じ、不動産会社が買い手を見つけてきてくれるのを待ちます。売却価格や売り出し時期などの影響で売れるまで時間がかかる場合もあり、買主が見つかるまでに少なくとも3ヵ月程度かかるのが一般的です。内覧の際には準備や調整も必要です。

不動産会社に仲介してもらう場合、売り出し時に希望価格を反映させることができるものの、なかなか売れない場合は値下げを促されることがあります。売買契約が決まった際には仲介手数料の負担も必要です。

参照元:国土交通省「住宅市場動向調査」

不動産会社に物件を買取してもらう

家を売る際には、不動産会社に買取してもらう方法もあります。買主を探す必要がないため、急いで売りたい方や確実な売却を希望する方におすすめです。仲介手数料が発生しないこともメリットになります。個人売買のように希望者が出てくるたびに内見に対応する必要もありません。

デメリットは、買い手を不動産会社に探してもらうケースよりも売却額が低くなることです。不動産会社による購入は、居住を目的とせず、再販売を目的としているため安く仕入れる必要があることから、一般的に売却額は2割ほど下がるといわれています。

自分で買い手を探して個人売買する

家を売る場合、自分で買い手を探して個人売買することも可能です。不動産会社を介さないため仲介手数料が発生せず、自ら決めた価格で買主を探すことができます。

ただし、購入希望者が決まっていない場合は見つけるまでに時間がかかるうえ、決まっていたとしても手続きを自分で行わなければならないため、契約書作成などに手間がかかります。

不動産売却に関する法律や手続きは専門的で複雑です。契約後のトラブルを避けるためにも、専門家の助言は欠かせません。

家を高く売るために知っておきたい売却の流れ

家を高く売るために知っておきたい売却の流れ

次に、実際に家を売る流れを説明します。ここでは、購入形態の大半を占める不動産会社に仲介してもらうケースをみていきます。

不動産会社に査定を依頼する

はじめに不動産会社に査定を依頼します。不動産の査定とは、戸建てや土地、マンションなどの売り出し価格の目安となる額を試算してもらうことです。机上査定と訪問査定の2種類があります。

机上査定は、立地や間取り、築年数などの情報を基に行う査定です。スピーディーに試算することが可能で、簡易査定とも呼ばれます。

これに対して訪問査定は、担当者が現地を訪れ、室内外を入念に確認しながら査定額を出す方法です。物件の状態や周辺環境などを点検しながら行うため、時間はかかりますが、精度の高い試算が期待できます。

売却相場をチェックする

不動産の売却相場はご自身でもチェックしておくことが大切です。不動産会社の査定額が適正かどうかを判断する材料になります。価格交渉の際にも活用できるでしょう。

インターネットの不動産情報サイトなどを使い、立地や広さ、築年数などが売却したい物件と似ている家の価格を確認します。相場を把握する際には、不動産の取引価格や地価公示・都道府県地価調査の価格を検索できる国土交通省のサイト「土地総合情報システム」も参考になります。

不動産会社と媒介契約を結ぶ

査定額を確認した後は、家の販売活動を行い売買の仲介をしてもらう不動産会社を決定し、媒介契約を結びます。契約には「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。

専任媒介契約は、仲介を依頼した方が他の不動産会社に重ねて依頼できない契約形態です。依頼者が自ら見つけた相手とも売買できない契約を特に専属専任媒介契約といいます。一方、仲介を複数の不動産会社に重ねて依頼できる契約が一般媒介契約です。

専任媒介契約と専属専任媒介契約は、他社に仲介手数料を奪われる懸念がないため、前向きな販売活動が期待できるほか、業務状況について売主への報告義務があることから、売主が販売活動の状況を把握しやすいメリットがあります。ただし、1社の力量に販売を委ねるのが懸念点です。

一般媒介契約は、買主候補者の幅は広がりますが、仲介手数料を他社に持っていかれる懸念から販売活動に力が入らない可能性もあります。

家を売りに出す

媒介契約を結び、売り出し価格を決めたら不動産会社による販売活動のスタートです。物件情報と価格をインターネット上に公開し、購入希望者からの問い合わせを待ちます。

売主は、購入希望者が現れたら、内見などの対応をします。内見は家の魅力を伝える貴重な機会になります。

室内外を清潔にすることや、明るく風通しの良い家だと思ってもらえるようカーテンを開けたり、照明をつけたり、十分に換気したりすることなどを意識しましょう。内見日時は不動産会社が調整を行い、売主と購入希望者の都合に合わせてスケジュールを決定します。

売買契約を結び、引き渡しを行う

販売活動が進み購入者が見つかると、不動産会社経由で購入申込書が送られてきます。記載内容に基づき売主と買主の間で条件交渉を行い、価格や引き渡し日、設備などについて納得のいく形に落ち着けば、売買契約締結に移ります。

契約締結時には買主から売主に手付金が支払われるのが一般的です。契約は売主側と買主側が集まり、契約書への署名や押印などを行います。残代金の支払いを確認した上で、売主は物件を買主に引き渡します。

確定申告を行う

不動産売却の結果、利益が出れば所得税などの納付が必要になります。この場合、売買契約を結んだ年の翌年の2月中旬から3月中旬頃までに確定申告を行います。

家を売った際の譲渡所得にかかる税金が所得税、住民税、復興特別所得税です。購入した価格より売却価格が低い場合、税金はかかりません。

また、マイホームを売った場合は、確定申告をすることで譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例を利用できるため、多くのケースで納税の必要はなくなるでしょう。

家を高く売るためのポイント

家を高く売るためのポイント

最後に、家を高く売るポイントを解説します。物件の印象を良くすることや上手にアピールするために、事前準備をしっかり行うのがコツです。

売り出す前に、掃除・整理整頓して家の印象を良くする

家を高く売るポイントのひとつは、売り出す前にハウスクリーニングや整理整頓をしておき、家の印象を良くすることです。購入希望者が内覧に訪れた際、室内が汚れていたり、物が散乱したりしていては購入意欲を削いでしまう可能性があります。

床や壁、窓などの汚れを落とすのはもちろん、キッチンやバスルームなど古さを感じやすい水回りの清掃は特に効果があるでしょう。整理整頓は、物を減らして空間を広く見せる効果も期待できます。

住環境など家のアピールポイントを伝える

住環境や通勤利便性などの長所を整理しておき、アピールポイントとして的確に伝えることも、家を高く売るコツです。例えば次のようなポイントは購入希望者に伝えると喜ばれる可能性があります。

  • 収納が豊富
  • 周辺が静か
  • 風通しが良い
  • 日当たりが良い
  • 設備が新しく機能性が高い
  • 公園やスーパー、病院などが徒歩圏内にある

購入を検討している方に対し、内見の際などにさりげなく伝えることで、購入意欲がさらに高まる可能性があります。

売り出す価格を相場よりも少し高めに設定する

家を高く売るには、売り出す価格を相場や査定額より少し高めに設定することもポイントになります。

購入希望者から値引き交渉を持ちかけられるのを前提に、やや高めにした価格から値下げすることでお得感を演出します。高めの価格にしたことでなかなか売れない場合は、値下げを行ったうえで再販を検討しましょう。

売却する時期を検討する

家を高く売るための戦略として、売却時期を考えることも大切です。

一般的に、家が高く売れる時期は新年度の始まりに合わせて引っ越し需要が高まる2〜3月です。この時期に家を売却するには、前年の10〜12月頃から売却準備に入るのがポイントになります。

マンションの場合はこのほか、管理費や修繕積立金が上がる前の売り出しを検討することもおすすめです。修繕積立金は段階的に上昇していくケースがほとんどです。値上げ後の価格を示されると購入希望者の負担感が増す懸念があります。

複数の不動産会社に査定を依頼する

家を高く売るコツは、適切な査定額を把握することにもあります。査定依頼は1社だけでなく、3社以上の不動産会社に行うのがポイントです。

複数社に依頼することで、各会社の見積もりを比較し、最も高い価格で売るチャンスをつかめる可能性があります。一括査定サービスなら、時間と手間を節約しながら多数の不動産会社から査定を受けることができるでしょう。

内見を多く獲得する

家を高く売るには、多くの内見を獲得することが重要です。内見希望者が多いほど人気物件として興味を持たれ、競争が生じて価格が上がる可能性が出てきます。

内見を増やすためには、印象が良い物件写真を掲載することや、立地や設備、周辺環境など家のアピールポイントを的確に伝えることが重要です。価格はやや高めに設定するのがおすすめではありますが、高過ぎると内見すら敬遠されてしまうので注意してください。

そのエリアで売買実績が多い不動産会社に依頼する

物件のあるエリアで売買実績が豊富な不動産会社に仲介を依頼することで、希望額で売れる可能性が高まります。

取引件数が多ければ、その地域の市場動向を的確に把握している可能性があり、正しい価格設定や効果的なマーケティングが可能になるからです。内見客の獲得にも強みを発揮するでしょう。

こんな家は高く売れる?

こんな家は高く売れる?

家を売りたいけど本当に売却できるのかと、疑問に思われることがあるかもしれません。ここでは、築年数が古い家、住宅ローン返済中の家、現在住んでいる家について、ケースごとに注意点を解説します。

築年数が古い家

築年数が経過した古い一戸建てでも、売却することは可能です。ただし、建物の価値は通常、経年劣化によって減少していくものであることに注意してください。建物自体の価値は、新築する際にかかる再調達原価を基準に経過年数に応じた減価修正を行う原価法で算出します。

減価償却費を計上する際の法定耐用年数は、木造住宅だと22年、木造モルタル造では20年となっており、一般的に20年を経過すると建物自体の価格はゼロに近づいているとみなされます。

ただし、仮に建物の価値がゼロになっているとしても、古民家に価値を感じる方や、自らリフォーム工事を施して暮らしたいと考える方もいます。

自己判断で解体費用を投じて更地にせず、まず専門家に相談するのがおすすめです。問題なく暮らせる家かどうかを判断するには、不動産会社などの住宅診断(ホームインスペクション)を受ける方法があります。

参照元:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

住宅ローン返済中の家

ローン返済中の場合は、売却によって残債をすべて返済する必要があることに注意してください。

売却代金と手持ち資金が残債に届かない場合、完済できずに建物につけられた債権者の抵当権を抹消できません。つまり、その家は売ることができない状態になるのです。売却を検討する際は、査定額とローンの残債をしっかり確認することが重要です。

仮に現在の住宅ローンを滞納している場合は、任意売却できることもあります。任意売却とは、住宅ローンの返済が困難な場合に、競売という法的手続きをとらずに抵当権が設定された建物を売却し、残債を返済する方法です。債権者との協議で抵当権を抹消して売却を進めることができます。

一方、住み替えが目的の場合は、引っ越し後の家の住宅ローンと、売却する家のローンの残債分を合計して借りられることがあります。その際は借入総額が増えて返済負担が増すことに注意してください。

現在住んでいる家

現在住んでいる家を売ることもできます。その際は、購入希望者が見学に訪れることがあるため、物件のイメージを良くする配慮が重要です。内見が決まった場合は、掃除や整理整頓を入念にするなど、事前準備を怠らないようにしましょう。

家の印象を良くする方法については、本記事後半の「売り出す前に、掃除・整理整頓して家の印象を良くする」の項目で詳しく解説します。

家を売るにはどのくらい時間がかかる?

家を売るにはどのくらい時間がかかる?

家を売るには、書類の準備や査定に始まり、媒介契約、販売活動、売買契約、引き渡しといった多くのプロセスを経るため、一定の時間を要します。

家を売りに出してから売却契約を結ぶまでは約3ヵ月〜半年程度かかるとされます。ただし、これはあくまで目安です。立地や価格設定、経済環境などさまざまな要素に影響されることに注意してください。

東京カンテイが公表している「中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)」によると、売り出しから成約するまでの期間は、2020年の上期が4.18ヵ月で下期が4.15ヵ月、2021年の上期が3.29ヵ月、下期が2.89ヵ月でした。新築マンション価格が上昇し、比較的買い求めやすい中古マンションの人気が高まっていることなどを背景に、売却期間の短縮が指摘されています。

一般的に売却期間が長くなるほど価格は低下する傾向があります。東京カンテイの公表資料にある2021年の価格乖離率(売り出し価格と成約価格の差)は、売り出しから1ヵ月で売れた場合はマイナス2.41%でしたが、3ヵ月かかるとマイナス5.44%、6ヵ月ではマイナス7.45%と値引き幅が拡大しています。

希望価格で売却するには早期の成約がポイントです。適切な売り出し価格にすることや、内見時に室内外を整理整頓しておき購入希望者の印象を良くする対策などが重要になります。

参照元:東京カンテイ「中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)」

売却にかかる費用や税金

売却にかかる費用や税金

ここからは、家の売却にかかる費用や税金について説明します。

仲介手数料

家を売る際の費用で大きな部分を占めるのが、仲介手数料です。仲介手数料は、売却を成功させた不動産会社に対して支払う報酬を指し、上限額が国土交通省によって定められています。売買代金400万円超の仲介手数料の上限は次のとおりです。

仲介手数料=売買代金×3%+6万円+消費税

例えば売買代金が3,000万円の仲介手数料は、税抜きで96万円(=3,000万円×3%+6万円)となります。

譲渡所得に対する所得税と住民税

家を売却した際に得られる利益、つまり譲渡所得に対して譲渡所得税が課されます。譲渡所得税とは、所得税、住民税、復興特別所得税を合わせた税金のことです。

譲渡所得税の税率は、物件の所有期間によって変わります。売却した年の1月1日時点の所有期間が5年以下なら短期譲渡所得となり、税率は合計39.63%で、5年超なら計20.315%です。

譲渡所得の金額は、売却価格から購入価格や譲渡費用、特別控除を差し引いて計算します。例えば、売却価格3,000万円、購入価格2,000万円、譲渡費用200万円の場合は次の計算となります。

譲渡所得額=3,000万円-(2,000万円+200万円)= 800万円

参照元:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算

印紙税

印紙税は、売買や融資の契約を結ぶ際に必要です。契約書に貼付する印紙の代金を支払うことにより納税します。税額は物件価格によって異なり、1,000万円超5,000万円以下なら2万円、5,000万円超1億円以下なら6万円です。印紙税は書類にかかる税金なので電子契約の場合は不要です。

参照元:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

抵当権抹消にかかる費用

住宅ローン債権を保全するため家に設定した抵当権は、物件の売却金額でローンを完済すると同時に抹消登記をする必要があります。登記に必要な登録免許税は1不動産につき1,000円です。登記を司法書士に依頼する場合は1万〜2万円ほどを見込んでおくと良いでしょう。

住宅ローン返済にかかる費用

家を売却して住宅ローンを返済する場合には、繰り上げ返済手数料がかかります。手数料は3万円程度に設定している銀行が多いですが、金融機関によって異なるため、具体的な金額は問い合わせが必要です。

居住用財産3000万円の特別控除が使えるかも確認

家にかかる税金を考える際、マイホーム(居住用財産)であれば3,000万円の特別控除を使い、譲渡所得税をゼロにできる可能性があります。

この控除は所有期間が長期か短期かに関係なく適用されるためとても有利です。特例の適用を受けるには、自分が住んでいる家を売ること、現在住んでいない場合は住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどの条件があります。

参照元:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

おわりに 

家を売る方法や流れ、かかる費用、そしてどのようにすれば高く売れるのかを解説してきました。希望する金額でマイホームを売りたいなら、家をきれいにしておくことや、住んでいて感じた良さをまとめておくことが大切です。

また、家を売るならいつが適しているのか検討することなど、事前の準備も欠かせません。相場を把握したり、エリアの事情に詳しい不動産会社に依頼したりするための情報収集も重要です。自ら暮らした家の売却の成功に向け、本記事の内容が参考になれば幸いです。

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