不動産担保ローンと住宅ローンの違いについてご存じでしょうか。不動産担保ローンとは、不動産を担保にしてお金を借り入れることです。借り入れたお金の使い道は自由です。それに対して住宅ローンとは、マイホームを購入するためにお金を借り入れることです。お金の使い道もマイホームの取得に関する費用に限られます。
両者の特性をよく知ることで不動産担保ローンと住宅ローンの違いを活かし、両者を上手く使い分けることができるようになります。
住宅ローン返済中の不動産担保ローン借り入れについて、両者の違いとともにわかりやすく解説していきます。
不動産担保ローンと住宅ローンの違いを比較
まずは不動産担保ローンと住宅ローンの違いから確認していきましょう。
両者の最大の違いは、すでに所有している不動産を担保にしてお金の借り入れるのか、それともこれから不動産を所有するためにお金の借り入れるのかといった、借入れ時点での所有不動産の有無にあります。
ほか主だった違いについては比較した表を下記にまとめました。
住宅ローン | 不動産担保ローン | |
---|---|---|
対象者 | 個人 | 法人・個人の両方 |
借入金の使い道 | マイホームの購入や増改築に限定される | 自由 |
担保とする不動産 | 自己居住の不動産に限定される | 不動産であれば居住用に限らない |
借入限度額 | 1億円以内 | 10億円以内 |
金利の種類と利率 | 変動金利と固定金利がある 0.289%~2.700% | 変動金利と固定金利がある 0.66%~15% |
借入時の手数料 | 最大で借入金額×2.2%+55,000円(0円の場合もあり) | 0円 ~ 借入金額×3.3%(0円の場合もあり) |
返済期間 | 最長35年 | 5年から30年程度 |
担保設定 | 第一順位での抵当権設定が条件 | 抵当権または根抵当権を設定 抵当権の場合第二順位以下でも可能な場合がある |
繰り上げ返済手数料 | 無料(一定の場合は条件付き) | 3%以内(無料の場合もあり) |
審査にかかる時間 | 2週間から4週間程度 | 3日から2週間程度 |
返済方法 | 元金均等返済 または 元利均等返済 | 元金一括返済 または 元利均等返済 |
団体信用生命保険の有無 | あり | なし |
住宅ローンの返済中に不動産担保ローンを借りる際に特に知っておくべき違い
住宅ローン返済中に不動産担保ローンを借りる際、特に知っておくべき違いは、金利と担保設定に関すること、団体信用生命保険の有無についてです。
不動産担保ローンを住宅ローンの返済中に利用するにあたって、これらの違いを知らないままだと「こんなはずでは…」と後悔してしまう可能性があります。
不動産担保ローンの金利の方が高い
まず、不動産担保ローンの金利は住宅ローンの金利と比較して高くなっています。ときに金利が10%を超えることもあります。
不動産担保ローンの担保の抵当権は1位でなくてもよい
また、住宅ローンにおいては抵当権で担保を設定する際、借入先となる銀行の順位は基本的に1位とすることが条件とされています。しかし、不動産担保ローンであれば2位や3位などでも良いこともあるため、住宅ローンの返済中であっても利用しやすくなっています。
不動産担保ローンは団体信用生命保険がない
そして住宅ローンは返済中に返済者が亡くなるといったことがあれば、返済が免除される団体信用生命保険が付与されています。一方で不動産担保ローンにはそういった保険がないため、万が一のことが起きても本人や遺族が返済していかなければならなくなります。
不動産担保ローンを住宅ローンの返済中に利用するのであれば、絶対上記3つの違いについて理解をしておいてください。
住宅ローン返済中に不動産担保ローンを利用する時の注意点
不動産担保ローンを住宅ローンの返済中に利用する場合は、両者の違いを踏まえて次のような点に注意しておく必要があります。
金利が高い
先ほどの比較表でも確認したように、不動産担保ローンは住宅ローンに比べて金利が高いという点に注意しておく必要があります。
不動産担保ローンは高いと15%近い金利が生じるのに対し、住宅ローンは高くとも2.7%程度の金利という違いがあります。住宅ローンの感覚で「金利なんて微々たるものだ」と安易に不動産担保ローンを借りてしまうと金利の違いが後からじわじわと重みを増してくることがあります。
金利は1%違うだけで年間の返済額が何万円も異なるということもあります。不動産担保ローンを借りる際は元金だけでなく金利を加えた毎月の返済額がどれくらいになるのか考え、無理のない範囲で利用をするべきです。
それを理解し、不動産担保ローンを借りる場合は複数社で見積もりをとってより金利の低い企業を選択することが大切です。
抵当権順位確認
不動産担保ローンは住宅ローンと違い、抵当権の順位に寛容です。抵当権の順位が2位以下であってもローンの提供を受けられるということが多くあります。
しかし、金融機関によっては不動産担保ローンの抵当権の順位について1位であることを条件としている場合もあります。住宅ローンの返済中に不動産担保ローンを利用するとなると、住宅ローンを完済しない限り抵当権の第1位は住宅ローンのままとなります。不動産担保ローンを住宅ローンの返済中に借りるのであれば必ず抵当権の順位についても確認が必要でしょう。
債務整理の個人再生の利用が難しくなる
通常、ローンが返済できなくなった場合は債務整理の個人再生によってローンを現実に返済可能な額にまで減額させることができます。
個人再生には手続きの中で手持ちの財産を処分せざるを得ないこともあるというデメリットが存在しています。しかし、住宅資金特別条項(通称住宅ローン特則)を利用すれば、マイホームを守りながら個人再生によって住宅ローン以外のローンを減額することができます。要は、個人再生の際にマイホームを処分しなくても良くなるのです。
ところが、マイホームに住宅ローン以外の抵当権があると住宅ローン特則が利用できず、個人再生によってマイホームを失ってしまうおそれがあるのです。不動産担保ローンを利用するのであれば住宅ローンと違い、債務整理の個人再生の利用が難しくなる可能性があることに留意しておく必要があるでしょう。
住宅ローン返済中に不動産担保ローンを借りられる方と借りられない方の違い
残念ながら誰でも不動産担保ローンを住宅ローンの返済中に借りることができるわけではありません。中には不動産担保ローンを借りられないという方もいらっしゃいます。
不動産担保ローンを住宅ローンの返済中に借りられる方と借りられない方との違いは、返済能力の有無、金融事故を過去に起こしていないか、オーバーローンとなっていないか、この3点にあります。
返済能力の有無
まず一番の違いは返済能力の有無です。住宅ローンの返済が問題なくできるだけの収入があったとしても、そこに新たに不動産担保ローンを借り入れ、返済していけるだけの収入があるとは限りません。
収入に比して住宅ローンの残高が大きいなど不動産担保ローンもあわせて返済していくことができないと判断されると、不動産担保ローンの借り入れができなくなります。
金融事故歴の有無
また、過去金融事故を起こしているかどうかも重要な違いです。金融事故とはお金の支払いが滞ることです。金融事故については住宅ローンだけではなく、クレジットカードや割賦で購入した携帯機種の料金などの滞納も含みます。
過去に何かしら返済や支払いの滞った経歴があると、金融事故の存在が問題となり不動産担保ローンを借りられない場合もあります。
オーバーローン
さらに、住宅の資産価値よりもローン残高のほうが大きい、いわゆるオーバーローンについても注意が必要です。建物は時間とともに価値が減少していきます。毎月のローン返済額が少なく、返済が長期に渡る場合は、いつの間にか住宅ローンの残高が住宅の資産価値を上回ってしまうことがあります。
こういった状況では、住宅を担保にするだけの価値がないということで不動産担保ローンを借りることが難しくなります。逆に住宅ローンの残高よりも住宅の価値が高ければ、担保の価値があるとして不動産担保ローンを借りやすくなります。
なお、住宅の本体以外の費用(事務手数料などの諸費用)も含めて住宅の物件価格以上の住宅ローンを借りた方は、返済時点からオーバーローンとなっていることで不動産担保ローンを利用できない可能性が高いです。
おわりに
不動産担保ローンは住宅ローンと違い、借り入れたお金の自由な使途が魅力です。しかし、オーバーローンの状態でかつ、住宅ローンの返済中においては利用することが難しい商品です。もし、借りることができた場合でも返済リスクとして注意すべき点もあります。
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