一般的に、高齢者や無職の方は融資が受けにくいとされています。しかし、そのような方が融資を受ける手段がないかといえば、そうではありません。融資を受けられる可能性はあります。不動産を担保(※)にした場合です。
この記事では「不動産を担保にしてお金を借りる方法」について取り上げています。不動産を担保にした場合、どのようなローン商品があるのか、融資限度額がどのように決められるのか、メリット・デメリットはどのようなものかについて、詳しく解説しています。
※生活に必要な自宅を担保にした貸金業者からの借入の場合は、貸金業法上の総量規制の対象になるため、年収の1/3までしか借りられません。
高齢者や無職でも家を担保にお金を借りられる場合
先述のとおり、高齢者や無職という属性は、ブラックリストではありませんが、審査が厳しいとされています。しかし、継続的に安定した収入があれば借りられる可能性があります。高齢者や無職の方が一律に融資を受けられないというわけでもありません。
高齢者であっても、融資を受けられる可能性はあります。例えば家賃収入があるといった方です。このような方は安定した収入があるといえるので融資を受けられる可能性があります。
無職の方であっても、融資を受けられる可能性はあります。例えば、独立起業、転職中のために一時的に収入が無い方です。このような方は、将来的に収入を得ることが予想されます。そのような場合も、融資を受けられる可能性があります。
ただし、上記のような場合であっても、貸し手にとってリスクが高めであることは否定できません。貸し手は、融資限度額を低くしたり、融資期間を短くしたり、金利を高くすることによって、リスクに見合った融資条件を設定することでしょう。
家などの不動産を担保にしてお金を借りる方法は3つ
一般的に不動産を担保にしてお金を借りる方法は、以下の3つです。
- 住宅ローン
- 不動産担保ローン
- リバースモーゲージローン
2-1.住宅ローン
不動産を担保にしたローンで、最初に思い浮かべるのは住宅ローンではないでしょうか。住宅ローンは、自宅となる不動産を購入するために組むローンのことです。
担保にできるのは、原則として、購入予定の不動産です。共同担保として、本人や親族が所有する不動産、または本人と親族が共同で所有する不動産を担保とすることもできます。
借りたお金の使い道は、自宅となる不動産を購入することに限られます。生活資金に充てることはもちろん、投資用不動産を購入するために利用することもできません。
毎月の支払いは、元金と利息の合計額となります。住宅ローンは融資額が大きく、返済期間を長く設定できます。その反面、融資を受けるためには、安定した収入があることが求められます。
2-2.不動産担保ローン
住宅ローンは自宅を購入するためにしか利用することができません。自宅の購入以外でまとまったお金が必要になったときや複数の支払いが重なった場合は、不動産担保ローンか後述するリバースモーゲージの利用を検討することになります。
担保にできるのは、本人や親族が所有する不動産、または本人と親族が共同で所有する不動産です。自宅である必要はありません。
借りたお金の使い道は自由です。住宅ローンのような制限はありませんので、大きな額のお金が必要になったときだけでなく、複数の用途が重なってお金が必要になったときにも利用できます。
毎月の支払いは、元金と利息の合計額となります。不動産担保ローンは住宅ローンに比べ融資額が小さく、返済期間が短くなる可能性があります。一方、無担保ローンに比べると融資額は大きく、返済期間を長く設定できます。このため、融資を受けるためには定期的な収入があることが求められます。
2-3.リバースモーゲージローン
リバースモーゲージローンは、自宅を担保にして融資を受けるローンです。借りたお金の使い道は、原則として自由ですが、一般的には生活用資金とされています。投資用不動産の購入などには利用できないでしょう。
リバースモーゲージローンの特徴は、その返済方法にあります。住宅ローンや不動産担保ローンの毎月の支払いは、元金と利息の合計額です。一方、リバースモーゲージローンの毎月の支払いは、利息分のみです。元金は、融資を受けた方が亡くなった後、担保不動産を売却することによって、または相続人のよって一括して返済します。
住宅ローンや不動産担保ローンに比べると、毎月の支払いは少ないものの、定期的な収入があることは求められるでしょう。
不動産を担保にした借り入れ可能な限度額は
不動産を担保にした融資金額(借入限度額)は、借り手の返済能力と不動産の担保評価で決まります。返済能力が高くても、担保評価が低ければ、希望する融資金額を受けられない可能性もあります。反対に、返済能力が低くても、担保評価が高ければ、希望する融資金額を受けられる可能性もあります。
返済能力は、信用情報や年収、年齢、借り入れ状況などを総合的に見て判断します。
不動産の担保価値は、不動産の評価額に担保掛目(かけめ)を乗じて算出します。担保掛目とは、リスクを考慮した補正率です。この担保掛目は、企業や融資条件によって異なりますが、不動産を担保にした場合、60%〜80%であることが多いようです。
不動産の評価方法も、企業によって異なります。ここでは、一般的な不動産の評価方法を紹介します。土地と建物に分けて算出し、最後に合算するというものです。
土地の評価額は「路線価」を用いて算出します。路線価とは、国税庁が公表している土地1㎡当たりの価額のことです。基本的には路線価に土地の面積を乗じることで、土地の評価額を算出します。土地の形状や接道状況、位置などにより、補正する場合もあります。
建物の評価額は「原価法」や「収益還元法」により算出されます。原価法は、居住目的の不動産に対して使われる評価方法です。収益還元法は、投資目的の不動産に対して使われる評価方法です。
原価法は、再調達価格に延べ床面積を乗じ、法定耐用年数と残存年数により補正して建物の評価額を算出します。言い換えると、「同じ建物を建築した場合の建築費を、使用年数に合わせて償却した価額」となります。
収益還元法は、1年間の収益を利回りで割り戻して評価額を算出する方法です。1年間でどれだけの投資収益を上げることができ、それが何年続くかを想定するということです。
家などの不動産を担保にしてお金を借りるメリット
家や土地など不動産を担保にしてお金を借りるメリットには、以下のようなものがあります。
- ほかのローンより金利が低い傾向
- 保証人が不要であることが多い
- 無職の高齢者でも利用できる
- 借入限度額が大きい
- 長期間での借り入れが可能
4-1.ほかのローンより金利が低い傾向
一般的に、金利はリスクと比例する関係にあります。リスクが低ければ金利は低く、リスクが高ければリスクも高くなります。ローンにおけるリスクとは、融資したお金が返済されない可能性のことです。お金が返済されなければ、すなわち回収できなければ、貸し手はその分だけ損失を被ることになります。
不動産を担保にすると、リスク軽減効果があります。お金を回収する手段ができるからです。このことから、不動産担保ローンは無担保ローンなどのほかのローンよりも金利が低い傾向にあるのです。
4-2.保証人が不要であることが多い
不動産を担保としたローンは、原則として、保証人を不要としていることが多いです。例外として、親族が担保を提供する場合には、その方を連帯保証人とする可能性があります。
4-3.無職の高齢者でも利用できる
一般に、無職の高齢者は融資が受けにくいとされています。返済能力が低いと判断されるからです。
不動産を担保とする場合、貸し手である金融期間は、借り手の返済能力に加え、不動産の担保力(資産価値)を審査の判断材料に加えます。審査基準はあくまで返済能力をベースにするため、無職で無収入の場合、融資を受けられる蓋然性(がいぜんせい)は低いでしょう。しかし、現在無職であってもこれから事業を始める開業予定者であれば、不動産を担保にすることで融資を受けやすくなる場合もあります。
4-4.借入限度額が大きい
無担保ローンに比べ、融資の金額は大きくなります。これは、不動産の担保力が影響しています。不動産を担保にすることで、貸し手側の回収リスクが軽減され、融資限度額も引き上げられるのです。
逆にいえば、融資限度額は不動産の担保力に左右されます。どのような土地や建物を担保とするかはもちろんのこと、貸し手がその不動産をどう評価するのかについても関心を持つ必要があります。
4-5.長期間での借り入れが可能
一般に、不動産は価格変動が少ないとされています。長期間にわたり担保としておいてもその担保力は損なわれないと考えられるため、融資期間(返済期間)を長く設定することができます。
家などの不動産を担保にしてお金を借りるデメリット
家や土地を担保にしてお金を借りるデメリットは、以下のものが考えられます。
- 申し込みから融資に至るまでの期間が長い傾向がある
- 一定の手数料がかかる
- 完済できない場合に担保にした不動産を売却される
5-1.申し込みから融資に至るまでの期間が長い傾向がある
融資を受けるためには、審査を受ける必要があります。無担保ローンの場合、貸し手は借り手の属性(信用情報や収入、職業など)を審査します。一方、不動産を担保にしたローンの場合、借り手の属性だけでなく、不動産の担保価値も審査します。
不動産を担保にしたローンの場合、無担保ローンに比べて融資金額は大きく、融資期間は長くなる傾向にあります。融資期間が長いということは、それだけリスクが大きくなります。貸し手としても、このリスクを見極めなければなりません。このため、審査に時間がかかる傾向にあります。
5-2.一定の手数料がかかる
不動産を担保にしたローンを利用する場合、契約時に一定の諸費用がかかります。代表的なものは、以下のようなものです。
- 事務手数料
- 調査料
- 収入印紙代相当額
- 登記費用
- 振込手数料
事務手数料や調査料は、「融資金額の○%」という形で表記されます。例えば、融資金額が1,000万円で事務手数料が融資金額2.2%とされていた場合、事務手数料は220,000円となります。この設定は金融機関ごとに異なりますので、よく確認することが大切です。収入印紙、登記費用、振込手数料は、実費負担となりますので、企業ごとの差はありません。
5-3.完済できない場合に担保にした不動産を売却される
担保は、返済を保証するためのものです。返済が滞ったり完済できない場合は、担保を売却し、その代金が返済に充てられます。不動産を担保にした場合、返済が滞れば、その不動産は差し押さえられ、競売にかけられます。
基本的な考え方として、返済が滞り滞納すると、遅滞損害金が発生し督促があります。対応できない場合は、残金を一括精算することが求められます。それができない場合、不動産を売却して残金の精算に充てられるというわけです。
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不動産を担保にして、お金を借りることができます。高齢者や無職であっても、お金を借りることは可能です。ただし、定期的な収入または安定的な収入があることが求められます。
審査の通りやすさ、融資の受けやすさは、銀行とノンバンクでは異なります。ノンバンクは銀行と比較した場合、審査が通りやすい傾向があります。このため、金利はやや高くなりますが、定期的な収入がある高齢者や一時的に無職である方は、ノンバンクがおすすめです。
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