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保険金を受け取る際にかかる税金は3種類!税金の決まり方や計算方法を解説

セゾンのくらし大研究 編集部

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生命保険で保険金を受け取る際は、課税されるものと課税されないものがあります。課税される税金は3種類あり、受取人を誰にするかで種類が決まります。受け取り時に損をしないために、保険金と税金の関係や種類による納税額の違いを理解しておきましょう。 

1.保険金には税金がかかるものとかからないものがある 

保険金にはさまざまな種類があり、税金がかかるものもあれば、課税されないものもあります。そもそも保険金とは、万が一の際に備えて保障として受け取れるお金のことです。 

病気やケガに対するお金は入院給付金や手術給付金、亡くなった際に遺族に支払われるお金は死亡保険金など、加入している保険や保障の内容によって給付されるものは異なります。保険金によっては納税の義務が発生するため、保険金と税金の関係を整理しておきましょう。 

1-1.税金がかかる保険金の種類 

受け取りの際に課税される保険金は主に3つです。 

保険金の種類 主な保険商品 
死亡保険金 終身保険、定期保険 
満期保険金 養老保険、学資保険 
個人年金 個人年金保険 

死亡保険金は、被保険者が死亡した際や高度障害状態になった際に給付されます。満期保険金が支払われる条件は、満期を迎えるタイミングで被保険者が生存していることです。詳しくは後述しますが、死亡保険金と満期保険金にかかる税金の種類はケースによって異なります。 

個人年金は規定の年齢を迎えた場合に給付される年金です。「被保険者が生存しているか」「一括で受け取るか年金として受け取るか」「契約者・被保険者・年金受取人は誰か」に応じて、相続税・所得税・贈与税のいずれかを支払わなければいけません。 

これらに加えて、加入していた保険の解約時にもらえるお金は解約返戻金と呼ばれます。3つの保険金と同じように、解約返戻金にも税金が課されることがあります。 

1-2.税金がかからない保険金(給付金)の種類 

保険金を受け取ったからといって、すべての保険金に対して税金が発生するわけではありません。以下の保険金が支給された場合は課税の対象外です。これらは所得税の法令によって税金がかからないと決められています。 

保険金の種類 主な保険商品 
入院給付金 医療保険、がん保険 
手術給付金 医療保険、がん保険 
通院給付金 医療保険、がん保険 
診断給付金 がん保険 
特定疾病一時金 医療保険 
先進医療給付金 医療保険、がん保険 
就業不能給付金 就業不能保険 

2.保険金にかかる税金は保険金の受取人によって決まる

課税される保険金の説明でも簡単に触れましたが、保険金にかかる税金の種類は「保険金を誰が受け取るか」によって決まります。まずは税金の種類についておさらいしておきましょう。 

  • 相続税:死亡した方の財産を相続する際に法定相続人が支払うもの 
  • 所得税:個人の所得に対して課税されるもの(あわせて住民税も課税される) 
  • 贈与税:生存している方の財産を受け取った際に支払うもの 

保険金に対してどの税金が課されるかはケースバイケースです。ここでは、死亡保険金と満期保険金にかかる税金と受取人の関係について解説します。 

2-1.死亡保険金にかかる税金と受取人の関係 

死亡保険金に課される税金は、以下の3つのパターンに応じて決まります。 

  • (A)契約者=被保険者、受取人のみ別の人物 
  • (B)契約者=受取人、被保険者のみ別の人物 
  • (C)契約者・被保険者・受取人がすべて別の人物 

それぞれのパターン例と税金の関係を表にまとめました。 

契約のパターン 契約者 被保険者 受取人 税金の種類 
(A)契約者=被保険者、受取人のみ別の人物 夫 夫 妻 相続税 
(B)契約者=受取人、被保険者のみ別の人物 夫 妻 夫 所得税 
(C)契約者・被保険者・受取人がすべて別の人物 夫 妻 子ども 贈与税 

2-2.満期保険金にかかる税金と受取人の関係 

満期保険金も死亡保険金と同様に、受取人を誰に指定するかによって課される税金が異なります。満期保険金にかかる税金について整理してみましょう。なお、いずれのパターンも被保険者が誰であるかは関係ありません。 

  • (D)契約者=受取人 
  • (E)契約者と受取人が別の人物 
契約のパターン  契約者 被保険者  受取人  税金の種類 
(D)契約者=受取人  夫  夫  夫  所得税(※) 
(D)契約者=受取人 夫 夫 所得税(※) 
(E)契約者と受取人が別の人物 夫 夫 贈与税
(E)契約者と受取人が別の人物 夫 贈与税
(E)契約者と受取人が別の人物 夫 贈与税

(※)保険期間が5年以下の場合:源泉分離課税(20.315%) 

2-3.受取人は変更可能だが指定できる人は制限される 

ここまで、保険金を誰が受け取るかによって課税される税金が異なると説明しました。税金のことを考慮すると、保険期間中に受取人を別の方に変えたくなることもあるでしょう。 

結論として、保険金の受取人は契約後でも変更できます。ただし、受取人に指定できる方にはルールが設けられており、以下に該当する方でなければいけません。 

  • 配偶者 
  • 一親等(親・子ども) 
  • 二親等(兄弟・姉妹・祖父母・孫) 

保険会社によっては、上記に該当する方がいない場合に三親等内の方を指定できることがあります。三親等に含まれるのは叔父・叔母や甥・姪です。 

「誰に〇〇%の保険金を分配する」と指定すれば、複数人を受取人に選ぶこともできます。なお、内縁関係の方や婚約者を受取人にしたい場合は、一定の基準を満たすことで認めてもらえるケースがあります。 

受取人を変更する際は、保険会社に問い合わせて手続きを行いましょう。変更に関して被保険者の承諾を得る必要がありますが、受取人の許可は必要ありません。ただし、変更によって課税される税金が変わる可能性があるため、よく考えたうえで手続きすることが大切です。 

3.死亡保険金にかかる3つの税金の計算方法 

上述のとおり、死亡保険金には3つの税金のいずれかが課税されます。税金の種類によって計算方法が異なり、課税される金額も大きく異なります。 

死亡保険金を有利な条件で受け取るためには、税金がいくらかかるのかを踏まえたうえで受取人を指定するのが得策でしょう。ここでは、死亡保険金にかかる3つの税金の計算方法について解説します。 

3-1.相続税の計算方法 

相続税は、契約者の遺族に対して死亡保険金が給付された際に発生する税金です。遺族の生活を保障するものという意味合いが強いことから、法定相続人の人数に合わせて一定の非課税枠が設けられています。 

具体的には、「法定相続人の人数×500万円」で求めた額を死亡保険金から差し引くことが可能です。差し引いた残りの金額が課税対象となり、その他の相続財産と合算したうえで相続税額が決まります。 

3-2.所得税の計算方法 

契約者が死亡保険金を受け取る場合は受取人の所得として扱われるため、所得税が課税されます。受け取る際は、一時所得と年金形式の2パターンから選択できます。 

一時所得としてもらう場合、課税対象額の求め方は「(死亡保険金 − それまでに支払った保険料 − 特別控除50万円)÷2」です(死亡保険金以外の一時所得がある場合は除く)。 

年金形式で受け取る場合、「その年に受給した年金額 − それまでに支払った保険料」で算出した金額が課税対象額です。なお、年金形式では保険金から所得税が源泉徴収されます。 

3-3.贈与税の計算方法 

契約者・被保険者・受取人をすべて別の人物に指定した場合、「保険金=贈与したお金」とみなされることから贈与税が課税されます。贈与税の特徴は、基礎控除として1年間につき110万円を差し引けると定められていることです。 

よって、課税対象額の計算式は「死亡保険金 − 110万円」です。なお、課税対象額に対応する贈与税率を乗じると贈与税額を算出できます。 

4.保険金の課税対象額を少なくするポイント2つ 

課税対象額が多くなるほど支払う税金は高くなります。そのため、保険金をより有利に受け取りたいなら、課税対象額をなるべく抑えるのが得策です。課税対象額を少なくするために、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。 

  1. 相続税または所得税の区分となるよう契約する 
  2. 生命保険の生前贈与を行う 

ここでは、それぞれのポイントについて分かりやすく解説します。 

4-1.相続税または所得税の区分となるよう契約する 

課税対象額を抑える方法として有効なのが、相続税または所得税が課税されるパターンで契約することです。具体的な計算式は省略しますが、2,000万円の死亡保険金を受け取ると仮定した場合、税金ごとの課税対象額は以下のように算出されます。 

  • 相続税:500万円(法定相続人を3人と仮定) 
  • 所得税:825万円(払込保険料を300万円と仮定) 
  • 贈与税:1,890万円 

このように、相続税・所得税と贈与税の課税対象額には大きな差があります。特に相続税は基礎控除として大きな金額を差し引くことができ、保険金を含む相続財産の合計から基礎控除を差し引いた残りが0円であれば、相続税が課税されません。 

贈与税は基礎控除が110万円のみであり、相続税よりも税率が高めです。課税対象額を少なくするなら、贈与税よりも相続税や所得税の区分とする方がお得でしょう。 

4-2.生命保険の生前贈与を行う 

生命保険の仕組みを活用した生前贈与も、生命保険を有利に受け取る方法の一つです。例えば、父が被保険者で息子が受取人のケースを考えてみましょう。一般的には保険料を支払う契約者を父に指定しますが、生前贈与を使う方法では息子を契約者に指定します。 

この場合は、贈与税の基礎控除110万円の範囲内で父が息子にお金を渡し、息子は贈与されたお金で保険料を支払います。この場合は3つの税金のなかでも税率が低めな所得税の課税対象となり、税負担を抑えることが可能です。また、父の総資産が減ることで相続税対策にもつながります。 

5.死亡保険とあわせて「保険@SAISON CARD」で医療保険を検討しよう 

このコラムでは死亡時や高度障害状態になった際に支払われる保険金にフォーカスしましたが、死亡保険に限らず、医療保険による備えも考えておきたいところです。医療保険を効率良く比較するなら、「保険@SAISON CARD」​​を利用するのがおすすめです。 

保険@SAISON CARDでは、さまざまな特徴の医療保険を簡単に比較できます。オンライン上で見積もりや申込みができる商品もあるため、手続きがスムーズに進むのもメリットです。医療保険を賢く選ぶなら、保険@SAISON CARDを利用してみてください。 

保険@SAISON CARDの詳細はこちら

 おわりに 

保険金にはさまざまな種類があり、税金が発生するものと非課税のものに分類されます。課税対象となるのは死亡保険金・満期保険金・個人年金の3つで、課税される税金の種類は相続税・所得税・贈与税のいずれかです。 

どの税金が発生するかは受取人に指定する人物によりますが、税金によって課税対象額に差があるため、受取人の指定は慎重に行うべきと考えられます。保険金を賢くもらうために、税金の計算方法や課税対象額の違いを理解しておきましょう。

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