iDeCoは年末調整で税金が戻る?手続きや必要書類などを解説

iDeCoは年末調整で税金が戻る?手続きや必要書類などを解説

iDeCoで拠出した掛金や運用益、給付金は、全額所得税控除の対象となるため年末調整すると所得税や住民税が安くなります。年末調整に間に合わなかった場合は、確定申告することが必要です。このコラムでは、年末調整や確定申告とは何かを説明するとともに、iDeCoの年末調整をする方法、還付される時期などを紹介します。

1.iDeCoは年末調整で所得控除できる

iDeCoとは、老後の資金形成のために積み立てる個人型確定拠出年金です。掛金を投資信託などに運用し、積立金や利息、運用益を60歳以降に受け取ることができます。

掛金とは毎月積み立てる金額のことです。毎月5,000円から1,000円単位で自由に設定し、国民年金の被保険者種別などで金額の上限が異なります。

iDeCoには掛金の全額を所得控除できるというメリットがありますが、控除を受けるためには年末調整の手続きをしなければなりません。年末調整とは、毎月の給与から源泉徴収されていた所得税を、所得が確定する12月に過不足の金額を調整して精算することです。iDeCoの所得控除も、この年末調整で一緒に行い還付されます。

運用イメージ

ここでは、iDeCoの年末調整で得られるメリットについてご紹介します。 

1-1.年末調整するメリット

iDeCoに加入している会社員の方は年末調整によって所得税と住民税が軽減されます。この時、掛金が大きくなればなるほど、節税効果が高くなります。

企業型確定拠出年金に加入している方は、企業型年金規約でiDeCoに同時加入できる旨を定めている場合のみiDeCoに加入できます。

ただし2022年にiDeCoの法改正が予定されており、労使合意の規約や事業主掛金の上限の引下げがなくても、全体の拠出限度額から事業主掛金を控除した残余の範囲内(月額2万円以内または1.2万円以内)で加入できるようになります。

1-2.掛金が増えるほど節税効果が高くなる

iDeCoの掛金は所得控除の一種である「小規模企業共済等掛金控除」の対象になり、掛金の全額を所得控除できます。年末調整することで、所得税と住民税を減らせることがメリットです。

所得税や住民税の計算は、給与収入から給与所得控除や基礎控除、社会保険料控除、扶養控除などを差し引いた課税所得をベースにしています。すなわち、掛金が増えるほど課税所得が減り、税金が軽減されるという仕組みです。

1-3. 所得控除の対象は本人だけ

所得控除の対象になるのは本人の掛金のみです。配偶者の掛金を控除することはできません

社会保険料の場合、配偶者の分もご自身が現金で支払っているのであれば、所得控除に含めることもできます。しかしiDeCoは加入者本人名義の口座からの引落しが原則となるため、加入者本人の掛金のみが対象となります。夫が妻の掛金を負担している場合でも、ご自身の年末調整に含めることはできないため注意しましょう。所得税については、次章で詳しく述べます。

1-4. 住民税も安くなる

年末調整により、翌年の住民税の支払いも軽減されます。住民税は前年の所得を基礎に決定され、税率は収入の額にかかわらず約10%(区市町村民税6%、道府県民税・都民税4%)です。所得税と同じく、掛金が大きいほど住民税も軽減できます。例えば、iDeCoの掛金が毎月2万円の場合、年額24万円の10%である2.4万円が節税できるということです。

2.iDeCoの年末調整でいくら戻る?

iDeCoの掛金は全額を所得控除できるため、年末調整の手続きを行うことで支払った掛金と同額の課税所得が減り、所得税や住民税が軽減されます。

例えば、毎月2万円の掛金を積み立てている場合、年額24万円を課税所得から差し引くことができます。所得税の税率は課税所得ごとに異なり、それぞれの税率をかけて計算します。ここではiDeCoの年末調整によりいくら戻るのか、実際にシミュレーションしてみましょう

2-1.課税所得ごとに異なる

所得税を求める計算では、所得が多いほど税金が高くなる累進課税制度がとられています。所得税の税率は5%から45%の7段階に区分され、該当する税率を課税所得に乗じて税額を求める仕組みです。

住民税は所得の多い少ないにかかわらず、都道府県民税4%と市町村税6%の合計10%が課せられます

課税所得所得税率
1,000円 から 1,949,000円まで5%
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%
40,000,000円 以上45%

参照元:国税庁「所得税の税率

例えば課税所得が300万円の場合、所得税の税率は10%です。住民税の10%と合わせ、合計20%の所得税が軽減されます。年間24万円の掛金を積み立てしている場合、4.8万円の節税ができるということです。

2-2.年収600万円でシミュレーション

配偶者と子どもがいる年収600万円の会社員が、iDeCoを毎月2万円積み立てている場合でシミュレーションしてみましょう。

年末調整では、年収から基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除が差し引かれます。また、配偶者控除や扶養控除の手続きをすることで更に金額が引かれ、課税所得はおよそ年収の3分の1が目安です。差し引き後の課税所得を200万円と仮定した場合、所得税の税率は10%です。

iDeCoの掛金は年額24万円で、差し引いた課税所得は176万円になります。所得税と住民税の計算は、次のとおりです。

176万円×20%=35.2万円

iDeCoに加入していない場合は、次のようになります。

200万円×20%=40万円

iDeCoに加入している場合としていない場合の所得税と住民税は以下のとおりです。

iDeCoに加入している場合iDeCoに加入していない場合差額
352,000円400,000円48,000円

iDeCoに加入していることで老後の資産形成ができるとともに、1年間で4.8万円の節税ができることになります

クレディセゾンがおすすめするiDeCoサービスはこちらから

3.iDeCoへの加入後、年末調整する方法

iDeCoの掛金は、そのままでは所得から控除されません。必要書類を揃え、会社に提出する手続きが必要です。必要書類である掛金支払証明書は、自宅へ送られてきます。届く時期を忘れずにチェックしておきましょう。会社への提出は、期限内に行うことが大切です。次では、iDeCoの掛金を年末調整する方法についてご紹介します。

3-1.必要書類を揃える

iDeCoの年末調整に必要なのは、国民年金基金連合会が発行する「小規模企業共済等掛金払込証明書」というハガキです。iDeCoの加入者が1月から12月末までに支払った掛金が記載されており、支払いをしたことを証明します。

年末調整には原本の提出が必要で、紛失した場合は再発行の手続きをしなければなりません。再発行には時間がかかる可能性があるため、届いたら失くさないように保管しましょう。

3-2. 掛金払込証明書が届く時期

掛金払込証明書は10月から11月ごろにかけて発送手続きが始まります。10月以降にiDeCoに加入した場合は更に遅くなり、初回の支払い開始月ごとの届く時期は次のとおりです。

  • 初回10月に初回の支払い:11月下旬ごろ
  • 初回11月に初回の支払い:12月下旬ごろ
  • 初回12月に初回の支払い:翌年1月下旬ごろ

なお証明書が届くのは、ご自身の口座から引き落としをしている場合に限ります。事業主払込みを指定して給与から天引きしている場合は、証明書が届きません。この場合、控除の手続きは​​事業主が毎月行っているため、年末調整の手続きは不要です。

3-3.保険料控除申告書を提出する

証明書を提出する際は、会社から「給与所得者の保険料控除申告書」という書類を受け取ります

申告書の右下に「小規模企業共済等掛金控除」という項目があるため、「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」と「合計」の欄に、「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載されている合計金額を転記してください。

申告書に記載したら「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添えて担当部署に提出し、年末調整の手続きは完了です。

令和3年度分申請書はダウンロードはこちら(国税庁)

4.iDeCoに加入し年末調整が間に合わなかった場合

万が一、年末調整の手続きを忘れた場合は、ご自身で確定申告の手続きをしなければなりません。10月以降にiDeCoに加入して証明書が間に合わなかった場合や、証明書の送付後に掛金の金額が変更になった場合も自分で確定申告をする必要があります。

ここでは、ご自身で確定申告をする場合の手続方法について見ていきましょう。 

4-1.確定申告する

iDeCoの年末調整が間に合わなかった、又は手続きを忘れた場合には、翌年の確定申告で手続します。確定申告とは、自営業やフリーランスが1年間の所得を計算し、申告して税金を納める手続きです。原則として、翌年の2月16日から3月15日までが申告期間になっています。

確定申告では年末調整で申告できなかった控除の手続きができるほか、年末調整では申告できない医療費控除の手続きも確定申告することで還付を受けることができます。

  • 「確定申告書A」を提出する

確定申告には「確定申告A」と「確定申告B」という2種類の申告用紙があります。給与収入のみの会社員が確定申告でiDeCoの控除を申告する際は、「確定申告書A」を用意しましょう。

確定申告書の用紙を入手するには、税務署で受け取る、郵送してもらう、国税庁のホームページからダウンロードするという方法があります。また、国税庁のホームページ内にある「確定申告書等作成コーナー」で作成することも可能です。

「確定申告書A」は第1表と第2表の2枚があり、それぞれ次のように必要項目を記入します。

  • 第1表:「小規模企業共済等掛金控除」の項目に、iDeCoに対して年間で支払った合計金額を記入する
  • 第2表:「小規模企業共済等掛金控除」の掛金の種類に「個人型確定拠出年金」と記入し、「支払掛金」と「合計」の欄に年間で支払った合計金額を記入する

記入した確定申告書Aに「小規模企業共済等掛金払込証明書」の原本と会社から受け取った源泉徴収票を添付し、確定申告の期間内に税務署に提出してください。

  • 確定申告も忘れた場合は還付申告する

確定申告の時期にも間に合わなかった場合には、還付申告の手続きで対応できます。還付申告はiDeCoの掛金を支払った翌年の1月1日から5年以内であれば、いつでも提出が可能です。期限の余裕はありますが、忘れないうちに手続きをしておくのが良いでしょう。

申告の方法は確定申告と同じです。確定申告Aに必要事項を記入し、添付書類を添えて提出します。

5.所得税と住民税が戻る時期 

年末調整でiDeCoの所得控除を手続きすることで、すでに給与から差し引かれていた所得税のうち、払い過ぎていた分が還付されます。年末調整と確定申告をした場合では還付の時期が異なり、住民税は所得税とは異なる手続きで控除の内容が反映されます。ここでは、所得税と住民税が戻る時期について詳しく見ていきましょう。

5-1.所得税は還付

iDeCoの所得控除で軽減された所得税は還付されますが、年末調整と確定申告で時期が異なります。年末調整を行なった場合、所得税の還付は12月又は翌年1月の給与と一緒に戻るのが一般的です。

確定申告をした場合は、確定申告書の提出から約1ヵ月~1ヵ月半程度を目安に、軽減された分の所得税が指定の口座に入金されます。

5-2.住民税は翌年調整

住民税の場合、所得税のような還付は行われません。所得控除が反映されるのは、翌年の給与です。

まず年末調整で所得が確定した後、会社は社員が居住する地方自治体に所得などのデータを報告します。自治体は受け取ったデータを基に住民税を計算して会社に伝え、その額が翌年の6月から1年間の給与支払いにおいて分割で差し引かれるという仕組みです。

おわりに

iDeCoの掛金は全額を所得から控除することができ、年末調整により所得税の還付が受けられます。更に、翌年の住民税も軽減されるのがメリットです。控除の金額は所得の額に応じて異なりますが、必ず手続きの期間内に必要書類を添えて申請しなければなりません。手続きが間に合わなかった場合は、翌年の確定申告で手続きする必要があります

LINEで老後に必要な金額を試算することもできます。毎年、誕生月に届く「ねんきん定期便」を元にして年金予想額を試算し、試算結果を加味した、65歳時点での必要額を計算することが可能です。「ねんきん定期便」を用意してLINEの「友だち追加」をし、試してみてください。

セゾンマネースクールの詳細はこちら

関連記事:徹底解説!2022年から「iDeCo」がどう変わる?初めての「iDeCo」はどこがおすすめ?