新型コロナウイルスが世界的に流行して以降、海外との往来がしにくくなりました。過去には頻繁に海外へ出かけていた方でも、コロナ禍でパスポートが失効しているケースが少なくありません。しかし水際対策が少しずつ緩和され、これから海外旅行を検討する方も増えるでしょう。本記事では、パスポート申請に必要な書類や手続き方法について解説しています。これからパスポートを発行する方は、ぜひ参考にしてください。
パスポートは10年用と5年用の2種類がある
私たちが海外へ行くとき、パスポートなしではどこへも入国できないだけでなく、そもそも日本からの出国ができません。出入国審査をはじめ、渡航先で事件や事故に巻き込まれた場合にも、パスポートは必要になります。また、パスポートは世界で通用する身分証明書です。日本では2種類のパスポートが発給されています。ここでは、それぞれの違いや選び方について説明しましょう。
10年用と5年用のパスポートの違い
日本で発給されるパスポートには、10年用と5年用が存在します。18歳以上の方はどちらでも選べますが、18歳未満の方は5年用しか取得できません。その他さまざまな違いについて、下記の表をご参照ください。
ライフプランや海外旅行の頻度に合わせて選ぶ
18歳未満の未成年者は5年用を選ぶことになりますが、ご自身のパスポートは、海外に行く頻度やライフプランに合わせて、10年用か5年用のものを選びましょう。
例えば、結婚による氏名変更の可能性がある場合には5年用のパスポート、海外旅行に行く頻度が高い方や、海外で長期にわたる滞在を予定している方などは、10年用のパスポートを取得しておくと便利です。
パスポートを初めて申請するときに必要な書類は?
ここでは、パスポートの新規発給申請に必要な書類について説明します。初めてパスポートを申請する方だけでなく、現在所有しているパスポートの有効期限が切れている方や、パスポート紛失届を出して新たに申請する方、氏名や本籍地に変更がある方についても新規発給と同様の申請となりますので、参考にしてみてください。
一般旅券発給申請書(10年用または5年用)
一般旅券発給申請書はパスポート申請窓口にあるため、あらかじめ準備する必要はありません。あらかじめ自宅で記入してから申請したい方は、外務省WEBサイトの「パスポート申請ダウンロード」より入手可能です。なお、この手続きは電子申請とは異なります。あくまでも窓口での申請に係るものですのでご注意ください。
戸籍謄本または戸籍抄本
戸籍謄本は戸籍に記載された全部事項の写しであるのに対し、戸籍抄本は戸籍に記載された個人事項の写しです。戸籍に2人以上の記載がある場合、2人のうち、1人分の写しが戸籍抄本です。仮に戸籍に記載されているのが1人だけの場合は、全部事項となるため戸籍謄本に該当します。
戸籍謄本や戸籍抄本を取り寄せるには、いくつかの方法があります。
・本籍地のある市町村役場に取りに行く
居住地のある市町村役場ではなく、本籍地の役場に行く必要があります。また、同じ戸籍に入っている家族が代理で取ることも可能です。
・郵送で取り寄せる
郵送で取り寄せる方法は、本籍地のある市町村役場のWEBサイトで確認しましょう。基本的には、身分証明書のコピーや、戸籍に関する証明書の交付請求書、返信用封筒と手数料分の定額小為替を郵送します。戸籍に関する証明書の交付請求書はWebサイトからダウンロード可能です。その後、戸籍謄本や戸籍抄本が折り返し返送される仕組みになっています。
・コンビニ交付などを利用する
マイナンバーカードがあれば、電子申請やコンビニでの交付が可能です。ただし、本籍地の市区町村が電子申請や、コンビニ交付に対応している場合に限られます。2022年現在、大阪市、神戸市、福岡市やその他全国950以上の市区町村で対応しているようです。
住民票の写し
住民票の写しは、必要な場合とそうでない場合があります。パスポート申請において住民票が必要になるのは、単身赴任先や出張先、就学先などで住民登録をしていない都道府県で申請される方、住民基本台帳ネットワークシステムでの検索を希望しない方です。これらに該当する方は、都道府県ごとに対応が異なるため、申請先のパスポートセンターに問い合わせましょう。
申請者本人の写真
パスポートは海外での大切な身分証明書なので、本人確認を行う際に写真はとても重要です。また、渡航先によっては入国審査で顔認証技術を用いることがあるため、国際規格に従ったものでなければなりません。パスポート用の写真を撮る際、特に注意すべき事項をご確認ください。
- 縦45mm×横35mmサイズの正面から撮影された写真を用意
- カラーコンタクトや瞳を大きく見せるコンタクトレンズは着用不可
- 色付きのサングラスやメガネの使用不可
- メガネに照明などの光が反射していたり、フレームが目にかかっていたりする写真は不可
- 顔または背景に影が映っているものは不可
- ピントが合っていない写真は不可
下記を参考に、適切な写真を準備しましょう。
本人確認書類
本人確認書類とは、申請者本人であることを証明する書類です。1点のみで良い書類と2点以上必要な書類があるので、下記をご参照ください。
- 1点のみで良い書類:マイナンバーカード(通知カード不可)、運転免許証、船員手帳など
- 2点必要な書類
このうち、Aから2点またはAとBから1点ずつの本人確認書類が必要です。例えば、18歳未満の未成年者が学生証を使ってパスポートを申請する場合には、学生証に加えて健康保険証などの提示が必要ですのでご注意ください。
パスポートの更新申請に必要な書類は?
パスポートの有効期限の残存が1年未満となった場合に、更新申請が可能です。パスポートの有効期限が残っている状態で新たにパスポートを発給することを切替発給といいます。切替発給の必要書類は基本的に新規発給手続きの際と同じです。しかし切替発給の場合は、戸籍謄本または抄本の提出は、戸籍上の身分事項に変更がない限り必要ありません。
渡航先の国や地域によっては、査証申請または入国時に必要なパスポートの有効期限に一定の残存期間を定めている場合があります。渡航日が近づいてから慌てないためにも、パスポートの有効期限が残り1年未満になったら早めの切替がおすすめです。
その他に必要な書類はある?
次の事項に該当する方は、基本的な申請書類の他に、追加書類が必要になることがあるので、確認しておきましょう。
氏名をヘボン式ローマ字以外で表記したい方
日本のパスポートに記載されるローマ字表記は、ヘボン式ローマ字が基本です。しかし近年は外国式の名前など、非ヘボン式ローマ字で氏名を表記する方も増えています。二重国籍、国際結婚、両親のどちらかが外国人などの理由により、戸籍上の氏名が外国式の方は、該当国の公的機関が発行した書類、もしくは下記の書類を求められることがあるため、事前に確認しておきましょう。
- 出生証明書
- 婚姻証明書
- 外国発行のパスポート(本人、配偶者、父母のもの)
その他、外国式のミドルネームなどを持つ方でパスポートに別名として併記する場合など、ケースによって対応が異なる場合があります。
18歳未満の未成年者などの方
パスポートの申請者が18歳未満の未成年者、もしくは成年被後見人が申請する場合は、申請書の「法定代理人署名」の欄に、親権者もしくは後見人の署名が必要です。なお、未成年者とは、申請日を基準として18歳未満の方を指します。
また、親権者や後見人が遠隔地に在住しているなどの理由で、申請書の「法定代理人署名」の欄に署名ができない場合は、別途「旅券申請(届出)同意書」に署名をして提出する必要があります。「旅券申請(届出)同意書」は、パスポートを申請窓口のある都道府県のWebサイトよりダウンロードが可能です。
代理で提出する方
パスポートを申請する本人が窓口に来られないときは、代理の方が必要書類を提出できます。ただし、代理の方は、申請者本人が「申請書類等提出委任申出書」に記載している方でなければいけません。なお、代理の方が窓口に来る場合でも、「申請書類等提出委任申出書」や「所持人自署」は申請者本人の記入が必要な項目ですので、事前に記入例などを確認しておくことをおすすめします。
2020年4月1日より、成年年齢がこれまでの20歳から18歳に引き下げられました。これに伴い、18歳、19歳の方のパスポート申請を両親などが代理で行う場合、その両親は未成年者の親権者ではなく成年の代理の方とみなされます。したがって「申請書類等提出委任申出書」の記入、提出が必要ですので、ご注意ください。
住民登録地と居住地が違う方
パスポートを申請できるのは、基本的に住民登録をしている都道府県の窓口です。しかし例外として、単身赴任や出張、就学などで住民登録をしていない都道府県に居住している方でも、居住地においてパスポートを申請することは可能です。例えば、県外にある実家で住民登録をしているが、大学に通うために居住している土地の都道府県の窓口で申請したい場合などが該当します。その場合、通常の申請に必要な書類に加えて、「居所申請申出書」や「住民票の写し」などが必要となります。どのような理由で申請先の都道府県に居住しているかによって必要となる書類が異なるので、各都道府県のWEBサイトなどで確認しましょう。
パスポートを申請するときの注意点とは?
ここでは、パスポートを申請する際のさまざまな注意点をまとめました。よりスムーズな手続きを行うためにもぜひ一度ご確認ください。
必要書類は有効期限内のものを提出する
パスポート申請日を基準として、戸籍謄本や戸籍抄本、住民票の写し(必要な方のみ)は発行から6ヵ月以内のもの、申請者本人の写真は撮影から6ヵ月以内のものが有効です。期間を過ぎたものは、無効となる場合がありますので注意しましょう。
余裕をもって申請手続きを行う
パスポートの申請から受け取りまでは、通常1週間程度を要します。なお、時期や各都道府県窓口の状況によっても異なるでしょう。特に海外へ渡航する日が決まっている方は、出発日や査証申請までにパスポートの発給が間に合うよう、スケジュールに余裕をもって申請することをおすすめします。
直筆サインは書き慣れた書体で記入する
パスポートには、氏名や生年月日、発行日や有効期限などが記載された身分事項のページがあります。そこには「所持人自署欄」といって、申請者本人が申請書に記入した直筆署名が印字されるスペースがあります。署名はローマ字や漢字、ひらがな、カタカナなどで記載可能です。この署名は出入国カードやホテルのチェックインの際などに照合することもあるため、なるべく普段から書き慣れた形式で書くことをおすすめします。
文字が書けない小さな子どもが申請者の場合は、親が署名を代筆します。その場合は申請者氏名の後に「(父/母)代筆」などと書き添えて、代筆したことが分かるように明記してください。
パスポートを受け取るときの注意点とは?
パスポートの申請は代理の方でも手続きが可能ですが、受け取りは必ず申請者本人が窓口に行かなければなりません。例えば、パスポートの名義人が乳幼児であっても、必ずその本人が窓口にて受領する必要があるため注意が必要です。
パスポートを受領する窓口は、申請時と同じです。なお、発行日から6ヵ月以内に受領しない場合、そのパスポートは失効します。
氏名・本籍などに変更があった場合の手続き方法・必要書類
結婚や養子縁組などで氏名に変更があったり、本籍地が変わったりした場合には、パスポートを新規発給するか、記載事項変更旅券を申請するかのどちらかの方法をとることになります。どちらの場合も、現在手元にある有効なパスポートを返納し、失効処理をしなければなりません。そのため、パスポート新規発給のための必要書類に加えて、現在の有効なパスポートも必要です。
なお、パスポートの新規発給時に記載事項変更前のパスポートに有効期間が残っていても、新しいパスポートの有効期限に加算されません。
また、記載事項変更旅券とは、記載事項が変更前のパスポート有効期限と同一日の新しいパスポートです。この申請には、手数料6,000円がかかります。
おわりに
パスポートの申請に必要な書類について解説しました。これから海外旅行を計画する方は、ぜひ参考にして渡航準備に役立ててください。入国規制が緩和されたとはいえ、海外ではいつの時代もトラブルなどに注意が必要です。万が一の時でも、サポートや補償を受けられるよう、海外旅行保険に加入しておきましょう。海外旅行保険選びに迷った場合は、ネットで簡単にお申し込みできる「保険@SAISON CARD」を利用するのがおすすめです。保障の範囲などを確認して必要な保険を選び、安心して海外旅行を楽しんでください。
保険@SAISON CARDの詳細は、下記よりご覧いただけます。