ほとんどの方にとって、家は一生で一番高い買い物になる以上、不安は尽きません。そのため、住宅ローンに関してもさまざまなお悩みをお持ちの方がいらっしゃるでしょう。実は、その悩みは事前の対策である程度は解消可能です。
このコラムでは、住宅ローンの不安を解決する方法をさまざまな角度から詳しく解説します。最後までお読みいただければ、住宅ローンに対する不安がかなり解消できるでしょう。
- 住宅ローンを組む際、悩みを抱える方は一定数いますが、事前の準備により解消することが可能。
- 審査自体に通るか不安な場合は、確認されるポイントを把握し審査までに改善できるか探る。
- また、万が一返済できなくなった場合も、金融機関に相談して解決の糸口を探ることは可能。
- 借入・返済プラン作りが重要であり、専門家に家計改善の相談をするのもひとつの方法。
住宅ローンに対する不安要素とは?
マイホームを購入するために住宅ローンを組む際には、さまざまなことが不安になりがちです。なかには、眠れないほどに思い詰めてしまう方がいらっしゃるかもしれません。
ここでは、住宅ローンを組もうとする方が陥りがちな不安と、その解決策について解説します。
住宅ローンの審査に通るか不安
大前提として、住宅ローンを借りるためには、金融機関による審査を通過しなくてはなりません。なお、審査では主に以下のポイントがチェックされます。
- 契約時・完済時の年齢
- 健康状態
- 担保評価
- 年収
- 勤続年数
- 雇用形態
- 返済負担率
- カードローンなど他の債務の状況や返済履歴
具体的な審査基準は公表されていないため、通過できるかどうかは未知数の部分があるのも事実です。そのため「もしかしたら審査に通過できないのでは?」と不安を抱える方がいても不思議ではありません。
返済できなくなったら…と考えると不安
「審査に通っても、途中で返済できなかったらどうしよう」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
途中で返済できなくなるのは、無理な返済プランに基づいて借りてしまうのが大きな原因です。まずは無理のない返済プランを考えるのが重要になります。不動産会社や金融機関の担当者に相談しましょう。
住宅ローンの借入額をどうしたら良いのかわからず不安
「借入額をどうしたら良いかわからない」という不安も起こりがちです。家に対する希望を全て叶えようとすると、どうしても借りられる金額に目が行きがちになってしまいます。
しかし、途中で返済できなくなってしまうと、家を手放すことも視野に入れなくてはなりません。毎月無理なく返済でき、完済まで続けられる額を借りるのを優先しましょう。
完済時の年齢が不安
「完済時に65歳超えるだろうから、収入面で不安」という方は、頭金を多めにするなど工夫をしましょう。
頭金を多めにした上で住宅ローンを組めば、毎月の返済額は少なくなります。定年を迎えた時点で住宅ローンの残りを退職金で一括返済が可能な額にまで減らせるよう、毎月の返済額と頭金の額を踏まえたシミュレーションを行いましょう。
病気やケガをしてしまったときの不安
「病気やケガをして働けなくなったら、住宅ローンを返済できない。万が一のことが起きたら遺族に負担がかかる」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそこまで深刻に考える必要はありません。
住宅ローンを契約する際は、団体信用生命保険への加入が必要になります。団体信用生命保険とは、死亡・高度障害状態になった場合、それ以降の住宅ローンの返済が免除される生命保険の一種です。つまり、ご遺族が住宅ローンを返済する必要はなくなります。
また、金融機関によっては、もしものことがあったときだけでなく、次の8つの病気になった場合にも住宅ローンの返済が免除される団体信用生命保険(8大疾病保障)を選択することも可能です。
- がん
- 急性心筋梗塞
- 脳卒中
- 高血圧性疾患
- 慢性腎不全
- 慢性膵炎
- 糖尿病
- 肝硬変
これらの病気と診断され、所定の条件を満たした場合、それ以降の住宅ローンの返済が免除されます。
住宅ローンの審査ではどんなことが確認される?
住宅ローンの審査が不安になってしまう原因のひとつに「何をすればいいのかわからない」ことが挙げられます。事前にチェックされるポイントを理解し、不安を解消しておきましょう。
返済の能力があるかチェック
住宅ローンの審査においては、さまざまな指標を用いて返済の能力があるかどうかをチェックします。金融機関の立場からすれば「トラブルを起こさず完済してくれるか」が非常に重要だからです。
具体的には「安定継続した収入があり、問題なく支払いができるか」を推し量るための指標として、以下のポイントがチェックされます。
- 収入
- 勤続年数
- 勤務先
- 個人信用情報
- 健康状態
物件に担保価値があるかチェック
住宅ローンの対象となる物件の担保価値も重要です。何らかの理由で住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関は最終的には対象となる物件を競売にかけ、住宅ローンの未返済分に充当します。
競売した際にどれだけの金額になるかを推し量るために、担保価値もチェックされると考えましょう。以下に掲げる例のように、担保価値が低い物件を購入する予定がある場合は、特に注意が必要です。
- 旧耐震基準のマンション
- 築年数が経過した戸建て
- 不適格条件に該当する物件
資金計画が妥当であるかチェック
審査の際には、資金計画の妥当性もチェックされます。収入と融資額の比率や、返済負担率が妥当な範囲に収まっているかが重要になると考えましょう。
返済負担率とは年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合になります。住宅金融支援機構が行っている「住宅ローン利用者調査(2022年10月調査)」によれば、返済負担率を15%超20%以内にした契約が最も多かったとのことです。
出典:独立行政法人住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2022年10月調査)」
借入額を考える際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
住宅ローンの審査に落ちる主な理由とは
住宅ローンの審査に落ちた場合、考えられる理由の例は以下のとおりです。
- 年齢が高齢である
- 年齢が若過ぎる
- 年収に対して借入額が大き過ぎる
- 勤続年数が短い
- 他の借入額が大きい
- 個人信用情報に傷がある
- 物件の担保価値が低い
- 健康状態に問題がある
- 事前審査と本審査の内容が異なる
ただし、金融機関によって審査基準は異なります。Aという金融機関で審査に通らなかった場合でも、Bという金融機関であれば審査に通ることもある点に留意しましょう。
万が一住宅ローンの返済ができなくなった場合の対処法
一度契約した住宅ローンでも、収入が減ったなどの理由により住宅ローンの返済ができなくなる可能性はゼロではありません。
ここでは、万が一住宅ローンの返済が難しくなった場合の対処法について解説します。
まずは銀行に相談する
最初に、住宅ローンを借りた金融機関の担当者に相談しましょう。当面の間、金利だけの支払いにしてくれるなど、返済条件を緩和してくれる可能性もあります。
借り換えを考える
住宅ローンの借り換えも検討する価値があります。金利が高い時期に組んだ住宅ローンの場合、金利が低い住宅ローンに借り換えることで毎月の支払額および総返済額を大幅に減らすことが可能です。
ただし、住宅ローンの借り換えには再審査が必要になる上に、事務手数料などの諸費用がかかる点に注意が必要です。
・住宅ローンの借り換えのご相談は…
住宅ローンの借り換えを検討していて、どこに相談したら良いかわからない方は、住宅ローンの専門家に相談しましょう。
クレディセゾングループが提携しているiYellの「住宅ローンの相談窓口」に相談すれば、業務提携する国内100社以上の金融機関から、ご自身に合ったプランの提案を受けられます。住宅ローンの契約でお悩みの方は、是非ご相談ください。
売却する
家を売却すれば、それ以降住宅ローンの返済をする必要はありません。不動産会社に相談し、仲介によって家を売却できないかを検討しましょう。
なお、すでに住宅ローンの返済が滞っている場合は任意売却になるので注意が必要です。任意売却とは債権者(住宅ローンを組んでいる銀行など)の許可を得て、一般市場で不動産を売却する方法を指します。
通常売買と同様に家を手放すことになるのは変わりませんが、債権者の裁量により売却価格が決定されるのが大きな違いです。実務上「〇万円以上で売却できないなら競売にかけます」という条件のもと、任意売却が行われるのは珍しくありません。
リバースモーゲージを利用する
リバースモーゲージとは、自宅に住み続けつつも、自宅を担保にしてお金を借りるサービスのことです。民間の金融機関や社会福祉協議会が提供しています。
借入をした方は、生存中は毎月利息分のみを支払い、元金は亡くなった後にご遺族が自宅を売却するなどの方法を用いて一括で返済するのが基本的な流れです。ただし、社会福祉協議会が扱うリバースモーゲージの場合は、借入をした方が亡くなった際は、ご遺族などの相続人が元金・利息の返済をします。
リースバックを利用する
リースバックを利用するのもひとつの手段です。
リースバックは正式名称を「セールス・アンド・リースバック」といって、家を専門会社に売却した上で賃貸借契約を結び、その家に住み続けることを指します。住宅ローンを返済する必要がない上に、家にそのまま住み続けられるので、環境の変化によるストレスからも解放されます。
ただし、リースバックを扱う専門会社によっては、一方的に不利な条件での契約を余儀なくされるなど、トラブルも起きているのが実情です。リースバックを検討する際は「どこに頼むか」を重視しましょう。
セゾンのリースバックは、事務手数料や調査費用、礼金、賃貸借契約の更新手数料が不要。売却後もそのままご自宅に住み続けていただけるのはもちろん、将来再度購入していただくことも可能です。お見積もりは最短即日対応、最短2週間でご契約もできますので、お急ぎの場合もまずはご相談ください。
病気の場合は団体信用生命保険が適用されることも
ご病気で住宅ローンの返済が難しくなった場合、団体信用生命保険が適用されることもあります。
契約した住宅ローンに付した団体信用生命保険が、以下の3大疾病や8大疾病もカバーする契約であれば、幅広くリスクに備えることが可能です。
3大疾病 | がん、急性心筋梗塞、脳卒中 |
8大疾病 | 3大疾病+高血圧性疾患、慢性腎不全、慢性膵炎、糖尿病、肝硬変 |
例えば、3大疾病特約が付されている団体信用生命保険の場合「保障期間内に、初めて所定の悪性新生物(上皮内がん、および皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんを除く)に罹患し、医師によって診断確定された」ときに住宅ローン残高が0円になります。ただし、具体的な条件は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
安心して住宅ローンを組む方法は?
住宅ローンの不安を解消するには、事前準備も重要です。ここでは、安心して住宅ローンを組むために行うべき事前準備とその方法について紹介します。
住宅ローンの審査基準を知っておく
住宅ローンの審査に不安があれば、その審査基準を知っておきましょう。
一般的には、以下の点が審査においてチェックされます。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 担保評価
- 借入時年齢
- 年収
- 勤続年数
具体的な基準は金融機関によって異なるのが実情です。そのため、できれば複数の金融機関に相談し、事前審査まで受けておくのをおすすめします。
個人信用情報を確認しておく
事前審査までに、個人信用情報に問題がないかも調べておきましょう。
信用情報とは、クレジットやローンの契約や申し込みに関する客観的な取引事実を登録した個人の情報のことです。そして、これらをデータベースとしてとりまとめる会社・団体が信用情報機関と考えましょう。現在、日本には以下の3つの信用情報機関が存在します。
- CIC
- JICC
- KSC
所定の手続きを行うことで、ご自身の個人信用情報を調べられます。手数料が1,000円ほどかかりますが、ご自宅からオンラインで手続きができるため、気になる方は一度調べてみてはいかがでしょうか。
無理のない金額を借りる
住宅ローンを組む際は、無理のない金額を借りるようにしましょう。その際、毎月の返済額が生活を圧迫しないようにするのが重要なポイントです。できれば、返済負担率を20%以下にするのが望ましいでしょう。都心の物件を購入する場合など、どうしても高い額を借りなくてはいけない場合でも、返済負担率が30%を超えないようにするほうが無難です。
なお、返済負担率を減らすためには、頭金をできるだけ多く用意すると良いでしょう。今すぐ家を買わなくてはいけない事情がないなら、まずは頭金としてまとまった金額の確保を優先するのもひとつの手段です。
ボーナスをあてにした返済プランを立てない
ボーナスをあてにした返済プランを立てるのはおすすめしません。そもそも、法律上、企業にボーナス(賞与)を支給する義務は課せられていない以上、実際に支給するかどうかは企業の裁量に任されています。これまでボーナスを問題なく受け取れていたとしても、景気が悪化したことで打ち切りになるのは珍しくありません。
ボーナスをあてにした返済プランを立ててしまうと、万が一ボーナスが支給されなければ、返済は行き詰まってしまいます。あくまでも「毎月の給料だけで返済する」ことを前提に返済プランを立てることがおすすめです。
繰り上げ返済を活用する
まとまった資金があれば、繰り上げ返済をしましょう。返済期間を短縮したり、毎月の返済額を減らしたりなど、返済負担を軽減できます。例えば、以下の条件で契約した住宅ローンについて、途中で繰り上げ返済をしたとしましょう。
- 当初借入元金:3,000万円(うちボーナス返済分 0円)
- 当初借入期間:30年
- 返済済み期間:10年
- 返済方法:元利均等返済
- 借入金利:年1.0%
- 繰り上げ金額:200万円
この場合、200万円の繰り上げ返済によって毎月返済額および返済期間、利息減少額は以下のように変化します。
毎月返済額 | 返済期間 | 利息減少額 | |
期間を短縮する場合 | 9万6,491円 | 17年11カ月 | 41万6,208 円 |
返済額を変更する場合 | 8万7,259円 | 20年0カ月 | 20万6,625 円 |
期間を短縮する方が減らせる利息の総額は大きいですが、毎月の返済額を減らす方法でも負担の軽減は見込めます。
住宅ローンの前に家計の見直しを
住宅ローンを組む前には、家計の見直しにも取り組みましょう。おすすめする方法について、こちらで解説します。
家計の見直しならファイナンシャルアドバイスサービスへ
家計の見直しをご自身で進めるのには、限界があります。やはり、知識と経験が豊富な専門家に依頼するのがおすすめです。
おわりに
ほとんどの方にとって、マイホームは一生で一番高い買い物になるでしょう。住宅ローンも、そんな高価な買い物に関わることである以上、万全の準備をして臨みたいものです。毎月の返済を安心して行うためには、まず「無理がない金額を借りること」を前提にしましょう。
その上で、頭金を用意したり、可能なら繰り上げ返済をしたりといった工夫もおすすめです。また、万が一返済が難しくなった場合は、早めに金融機関に相談し、対応を仰ぎましょう。