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貯金が1,000万円を超えたら注意するべきことはある?投資についても知っておこう

セゾンのくらし大研究 編集部

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コツコツと積み重ねてきた貯金額が1,000万円に到達したら、ある種の達成感を感じることができるでしょう。しかし、中には「このまま貯金を続けるべきか、それとも資産運用するべきか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、貯金が1,000万円を超えた際の注意点やおすすめの投資商品について詳しく解説していきます。

1.貯金が1,000万円を超えたら銀行から電話がかかってくるって本当? 

貯金が1,000万円を超えたら銀行から電話がかかってくることがあるといわれています。ここでは、どのような内容の電話がかかってくるのか、銀行とゆうちょ銀行、それぞれのケースに分けて解説しましょう。

1-1.銀行の場合

貯金が1,000万円を超えている方にかかってくる銀行からの電話は、そのほとんどは「営業」で、銀行が販売しているさまざまな金融商品の紹介、投資の勧誘です。また、電話ではなくダイレクトメールが送られてくるケースもあります。

1-2.ゆうちょ銀行の場合

ゆうちょ銀行から書面で連絡がくる場合があるようです。ゆうちょ銀行の場合、通常貯金・定期貯金、それぞれの預け入れの限度額は1,300万円です。そのため、預入限度額以内となるよう、

1,300万円を超えた額は、オートスウィング基準額(通常貯金のご利用の上限額)の変更または払い戻しのうえ、貯金払戻証書(=ゆうちょ銀行で現金化できる証書)が送られてくるようです。

1-3.年代別!1,000万円以上の貯金を持っている人はどのくらい?

ここで、貯金が1,000万円以上ある方の割合を、年代別に紹介しましょう。

単身世帯の場合、貯金が1,000万円以上ある方の割合は、単身世帯で全体の16.1%、2人以上世帯で全体の30.2%となっています。年齢別にみると、以下のとおりです。

単身世帯2人以上世帯
20代2.2%0%
30代12.6%13.2%
40代16.3%20.1%
50代22.3%35.5%
60代29.9%40.1%
70歳以上回答なし33.7%

家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]および[二人以上世帯調査](令和元年)より作成

2.銀行に1,000万円以上預けておくのは危険なの?

もし銀行が破綻してしまった場合、預けているお金はどうなるの?と不安になる方もいるかもしれません。実は、そのような場合に、預金をきちんと保護してくれる「預金保険制度」という制度があります。ここでは、その預金保険制度について詳しく解説します。

2-1.預金保険制度について

預金保険制度とは、金融機関が破綻してしまった際に、預けていた預金を一定金額保護してくれる制度です。

対象となる金融機関は、本店が日本国内にある金融機関です。(例:銀行および信用金庫・信用組合・信用中央金庫・ゆうちょ銀行・労働金庫・労働金庫連合会・全国信用協同組合連合会・商工組合中央金庫です。

農林中央金庫、農業協同組合、漁業協同組合等は「農水産業協同組合貯金保険制度」で保護されます。

国内銀行の海外支店及び外国銀行の在日支店は対象外です。

2-2.預金保険制度の保護の対象は?

預金保険制度はすべての商品が対象ではありません。保護できる商品が決まっているので注意が必要です。預金保険の対象商品及び保護対象は以下の通りです。

・決済用預金(当座預金・利息が付かない普通預金など)…全額保護

・一般預金(定期預金・利息が付く普通預金)…1金融機関、預金者1人につき元本1,000万円まで+破綻日までの利息を保護。1,000万円を超える部分は、破綻金融機関の財政状況に応じて支払い(一部カットされる場合アリ)

・1つの金融機関に預金者が定期預金・普通預金など複数所持している場合は、残高を合計して、元本1,000万円まで+破綻日までの利息を保護。

・外貨預金・譲渡性預金・投資信託・金融債などは保護対象外

もしも、ということは考えたくはありませんが、未来に何が起きるかはわかりません。この機会に、手持ちの商品が保護対象なのかどうか、一度しっかりチェックしておくことをおすすめします。

3.貯金が1,000万円を超えたら税金がかかるの?

貯金が1,000万円を超えたら税金がかかるのでは?と思っている方も多いのではないでしょうか。ここでは、貯金が1,000万円を超えたら税金はどうなるのかについて解説します。

3-1.利子所得に対して税金がかかる

預金自体は課税対象となりませんが、預金によって得られる利子所得に対してのみ税金がかかります。つまり、税金が引かれて預金が減ってしまうということはありません。

課税率は、預金の種類や金額にかかわらず、所得税および復興特別所得税15.315%+住民税5%=20.315%となります。

2037年以降は、復興特別所得税はかかりませんので、課税率は20%となります。

3-2.税金はどうやって納めるの?

利息にかかる税金は、源泉分離課税が採用されているので、受取時にはすでに源泉徴収されています。そのため、確定申告をして自分自身で税金を納める必要はありません。ちなみに、預金同様利子を得ることができる社債や国債なども受取時に源泉徴収されます。

4.投資は必要?貯金だけで持っておくリスク

1,000万円を超えた金額をただ銀行に預けているだけという場合、「インフレになったときのリスク」「お金が増えないリスク」という2つのリスクが発生するのをご存じですか?ここでは、それぞれのリスクについて、詳しく解説します。

4-1.インフレで価値が下がったら…

インフレでお金の価値が下がってしまった場合、実質的に「使えるお金」が減ってしまいます。現在、日本をはじめ、世界各国でインフレ率2%を目指しています。つまり、毎年2%ずつお金の価値が下がってしまうといっても過言ではないのです。

そして、一番インフレに弱いのが「現金」です。仮に、2%のインフレが10年間続いた場合、10年経過後は、現金の価値は20%下がっています(-2%×10年)。これは、1,000万円の現金が800万円の価値しかなくなってしまう、ということです。1,000万円を銀行に預けているだけでは、財産が目減りしてしまう、というリスクをしっかりと考えておかなければいけません。

※金利はゼロ、物価上昇率は一定として実質価値を試算

4-2.低金利でお金が増えない

現在、日本は超低金利時代。普通預金の金利は、わずか0.001%しかないので、貯金だけで資産を形成することができません。0.001%の金利の場合、1,000万円貯金しても、1年間で増えるのは100円だけですので、缶ジュース1本も買うことができません。

ところで、「72の法則」という公式をご存じでしょうか?これは、「72÷金利≒お金が2倍になる期間」の計算で、お金が2倍になるまでにかかる期間を算出できる、というものです。現在の金利で「72の法則」を計算してみると、資産が2倍になるまで、なんと7万2千年もかかってしまいます。

これでは、貯金だけでお金を増やすのは、とうてい無理な話というわけです。

5.投資をする前に考えておくこと

資産を増やす方法として、投資を始める人が増えています。しかし、貯金をすべて投資に回してしまうと、後で困ったことになってしまうこともあるのです。ここでは、投資を始める際に考えておきたいポイントについて解説します。

5-1.万一病気・失業状態になった際の資金はあるのか?

まず、貯金の中から「生活防衛金」をいくらにするのかを考える必要があります。生活防衛金とは、病気になったり失業してしまったりして、収入が一時的に途絶えたとしても、当面は生活が続けられるように貯めておく資金の事です。

不測の事態に備えて、この生活防衛金には手を付けないようにしましょう。生活防衛金の目安は諸説ありますが、生活費の約3〜6ヵ月分くらいを確保しておくと安心です。住宅ローンを支払っている、子供の教育費が必要、という場合は、その金額も考慮しておく必要があります。

5-2.近い将来使う予定があるのでは?

生活防衛金とは別に、近い将来に使う予定があるお金も確保しておきましょう。例えば、家のリフォーム、車の買い替え、教育資金、旅行などの娯楽が該当します。それぞれに必要な金額は、家庭によって異なります。世帯やライフスタイルによって、いつ、どんな出費があるのかライフプランと共にしっかりと考えておきましょう。

5-3.上記以外の余った資金はすべて投資でもOK? 

生活防衛金と将来使う予定があるお金を引いた残りの金額が「余剰資金」となります。しかし、この余剰資金をすべて投資に回せる、というわけではありません。確かに、余剰資金が減ってしまったからといって、ただちに生活が苦しくなってしまうわけではありません。

しかし、投資には価格変動リスクがあり、受取金額が投資元本を下回ってしまう可能性があります。例え余剰資金といえども、投資の目的は「資産形成」ですので、全額をリスクのある投資に振り分けてしまうのは、賢明とはいえません。余剰資金は、ご自身のリスク許容度を鑑みながら、貯金と投資に振り分けするのがおすすめです。

6.おすすめの投資商品とは?

ここでは、貯金以外にお金を貯める方法としておすすめの投資商品について、その特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。それぞれの特性を理解して、どの商品が一番ご自身に適しているのかを考えてみてください。

6-1.株式

投資と聞いて、真っ先に「株」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。株式投資とは、株式会社が発行する株式を売買することによって、利益を狙う投資方法です。株式を購入して、値が上がったときに売却すれば、取引株数×差額の利益を得ることができます。

また、株数に応じて、企業が利益の一部を株主に配当する「配当金」を受け取ることもできます。株主に向けて、優待品を贈る「株主優待」制度を導入している企業も少なくありません。優待の内容を比較して、投資先を選ぶ方も多いようです。

このように、さまざまなメリットのある株主投資ですが、一方で価格変動リスク、企業の信用度が下がることで株価が下落する信用リスク、売り手もしくは買い手が見つからず、取引が成立しない流動リスク、といったリスクもあります。

6-2.投資信託

投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金にして、運用の専門家が債券や株式などに投資・運用していく商品のことです。

専門家が運用してくれるので初心者でも始めやすいでしょう。また、少額から運用でき、なおかつ分散投資ができるので、リスクが減らせるというメリットもあります。

ただし、投資信託は元本保証がないので注意が必要です。

運用成績は市場環境などによって変動します。運用がうまくいけば利益が発生しますし、うまくいかなければ損をしてしまうこともあるでしょう。

6-3.外貨預金

外貨預金は、日本円ではなく外国の通貨で預金する資産運用方法です。一般的に、日本円よりも外国通貨のほうが金利が高いため、もらえる利息が多くなります。

また、外貨預金の価値は為替レートによって変動するので、為替差益を受け取ることができる可能性もあります。ただし、逆もしかりです。為替レートによって損をしてしまう場合があること、円を外貨に、外貨を円に替える際に手数料がかかるというデメリットがあるので注意が必要です。

6-4.積立保険

貯蓄性のある保険でお金を貯めるという方法もあります。今は金利が低いので、大きなリターンは望めませんが、生命保険料控除が受けられるというメリットがあります。

また、早期解約や途中解約をしなければ、マイナスになるということも少ないでしょう。

より貯蓄性を高めたいという方向けに、外貨建てや株式などの運用結果で保険金額が変わる「変額保険」もあります。変額保険は、他の貯蓄性保険に比べ大きなリターンを期待できますが、リターンに比例しリスクも高いので、内容をしっかり理解してから購入することをおすすめします。

6-5.NISA

NISAは、少額投資非課税制度のことで、NISA口座を開設して投資すれば、得た利益はすべて非課税になります。

NISAには以下の3つの種類があります。

・一般NISA…20歳以上が開設できる口座。年間最大120万円まで投資可能で、非課税期間は最長5年間。ただし、現行の一般NISAは2023年で終了。2023年に購入した商品は、2027年まで運用可能。(2023年1月1日以降は18歳以上から)

・つみたてNISA…長期保有の積立分散投資を目的にした制度。20歳以上が利用可能。年間の積立上限は40万円だが、非課税期間は最長40年間。ただし、購入できる商品は一定の投資信託に限定されている。(2023年1月1日以降は18歳以上から)

・ジュニアNISA…日本在住の0歳から19歳が対象。運用者は対象の両親もしくは祖父母。年間の投資上限額は80万円で、非課税期間は4年間。原則として対象が18歳になるまで払い戻しは不可。ただし、2023年で制度が終了。(2023年1月1日以降は0歳から17歳まで)

6-6.iDeCo

私的年金の一種です。毎月一定の掛金を拠出し自分自身で運用、形成した資産は60歳以降に年金もしくは一時金として受け取ります。掛金は全額所得控除となるほか、運用期間中の利益や利息は非課税となります。

さらに、受取時も公的年金控除、退職所得控除の対象になるので、税金が軽減されるというメリットがあります。

投資はちょっと始める勇気がないという方におすすめですが、口座開設時や運用時に手数料がかかる、掛金の上限が職業によって異なるというデメリットもあるので注意が必要です。

おわりに 

1,000万円を超えるお金をただ銀行に預けているだけでは、銀行が破綻した場合、一部のお金が戻ってこないという可能性があります。そのほかにもなかなかお金が増えない、インフレでお金の価値が下がるというリスクも見逃せません。

この機会に、貯金以外の資産運用方法を考えてみてはいかがでしょうか。必要な現金は確保しておいて、余剰資金の中から投資をスタートしてみるのもひとつの方法です。この記事を参考に、ご自身に合った投資方法はどれか、比較検討してみましょう。

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