資産運用として外貨預金を検討している方も多いのではないでしょうか。外貨預金の主なメリットは、海外の高金利による利息や為替差益を得られる点にありますが、それぞれにかかる税金についても気になるところです。
この記事では、外貨預金のしくみや税金の種類、確定申告の方法について解説します。外貨預金について理解するとともに、適切に確定申告しましょう。
外貨預金にかかる税金にはどんなものがある?

外貨預金を行うと、どのような税金が発生するのでしょうか。まずは外貨預金のしくみを正しく理解しましょう。
そもそも外貨預金とは?
外貨預金とは、外国の通貨で預金することです。資産運用で外貨預金を行うメリットは「高金利」と「為替差益」によって資産の増加が期待できる点です。
一般的に外国通貨は日本円より金利が高い傾向にあり、利息を多く受け取れる可能性があります。例えば、みずほ銀行(2024年11月8日現在/年率・税引前)のグローバル口座外貨定期預金金利(米ドル、1年定期、個人のみ)は4.210%、日本円の定期預金金利(1年定期)は0.125%であり、米ドルの金利が日本円の300倍以上となっています。ただし、金融機関や預金タイプの違いによって適用金利が異なる点に注意しましょう。
また、外貨預金は預入時と払戻時の為替レートの差によって為替差益を得られる可能性があります。為替レートは常に変動しているため、例えば1ドル110円の時に10,000米ドル(110万円相当)を預け、1ドル130円のときに払い戻すと、単純計算で20万円分の為替差益を得られます(預入時、払戻時にかかる両替時の為替手数料及び税金は考慮していません)。
ただしデメリットもあり、為替レートの変動により円高になると為替差損が生じ、元本割れのリスクが伴います。
また、預入・払戻時には手数料が発生するケースが多い点や、利益に課税される点を考慮する必要があります。さらに、外貨預金はペイオフ(預金保険制度)の対象外となるため、金融機関が破綻した場合に保障を受けられない点も注意しましょう。
外貨預金の利息にかかる税金
外貨預金にかかる税金は「利息」と「為替差益」に対するものがあります。
国内の金融機関で外貨預金をしている場合、利息に対する税金は他の所得と合算せず、単独で税額を計算する「分離課税」が適用され、以下の税率で源泉徴収されます。
分離課税(源泉徴収):利息に対して20.315%(国税15.315%、地方税5%)
為替差益にかかる税金や計算方法
外貨預金の為替差益は雑所得(総合課税)になるのが一般的です。総合課税では、為替差益が他の所得と合算され、合計額に応じた税率で税額が算出されます。また、住民税(地方税)の税率は通常の場合10%(標準税率)ですが、自治体によって税率が異なる事例もあります。
なお「為替予約」と呼ばれる、預入時に為替レートを固定する特殊な取引の場合、為替差益も利息と同様に20.315%の分離課税(源泉徴収)が適用されます。
外貨預金取引後の確定申告は必須?

外貨預金では利息と為替差益に対して税金が発生しますが、確定申告が必要かどうかは状況により異なります。ここでは、国内の金融機関で為替予約をしていない一般的な外貨預金のケースで解説します。
外貨預金取引後の確定申告は原則必要
外貨預金にかかる税金のうち、確定申告が必要となるのは「為替差益」にかかる税金です。
利息にかかる税金は源泉分離課税で、受取り時に源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。一方で、為替差益にかかる税金は雑所得として扱われます。例えば、為替差益で20万円超の所得が発生している場合は確定申告が必要です。
ただし確定申告不要なケースもある!
外貨預金の為替差益は確定申告が必要ですが、以下の条件に当てはまる場合は申告不要です。
給与所得者や年金生活者の場合
給与所得者は、年収2,000万円以下かつ給与・退職所得以外の雑所得が年間で20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。ただし、2箇所以上の勤務先から給与を得ている場合などは除きます。また、所得が20万円以下でも住民税の申告は必要です。
年金生活者の場合も、公的年金などの収入額が400万円以下かつ、雑所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。
副業をしている場合も、所得額の合計が20万円以下か確認しましょう。
主婦や学生の場合
専業主婦や学生など給与所得がない場合、以下の条件を順番に当てはめてプラスになるようであれば確定申告が必要です。
- 各種の所得の合計額(譲渡所得や山林所得を含む)から、所得控除を差し引いて、課税される所得金額を計算します。
- 課税される所得金額に所得税の税率を乗じて、所得税額を計算します。
- 所得税額から、配当控除額を差し引きます。
引用元:確定申告が必要な方|国税庁
外貨預金以外にも雑所得がある場合は要注意
給与所得者で、外貨預金の為替差益以外にも雑所得がある場合は注意が必要です。
例えば給与所得者が為替差益として10万円、さらに暗号資産で20万円の利益が発生している場合、合計で30万円の雑所得となり確定申告が必要です。
年金生活者の場合も同様に、雑所得が20万円を超えるケースでは確定申告が必要です。
為替差益が発生するタイミングとは?

原則、為替差益は確定申告が必要ということが理解できたと思いますが、申告すべきタイミングはいつなのでしょうか。
例えば運用中の米ドルが円安によって為替差益が生じていても、それは「含み益」の状態であり、確定申告は不要です。「為替差益が確定した」段階、すなわち米ドルを日本円に換金した時点で確定申告が必要となります。
また、為替差損となった場合は申告不要ですが、他に雑所得があるケースでは為替差益との損益通算が可能です。
では、為替差益が発生する3つのタイミングを見てみましょう。
外貨預金を日本円に戻すとき
例えば米ドルを売却して日本円に換金した場合、売却時の金額が購入時より大きければ為替差益が発生するため、確定申告が必要です。
ただし、売却して日本円に戻したとしても、同日に同じ通貨を再購入した場合は含み益とみなされ、申告は不要です。同じ金融機関での再購入に限らず、別の金融機関で買い直した場合も同様です。
参照元:外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い|国税庁
今ある外貨預金を他の通貨にかえるとき
外貨預金している米ドルでユーロを買うなど、他の通貨に換えた場合も確定申告が必要です。米ドルを一度日本円に戻してユーロを購入したとみなされるため、為替差益が確定します。
外貨預金を使って他の商品を購入したとき
外貨預金で外貨建のサービスや商品を購入した場合も、為替差益が確定します。保有している外貨を売って日本円に換えたのち、この日本円でサービスや商品を買ったとみなされるためです。
外貨預金の確定申告方法とは?

では外貨預金の為替差益を確定申告するためにはどのような手続きが必要となるのでしょうか。
必要書類を集める
為替差益を雑所得として確定申告する際は、以下の書類を揃えましょう。
- 年間取引報告書
- 銀行・証券会社等が発行するレポートなど
- その他為替差益を証明する書類
これらの書類は確定申告書提出時に必要となる場合があります。電子申告(e-Tax)の場合は添付不要ですが、確定申告後も保管しておくと安心です。
確定申告書を作成
必要書類が揃ったら確定申告書を作成します。確定申告書はご自身で作成するか税理士に依頼するかの2パターンです。
ご自身で作成する場合は、確定申告ソフトを利用すると税額の自動計算ができるため、手計算よりも間違いが少なくなります。専用ソフトがない場合でも、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すればパソコンやスマートフォンで作成が可能です。なお、申告を税理士に依頼すると正確で安心ですが、費用が発生する点には注意しましょう。
確定申告書の書き方と為替差益の計算方法
外貨預金で得た為替差益は、確定申告書Bの1ページ目「所得金額等」にある「雑所得(その他)」の欄に金額を記載します。為替差益が雑所得に分類されるのは、その性質が特定の所得区分に該当せず、投機的・一時的な収入として取り扱われるためです。ただし、事業として行うサービスの提供などから生じる為替差益は「事業所得」として扱われます。
為替差益を計算する際は、払戻時の金額から預入時の金額を差し引いて算出します。なお、銀行で日本円と外貨を交換する際の交換レートには以下の2種類があり、それぞれ銀行の為替手数料が加味されています。
- TTS(Telegraphic Transfer Selling rate):円を外貨に替える際のレート
- TTB(Telegraphic Transfer Buying rate):外貨を円に替える際のレート
例えば、みずほ銀行で米ドルの外貨預金をする際の交換レート(2024年11月15日時点)は以下のとおりです。
- 日本円を米ドルに交換する際の交換レート(TTS):157.84円
- 米ドルを日本円に交換する際の交換レート(TTB):155.84円
- 仲値:156.84円
具体例として、10,000ドルを購入する場合、購入金額は1,578,400円です。
- 10,000ドル × 157.84円(TTSレート)=1,578,400円
一方、10,000ドルを日本円に替える場合の受取額は1,558,400円となります。
- 10,000ドル × 155.84円(TTBレート)=1,558,400円
仮に、購入後に1ドル170円(TTB)まで円安が進んだ場合、為替差益は以下のように計算されます。
- 10,000ドル × 170円(TTB)=1,700,000円(払戻時の金額)
- 1,700,000円(払戻時の金額)- 1,578,400円(預入時の金額) = 121,600円(為替差益)
なお、為替差益の取得に直接関係する費用、例えば為替手数料や取引手数料などがあれば、これらを必要経費として差し引くことができます。経費として計上する際は、領収書や取引明細などの証拠書類を保存しておくことが重要です。
確定申告書を提出
確定申告書が作成できたら税務署へ提出します。確定申告の時期は決まっているので、定められた期間内に必ず提出しましょう。提出方法は「税務署窓口へ持参」「郵送」「e-Tax(電子申告)」の3つがあります。
税務署窓口へ持参
税務署の受付時間に窓口へ提出する方法です。確定申告相談会や申告書作成会では職員に確認しながら提出できるため、手続きに不安がある方におすすめです。窓口の受付時間外には「時間外収受箱」への提出も可能です。
郵送
郵便局へ持参するかポストへ投函する方法です。普通郵便で問題ありませんが、書留や簡易書留で送ると安心です。なお、宅急便やゆうパックは信書扱いとならないため注意しましょう。
e-Tax(電子申告)
パソコンやスマートフォンで作成した確定申告書を電子申告する方法です。24時間いつでも提出ができるため、忙しい方にとって便利でしょう。
電子申告には、マイナンバーカードとカードリーダー、もしくは対応スマートフォンが必要です。初めて利用する場合は、開始届書を提出して利用者識別番号を取得しましょう。
提出書類の注意点
書面で提出する場合は、マイナンバーを確認できる書類や身分証明書の提示が必要です。郵送や時間外収受箱で提出する場合は、確定申告書にマイナンバー関連書類を添付します。
収受印の入った確定申告書の控えが必要な場合は、返信用封筒(宛名を記入し、所要額の切手を貼付)を同封しましょう。
個人事業主の方は…
個人事業主の方は、確定申告の際に経費の支払いを確認する書類が必要です。セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードで経費を精算しておくと、クレジットカードの利用明細が経費の支払いを確認する書類として利用でき便利なので、利用してみてはいかがでしょうか。
【セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードの主な特徴】
- 初年度年会費無料
- 引き落とし口座が法人と個人のいずれかを選べる
- 貯めたポイントを経費削減に充てられる
利用限度額 | ニーズに対応して限度額を設定 |
追加カード | 9枚まで無料で発行 |
優待 | ・600以上の都市、148以上の国や地域で1,300ヵ所以上の空港ラウンジを利用できる「プライオリティ・パス」に無料登録可能 ・セゾンプレミアムゴルフサービスがご優待料金11,000円(税込)で利用可能 など |
公式HP | セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードの詳細はこちら |

手続きで困ったら税務署や専門家に相談
外貨預金の為替差益があるにもかかわらず確定申告していないと、税務署から指摘される場合やペナルティが発生する恐れがあります。確定申告書の作成方法や手続きに不安がある方は、税務署や専門家に相談すると安心です。
外貨預金の確定申告で注意したいこと

外貨預金の為替差益を単に雑所得として申告すれば良いわけではなく、他にも注意点があります。
住民税の申告
確定申告は所得税を算出する手続きですが、原則として前年分の所得についての確定申告をした場合、住民税の申告も自動的に行われます。
ただし、次の条件に当てはまる場合は、別途住民税申告の手続きが必要です。
- 年末調整を行わずに退職した方
- 所得税の確定申告を行っていない方 など
住民税の申告を行わないと国民健康保険税などが正しく算出されず、課税(非課税)証明書や所得証明書を発行できない可能性があります。また、納付期限を過ぎると遅延した日数分の延滞金が加算されるため注意しましょう。
扶養控除・配偶者控除が受けられなくなる場合がある
扶養している子どもや配偶者が外貨預金を行っていて、年間の所得額が480,000円を超えると、配偶者控除や扶養控除を受けられなくなる可能性があります。為替相場は日々変動するため、為替差益を確定するタイミングには注意を払う必要があるでしょう。
他の理由で確定申告する場合は為替差益も申告
医療費控除の還付申請のために確定申告を行う方も多いでしょう。為替差益が発生しており、申告の必要がない条件に当てはまっていた場合でも、確定申告する際は全ての所得と控除を申告しなければなりません。したがって、医療費控除など他の理由で申告をする場合には、為替差益も含めた全ての所得を正確に申告しましょう。
手続きが面倒…申告しなくても税務署にバレない?

外貨預金の為替差益がある場合、確定申告しなければペナルティが課される可能性があります。確定申告を怠っても税務署にバレないと思われがちですが、実際には申告漏れが発覚する可能性が高いです。
法定調書で取引内容を把握
金融機関などの源泉徴収を行う組織は、税務署に法定調書を提出する義務があります。そのため、税務署は法定調書を通じて個人の為替差益や利息の状況を把握しています。為替差益の確定申告をしなくても見つからないと考えるのは危険です。
罰則を受けることも
確定申告が必要なのに申告を怠った場合、未払いの所得税に加え「延滞税」や「無申告加算税」を支払うことになります。
おわりに
外貨預金による為替差益は原則として確定申告が必要で、申告を怠るとペナルティを受けることが分かりました。
また、為替差益の発生するタイミングによっては、税額控除にも影響を及ぼす場合があります。一方で、為替差益があっても確定申告が不要なケースも存在します。
外貨預金のしくみや為替差益の確定申告方法を理解し、期限内に正しく申告するようにしましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。