株式投資のバイブルでもある「会社四季報」をご存知でしょうか。投資判断をする際、企業の情報を調べるために会社四季報を手にする方も多いかもしれません。
しかし、分厚い四季報を見てみても「どこを見ていいのかわからない!」「読み方がわからない!」という方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、初心者の方でもすぐに活用できる読み方のポイントをご紹介していきます。
1.四季報とは?
「四季報」とは東洋経済新報社が発行している日本の上場企業の情報をまとめたものです。一昔前までは本が主流でしたが、今ではオンラインでも四季報の情報を確認することができます。
そんな四季報ですが、大きく2種類あることをご存知でしょうか。
会社四季報
「会社四季報」は、主に投資家が会社の価値を判断するために多く使われているものです。四半期に1度のペースで発行されており「新春号(12月)・春号(3月)・夏号(6月)・秋号(9月)」に分かれています。
四季報に記載されている情報は、企業・証券会社どちらかの立場に寄るわけでもなく中立的な立場から分析した情報であるため、株式投資をする際の銘柄研究に多く使われています。
株式投資の際だけではなく、金融機関が顧客に情報を伝える際の参考にする場合や、企業がライバル会社を調べたりする場合などさまざまな場面で活用されています。
就活四季報
「就活四季報」は、就活生が会社の概要や採用について理解するために使われるもので、年に4回発行される会社四季報とは異なり、就活四季報は年に1回(例年11月末に販売)発行されます。
2.会社四季報に載っている情報
前述した通り、四季報は「会社四季報」と「就活四季報」の2種類に大きく分けられますが、今回は会社四季報を取り上げて解説していきます。
会社四季報には、大きく以下の企業の情報がまとめられています。
会社四季報の情報
①基本情報
②業績
③配当
④株主・役員・財務
⑤株価推移
①基本情報
基本情報として、社名や本社住所、電話番号、業種、従業員数などが記載されています。
②業績
業績は数字と文章でまとめられており、今後の予想をする上で重要な数値を知ることができます。
③配当
配当金は実際に株主が受け取った額と今後の予想が記載されています。そのため、株式分割や株式併合と照らし合わせて推移を確認することが可能です。
④株主・役員・財務
株主・役員・財務の項目は、企業の安全性や効率性、将来性を確認するうえで重要となります。
⑤株価推移
株価推移は月足のチャートで中期的な値動きを確認できるだけではなく、数字で過去の高値・安値などを確認することができます。
3.会社四季報の読み方
会社四季報のおすすめの読み方をご紹介します。
1)基本情報を確認する
投資判断をする上で、まずは「どんな会社なのか」「どんな事業を展開していてどのくらいの規模なのか」など基本情報を知る必要があります。
社名・業種・特色・事業内容・従業員・仕入先などの情報を確認しておきましょう。
2)業績を確認する
どんな会社なのかを基本情報を見て具体的なイメージができたら、次はその会社の業績を確認しましょう。会社の売上高が右肩上がりになっているか、利益がどれだけ出ているのかをチェックします。
業績記事には、会社の中長期の経営に関わる事項や経営課題、四季報の担当者が中立的な立場から今期や来期の業績を予想しコメントをしているなど参考になる情報が書かれています。
また、前号比や会社比も業績を確認する大事なポイントです。1株当たりの配当も同時に見られるため、投資家への利益還元もわかります。
3)安全性を確認する
財務状況は会社の安全性を知る重要指標です。業績が良くても安全性の高い企業かどうかはわかりません。そのため、投資をする際にはその会社が安全かどうかを知っておく必要があります。
具体的には大きく以下の3つの項目をチェックしておくといいでしょう。
ROE:会社の収益性を表す
自己資本比率:会社の安全性を表す
キャッシュフロー(CF):お金の出入りを表す
「ROE」について詳しくはこちらのコラムもぜひ合わせてご覧ください。
「キャッシュフロー(CF)」とは現金の出入りを表しており、現金が少ないと取引先や銀行への支払いが滞る可能性があるため注意が必要です。キャッシュフローは営業CF・投資CF・財務CFに分かれています。
■営業CF
企業の本業で得た現金の出入りを表しており、営業CFがマイナスだと本業がうまくいっていないという見方になります。
■投資CF
新しい事業を始めるための設備投資などをした際に出入りする現金を表しています。そのため、マイナスでも将来に向けて投資をしているという見方になり悪いことではありません。ただし営業CFのプラスよりも投資CFのマイナスが大きい場合は、手元の現金が無いことを表すため注意が必要です。
■財務CF
資金調達の現金の出入りを表しています。プラスだと借入などの資金調達をしたことになり、マイナスであれば借入金の返済や株主への配当を行っていると見ることができます。
また、「自己資本比率」は返す必要のないお金の割合を表しており、自己資本比率が40%以上と高い企業は財務が安定しているといわれています。
4)株価の値動きを確認する
株価チャートとは、これまでの株価の値動きを確認することができるもので、四季報の株価チャートは「月足(月毎の株価)」で表されています。また、株価指数から株式が割安か割高なのかを確認できます。
ここを確認する時に参考になるPER(1株当たりの純利益倍率)やPBR(1株当たりの純資産倍率)について、詳しくはこちらのコラムも合わせてご覧ください。
4.会社四季報を読むときの注意点
会社四季報を読む際には注意しなければならない点があります。
約3ヵ月前の会社の業績である
四季報に記載されている内容は約3ヵ月前の業績です。例えば6月中旬頃に発売される四季報の夏号は1月〜3月の情報です。企業の決算情報がまとめられてから四季報は作成されるため、リアルタイムの情報ではないことを覚えておきましょう。
しかし、リアルタイムの情報ではないからといって意味がないわけではありません。最新情報と3ヵ月前の決算情報を確認して、目標に対して上手く進捗しているのか、前期比は減少していないかなどをチェックすることでより細かく深い分析ができるようになります。
全てを網羅的に読まなくても良い
四季報には本コラムでご紹介した読み方のポイント以外にも、たくさんの情報が詰まっています。しかし、四季報の全てを読むのはなかなか難しいため、知りたい情報とポイントごとに情報を絞って読んでいくのがいいでしょう。自分に必要な情報を見極めて投資判断に役立ててみてください。
今後の業績を約束するものではない
これは会社四季報だけに限らずいえることですが、未来のことは誰も知り得ません。そのため、四季報に書いてある内容もあくまで「予想」と捉えておく必要があります。
おわりに
いかがでしたでしょうか?今回のコラムでは、株式投資のバイブルでもある「会社四季報」について概要や読み方のポイントをご紹介しました。
四季報は長年多くの投資家から活用されている情報誌です。始めのうちはどこを見ればいいのかわかりにくいかもしれませんが、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考に少しずつ読み進めてみてください。
投資総合スクールThe Gavelの公式YouTubeチャンネルでは、株式投資の基礎から実践までを動画でわかりやすく発信していますので、ぜひ気になる方はこちらも合わせてご覧になってみてください。