あなたの資産、大丈夫ですか?(その4)

URLをコピーしました。
あなたの資産、大丈夫ですか?(その4)

 「あなたの資産、大丈夫ですか?(その3)」では、資産形成におけるステップの現状把握、ゴール設定の次に行うこととして、「本当のリスク管理」の必要性をお話しさせていただきました。では具体的に何をするのが良いのか、このコラムでご説明します。 

1.リスク管理とは 

前回のコラムで、資産形成にあたり「何に投資するか」を考える前にすべきこと、すなわち「リスク管理」が大事だということをお伝えしました。では、リスク管理とは具体的に何をすれば良いでしょうか。まずは、自身の人生で起こりうるリスク、すなわち現在の生活や人生を壊しかねない事態を洗い出すことから始めるということになります。  

資産形成といってもさまざまなことがありますが、その中の1つであるお金についてのリスクを考えることから始めてみると良いでしょう。「お金について」といっても漠然としていますので、「お金について」場合分けをします。場合分けとは、具体的に私たちとお金との付き合いの場面を考えるということです。どのようなことが考えられるでしょうか。私は「入ってくること」、「出ていくこと」、「貯める・貯まること」、の3つになると考えています。「あなたの資産、大丈夫ですか?(その2)」でなぜこの3つになるかはお伝えしましたよね。したがって、人生を成り立たせるお金の3つの要素について考えていけば良いのです。  

まず、それぞれについてどのようなリスクがあるか洗い出します。些細なことでも構いませんので思い付いたことを書き出してみましょう。そしてそれらについて重要性(与える影響の度合い)を評価し、どのようにそのリスクを回避するか、つまり対策について考えるのです。これがリスク管理の一連の流れになりますが、イメージしづらい方のために、次章以降では例を挙げてご説明します。  

2.収入におけるリスク 

収入におけるリスク

では、お金が入ってくることについて具体的に考えてみます。お金が入ってくること、つまり収入についてはお金が入ってこなくなることがリスクです。では具体的に、お金が入ってこなくなるとは、どのようなことがあるか考えてみましょう。  

ざっと考えても以下のようなことが出てくると思います。 

  • 病気やケガで働けなくなる 
  • 勤務先が倒産する 
  • 解雇される 
  • 業績低下により支給額が下がる 
  • 雇用契約が切れる 

これは給与所得者という想定で考えたものです。もちろん、これ以外にも色々考えられると思いますし、給与所得者以外の方でしたら、これらとは異なるものが多く挙げられることでしょう。大事なのは、なるべく多くの事態を想定するということです。最低でも5つは挙げられるようになりましょう。多ければ多いほど対策も講じることができ、穴がなくなります。  

挙げられたら、それらについて重要性を評価しどのような策を講じれば良いかを考えてみましょう。今回の場合は、いずれも重要性が高いというものばかりになると思います。では次にこれらについて対策を考えてみましょう。  

病気やケガで働けなくなる、ということについては、生命保険がリスク回避の手段としては有効でしょう。生命保険は多くの方が加入されていることと思いますが、保険に加入しているから大丈夫と思うのは大変危険です。「あなたの資産、大丈夫ですか?(その3)」でお伝えしたように、ほとんどの方は、社会人になりたての頃、勤務先に来ていた保険会社の方にすすめられるがままに加入されているでしょうから、本当にその保険で大丈夫なのかは、改めて見直しをした方が良いでしょう。ファイナンシャルプランナーに見てもらったから、という方であっても、年齢とともに必要となる保障は変わり、気付かないうちに必要以上の保障が付いていたり、年齢が上がっていても同じ掛け金で保障の内容が大幅に良くなったりすることもありますので、定期的に見直しをかけることをおすすめします。  

勤務先が倒産したり解雇されたりして収入が得られなくなった場合は、雇用保険による給付金が得られますので、組織に属している限りは大丈夫でしょう。ただし、詳細は後述しますが、状況によっては注意が必要となります。  

このようにみると、「なんだ、結局保険に加入していれば充分じゃないか」、「保険を見直し、必要な範囲の保障を付けたから大丈夫」と思われるかもしれませんが、それで本当にリスクはカバーできているでしょうか。 

例えば、その保険会社の経営が破綻したらどうなるでしょう。現在は「生命保険契約者保護機構」により一定の契約者保護が図られますが、保険金額が減少する場合がありますし、契約している保険の種類、契約時期、加入の期間によっては保険金額の減少幅が大きくなることがあります。例えば、予定利率が高い時期に契約している保険は、そうでない場合に比べて保険金額の減少幅が大きくなるのです。「保険会社の経営が破綻することなんてあるの?」と思われるかもしれませんが、そういう方には、戦後、しかも1997年~2008年に8社が経営破綻をしているという事実をお伝えします。いずれの場合も契約引継会社が現れて保険契約は継続できていますが、今後も同じになるという保証はありません。もちろん、ソルベンシーマージン(保険金支払い能力)が200%を切ると金融庁が是正措置を勧告しますし、経営の健全性を保つ企業努力はされているものと思いますが、保険会社が破綻しないと思っていること自体がリスクだということを認識していただけたらと思います。  

3.保険以外の手段 

少し難しい話になりましたが、そうなると、収入を得られない場合に備えることとして、保険に入ること以外の対策を講じる必要があることに気付きますよね。どんなことが考えられるでしょうか。先を読み進める前に、少しご自身で考えてみてください。  

何か思いつきましたか?これはその人の状況によって異なり、これが正解とは言い切れないものです。ただ、ご自身が自身の状況などから導き出した答えであれば、それは正しいこともあるでしょう。  

ここで保険以外の手段として、考えられるものをお伝えします。  

それは複業です。副業ではなく、収入源を複数もつということで「複」業です。これからの時代、複数の収入源を持つ方がリスク分散が図れると思っています。万が一勤務先が倒産したり、解雇されたり、給料の支給額が下がったりしたとしても、他に収入源があればそちらでカバーすることが可能です。収入の合計額は減少しますが、ゼロになることはありません。もちろん、倒産や解雇の場合は雇用保険が適用され、給付金が支給されますので、実際収入がゼロになることはないのですが、被保険者であった期間(勤務年数)により給付日数が異なり、一番短い場合では90日間分しか給付されません。この間に次の仕事が無事見つかれば良いのですが、必ず見つかるという保証はありません。 

私がおすすめするのは、夫婦であればどちらもが本業を持つということです。税金の優遇措置のために130万円以内に収まるパートをどちらかがなさるというケースがありますが、生活を豊かにするために働くはずのところ、税金を払いたくないという理由が優先されてしまっており、これは本末転倒ではないかと思います。夫婦二人がそれぞれに本業を持つことで、一家庭に収入ラインが2つできます。リスク分散ということからいえば、別の勤務先が良いでしょう。できれば、さらに収入源を最低でも1つ作り、収入が得られないことへのリスク分散を図った方が良いと思います。 

話は少しそれますが、収入を増やしたいということで副業をされる方が増えています。2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、その中で、副業・兼業を認める方向で就業規則等を見直すことが望ましいとされたことにより、副業を解禁する企業が増えてきたことも原因の1つだと思います。収入を増やしたいということで副業をされる人の中で、副業で本業を上回る収入を得ようとする方を見かけるのですが、思っているほど簡単ではないことをお伝えしたいです。本業には時間的にも体力的にもかなりのものを注ぎ込んでいるでしょうから、空いた時間と体力で行うのは難しいものがあります。副業をいずれ本業にしようという想いがあれば話は別ですが、相応の覚悟が必要でしょう。また、高収入を得られる仕事は高いスキルが求められることが多いため、スキルを磨きスキルアップを図る必要があります。 

いかがでしたでしょうか。実際にご自身のまわりに潜むリスクについて考えるきっかけとなれば幸いです。 

岡部達磨公式サイト