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自分に合った歯ブラシの選び方を学んで、歯磨き習慣を見直そう

自分に合った歯ブラシの選び方を学んで、歯磨き習慣を見直そう
セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

歯科に関しても予防医療の考えが徐々に広まっていますが、いまだ日本人は口の中の健康にあまり意識が向いていないといわれています。口腔内は食事を含め、外から色々なものが入るところなので、体内でもっとも病気になりやすい部位です。しかも日本では成人の約8割が歯周病にかかっており、重症の方も多いといわれています。口腔内の健康を考えるなら、歯ブラシ選びを始めとする歯磨き習慣を今すぐ見直しましょう。

歯ブラシを選ぶ前に

ヨーロッパでは「インテンシブケア」というライフスタイルが広まっています。これは、自分に合った道具で、より効果的に楽しみながら健康に生きようというものです。オーラルケアが盛んなドイツでは、歯ブラシ選びも重要視している方が多いそうです。

ただ、ハイスペックな掃除機を思い出してください。機能がたくさん備わっていても、丸く掃除していたら四隅にゴミが溜まったままです。つまりどんなに機能的な歯ブラシをもってしても、磨き方が雑ならば意味がありません。理想的な歯磨きはプロセスがもっとも大事であるということを意識しましょう。

また日本人は朝と晩、同じ1本の歯ブラシを使っている方が多いと思いますが、ヨーロッパでは1週間で平均6~8種類のオーラルケア用品を使い分けしています。つまり、歯ブラシ選びは自分に合う究極の1本を探すことが重要ではないということです。色々な歯ブラシを組み合わせることが、口腔内をしっかり清掃するコツになります。

歯ブラシの構造

歯ブラシの構造

複数ブラシを上手に使い分けるためにも、歯ブラシについての知識を深めておきましょう。歯ブラシはヘッド、ネック、ハンドルに分かれています。

ヘッド

歯ブラシの先端部分、毛が植えてある部分をヘッドと呼びます。ヘッドは長さ、幅など、商品によって細部まで異なります。

  • 長さ…長いものほど一度に広範囲に磨けるが、奥歯や歯並びが悪い方には不向き。小さめのヘッドは細かい部分まで磨けるものの、磨き残しなく丁寧に磨く必要がある
  • 幅…幅広ブラシやスリムタイプなどがある。幅広は表面磨きに安定感があり、スリムタイプは歯面のすみずみに毛を当てやすい
  • 厚み…薄型ヘッドは小さい口の方に適しており、また奥歯まで届きやすい

〈おすすめ〉ヘッドは親指の第一関節の幅と同じくらい、前歯2本にぴったり合う長さのものからまず選んでみましょう。

ネック

歯ブラシのヘッドと持ち手の間にある中心部をネックと呼び、ストレート、アングル、オフセットの3つの形に分類されます。ストレートはその通りまっすぐな形状。加える力とヘッドの動きが一体なので、思った通りの清掃が叶います。外側にやや曲がったアングルタイプは、奥歯などが磨きやすくなっています。オフセットは優しいブラッシングを実現し、磨き過ぎを防止します。

〈おすすめ〉歯磨き時は口腔内をどうしても傷つけやすくなります。ヘッドが後ろに倒れているオフセットタイプは、口腔内が敏感になっているシニアの方にも安心です。

ハンドル

手で持つ部分をハンドルと呼び、細いもの、太いもの、滑りにくいラバー加工が備わったものなどがあります。しっかり握る方は太めのハンドル、ペングリップ(えんぴつの持ち方)で磨く方は細いタイプが扱いやすいでしょう。

〈おすすめ〉ハンドルの長さが自分の手に合ってないと歯磨きしにくくなるので、握ってみて操作しやすいものを選びましょう。例えば手が小さい方は、短いハンドルから試してみてください。

歯ブラシ毛のポイント

歯ブラシ毛のポイント

歯ブラシを選ぶ際は裏表示も確認し、ブラシの材質などをチェックしましょう。1本使いが常識の日本人のために開発された日本製の歯ブラシは、短い毛と長い毛の混合など、複数の機能が備わっているものも多くあります。

毛の硬さ

歯ブラシ1本あたりの植毛数は800~1000本ですが、近年では5000本、1万本、2万本の超高密度植毛の製品もあります。ナイロンや弾力性のあるPBT(飽和ポリエステル樹脂)、シリコン毛などさまざまな材質が使用されています。毛の硬さは「かため」「ふつう」「やわらかめ」に分けられます。ブラシの圧力検査が昔基準のままで、現代の素材に合っていないため、表面には「やわらかめ」と表記されていても、実は裏面の家庭用品品質表示には「かため」と書かれていることがあります。

形状

ブラシ毛の形状は個性豊かです。平らな毛先で歯面を磨きやすい「フラット型」、歯と歯の間に入り込みやすい「山型」、中央が盛り上がり、歯と歯ぐきの境目にフィットしやすい「ドーム型」などが定番の形です。またドーム型は歯ぐきのマッサージにも使用できます。

毛先の形

「ラウンド毛」「先細毛」「先端分岐毛」などがあります。ラウンド毛は先端が太めになっており、歯ぐきを傷つけにくくなっています。根元から先端にかけて細くなる「先細毛」は歯周ポケットの汚れをかき出すための設計です。「先端分岐毛」は枝毛のように毛先が分かれており、歯磨きの成分を細かい部分にまで届けることもできます。

歯ブラシの使い分け

歯ブラシの使い分け

歯をキレイに保つためには、歯ブラシはもちろん、口腔ケア用品の複数使いがおすすめです。だからといって、忙しい朝に2、3本の歯ブラシの使用を習慣にしましょう、ということではありません。

まずは朝と夜、異なる歯ブラシを使用することから始めましょう。歯の磨き方にはクセがあり、同じ歯ブラシだと同じところしか磨けません。朝と晩で違うブラシを使うだけでも、違った部位をキレイにできます。

用意したいオーラルケアグッズ

  • 手用歯ブラシや電動歯ブラシ、毛の長いもの、柔らかいもの、先細りのものなど、色々なタイプの歯ブラシを用意してみましょう。
  • ワンタフトブラシ…ブラシ部分がひとつの束になっており、先端が三角形の部分清掃用です。通常のブラシでは磨きづらい奥歯や歯の裏側などにアプローチできます。ヨーロッパでは日常的に使用する歯ブラシとして確立されています。
  • その他…歯磨剤、フロス、歯間ブラシ、舌ブラシ、リンスなど。

ドラッグストアなどでは、さまざまなオーラルケアグッズが販売されています。今まで使ったことのないものを使ってみるのも良いかもしれません。ご自分にあったグッズを探してみましょう。

朝:虫歯予防対策を

日本人の歯磨き平均タイムは約70秒といわれています。特に忙しい朝はより短めになっているのではないでしょうか。歯磨き時間が十分にとれないときは横幅ヘッドの歯ブラシが活躍します。日本特有のカタチで、歯ブラシが上手でない方でもしっかり磨くことができます。

また、朝起きたときの口の中は細菌が増えている状態なので、歯磨剤は虫歯予防効果のあるフッ素入りを選びましょう。特に夏は汗が出る分、唾液量が減るため口臭が強くなりやすいです。口臭の原因となる舌苔を取り除く舌ブラシなどを用いてケアしましょう。

夜:歯周病予防対策を

歯周病とは、歯と歯ぐき(歯周ポケット)に入り込んだ細菌が歯肉炎をおこし、歯を支える骨が溶けることによって起こる疾患です。歯周病を防ぐことが、歯の健康を維持する要になります。寝ている間、口の中の細菌繁殖を軽減するために、夜は丁寧な歯磨きを心がけましょう

長短毛の加工が施されたもの、毛が細く毛量多め、先細りのブラシなど、歯周ポケットの隙間に入り込む形状の歯ブラシが理想です。さらに歯周ポケットに歯ブラシを密着させるために、ペングリップで持って45度の角度で磨くようにしましょう。

またスウェーデン流の歯磨きでは、ワンタフトブラシで歯一本一本を丁寧に磨き、通常の大きな歯ブラシはいちばん最後の仕上げ磨きとして薬剤を塗り広げていくようなイメージで使用するのが日課です。そのときの歯ブラシは、薬剤を歯にしっかり届けることができる接地面が広い、ラウンド毛タイプを使用しています。

歯磨きの際、いちばん最初に歯ブラシで汚れをオフすることが習慣になっている方も多いかもしれませんが、オーラルケアグッズの使う順番を変えてみるのも得策です。例えば歯ブラシと同じ材質でつくられたフロスは、通常は歯磨き後に取り切れていない汚れを取るために使用しますが、歯磨き前のステップに取り入れることで歯磨剤の薬剤を行き渡りやすくする効果が期待できます。

その他

  • 歯並びの悪い方…磨き残しが多くなりやすい歯並びの方は、ワンタフトブラシをいつもの歯磨きにプラスしましょう。
  • 知覚過敏の方…歯や歯ぐきへの刺激を極力抑えたいので、柔らかく毛が密集した歯ブラシがおすすめです。

歯ブラシにまつわるQ&A

歯ブラシにまつわるQ&A

何気なく使っている歯ブラシで、口腔内を荒らしていることがあるかもしれません。歯ブラシの間違った使い方などを見直しましょう。

歯ブラシの交換時期は?

日本人の歯ブラシの使用期間は長いといわれ、年間の使用量は4.5本ほど、3ヵ月に1本の割合で使用しています。歯ブラシは使い続けるうちに雑菌が繁殖します。また毛先が広がったブラシは歯磨きの作用が低下するうえ、歯ぐきにダメージを与える原因です。1ヵ月ごとの交換を目安にしましょう

歯ブラシの洗浄法は?

ブラッシング後は、流水でしっかりすすぎ、ブラシ部分を揉み洗いします。植毛部に付着した汚れを見逃さずに落としましょう。歯ブラシの毛をきちんと乾燥させることも大事です。

歯科のクリーニングに行くべき?

歯の磨き方にはクセがありますし、磨き残しは必ずあります。健康な歯をキープするためにも、歯科衛生士などプロの手によるクリーニングを定期的に行いましょう。

まとめ:歯ブラシを使い分けて磨き残しゼロに!

まとめ:歯ブラシを使い分けて磨き残しゼロに!

歯の健康を見つめ直す啓蒙活動が昨今盛んになっています。厚生労働省と日本歯科医師会による「8020(ハチマルニイマル)運動」をご存知でしょうか。これは、「80歳で20本以上の自歯」を目指す取り組みです。スタート当初の1989年は「8004」だったそうですが、2022年には8020の達成者は51.6%という結果が報告されています。歯ブラシの使い分けは、今すぐにでもできる口腔ケアのひとつです。磨き残しを減らし、健康な口腔をキープしましょう。そして「8020」を目指しましょう!

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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