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デスクでできる!オフィスストレッチで仕事中の不調をリセットしよう

デスクでできる!オフィスストレッチで仕事中の不調をリセットしよう
森川 稔之 (パーソナルトレーナー)

監修者

パーソナルトレーナー

森川 稔之

プロサッカー選手やラクロス選手など、多くのアスリートへの指導実績を持つ。その経験をもとに、オフィスワーカーにも「疲れにくく美しい姿勢を手に入れるためのオーダーメイドなメソッド」を提案している。また、代々木上原のストレッチやコンディショニングの施設「SuGoRAKU」のプロデュースも行っている。

朝から晩まで座りっぱなしのデスクワーク。気づけば肩はガチガチ、腰は重くて、目もショボショボ…。そんな不調を感じていませんか?「運動しなきゃ」と思っても、仕事中にジムに行くのはさすがに難しいですよね。でも、ちょっとしたストレッチなら、デスクにいながらでもできるんです。

本記事では、パーソナルトレーナー森川稔之(もりかわとしゆき)さんに、ストレッチの「効果」「すぐ実践できる動き」「継続のコツ」までを、分かりやすく教えていただきました。肩こりや腰痛、眼精疲労など、日々の“プチ不調”をこまめにリセットして、快適に働ける身体を目指しましょう。

なぜオフィスでのストレッチが必要なの?

なぜオフィスでのストレッチが必要なの?

デスクワーク中心の働き方が増える中、体を動かす時間は意識しないとどんどん減ってしまいがち。長時間同じ姿勢を続けることは、肩こりや腰痛、目の疲れなどさまざまな不調の原因になります。だからこそ、こまめなストレッチで“滞り”をリセットする習慣が大切です。

座りっぱなしが体にもたらすリスク

長時間の座り仕事は、血流の低下や筋肉の緊張を招きます。特に首・肩・腰まわりは、ほとんど動かさないことで硬直しやすく、痛みやだるさの原因に。

さらに、足のむくみ眼精疲労も重なれば、集中力やパフォーマンスにも影響が出てしまいます。

ずっと同じ姿勢をとっていると、体の一部に“過緊張状態”が生まれやすくなります。肩や腰、ふくらはぎなどに無意識に力が入り続けることで血流が悪くなり、結果的に不調が出てきやすいんです。
特に、姿勢が崩れてくると呼吸が浅くなってしまいがち。そうすると自律神経のバランスが乱れて、だるさや肩こり、腰痛などにつながっていきます
呼吸が浅い=酸素がうまく取り込めないことで“なんとなくぼーっとする”とか“集中できない”という感覚にも影響するので、意識的に姿勢を正したり、深呼吸をするだけでもリセットの一歩になりますよ。

オフィスワークで気をつけたい「3大不調」とは?

長時間同じ姿勢でパソコン作業を続けるオフィスワークでは、「肩こり」「腰痛」「目の疲れ」といった不調を訴える方が少なくありません。

その原因には、姿勢の乱れ血行不良呼吸の浅さなどが密接に関係しています。

【肩こり】姿勢の崩れと浅い呼吸が引き金に

猫背や前かがみの姿勢が続くと、自然と呼吸が浅くなり、自律神経のバランスが崩れやすくなります。

呼吸が浅くなると、交感神経が優位な状態が続いてしまい、肩まわりの筋肉がこわばりやすくなります。呼吸の浅さによって緊張状態が続くと、肩こりだけでなく全身の疲労感にもつながります。

【腰痛】骨盤の歪みや“反り腰”が影響

腰痛の大きな原因のひとつは、「骨盤の歪み」「長時間同じ姿勢による血行不良」です。

特に女性は筋力バランスの関係で“反り腰”になりやすく、腰まわりの筋肉に過度な負担がかかりがちです。 椅子に浅く座って背中を反らせるような姿勢が続くと、じわじわと腰に痛みを感じやすくなります。

【目の疲れ】集中しすぎると“目も緊張”する

画面を凝視する時間が長くなると、無意識のうちに瞬きの回数が減り、目の筋肉が“ずっと同じ姿勢”で緊張状態になります。

モニターに集中しすぎると、脳や身体が“オン”になったままで、交感神経が過剰に働きます。その結果、肩や腰はもちろん、ふくらはぎや足先まで力が入ってしまう“全身の過緊張”が起こります。この緊張状態は、さらに呼吸を浅くさせ、自律神経を乱し、疲労感を助長する悪循環を生み出します。 だからこそ、「今ちょっと力が入りすぎてるかも」と気づいたときに、深呼吸をして一度リセットすることがとても重要なのです。

ストレッチによる作業効率アップの効果も期待できる

ストレッチには血流を促進する効果があり、脳への酸素供給もスムーズに。気分転換にもなり、午後のパフォーマンス向上にもつながります。

最近では『アブセンティーイズム』と『プレゼンティーイズム』という考え方が、企業の“健康経営”の中でも注目されています。
アブセンティーイズムとは、体調不良などで出社できない状態のこと。これまではこの“欠勤”が大きな問題とされてきましたが、今はそれ以上に、出勤しているけれど体調不良などで集中できず、生産性が著しく落ちている状態であるプレゼンティーイズムが問題視されています。
実はこの“出社しているけど働けていない”という状態が、会社にとっても本人にとっても非常にもったいないんですね。
だからこそ、集中力を高めるための環境づくりや、こまめなストレッチなどでコンディションを整えることが、仕事の質そのものを底上げすることにつながると考えています。

すぐできる!部位別・簡単オフィスストレッチ

すぐできる!部位別・簡単オフィスストレッチ

仕事中にたまったコリやだるさは、ちょっとした動きで軽減できます。

この章では首や肩など気になりがちな部位ごとに、すぐできる簡単なストレッチを紹介します。デスクワークの合間に取り入れて、気分もリフレッシュしましょう。

首側面のストレッチ

<やり方>

  1. 椅子にきれいな姿勢で座る。
  2. 片側の肩を上げる。
  3. 上げている肩の反対側の手を頭の上に置く。
  4. そのまま首を写真のように横に倒す。
  5. ゆっくり3回深呼吸をする。
首側面のストレッチ-1

ポイント

  • 反動をつけずに、ゆっくりと伸ばしましょう。
  • 常によい姿勢を保つことを心がけて。

肩甲骨・肩まわしのストレッチ

<やり方>

  1. 椅子にきれいな姿勢で座る。
  2. 両肩に手を置く。
  3. 肩を中心に大きな円を描くように回し、肘を後ろに引く。
  4. 肘を正面まで戻し、、反対回しを行う。
  5. ゆっくり呼吸をしながら10回繰り返す。
肩甲骨・肩まわしのストレッチ
首側面のストレッチ-2
首側面のストレッチ-3
首側面のストレッチ-4

ポイント

  • 肩だけでなく、肩甲骨から動かすようにしましょう。
  • 肘が後ろにいった際に腰がそらないように注意しましょう。

お尻のストレッチ

<やり方>

  1. 椅子にきれいな姿勢で座る。
  2. 片側の足首を反対側の膝の上に乗せる。
  3. 乗せている脚の膝をなるべく床と平行になるようにする。
  4. 背中をまっすぐにしたまま、お辞儀をする。
  5. ゆっくり3回深呼吸をする。
お尻のストレッチ-1
お尻のストレッチ-2
お尻のストレッチ-3
お尻のストレッチ-4

ポイント

  • 背中が丸まらないように注意しましょう。
  • 両方の坐骨に体重が乗るように心がけましょう。

目にも“利き目”がある?偏りに気づくための簡単チェック

実は、顔を動かさずに左右に目だけを動かすと、左右のどちら側かが見えにくいと感じることがあります。これは目の使い方に左右差があるり、どちらか一方の目を優先して使っているサイン。親指やボールペンを視線の先で動かしてみると、自分の“利き目”に気づくこともあります。


こうした偏りは姿勢のゆがみや肩こりにもつながることがあるため、眼球を大きく動かすストレッチは、デスクワーク中の“目のリセット”として効果的です。

オフィスでも無理なく続けるストレッチのコツ

オフィスでも無理なく続けるストレッチのコツ

デスクワークで体が固まりがちな毎日。とはいえ、忙しい業務の中で「ストレッチをする時間なんてない」と感じている方も多いかもしれません。

しかし、ほんの1〜2分の“ちょっとした工夫”で、身体をリセットする時間はしっかり確保できます。

ここでは「周囲を気にせず」「服装やスペースに左右されず」にできる、取り入れやすいストレッチのコツをご紹介します。

服装やスペースに合わせたストレッチを

たとえばジャケットを着たままでもできる肩まわりのストレッチや、座ったままでできる手首・首の簡単な運動なら、周囲の目も気になりません。

限られたスペースでも無理なくできるよう、「肩をすくめて下ろす」「ゆっくり首をまわす」など、動きが小さくて済む“ミニストレッチ”を選ぶのがポイントです。

「ながらストレッチ」で日常の動きにプラス

ストレッチを習慣化するうえで大切なのは、“特別なこと”にしないこと。

メールの返信中に首を回す、スタンディングデスクの合間に軽いスクワットをするなど、日常の動作に自然に組み込む「ながらストレッチ」なら、忙しいときでも無理なく続けられます。

45分作業したら1〜2分ストレッチ」といったリズムを決めておくのも効果的です。

可視化とリマインダーで「やってない」を防ぐ

ストレッチを継続するには、自分に“気づかせる”仕組みをつくることも大切です。

たとえば、モニターの横に付箋を貼って「今日はこのストレッチをやる」と書いておく、ToDoリストとは別に“身体メンテナンスリスト”を作っておく、などの工夫が有効です。
また、スマートウォッチなどの通知機能を使って「そろそろ立ちましょう」というアラームに合わせて身体を動かすのも、習慣化の後押しになります。

「気持ちがいい」から自然と続けたくなる

義務感ではなく、“気持ちいいからやる”というマインドへの切り替えが、無理なく続ける最大のコツです。

ストレッチの前後で「今日はこっちの肩が硬いな」「動かしたら少し視界がクリアになった」など、自分の変化に気づけると、「やってよかった」という実感につながります
ストレッチをToDoとしてこなすのではなく、“自分を整える時間”として捉えてみてください。

まとめ:ストレッチで毎日の働き方をもっと快適に

まとめ:ストレッチで毎日の働き方をもっと快適に

長時間のデスクワークで身体も心も固まりがちな現代人。でも、ほんの1〜2分のストレッチで、身体のこわばりや疲れは思った以上に軽くなります。

同じ仕事をするにしても、自分の身体のコンディション次第で、その“感じ方”や“成果”はまったく違ってくるものです。
疲れた状態のまま無理を重ねても、結果として効率も質も下がってしまいがち。
だからこそ、仕事の振り返りと同じように、身体の状態もこまめに振り返って整えていくことが大切です。
ストレッチを1日や2日やっても劇的に変わるわけではないかもしれませんが、1ヶ月、3ヶ月と続ける中で、確実に“調子がいい日”が増えていく実感が持てるはずです。
まずは1時間に1回、短時間でもいいので、立ち止まって“自分の身体”に目を向けてみてください。ストレッチは、そんな“働く自分の土台”を整える、いちばん手軽で効果的な方法の一つです。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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