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冬の光熱費がグンと下がる!暖房費の節約につながるポイントとコツとは?

冬の光熱費がグンと下がる!暖房費の節約につながるポイントとコツとは?
神原 サリー

監修者

家電ライフスタイルプロデューサー

神原 サリー

家電ライフスタイルプロデューサー。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、東京・広尾の「家電アトリエ」をベースにテレビやラジオ、雑誌やウェブなどさまざまなメディアで情報発信中。商品企画やコンサルティングの仕事も多数。公式YouTubeチャンネル「神原サリーの家電アトリエchannel」も好評。睡眠改善インストラクターの資格も取得。

冬になると毎年のように頭を悩ませるのが、高騰する暖房費。電気代やガス代の請求書を見て、「こんなに使った覚えはないのに…」と驚いた経験がある方も多いのではないでしょうか。しかし、ちょっとした工夫や見直しで、寒さを我慢することなく暖房費をグッと抑えることが可能です。

本記事では、今日からすぐに実践できる暖房費節約のポイントとコツを、家電ライフスタイルプロデューサー・神原サリーさんに分かりやすく解説していただきました。

暖房費が高くなる原因とは?

暖房費が高くなる原因とは?

冬になると家計を圧迫する暖房費。その主な原因は「使う時間の長さ」や「温度設定」だけでなく、住宅の断熱性や機器の効率にも関係しています。ここでは、暖房費がかさむ理由を分かりやすく解説します。

なぜ冬は光熱費が跳ね上がるのか

夏の冷房よりも、冬の暖房のほうが電気代が高い─。そう感じる人は少なくありません。これは単なる印象ではなく、温度差の大きさエネルギーの使い方に理由があります。

まず、冷房が「暑い空気を数度下げる」作業であるのに対し、暖房は「外気温が10度以下、時には氷点下の状態で、室温を20℃前後にまで上げる」という行為です。その必要とするエネルギーは段違いで、寒冷地では特に負担が大きくなります。

冬に光熱費が上がるのは、外気温が低く室内との温度差が大きいため熱が逃げやすく、暖房の稼働時間や負荷が増えるからです。さらに日照時間が短く照明の使用が増えることや、水温が下がることで給湯に多くのエネルギーが必要になることも重なり、光熱費が高くなります。

そして見落とされがちなのが、住宅の断熱性能。窓や壁、床から熱が逃げやすい家では、せっかく温めた空気がすぐに外に漏れてしまい、暖房機器がフル稼働になりがちです。結果、設定温度を上げたり、使用時間が延びたりすることで、さらに光熱費が増えていきます。

今日からできる!暖房費を節約するポイント6選

今日からできる!暖房費を節約するポイント6選

寒さを我慢せずに、暖房費を無理なく抑えるコツは意外と身近なところにあります。ここでは、今すぐ実践できる節約術を6つのポイントに絞ってご紹介します。

暖房の設定温度を見直す

暖房時の設定温度を高くしすぎていませんか?夏の冷房時と同じ感覚で「28℃設定が快適」と思い込んでいる方もいますが、暖房における快適温度の目安は20℃前後。実際、設定温度を1℃下げるだけで年間の電気代が数%変わるともいわれています。

例えば、25℃設定を20℃に見直すだけで、体感温度は少し下がるものの、そのぶん膝掛けやブランケットを使うことで快適に過ごせるようになります。

また、厚着をしたり、足元に部分暖房をプラスするなど、体感温度を工夫して上げる方法も有効です。20℃設定に慣れると、意外と心地よく、むしろ乾燥もしにくくなるというメリットも。

寒いからといってエアコンの高温設定にだけ頼るのではなく、「自分が温まればOK」という感覚で暖房を使い、無理のない節約を心がけましょう。

暖気を逃がさない「断熱・遮熱」対策

どんなに効率のよい暖房器具を使っても、室内の暖かい空気が外に逃げてしまっては意味がありません。特に冬は、窓や玄関、換気口などから熱がどんどん逃げてしまい、暖房効率が下がる原因に。「断熱・遮熱」は、冷暖房問わず一年中大切な住まいの基本対策です。

特に効果的なのが、窓まわりの見直しです。厚手のカーテンを床までしっかり下ろすことで、冷気の侵入と暖気の流出を防ぐことができます。その際は遮熱・断熱機能付きのものを選ぶのがおすすめです。最近はデザイン性の高いものも多く、部屋の雰囲気を変えたいときにも効果的です。

また、断熱シートを窓に貼る方法もありますが、見た目が気になるという場合は“目に触れにくい工夫”としてカーテンの活用が手軽で有効です。北側の部屋や冷えが気になる場所には、カーテンの裏地を付けたり、2重にすることで保温性がさらにアップします。

さらに注意したいのが「結露」です。断熱材やシートを使うと、窓との間に湿気がこもりやすくなるため、こまめな換気や結露のふき取りも忘れずに。暖気を逃さず、快適さをキープするには、こうした“熱を溜めて守る”習慣づくりがカギになります。

加湿で体感温度を上げる

室温は20℃あるのに、なぜか寒く感じる…。そんな時は湿度が足りていないのかもしれません。空気が乾燥していると、私たちの肌や粘膜からどんどん水分が奪われ、体感温度は実際の気温より2〜3℃も低く感じてしまうことがあります。

そのため、加湿は“暖かさを感じる”ためにとても重要なポイント。湿度を50%ほどに保つことで、同じ室温でも体感はぐんと快適になります。暖房の設定温度を必要以上に上げずに済むため、光熱費の節約にもつながるのがメリットです。

加湿器を活用するのはもちろん、部屋の一角に濡れたタオルを干すだけでも効果があります。寝室など、狭い空間ならこの方法でも十分な加湿が期待できます。また、エアコンの風が直接当たる位置に干すと、自然な加湿と空気の循環が同時に行えるため、効率よく乾燥を防げます。

ただし、加湿のし過ぎは結露やカビの原因になることも。必要以上に加湿せず、湿度計を使って適切な数値を確認しながら調整するのがおすすめです。

家電・暖房器具の使い分けを工夫する

シーンに合わせて家電や暖房器具を使い分けることが、暖かさと節約を両立させるポイントです。

例えば、朝の短時間だけキッチンに立つときには、エアコンでの全体暖房よりも足元の電気ストーブや電気マットのほうが効率的。エアコンは部屋全体を暖めるには適していますが、ピンポイントでの使用では余計な電力を使ってしまうこともあります。

また、こたつや電気毛布などの“部分暖房”は消費電力が比較的少なく、体を効率よく温められるのが魅力。とくに在宅ワークやテレビを観る時間など、長時間同じ場所にいるときは、全体暖房よりも局所暖房の方がコスパが良いケースもあります。

ただし注意したいのが、つけっぱなしによる無駄な電力消費や、消し忘れによる安全リスクです。最近は人感センサー付きの暖房器具も増えており、人がいるときだけ運転するタイプなら、省エネと安全の両方が叶います。

節電グッズ・節約アイテムを活用する

節電グッズや省エネアイテムを上手に活用することも、節電には外せないポイント。

エアコンを効率的に使うなら、サーキュレーターの併用がおすすめです。暖かい空気は天井付近にたまりやすいため、部屋全体の空気を均一に保ち、暖房効率をアップするには床に置いたサーキュレーターで風を上向きに送ることが有効です。

また、こたつ布団の下に敷く「中敷き」や「断熱マット」も、熱が床に逃げるのを防ぐので、こたつ内の保温力がぐんと上がり、弱運転でも暖かさをキープしやすくなります。

便利な節電アイテムは家電量販店やネットでも多数展開されています。デザイン性に優れたものも増えており、暮らしに自然に取り入れられるのも魅力です。暮らしにフィットするアイテムを選び、冬の電気代をかしこくカットしましょう。

暖房の「タイミング」と「場所」を絞る

常に全室を暖めるのではなく、「今いる部屋だけ」に絞って暖房を使うことも有効です。また、帰宅前にエアコンのタイマーを設定したり、入浴前後の短時間のみ浴室暖房を使うなど、タイミングを工夫することで、無駄なエネルギー消費を防ぐことができます。

「朝の支度だけ」「夜寝る前だけ」など、暖房が必要な時間帯が限られている場合は、タイマー機能の活用もおすすめ

短時間だけ集中して暖めたいときは、即暖性のある電気ストーブを使い、長時間使う部屋ではエアコンやこたつを併用するなど、“シーンごとに暖房を選ぶ”意識が節約につながります。

そしてもうひとつ大切なのが、「つけっぱなし」が必ずしもNGではないということ。エアコンは起動時に最も電力を消費するため、こまめにオン・オフを繰り返すと、かえって効率が悪くなることも。短時間の外出であれば運転を続けておいた方が、結果的に電力を抑えられるケースもあります。

ライフスタイルに合わせて、“必要な時に、必要な場所だけ”を暖めるように心がけましょう。

暖房器具別のおすすめ節約術

暖房器具別のおすすめ節約術

暖房器具ごとに特徴や電力消費は異なるため、使い方を工夫することで節約効果も大きく変わります。ここでは、代表的な暖房器具別におすすめの節約術をご紹介します。

エアコンの場合:こまめなフィルター掃除と風向き調整を

エアコンを効率よく使うための基本は、フィルターのこまめな掃除風向きの見直しです。フィルターにホコリがたまると風量が落ち、暖まりにくくなって消費電力が増えてしまいます。

特に冬は布団や衣類から出る細かいホコリが多く、月に2〜3回の掃除が理想的。自動お掃除機能がついていない機種を使っている場合は、意識的に定期的な清掃を行いましょう。

また、風向きの調整も重要なポイント。暖かい空気は上にたまりやすいため、フラップを下向きに設定して足元から暖めるのが効果的です。加えて、サーキュレーターを上向きに回して空気を循環させると、天井付近にこもった暖気を部屋全体に行き渡らせることができます。

電気ストーブ・ファンヒーター:使用時間を最小に

電気ストーブやファンヒーターは、スイッチを入れるとすぐに暖かさを感じられる即暖性の高い暖房器具。寒い朝のキッチンや脱衣所など、「短時間だけ暖を取りたい場面」では非常に便利です。

ただし注意したいのが、消費電力の高さ。特に電気ストーブは1,000Wを超える製品が多く、長時間の使用では電気代がかさみます。また、ファンヒーターも石油式・ガス式に比べて電気式は割高になりやすく、“暖めすぎ”による過剰なエネルギー消費に注意が必要です。

そのため、こうした機器は「部分的・一時的な補助暖房」として使うのがベスト。朝の身支度中や帰宅直後の短時間だけ使い、そのあとはこたつやエアコンなどの省エネ性の高い暖房に切り替えると効果的です。

こたつ:部分的に温める効果的な使い方

部屋全体を暖めるのではなく、「自分がいる場所だけを暖める」部分暖房は、効率よく暖かさを感じられる省エネ術のひとつです。特にこたつは電気代が非常に安く、腰から下を効率的に温められる優秀な部分暖房

ただし、つけっぱなしによる電力の無駄や安全面・健康面への配慮も必要です。特に「洗濯物を入れて乾かす」「寝具のように使う」「人がいないのに運転し続けている」といったケースは避けたいところ。

最近では、人感センサー付きこたつやタイマー自動オフ機能を備えた製品もあり、使い過ぎや消し忘れを防止できます

また、こたつ布団の下に「断熱マット」や「中敷き」を併用することで、熱を逃がさず、弱設定でも十分な暖かさをキープできるようになります。

節約しながら快適に過ごすために

節約しながら快適に過ごすために

暖房費を抑えるには、無理に我慢するのではなく、快適さを保ちながらムダを省く工夫が大切です。ここでは、健康や安全にも配慮した賢い暖房の使い方をご紹介します。

我慢しすぎないことが大切。ヒートショックにも注意を

 設定温度を下げたり、厚着をすることで光熱費は抑えられるのは事実ですが、寒さの我慢が健康に悪影響を及ぼすこともあるということを忘れてはいけません。

特に注意したいのが、急激な温度差によって起こる「ヒートショック」。暖かい部屋から冷えた脱衣所やトイレに移動した際、血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかる現象です。

高齢者や血圧が高めの人にとっては命に関わるリスクもあるため、節約のために寒さを我慢するのは本末転倒です。

対策としては、トイレや脱衣所などの一時的に使う場所にも、小型の暖房器具や人感センサー付きヒーターを設置することが有効。必要な時だけ稼働してくれるため、ムダな電力を抑えながら、寒暖差のリスクを軽減できます。

節約は大切ですが、「健康を守る」ことがその前提にあるべき。とくに寒さが本格化する冬こそ、我慢しすぎず、自分と家族の身体を第一に考えた暖房の使い方を意識しましょう。

長期的には断熱リフォームや設備の見直しも視野に

今すぐの節約も大切ですが、数年先を見据えた住まいの見直しも、光熱費削減に大きく影響します。 特に築年数の経った住宅や、古い設備を使い続けている場合は、断熱性や暖房効率の悪さが“節約の壁”になっている可能性も。

例えば、窓の断熱性を高めるリフォームは、外気との温度差による冷え込みや熱の逃げを防ぎ、冷暖房の効きが大きく改善されます。初期費用はかかっても、数年で元が取れるケースも少なくありません。

また、10年以上前の古いエアコンを使っている場合は、最新モデルへの買い替えも有効です。最近の省エネエアコンは性能が格段に向上しており、電気代を抑えながら部屋を快適に保ってくれます。フィルター自動掃除や加湿・除湿機能など、暮らしに役立つ機能も搭載されています。

補助金や助成金制度のチェックも

断熱リフォームや省エネ家電の導入など、長期的な節約に向けた対策を検討するなら、国や自治体が実施している補助金・助成金制度を活用するのがおすすめです。

地域ごとに独自の制度を設けている自治体もあるので、対象製品の購入やリフォーム費用の一部を支援してくれることも。 また、エアコンなどの家電を買い替える際には、地元の家電量販店に直接相談してみるのも有効です。その地域ならではのキャンペーンや補助制度について詳しく教えてくれることがあります。

これらの制度は、年度ごと・地域ごとに予算や申請期間が異なるため、こまめに情報をチェックすることが大切

お住まいの市区町村の公式サイトや、国のキャンペーンページなどをチェックして、自分が対象になるかを確認してみましょう。

まとめ:少しの工夫で冬の光熱費はぐんと下がる!

まとめ:少しの工夫で冬の光熱費はぐんと下がる!

寒い季節の光熱費は、ちょっとした工夫でぐんと下げることができます。

暖房の設定温度を見直す、使う場所や時間を絞る、断熱・加湿をうまく取り入れる。こうした一つひとつの積み重ねが、家計の負担を軽くするだけでなく、暮らしの快適さも守ってくれるはずです。

とはいえ、我慢しすぎる節約は体に負担をかけてしまうことも。ヒートショックなどのリスクを防ぐためにも、自分や家族が「心地よく過ごせるライン」を大切にしながら、上手に暖房を活用していきましょう。

「省エネ」と「心地よさ」の両立は、ほんの少しの気づきから始まります。まずはできることから、今日から試してみませんか?

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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