資産運用にはまとまった資金が必要であり、20代から始めるには早すぎると思っている方も多いのではないでしょうか。
実は20代から資産運用を始めることで、時間を味方につけた資産形成が可能となり、少額の資金でも大きなリターンを得られる可能性があります。
そこでこのコラムでは、資産運用を20代から始めるメリットやコツ、おすすめの資産運用などを紹介します。このコラムを読めば資産運用の基本やコツが分かり、資産形成の第一歩を踏み出せるでしょう。
この記事を読んでわかること
- 大きなライフイベント前の年代で自身のためにお金を使いやすく、知識と理解を深めて長期間の資産運用を始めれば複利効果が大きくなるため、20代から資産運用を始めるとよい。
- 資産運用を始める際、目的と目標を明確にし少額から始めることがおすすめ。
- 資産運用はリスクを伴うため、税金控除の制度や仕組みを活用した節税効果を最大限に引き出す慎重な計画と適切なアプローチが必要。
資産運用は20代から考えたい
20代は就職して社会人生活を始める方が多い年代です。仕事は覚えることが多く大変な時期ですが、資産運用は20代から考えておくと良いでしょう。
本章では20代から資産運用を始めるべき理由や考え方について解説します。
20代は自分のためにお金を使いやすい年代
20代はご自身のためにお金を使いやすい年代であり、投資を始めるのに適しています。歳を重ねると、以下のような大きなライフイベントが発生し、資産運用を始めにくくなる恐れがあるからです。
- 結婚
- 出産
- 住宅購入
- 子育て
- 介護
このようなライフイベントを迎える前の20代のうちに、資産運用を始めておき、投資をするのが当たり前の環境を作っておくことが大切です。
資産運用を20代から始めると資産形成がスムーズ
資産運用を20代から始めることで、投資期間が長くなり資産形成が有利に働きます。
例えば、35歳から65歳までの30年間で毎月1万円を年利5%投資した場合、最終金額は825万円です。一方、25歳から65歳までの40年間で毎月1万円を投資した場合、最終金額は1,505万円となります。
早いうちに資産運用を始めると、効率良く資産形成できるため、20代から始めるのがおすすめです。
資産運用は「貯蓄」と「投資」が基本
資産運用は大きく分けると「貯蓄」と「投資」の2つが基本です。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
貯蓄とは
貯蓄とは、将来必要となる資金を銀行などに預けておくことをいい、普通預金や定期預金などが代表的です。
貯蓄は元本が保証されており低リスクである反面、見込める利益は少なめです。例えばメガバンクの定期預金の金利は0.002%であり、100万円を1年間預けていても20円しか増えません。
そのため、貯蓄は「ローリスク・ローリターン」型の資産運用といえるでしょう。
投資とは
投資とは、将来性のある企業などに資金を投じることをいい、株式投資などが代表的な例です。株式の場合、購入時よりも株価があがると売却益を狙えます。また、保有していると配当金や株主優待で還元されるのが特徴です。
しかし、貯蓄と異なり元本の保証はありません。投資により損失を被るリスクがある反面、大きなリターンを得られる可能性もあります。投資は、ミドルリスク・ミドルリターン〜ハイリスク・ハイリターンのものまで幅広い種類があるため、ご自身に合ったものを選ぶ必要があります。
資産運用を20代からするメリット
資産運用を20代から始めることで、以下のようなメリットがあります。
- 長期にわたりコツコツ運用できる
- 資産運用の知見を深めることができる
それぞれについて詳しく解説します。
長期にわたりコツコツ運用できる
20代は定年までの時間が十分にあり、長期にわたってコツコツ運用できます。少額でも長期間資産運用すれば、利益を再投資して得られる「複利効果」によって資産を積み上げやすくなるでしょう。
例えば、100万円を年利5%で複利運用した場合、以下のように資産が増えていきます。
- 1年目:100万円×5%=50,000円
- 2年目:105万円×5%=52,500円
- 3年目:110万2,500円×5%=55,125円
運用期間が長くなるほど複利効果によって資産が効率良く増えます。その結果、40年後には100万円が703万9,941円にまで増えるのです。
老後までの投資期間が十分にある20代は、長期間の運用で資産形成しやすいのがメリットのひとつです。
資産運用の知見を深めることができる
20代のうちに資産運用を始めることで、知見や経験を早い段階で得られます。少額でも運用しておけば、日々の値動きに対する耐性が付くことに加え、経済情勢への関心も高まるでしょう。投資をすることで、世の中で行っていることをご自身のこととして捉えることができます。
投資経験のない方がまとまった額を投資すると、日々の値動きに一喜一憂してしまい、長期での資産形成に支障をきたします。そのため、20代のうちから少額で資産運用を始めることに意味があるのです。
資産運用を20代から始める際のコツ
資産運用を20代で始めるメリットを紹介しましたが、いざ始めるとなると不安に思う方も多いでしょう。そこで本章では、資産運用を20代で始める際のコツを紹介します。
- 目的と目標を明確にする
- 時間を味方につけ無理のない金額からスタートする
- 資産運用に月々いくら回すか決めておく
コツを理解すれば資産運用のリスクを軽減できます。それぞれ順番に見ていきましょう。
目的と目標を明確にする
資産運用を長く続けるためにも、目的や目標を明確にしましょう。資産運用のよくある目的は以下のとおりです。
- 老後資金を確保するため
- 住宅購入資金に充てるため
- 教育資金を作るため など
目的を達成するには資金がいくら必要で、いつまでに貯まれば良いのかなどを具体的に考えて、資産構成(ポートフォリオ)を決めることが大切です。
また、資金面や将来的な不安などから衝動的にハイリスクの投資をしたくなった場合でも、目的と目標が明確に定まっていれば、慎重に考えるきっかけにもなります。
資産運用を始める際は、ご自身の軸がぶれないように目的と目標を決めておきましょう。
時間を味方につけ無理のない金額からスタートする
資産運用は、無理のない金額から始めることが重要です。
20代から投資を始めることで、長期間の資産運用ができます。例え1日数百円の投資でも、数十年間続ければまとまった金額となるため、初心者の間は無理のない範囲でコツコツ運用しましょう。
しかし、投資のみに注力するのはおすすめしません。生活資金は貯蓄で確保しておき、教育資金や老後資金など将来必要になる資金は投資に回すなど、貯蓄と投資をバランス良く行うことが大切です。
資産運用に月々いくら回すか決めておく
資産運用はコツコツ継続して運用するのが重要であるため、毎月いくらを資産運用に回すのかを決めておきましょう。
収入から生活費を差し引いた余剰資金を投資に回す場合、収入が十分になかったり、突発的な支出が発生したりすると、投資に回せる金額が少なくなります。
そのため、事前に収入から資産運用額(投資・貯蓄額)を差し引き、残ったお金を生活費にしたほうがスムーズに運用できます。
20代におすすめの資産運用3つ
本章では20代におすすめの資産運用を3つ紹介します。
- 株式投資
- 投資信託
- 定期預金
それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
株式投資
株式投資のメリット | 株式投資のデメリット |
・株価が値上がりすれば売却益が見込める ・配当金をもらえる可能性がある ・株主優待を受けられる ・経営に参加できる | ・株価が値下がると損失を被る ・まとまった資金が必要な場合がある |
株式投資とは、株式会社が発行する株式を購入し、保有や売却することで利益を得る投資手法です。
購入した株式が値上がりした際に売却できれば、売却益が見込めます。他にも、株式を所有することで配当金や株主優待を受けられたり、株式総会に参加して経営に参加できたりします。
しかし、株価が値下がりすれば元本割れとなり損失につながる恐れがあるため注意が必要です。また、株式によってはまとまった資金が必要な場合があります。ただし、近年では通常よりも少ない株数(単元未満株)で購入できる証券会社も増えています。
投資信託
投資信託のメリット | 投資信託のデメリット |
・少額から運用できる ・分散投資でリスクを軽減できる | ・元本割れのリスクがある ・手数料や税金などのコストがかかる |
投資信託とは、複数の投資家から集めた資金を資産運用のプロが債券や株式などに投資して運用する投資手法です。
少額から運用でき、投資信託の商品を選んだ後の運用はプロに一任できるため、投資初心者の20代でも始めやすいのが特徴です。投資信託にも株式投資と同様に元本割れのリスクがありますが、複数の株式などが組み込まれている分散投資であるため、株式への集中投資よりもリスクを軽減できます。
定期的に一定額を購入する積立投資で資産形成をしたい方には、投資信託がおすすめです。
定期預金
定期預金のメリット | 定期預金のデメリット |
・元本割れのリスクがない ・一定額まで保証がある ・目的に合わせて期間を選べる ・普通預金より金利が高い | ・資産が増えにくい ・中途解約しないと預金を引き出せない |
定期預金とは、あらかじめ期間を指定して銀行などの金融機関に預ける預金のことです。
定期預金は元本割れのリスクがなく、万一金融機関が破綻しても一定額までは保証してもらえます。そのため、リスクが少なく目的に合わせた運用が可能です。
しかし、資産は増えにくく運用の効率は良くありません。また、指定できる期間は金融機関によって異なり、指定期間が過ぎるまでは中途解約しない限り預金を引き出せません。
定期預金は普通預金よりも金利は高めですが、低金利状態の日本では、他の資産運用よりも利益を見込むのは難しいでしょう。
資産運用は制度や仕組みをうまく使おう
資産運用で利益が発生した場合は税金がかかりますが、制度や仕組みをうまく活用することで、税金が控除される場合があります。
- NISA
- iDeCo
- カードで積立がお得
本章では、上記3つの制度や仕組みを詳しく解説します。
NISA
2024年1月からNISAが抜本的に拡充や恒久化され、内容が大きく変わった新しいNISAが始まりました。新NISAの内容は以下の表を参考にしてください。
新NISA | ||
枠 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
対象者 | 日本在住で18歳以上 | |
非課税投資枠(年間) | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 無期限 | |
非課税保有限度額 | 全体で1,800万円(成長投資枠は1,200万円) | |
対象商品 | 一定の要件を満たした投資信託など | 上場株式、投資信託など |
制度の併用 | 可能 |
新NISAでは、つみたて投資枠が旧制度よりも80万円増え、非課税期間は無期限となりました。有効に活用すれば大きな節税効果が見込めるでしょう。
詳しい内容は、金融庁のホームページをご確認ください。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に、任意で加入できる私的年金制度です。ご自身で決めた掛け金を積み立てて運用し、60歳以降に掛け金と運用益の合計額を受け取れます。
iDeCoは掛け金が全額所得控除になったり、運用益を非課税で再投資できたりと、税制上でさまざまな優遇措置が講じられています。ただし、元本保証がなく、原則60歳まで資産を引き出せない点に注意が必要です。
カードで積立がお得
カードで積立とは、クレジットカードで投資信託の積立投資をすることです。クレジットカードで投資信託を購入できるため、入金の手間がかかりません。また、積立と同時にポイントが貯まるメリットがあります。
おわりに
資産運用は、長期間にわたって無理のない範囲でコツコツ運用することがポイントです。そのため、20代の早いうちに資産運用の知見や経験を得ることが、資産形成において重要と考えます。
少額で積立投資を始めたい方は、大和コネクト証券のクレカ積立がおすすめです。このコラムで紹介した資産運用のコツや投資手法、制度などを理解して、20代のうちから資産運用を始めましょう。