老後資金を準備するために新NISAを始めるか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。2023年までの旧NISAと比べると、新NISAは内容が拡充され、老後資金の準備に活用しやすい制度になりました。
このコラムでは新NISAを老後資金の準備に活用する方法について解説します。これまで投資の経験のない方でも簡単に理解できる内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を読んでわかること
- 長寿化や医療の進歩により老後の資金を準備しておくことは重要
- 老後資金の準備には新NISAの活用が効果的
- 新NISAでは旧NISAから内容が拡充され、長期的な資産形成が目指しやすい仕組みに
老後に必要なお金はいくら?
この章では老後に必要なお金について解説します。
老後に必要と予想される生活費
高齢者世帯における毎月の具体的な支出額をシミュレーションした結果は、以下のとおりです。
1ヵ月 | 1年間 | 20年間 | 30年間 | |
独身 | 155,495円 | 1,865,940円 | 37,318,800円 | 55,978,200円 |
夫婦 | 268,508円 | 3,222,096円 | 64,441,920円 | 96,662,880円 |
老後受け取れる年金の平均受給額
厚生年金保険の平均年金月額は、令和3年度末で約146,000円です。
老齢年金 | 障害年金 | 遺族年金 | |
令和3年度 | 145,665円 | 102,368円 | 82,371円 |
老後資金を備えるべき理由
老後資金を備えておくべき理由は以下の3つです。
- 長寿化による老後生活費の不足
- 退職金が減少する可能性
- 病気やケガで収入が途絶える可能性も
それぞれ順番に解説します。
長寿化による老後生活費の不足
令和4年簡易生命表によると、日本人男性の平均寿命は81. 05年、女性は87. 09年となっています。今後もさらに医療が発展し寿命が延びることで、必要な生活費が増える可能性があります。
退職金が減少する可能性
終身雇用制度の変化や景気などを理由に、近年退職金の給付額が減少傾向にあります。このまま減少傾向が続くと想定している退職金がもらえず、老後の資金がショートする可能性があります。
病気やケガで収入が途絶える可能性も
働けなくなるだけでなく治療費や入院費など突発的な支出も、想定しておかなければなりません。仮に長期の入院や大きな手術が必要になった場合はまとまった資金が必要になるでしょう。
老後資金の準備の仕方
老後資金を準備するためには以下4つの方法があります。
- 家計を見直し支出を減らす
- 公的年金以外の収入確保
- 資産運用で老後資金を増やす
- NISAやiDeCoなどの税制度を活用する
それぞれ順番に解説します。
家計を見直し支出を減らす
家庭における生活費を見直し、不要なコストをカットする方法です。具体的な見直しポイントには以下の例が挙げられます。
- 食費
- 通信費
- 車関連の費用
- 保険
- 住宅
例えば保険はライフステージによって適切な保障が変わります。同じ保険に加入し続けている方は、保障内容を見直すと良いでしょう。
公的年金以外の収入確保
iDeCoとは、毎月積み立てた掛金を60歳以降に受け取れる個人型確定拠出年金です。掛金や運用益、一時金には税制優遇措置があり、お得に資産形成ができます。
資産運用で老後資金を増やす
いまある預金などの資産を活用して投資する方法や、定期的に積立投資する方法が挙げられます。NISAを活用することで株式の運用益や売却益にかかる税金を非課税にできます。
新NISAが老後資金の準備におすすめな理由
新NISAを活用することで老後資金の準備や柔軟な運用が可能です。新NISAの概要は以下のとおりです。
- 非課税保有期間の無期限化
- 口座開設期間の恒久化
- つみたて投資枠と成長投資枠の併用可
- 年間投資枠が拡大
- 非課税保有限度額が1,800万円に
それぞれ順番に解説します。
非課税保有期間の無期限化
旧NISAの非課税期間には一般NISAが最大5年、つみたてNISAが最大20年の制限がありました。新NISAでは非課税期間が無期限化されたため、それに伴い一般NISAで使われていた「ロールオーバー」の仕組みがなくなっています。
口座開設期間の恒久化
新NISAでは口座開設期間が恒久化されました。旧NISAの口座開設ができるのは2023年までで、2024年以降は資産運用のみが可能となります。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用可
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。旧NISAでは、つみたてNISAもしくは一般NISAのどちらか一方を選択する方式だったため、制度の大きな変更ポイントです。
成長投資枠では投資信託のほか、上場株式などに投資できます。個別株やETFをポートフォリオに組み込めるため、商品選定の幅が広がるでしょう。
年間投資枠が拡大
旧NISAの年間投資枠の上限は一般NISAを選択していた場合の120万円でした。新NISAの年間投資枠はつみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円、合計で360万円となり、年間投資枠がアップしています。
非課税保有限度額が1,800万円に
新NISAの非課税保有限度額は1,800万円で、うち成長投資枠は1,200万円までとなります。非課税保有限度額の計算には、購入時点の金額が用いられます。また、新NISAでは商品を売却した場合、非課税保有限度額を翌年に再利用可能です。
新NISAで老後資金を貯めるときの投資額
老後資金を無理なく貯めるため、新NISAでの投資額を計算する方法について解説します。
目標金額と運用年数から毎月の積立額を算出
まずは以下の計算式を使って、目標金額のために毎月いくら積み立てたら良いか簡単に逆算しましょう。
目標金額÷運用年数÷12ヵ月=毎月の必要積立額
複利効果なども考慮すれば、少ない額で目標を達成できます。
余裕資金で長期積立できる金額にする
複利効果を最大限発揮するためには長期運用することが大切です。途中で運用がストップしてしまうと期待する複利効果を得られない可能性があります。投資資金は無理なく長く続けられる金額で設定しましょう。
新NISAを活用して老後資金をためるコツ
新NISAを活用して老後資金を貯めるためには、ネット証券の活用が効果的です。ネット証券には以下3つのメリットがあり、投資初心者の方でも安心して利用できます。
- 口座開設が簡単
- 少額からはじめられる
- ポイント積立できるところも
おわりに
旧NISAからの制度拡充により、新NISAは老後資金の準備に活用しやすい制度になりました。余裕のある老後資金を貯めるためには、資産運用による積立を始めるのがおすすめです。ぜひ新NISAを資産形成に活かしてみてください。
※本ページは2023年10月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。最新情報については、随時金融庁の以下サイトを確認するようにしてください。