「ついこの間まで親が元気だったのに、ちょっとした骨折がきっかけで介護が必要になってしまった」など決して珍しい話ではありません。このコラムでは、家族に介護が必要になったときに相談する窓口や、介護保険サービスを使い始めるためのポイントなどについて解説します。
介護がはじまった…まず相談するのは?
介護と向き合うときに忘れてはならないのが「家族だけで抱え込まない」ということです。まずは、地域の相談窓口を活用しましょう。具体的な相談先や心構えなどは、介護が必要になった家族が自宅で一緒に暮らしているのか、入院中なのか、離れて暮らしているのかなど、状況によって少しずつ異なります。
自宅にいる場合
高齢者福祉課・介護保健課など市区町村の担当課、または地域包括支援センターに相談します。介護全般についての情報を得たい場合や、介護以外のことも相談したい場合は、地域包括支援センターを訪ねるのが良いでしょう。
病院にいる場合
退院後に介護が必要になるケースは少なくありません。そのような場合、まず相談先となるのが病院内の相談室に配置された医療ソーシャルワーカー(MSW)です。
離れて暮らしている場合
介護保険やその他の行政サービスを利用する場合、介護を受ける方が住んでいる市区町村に必要な申請をします。介護保険や高齢者支援について相談する場合も、介護が必要になった方の住所地がある市区町村の担当課や地域包括支援センターが窓口となります。
介護保険サービスを使うために
要介護認定の申請をしよう!
介護保険サービスを利用するには、要介護認定を申請しなければなりません。一般的には、介護が必要になった人の家族が市区町村の担当課に出向いて申請を行います。その後、家族は訪問調査の時にも同席します。申請してから認定されるまで、約1ヵ月かかりますが、急に介護が必要になった場合には、先にサービスの利用を開始することもできます。
認定結果は、申請から原則30日以内に通知されます。その後、結果に応じてケアマネジャー(介護支援専門員)がサービス利用計画(ケアプラン)の原案を作成します。
要介護度は、大きく「要支援」と「要介護」の2種類に分かれます。「要支援」とは、現在は介護の必要がないものの、将来必要な状態になるおそれがあり、家事や日常生活に支援が必要な状態のことで、程度によって2段階に分けられます。「要介護」とは、入浴、排泄、食事などの日常生活動作について介護が必要と見込まれる状態で、程度により5段階に分けられます。
ケアマネジャーの選び方
介護保険サービスは利用者本人が選ぶことができます。ケアマネジャーも同様です。
ケアマネジャーは、身体の状況や生活のリズムなどを考慮し、本人に合ったケアプランを提案します。また、介護サービスを利用するための調整も行います。
ケアマネジャーとの付き合いは長期にわたります。そのため、ケアマネジャーとの相性は、介護が必要になった人にとっても家族にとっても重要なポイントです。
―相性を見極める3つのポイント―
介護にかかるお金はどのくらい?
介護保険サービスは、要介護度別に支給限度額(利用できるサービスの最大量)が設定されています。要介護度が重くなるにしたがい、支給限度額は上がりますが、その分、負担する費用も増えます。
また介護が始まると、紙おむつや介護用シューズなどの日用品も必要となり、病院へのタクシー代などもかかります。介護保険サービスの費用以外でも支出が増えることを頭に入れておく必要があります。
利用者負担は、かかった費用の1~3割
介護保険サービスは原則、かかった費用の1割を支払うと利用できます。ただし、一定以上の所得がある人は、2割や3割の負担を求められます。
認知症の家族との向き合い方
「認知症」は老いに伴う病気のひとつで、代表的な疾患は、「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」です。
最も多い「アルツハイマー型認知症」は、記憶障害(もの忘れ)からはじまるケースが多く、脳梗塞や脳出血などを原因とする「脳血管性認知症」は、記憶障害や言語障害があらわれやすいという特徴があります。
認知症の親との接し方
「認知症は本人の自覚がない」と思いがちですが、それは誤りです。本人が真っ先に症状に気づき、不安な気持ちに陥っています。認知症の方は、理解力が落ちていても感情面は繊細ですから、自尊心を傷つけないことが大切です。子どものように叱ったり、頭ごなしに否定したりするのは禁物です。
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