この記事では、どんな人に遺言書が必要なのかがわかります。
また、不動産についての遺言を作成する際の注意点や、相続後に不動産が売却されてしまうケースについて知ることができます。
遺言書の作成を迷っている方や、不動産についての遺言書の作成を考えている方におすすめの記事です。
(本記事は2024年5月17日時点の情報です)
- 自分の意思で相続を決めたい方や、相続させたくない方がいる場合は遺言書の作成がおすすめ
- 不動産に関する遺言書は、登記簿謄本どおりに記入するなどのルールがある
- 自分の死後に遺言執行を行う「遺言執行者」を決めておくことがおすすめ
- 相続後に不動産が売却されてしまうケースもあるため注意が必要
こんな人は遺言書を書いておこう!
遺言書とは、被相続人が相続に関する自分の意思を示すための書類です。遺言書がない場合には、財産などの配分をめぐって相続人同士で揉め事が発生する可能性もあります。ここでは遺言書を作成した方が良いケースを紹介します。
自分で遺産の分配を決めたい人
ご自分で遺産の分配を決めたい方は、遺言書の作成をおすすめします。遺言書を作成すれば、相続においてご自分の意見を反映することができます。
相続させたくない人がいる人
相続させたくない方がいる場合も、遺言書の作成をおすすめします。反対に、特定の方に財産を相続させたい場合も、遺言がなければ法定相続分どおりの相続となってしまうため注意が必要です。
親族間の相続トラブルになる可能性がある人
遺言書があれば、親族間の相続トラブルも未然に防ぐことができるかもしれません。
例えば、同居し介護をしてくれていた子どもと、別居していた子どもがいる場合でも、遺言書がなければ法定相続分どおりに平等に相続となります。介護していたのに平等な相続では、納得いかない気持ちになり親族間の間でトラブルになってしまう可能性があります。
相続財産がほぼ不動産のみの人
相続財産が自宅などの不動産のみの場合、遺言が無いと遺産分割が難しくなる場合があります。
相続人が複数人いる場合に公平に分けるためには共同名義にするか、不動産を売却した金額を分けることになります。不動産を売却されたくないと考えているのであれば、生前にその意思を伝え、その上で相続させる方を決め、遺言書に残すことが大切です。
不動産に関する遺言書の書き方
不動産売却されたくないと考えているのであれば、不動産の相続について遺言書に記載しておくことが大切です。ここでは、不動産に関する遺言書の書き方を紹介します。
土地を相続する場合
土地を相続する場合、法務局で最新の登記簿謄本を取得し、登記簿謄本どおりに、以下の項目を書くようにしましょう。
- 所在
- 地番
- 地目
- 地積
見本は以下のとおりです。
第◯条 遺言者は、遺言者の所有する下記の土地を、遺言者の長男 〇〇 〇〇(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。 記 所在 〇〇県〇〇市〇〇町 地番 25番4 地目 宅地 地積 50㎡ |
建物を相続する場合
建物を相続する場合についても、登記簿謄本どおりに以下の項目を記入します。
- 所在
- 家屋番号
- 居宅
- 構造
- 床面積
見本は以下のとおりです。
第◯条 遺言者は、遺言者の所有する下記の建物を、遺言者の長男 〇〇 〇〇(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。 記 所在 〇〇県〇〇市〇〇町25番地4 家屋番号 25番地4 種類 居宅 構造 木造2階建 床面積 1階 40㎡ 2階 38㎡ 第◯条 遺言者は、本遺言に記載のない遺言者の所有するその他一切の財産を、遺言者の長男 〇〇 〇〇に相続させる。 |
遺言書の中で「遺言執行者」を決めておこう
不動産を売却されたくないと考えているのであれば、遺言書の中で「遺言執行者」を決めておくことをおすすめします。
遺言執行者とは
遺言は、遺言者の死亡によりその効力が生じることから、遺言者自身はその実現を確認することはできません。そのため、遺言者の意思を実現するために、遺言執行を行う者が必要になります。
「遺言執行者」とは、「遺言執行を行う者」のことであり、多くの場合は遺言者が遺言書において指定します。
遺言執行者の役割は、遺言をスムーズに執行することです。遺言執行者には、相続財産の管理や遺言の執行に必要なすべての行為をする権利と義務があります。相続人は、遺言執行者が遺言を執行することを妨げることはできません。
遺言書の記入例は以下のとおりです。
第◯条 遺言者は、この遺言の実現のために遺言執行人とし次の者を指定する。なお、遺言執行人は必要と認めたときは、第三者にその任務を行わせることができる。 〇〇県〇〇市〇〇町◯丁目◯番◯号 〇〇 〇〇(遺言執行者氏名) |
遺言執行者の選び方
遺言執行者は、未成年や破産者でない限り誰でもなれます。相続人のひとりを選ぶことも可能ですが、トラブルが生じる可能性もあるため、不動産の専門の弁護士などの第三者的立場の人に依頼するケースもあります。
不動産に関する遺言を残すときの注意点
次に、不動産に関する遺言を残すときの注意点を紹介します。
土地・建物は登記簿謄本どおりに書く
土地や建物について遺言書に記載する場合、法務局で登記簿謄本を取得し、登記簿謄本のとおりに記載することが大切です。
遺言書作成のルールを把握しよう
遺言書の作成にはルールが定められています。そのルールに則っていないものは、遺言書の効力がなくなる恐れがあります。遺言書の作成年月日、遺言者の署名、遺言の全文などは自筆で記載が必要です。財産目録はパソコンで作成しても問題ありません。
とくに不動産を遺言によって相続させる場合には、登記簿謄本に記載されている内容を正確に記載する必要があるため、注意しましょう。
遺言書に残しても不動産が売却されてしまうケースも
遺言は個人の最後の意思であるため、最大限尊重されます。
しかし、相続人・遺言書で指定されていた方など全員の同意があれば、遺言書とは異なる内容で遺産分割されたり、不動産が売却されたりするケースもあります。
相続後に不動産が売却されてしまうケースとは?
次に、相続後に不動産が売却されてしまうケースについて紹介します。
相続人が複数いる場合
相続人が複数いる場合、換価分割のために不動産を売却しなければならないケースがあります。
換価分割では、誰かひとりだけで遺産を取得することはないため、公平に遺産を相続することになります。
相続人が不動産の相続を望まない場合
相続人が不動産の相続を望まない場合、相続後に不動産が売却されてしまうケースが多いです。
相続した不動産には今後住む予定もなく、空き家になってしまうなど、活用されない不動産の場合、維持管理費や固定資産税がかかるため、売却されてしまう可能性があります。
相続税が用意できない場合
相続税が用意できない場合、現金化しやすい不動産などは売却されてしまうケースが多いです。
相続税の申告と納税の期限は、「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」です。相続税が用意できない場合には、売却して現金化し、期限までに納税資金を用意することが必要となります。
セゾンの相続 遺言サポートでスムーズな相続に備えよう!
遺言書の作成にはさまざまなルールや不明点が多くあります。自己判断で作成すると、無効になったりトラブルにつながるリスクがあるため、専門家への相談をおすすめします。
遺言書の作成サポートは、遺言書や相続の専門家である「セゾンの相続 遺言サポート」にお任せください。
おわりに
この記事では、遺言書が必要な人についてや不動産に関する遺言書について、相続した不動産が売却されてしまうケースなどを紹介しました。とくに、不動産に関する遺言書について、さまざまなルールや注意点があるため、遺言が無効とならないよう注意しながら遺言の作成をおこなってください。
お困りの方は、専門家へのご相談をおすすめします。